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米国がシリアに軍事介入をするという話への可否はともかく。どうやって軍事介入で日本が米国を支えるのか、日米同盟を深めるというのだろうか。
産経ニュース「日米首脳協議 シリア関与で同盟深めよ」※ についてだが、一種の夜郎自大が過ぎるのではないか。プレイヤーとなりえない日本が、プレイヤーとしてどう振る舞うかを主張したところで空虚空論にすぎない。
シリアで化学兵器が使われたことは看過できないというのは理解できる。どっちが使ったか怪しいものだが、化学兵器を使った点を重大視することも当然である。そこで軍事介入が必要とする理由もわかる。
しかし、シリアでの軍事介入について日本にできることは多寡が知れている。なんせ中東の、しかも地中海側での話である。自衛隊が軍事介入するわけにも行かないし、支援部隊を出すような距離も出ないし、在日米軍基地を使わせる話でもない。そのあたり、日本も近所付き合いしなければならない東アジア・東南アジアの話ではない。
シリア情勢では、日本による米国支援も、それによる日米同盟の深化も大した効果はない。そもそも、米国もあまりやる気もない。やったとしても、大した規模の介入もしない。やっても1982年のシリアへの報復攻撃とかわるものでもないだろう。ベイルート事件への対応として行った、米海軍による空襲と艦砲射撃を行った。軍事的効果よりも政治的効果を狙った攻撃だが、今回、軍事介入といっても、おおむねその程度に留まるだろう。
そこに、嬉々として米国支援と日米同盟の深化を言い出しても、意味はない。日本政府も、同名の誼があるから、軍事介入するなら賛成するよ程度にすぎない。やってもやらなくても大した効果があると思っていない。米国にしても、その程度で恩を売ってやったとドヤ顔されても困る。
産経の主張は、田舎教師や学級委員長がする模範的な発言に似ている。化学兵器は許せない、日米関係は大事、日米同盟は大事であるとする大義名分に寄りかかったものだ。その上で、私達も協力しましょうと言っている。だが、何のことはない、機会主義的な言論にすぎない。自分が意識が高いことをまわりに見せるための、自己満足発言である。
特に記事中で滑稽に見えるのが、米国に対して、日本への説明責任を云々する点である。
このあたりを本気で主張しているとしたら、それこそ日本にとっての夜郎自大である。シリア問題では日本はプレイヤーではない。米国には日本に大した期待もない。軍事介入を支え、日米同盟を深化させる効果があるとしている産経にしても、具体的な手段としては「シリア難民の支援」だけしか挙げられない。その程度しかできない日本による支援を得るために、優先順位の低い日本政治への説得に拘束され「通信傍受記録」や「開示しにくい機密情報」まで使う必要も余裕も米国にはない。
いずれにせよ、米国の軍事介入に賛成すれば、米国が日本に大感謝して、日本にとってトクになるとする産経の発想も、過去の産物である。確かに、ベトナム戦争に米側に立って参戦したアジア各国は、軍事・経済援助といったご褒美をもらった。あるいは、ソ連との軍拡競争に日本も協力すると、貿易摩擦問題が緩和された。3,40年前の記憶の残滓である。
産経ほかの保守誌は、いまだに80年代的な発想をしているが、当節は最早その時代ではない。日本が対外強硬策を取り、自衛隊を増強しても米国は喜ばない。尖閣問題でも安定を脅かすJIBsと、イスラエルと同等に見られる始末である。また、韓国に保守政権ができても、日韓関係は好転しない。テイクオフした韓国は、経済的開発のために日本に媚びる必要はなくなっている。
シリア情勢で米国軍事介入に日本が賛成して、支援しても、日本には殆ど得るものもない。もちろん、反対して邪魔しても日本は損をするだけでやる甲斐もない。実際のところは、米国が軍事介入をするというなら、形だけ賛同するだけで十分である。産経の主張するように「同盟国として日本が米国をどう支えていくのか」は「問われて」いるわけではない。
※ 「日米首脳協議 シリア関与で同盟深めよ」『産経ニュース』(産経新聞,2013.9・4)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130904/plc13090403160003-n1.htm
産経ニュース「日米首脳協議 シリア関与で同盟深めよ」※ についてだが、一種の夜郎自大が過ぎるのではないか。プレイヤーとなりえない日本が、プレイヤーとしてどう振る舞うかを主張したところで空虚空論にすぎない。
シリアで化学兵器が使われたことは看過できないというのは理解できる。どっちが使ったか怪しいものだが、化学兵器を使った点を重大視することも当然である。そこで軍事介入が必要とする理由もわかる。
