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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.09
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Category : 未分類
 日本でも中国でも北朝鮮でも、ドイツV-1の類を作ればそれなりに使い道があるのではないか。

 V-1は原始的、簡易的な巡航ミサイルである。エンジンはパルスジェットであり、第二次世界大戦時でも簡単に作れるとされている。機体も第二次世界大戦レベルでよい。今なら誘導機構は今ならGPSも使える。自動車産業程度で作ることができる。

 威力も低くない。V-1は約1tの炸薬を積んでいる。別に炸薬以外の物資も積んでもよい。

 オリジナルの射程は短いものの、延伸は容易である。簡単にできる程度のエンジン効率向上、主翼増積と高アスペクト化、安く出来る範囲での軽量化、燃料搭載量増加で射程は伸びる。射程を1000kmにでもできれば、日中朝で使い道が出る。日中であれば、長江デルタ(上海)-九州、日本海沿岸-北朝鮮東岸が十分射程内に入る。

 発射設備も大したものはいらない。本家のようにカタパルトを作っても良いし、空中発射やRATOもある。車輌曳航や車輌発射で対応すればさらに安くできる可能性がある。グライダーのように車やウインチで曳航する。あるいは離陸速度まで車で加速してやる。離陸速度に達しないなら、ベニアで使い捨ての補助翼でもつけて離陸速度を下げてやればよい。

 実用性もある。使い道はいくらでも考えられる。もちろん、防空網を突破する能力は低いが、別に半分落とされても構わない用途でもよければいくらでも考えつく。

 日本にしても、機雷敷設程度には使える。仮に中国の長江デルタや山東半島、渤海湾湾口部といった場所への機雷敷設を考慮すれば、非実用的でもない。危険な海面に、安価なタイプの沈底感応機雷やダミー機雷を敷設する手段としては便利である。友人航空機や潜水艦を使う危険性はない。また、桁違いに高価なジェットエンジン使用の巡航ミサイルではないので、使い捨てで存分に使える。※

 敷設成功/失敗の確認もできる。機雷敷設とその時ラスト・ポジションを、リンクでも短波でもイリジウムでも送りつければいい。リンクは高いものの、後方の高空にリンクを積んだ機体を飛ばしておけば、大量のデータ(必要ないが)を安定して送れる。安価に作れる短波通信も悪くない。バンドを選んで大出力で送信すれば、それなりには届く。イリジウム電話でもよい。市価30万程度であり、極端に高いものでもない。

 中国にしても、同様に使い道はある。まず機雷敷設に使える。また、安価であることを利用すれば、九州から琉球列島、台湾、ベトナムとの戦争の際に、航空撃滅戦ほかで単純に飽和攻撃の水増し用に使える。低速であり、レーダ上でも明瞭に分かる程度だが、それでも目標に突っ込んで来れば無視はできない。当たらない前提でチャフをばらまかせても良い。

 北朝鮮にしても、対韓国、対日攻撃用として使える。朝鮮半島では、韓国後方に向けて防空網を混乱させる効果を見込める。砲やロケット攻撃と同じように、数で飽和させる方法をちらつかせれば、韓国に無駄な防空準備と努力を強要できる。対日戦用としては、ハラスメント的な攻撃に使える。もちろん遠空・近空レーダに捕まるが、撃墜を強要することによって、日本航空戦力を無駄に消費させられるだろう。

 あるいは、人員輸送型を作り、存在を見せつけるだけでも役に立つ。ふ号兵器と大差はないが、人間一人が積めて、後方に潜り込める可能性を持つとなると、無視はしにくい。特に対日使用では、降りられたあとの厄介さから、似たような挙動を示すV-1モドキは落とさざるを得まい。もちろん、実際に使う必要もない。現物があると見せつけるだけで十分である。

 別に巡航ミサイルにはジェットエンジンを積まなければならない理由はない。パルスジェットでも、自動車やオートバイのレシプロエンジンでも構わない。飛行の原理も主翼に頼る必要もなく、場合によれば水素ガスの浮力でも、熱気球でも、パラグライダーでもいい。安価に作れれば、高品質ではない用途にも使える。既に述べたような機雷敷設もそれだ。他にも宣伝ビラの類や、反政府組織への簡易火器供給、極端な話、孤立した味方への軽輸送といった用途も考えつく。それらの用途には、高価なジェットエンジンを使い捨てにする巡航ミサイルや、UAVを使う必要はない。



※ 安価な機雷敷設手段としては、グライダー式のUUVもつかえる。http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-116.html 
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