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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.09
08
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12:00
Category : 有職故実
 自宅で昭和7年の『水路要報』を発掘した。水路部関係を追いかけていた頃に買った古本だが「北海道帝国大学附属図書館」の票が貼ってある。

 その中に「航海中燃料欠乏の際の窮策の1例」という記事があった。東洋汽船の美洋丸(5,479総トン)船長 宇野常司、運転士 安曽徳正による報告で、オーストラリアから台湾に向かう途中で燃料切れ、仕方なく積荷の袋入小麦を燃やしたというもの。

 美洋丸は、昭和6年11月にオーストラリアを出発する。11月2日、メルボルンにあるWilliamstownを出港したが、12日に石炭が自燃していることに気づく。おそらく自然燃焼で、燃えるというよりもブスブス燻る状態となった様子である。それで揮発分が抜けたせいか、石炭を燃やした時のカロリーも低下し、燃費が急速に悪化し、中途燃料切れとなる見込みとなった。

 燃料問題のため、美洋丸は目的地を台湾に変更する。25日正午、北緯18度00分、東経132度23分の地点で、石炭搭載のため、北西1400km先の基隆に目標値を変更するが、強い向かい風もあって28日には石炭残量が30tとなってしまう。美洋丸は船内の木材をかき集めて燃料としたが、直ぐに燃え尽きてしまった。

 ここで、試しに小麦を燃やす話となる。28日6時から29日8時まで、石炭と小麦を混ぜて航行したという。25日から入港まで同じ速度を維持したとすれば、350km程度を7ktで航走したことになる。

 ちなみに、報告は相当に暢気な形でまとめられている。「残炭零の状態で無事基隆港に入港」「この度の経験に依つて小麦を石炭と共に混ぜて燃すときは相当良成績を得ることが立証せられた」とのことだ。
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