しかし、シリアでの軍事介入について日本にできることは多寡が知れている。なんせ中東の、しかも地中海側での話である。自衛隊が軍事介入するわけにも行かないし、支援部隊を出すような距離も出ないし、在日米軍基地を使わせる話でもない。そのあたり、日本も近所付き合いしなければならない東アジア・東南アジアの話ではない。
シリア情勢では、日本による米国支援も、それによる日米同盟の深化も大した効果はない。そもそも、米国もあまりやる気もない。やったとしても、大した規模の介入もしない。やっても1982年のシリアへの報復攻撃とかわるものでもないだろう。ベイルート事件への対応として行った、米海軍による空襲と艦砲射撃を行った。軍事的効果よりも政治的効果を狙った攻撃だが、今回、軍事介入といっても、おおむねその程度に留まるだろう。
そこに、嬉々として米国支援と日米同盟の深化を言い出しても、意味はない。日本政府も、同名の誼があるから、軍事介入するなら賛成するよ程度にすぎない。やってもやらなくても大した効果があると思っていない。米国にしても、その程度で恩を売ってやったとドヤ顔されても困る。
産経の主張は、田舎教師や学級委員長がする模範的な発言に似ている。化学兵器は許せない、日米関係は大事、日米同盟は大事であるとする大義名分に寄りかかったものだ。その上で、私達も協力しましょうと言っている。だが、何のことはない、機会主義的な言論にすぎない。自分が意識が高いことをまわりに見せるための、自己満足発言である。
特に記事中で滑稽に見えるのが、米国に対して、日本への説明責任を云々する点である。
同盟国として日本が米国をどう支えていくのかが問われている。米国に、そこまで日本に対して説明をする余裕も必要もない。議会対応や欧州との協調、中露との折衝と、やるべきことをいくらでもあるからだ。
アサド政権の化学兵器使用に「強い確信」があるとする米政府報告書は、通信傍受記録などを根拠としており、具体的な証拠は含まれない。
開示しにくい機密情報が含まれるとの事情は理解できるが、米政府には、より丁寧で納得のいく説明がほしい。
イラク戦争では、米英両国などがイラクが所持しているとして開戦理由に掲げた大量破壊兵器が見つからなかった。
安倍首相はオバマ氏に「安保理の決議を得る努力も継続してほしい」と要請した。武力行使を含め、アサド政権に対していかなる行動を起こすにせよ、米国は最後まで国際社会の合意形成をあきらめてはなるまい。安保理決議があれば日本も支援が容易になる。
産経ニュース「日米首脳協議 シリア関与で同盟深めよ」http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130904/plc13090403160003-n1.htm
このあたりを本気で主張しているとしたら、それこそ日本にとっての夜郎自大である。シリア問題では日本はプレイヤーではない。米国には日本に大した期待もない。軍事介入を支え、日米同盟を深化させる効果があるとしている産経にしても、具体的な手段としては「シリア難民の支援」だけしか挙げられない。その程度しかできない日本による支援を得るために、優先順位の低い日本政治への説得に拘束され「通信傍受記録」や「開示しにくい機密情報」まで使う必要も余裕も米国にはない。
いずれにせよ、米国の軍事介入に賛成すれば、米国が日本に大感謝して、日本にとってトクになるとする産経の発想も、過去の産物である。確かに、ベトナム戦争に米側に立って参戦したアジア各国は、軍事・経済援助といったご褒美をもらった。あるいは、ソ連との軍拡競争に日本も協力すると、貿易摩擦問題が緩和された。3,40年前の記憶の残滓である。
産経ほかの保守誌は、いまだに80年代的な発想をしているが、当節は最早その時代ではない。日本が対外強硬策を取り、自衛隊を増強しても米国は喜ばない。尖閣問題でも安定を脅かすJIBsと、イスラエルと同等に見られる始末である。また、韓国に保守政権ができても、日韓関係は好転しない。テイクオフした韓国は、経済的開発のために日本に媚びる必要はなくなっている。
シリア情勢で米国軍事介入に日本が賛成して、支援しても、日本には殆ど得るものもない。もちろん、反対して邪魔しても日本は損をするだけでやる甲斐もない。実際のところは、米国が軍事介入をするというなら、形だけ賛同するだけで十分である。産経の主張するように「同盟国として日本が米国をどう支えていくのか」は「問われて」いるわけではない。
※ 「日米首脳協議 シリア関与で同盟深めよ」『産経ニュース』(産経新聞,2013.9・4)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130904/plc13090403160003-n1.htm
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