Category : ミリタリー
「与那国島への沿岸監視部隊の配置等 (155億円)」は相当にフカしているんじゃないのか。
陸自は与那国島に監視部隊を配置する計画がある。用地20haを借り上げ、造成して100-200人程度の部隊を配置するという。その金額は、26年度概算要求では155億円としている。※
しかし、これは相当に高すぎるのではないか。
基地自体は〆て40億でできる。道路を含めた造成には10億程度、庁舎と隊舎も高く見積もって20億程度、上下水道・ボイラ・光ファイバ程度の民間用通信ほか設備も高く見積もって10億程度に過ぎない。今までの基地整備での実績や、建設物価等の現地価格を見てもその程度に収まる。
そうなると、残り100億をどう使うのかがわからない。与那国島の沿岸監視部隊の主任務は、海洋監視である。陸自が見える範囲程度を海洋監視するなら、装備工事はそれほどの規模にはならない。1億もしないフルノの民生用レーダでも構わない。護衛艦に積むような、長距離用の対水上レーダとしても、10億もしない。対空用レーダは、必要に応じて空自が展開するという話になっているので、当座は必要ない。水上監視であれば、海自警備所のような1500mmや2000mmのような望遠カメラ他、光学監視器材も必要だが、EO/IRを入れても多寡が知れる金額である。通信やシステム連接含めても、30億も行かない。
当該事業について、概算要求は相当に水増しをしているのではないか。特に新規事業としての概算要求では、可能性に掛けて相当に水増しをする。やらされたことがあるのだが、必要ないものでも関連していれば計上した。逆に、総額でとれそうな見込みから概算額を出すようなヘンテコな積算もやったことがある。
与那国島監視部隊でも、同じようなことをしているのだろう。例えば、予算を引き出すために例えば、ELINT/SIGINTや、あるいはEW関連の装備※※をつけているのではないか。これらは、関係あるといえば関係あるが、効果的かと言われればあまり効果的ではない装備である。
「与那国島への沿岸監視部隊の配置等 (155億円)」は、高く見積もっても70億の事業ではないのか。基地建設費用として40億、レーダやシステム、通信その他の機能として30億が常識的な範囲である。
もちろん、更に減額する余地もある。造成も、隊舎・庁舎ほか必要な所に限定して削平し、あとはフェンスで囲うだけにすれば、5億も掛からない。庁舎も、200人以下で隊舎兼用にすれば10億未満で作れる。レーダやEOも民生用等で安価に済ませれば5億もいらない。
もともと、先島への配置自体は、自衛隊配置の空白地帯を作らない政治的な効果を狙ったものだ。小銃と機関銃をもった1個中隊を置けばそれで済む。庁舎は廃止された学校なり、廃業した泡盛の製造所でも借り上げればよい。隊舎も、民間借上や既存建物の購入で構わない。監視機能も、日露戦争で陸海軍が作った海岸望楼や監視所程度に民生用レーダで役割は足りる。
与那国への部隊配置そのものは、施策として効果がある。中国とのゲームに役立つし、台湾の尖閣諸島関与を防止する価値も持つ。しかし、その部隊として高度な沿岸監視機能は特に必要なく、そのために155億は多すぎる。先島に貼るのは歩で充分であり、桂馬や香車を貼っておく必要もないということだ。
※ ※ 『我が国の防衛と予算 -Defense Programs and Budget of Japan』(防衛省,2013.8)http://www.mod.go.jp/j/yosan/2014/gaisan.pdf、p.7
※※ 高性能な逆探知機にしても、実はそれほど高くない。旧式のSH-60Jでも、艦艇や航空機・ミサイルからの電波を繰り返し周波数その他で識別し、脅威であるかないか、電界強度から距離を探知する機能はついていた。-Jの調達価格50億円のうちガラが20億で、搭載装備が30億として、そのうち1割程度でも3億しかしない。
陸自は与那国島に監視部隊を配置する計画がある。用地20haを借り上げ、造成して100-200人程度の部隊を配置するという。その金額は、26年度概算要求では155億円としている。※
しかし、これは相当に高すぎるのではないか。
基地自体は〆て40億でできる。道路を含めた造成には10億程度、庁舎と隊舎も高く見積もって20億程度、上下水道・ボイラ・光ファイバ程度の民間用通信ほか設備も高く見積もって10億程度に過ぎない。今までの基地整備での実績や、建設物価等の現地価格を見てもその程度に収まる。
そうなると、残り100億をどう使うのかがわからない。与那国島の沿岸監視部隊の主任務は、海洋監視である。陸自が見える範囲程度を海洋監視するなら、装備工事はそれほどの規模にはならない。1億もしないフルノの民生用レーダでも構わない。護衛艦に積むような、長距離用の対水上レーダとしても、10億もしない。対空用レーダは、必要に応じて空自が展開するという話になっているので、当座は必要ない。水上監視であれば、海自警備所のような1500mmや2000mmのような望遠カメラ他、光学監視器材も必要だが、EO/IRを入れても多寡が知れる金額である。通信やシステム連接含めても、30億も行かない。
当該事業について、概算要求は相当に水増しをしているのではないか。特に新規事業としての概算要求では、可能性に掛けて相当に水増しをする。やらされたことがあるのだが、必要ないものでも関連していれば計上した。逆に、総額でとれそうな見込みから概算額を出すようなヘンテコな積算もやったことがある。
与那国島監視部隊でも、同じようなことをしているのだろう。例えば、予算を引き出すために例えば、ELINT/SIGINTや、あるいはEW関連の装備※※をつけているのではないか。これらは、関係あるといえば関係あるが、効果的かと言われればあまり効果的ではない装備である。
「与那国島への沿岸監視部隊の配置等 (155億円)」は、高く見積もっても70億の事業ではないのか。基地建設費用として40億、レーダやシステム、通信その他の機能として30億が常識的な範囲である。
もちろん、更に減額する余地もある。造成も、隊舎・庁舎ほか必要な所に限定して削平し、あとはフェンスで囲うだけにすれば、5億も掛からない。庁舎も、200人以下で隊舎兼用にすれば10億未満で作れる。レーダやEOも民生用等で安価に済ませれば5億もいらない。
もともと、先島への配置自体は、自衛隊配置の空白地帯を作らない政治的な効果を狙ったものだ。小銃と機関銃をもった1個中隊を置けばそれで済む。庁舎は廃止された学校なり、廃業した泡盛の製造所でも借り上げればよい。隊舎も、民間借上や既存建物の購入で構わない。監視機能も、日露戦争で陸海軍が作った海岸望楼や監視所程度に民生用レーダで役割は足りる。
与那国への部隊配置そのものは、施策として効果がある。中国とのゲームに役立つし、台湾の尖閣諸島関与を防止する価値も持つ。しかし、その部隊として高度な沿岸監視機能は特に必要なく、そのために155億は多すぎる。先島に貼るのは歩で充分であり、桂馬や香車を貼っておく必要もないということだ。
※ ※ 『我が国の防衛と予算 -Defense Programs and Budget of Japan』(防衛省,2013.8)http://www.mod.go.jp/j/yosan/2014/gaisan.pdf、p.7
※※ 高性能な逆探知機にしても、実はそれほど高くない。旧式のSH-60Jでも、艦艇や航空機・ミサイルからの電波を繰り返し周波数その他で識別し、脅威であるかないか、電界強度から距離を探知する機能はついていた。-Jの調達価格50億円のうちガラが20億で、搭載装備が30億として、そのうち1割程度でも3億しかしない。
スポンサーサイト