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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.09
21
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Category : エネルギー
 中国情報機関が先島の無人島を買うという。「尖閣防衛の要衝 西表島近くの無人島を中国企業が購入打診」※ で、ダミー企業がウ離島を買うという話なのだが、あんな島は尖閣とは全く関係ない。使い道にならない島を、中国人が高く買ってくれるという。それならば、売りつけるチャンスだろう。


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 記事中に、適当に話を合わせただろう海上自衛隊幹部の話が出てくる。どの立場かわからないが、まあ中国の脅威を煽るように言っておけばいい立場なのだろう。
「ウ離島は西表島の東端にあり、さらに20キロ東側にある石垣島の西岸海域を見渡すことができる。石垣島の南西側には石垣港がある。そこには尖閣警備の拠点の石垣海上保安部があり、再来年までには大型巡視船14隻からなる尖閣警備の専従チームが配備される予定だ。
 ウ離島から直接、石垣港を見ることはできないが、大型艦が石垣港に寄港しようとすると、周囲の水深の関係で、石垣島の西岸海域のルートを通過しなければならない。そこはウ離島の目と鼻の先。そこに視察拠点ができれば、こちらの動きが丸見えになってしまう」
 もし中国資本でウ離島にリゾート施設などができれば、それをダミーとした中国の視察拠点ができるのではないか──そう防衛関係者は懸念しているのだ。


 しかし、石垣港の様子を見るなら、石垣港から見るのが一番手っ取り早い。港の周辺にはホテルがいくらでもある。一室を借りきって、冷房の効いた部屋から冷たい飲み物でも飲みながら、港を観察すればよい。連絡も電話でいくらでもできる。あるいは、北西にある観音崎の高所に家でも立てればよい。北に向かい出入港する船舶とその針路はいくらでも観察できる。

 ウ離島が中国企業に買われても、別段の問題もない。そもそも石垣港は遮るもの無くマルミエで、わざわざ遠くから観察する必要もない。ウ離島からみたいなら見せてやれば良い。

 おそらく、中国情報機関とやらもそれは承知である。中国情報機関との話がホンモノであれば、むしろウ離島は尖閣と全く関係ない島というのは理解する程度の頭がある。その上で買うというのであれば、むしろ資金工作や裏金づくりだろう。

 中国では、情報機関や治安機関には容易に予算が支出される。民主運動家を1人監視するためだけに2億掛けているという話もある。それが対日工作や、尖閣といった名目をつければ尚更である。お金はいくらでも湧いてくる。

 情報機関には、運動資金が要る。日本でも旧軍情報機関は鴉片その他で一儲けして運動資金にしていた。米国でも、キャノン機関やCIAでも似たような話がある。コントラを援助するのにイランに武器を輸出するような訳のわからないことをしている。中国も同じようなものだろう。

 その点、土地取引は一番効率が良い。土地取引は大金が動く、高値というのは、裏金やリベートをとるには最適である。ダミー企業ほかの経費で3割差っ引く、日本側に1割リベートを要求すると幾らでも方法はあるが、一回でガッチリ多額のお金を抜くことができる。

 こう考えると、ウ離島の売却は、関係者にとって誠に都合のよい取引である。中国情報機関は資金工作ができる。島のオーナーは非常識な高値で売却できる。日本防衛関係者は中国の脅威を煽ることができる。困るのはお金を無駄遣いされる中国政府だけか。

 「中国情報機関にしてやられた」という報道も、日中阿吽の呼吸に見える。日本側が「島が失われた、日本の防衛情報が」と言えば、中国情報機関は「だからいい買い物だったでしょ」と政府や中華風会計検査院に説明しやくくなる。中国がそれっぽい監視をしてくれれば、日本の防衛関係者も「中国の脅威は先島まで及んでいる、防衛力強化」と説明しやすい。傍から見ていると出来レースにしか見えない。

 それを見た右曲がりのダンディ達が、本気になって怒るのは滑稽にしか見えない。石垣港なんてホテルから幾らでも見えるのに「中国に筒抜け」と国を憂い、「島を渡すとは売国奴め」と義憤に駆られた発言をするのは、マヌケの極みである。

 なんにせよ、益体もないウ離島を高値で売りつけるチャンスである。中国側は役にも立たない不良資産に不似合いな金を出すと言っている。気の変わらない内に売ってしまうべきだろう。



※ 「尖閣防衛の要衝 西表島近くの無人島を中国企業が購入打診」">「尖閣防衛の要衝 西表島近くの無人島を中国企業が購入打診」『Newsポストセブン』(小学館,2013.9.20)http://www.news-postseven.com/archives/20130920_212756.html
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