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当直士官をやると、もれなく巡検がついてくる。巡検は艦内/隊内を一巡する点検で、午後8時に行う。極たまに火元点検とされることがあるが、己は当たった試しがない。
その巡検では、当然隊舎も回る。課業時間もとっくに終わった午後8時で、上陸できない営内者は、残業や自習でもない限りはそこで巡検を受ける。
巡検を受けるのは、大概は若い3曹以下。階級が上がり下士官勤務10年で、2曹以上、あるいは結婚していれば外に住める。隊内居住でも階級が上がれば外に遊びに行っている。階級が上がると「今日は隊内にとどまれ」が少なくなる。たしか曹長だと、1/5が隊内にいれば、残りは外出・外泊してもいいことになっていた。
部隊でもあるので、小煩い躾事項でのチェックはしない。というか、学生隊の当直士官はやったこともないので、したこともないが正しいか。服装は、だらしなくなければよい。清掃も、常識的な範囲でやってあればいい。実際には、海自の居住区は相当キレイになっている。自分たちで土足禁止(公式には無し)にするくらいなので、キレイなものだった。※ あとは、違法なものがなければよい。別に、居住区にエロがあっても、キチンと整理されていれば文句もない。
とはいえ、ただ通りすぎるのも芸もない。たいがい当直士官はサッと通って終わりらしいのだが、己はせっかくなんだし、知り合いでもあるし「どーいった生活しとるんだろうね」と結構、部屋の中をみていた。もちろん、巡検なのでベットをめくられても、机の中を見られても仕方がないので、拒否はされない。でもまあ、「部屋の中をちょっと見せてよ」と断った上で、土禁部屋なら靴を脱いで入っていた。2mも入らないけどね。
だが、一度だけ「いや、勘弁してくれ」という3曹がいた。若くて生真面目な地上救難員なのだが「今日だけはダメなんです、今だけはダメなんです」と懇願する。そう言われるとこっちも興味を惹かれる。「ケチー」とか言うと、後ろで笑っていた同職(同じ分隊なのでマークは大体一緒)の1年先輩が「マズイもんじゃないので入って下さい」と言う。先導の当直先任海曹も、本当にヤバイことじゃないなと察したのな「巡検は断れないぞ」とも言う。
「ごめんください」と靴脱いで入ると、何のことはない、机にゲームと自動車のプラモが置いてあった。ゲームはテレビの電源切ってあるし、プラモも一時的に箱にいれてある。「なんで気にしたの」と尋ねると「居住区でゲームとかプラモ作っていると良くないと言われると思った」との由。居住区の先任も、当直先任海曹も、学校の学生隊舎じゃないからそんなこと気にするなと笑いながら言っていた。
翌日「昨日はゴメンね」と缶コーヒー持って行って、世間話すると「いや、なんとなくダメだと思っていたし、部屋の中入ってこられたもの始めてですよ」と抗議されたよ。ちなみに、直開けでも普通に仕事をしていた。海自では当直の「翌日明け」はなかった。海自空団規則だと、10時以降の深夜営業は翌日休みになるはずだが、翌日も深夜まで残業していた。
その次以降か、巡検で行くと、当の3曹君、今度は画面に正対して座った状態で気をつけをしている。その前にはキチンとPS3のコントローラがおいてあり、ポーズ状態にしてあったよ。もちろん、巡検を受ける姿勢としては非常によろしい。ただ、本人は厚木のサッカーチームの選手から転出して、下総でも別課に選手やっている。その上でサッカーのゲームをやっているのは、余程好きなのだろう。しかも、箱だけおいてあるプラモデルはP-3C。地上救難員が助けに行く、お店の飛行機、商売物そのもの。
で、「ゲームでまでサッカーやって、P-3Cのプラモ作るんだねえ、よっぽど好きなんだね」というと、その日の当直先任海曹が「好きな事を仕事にできて幸せだよな、でも昇任するとできなくなるのがね」としみじみ言っていたのを思い出した。それくらいじゃないと仕事に身も入らないだろうね。
※ 市ヶ谷の統合部隊で当直幹部やったとき、日夕点呼?だったかで居住区に行ったのだが、隊舎の階下、1-3階に居たエリート部隊、○○○保安中隊がやたら汚かった。他所の部隊なので文句も言えないが、掃除くらいヤレと思ったよ。
その巡検では、当然隊舎も回る。課業時間もとっくに終わった午後8時で、上陸できない営内者は、残業や自習でもない限りはそこで巡検を受ける。
巡検を受けるのは、大概は若い3曹以下。階級が上がり下士官勤務10年で、2曹以上、あるいは結婚していれば外に住める。隊内居住でも階級が上がれば外に遊びに行っている。階級が上がると「今日は隊内にとどまれ」が少なくなる。たしか曹長だと、1/5が隊内にいれば、残りは外出・外泊してもいいことになっていた。
部隊でもあるので、小煩い躾事項でのチェックはしない。というか、学生隊の当直士官はやったこともないので、したこともないが正しいか。服装は、だらしなくなければよい。清掃も、常識的な範囲でやってあればいい。実際には、海自の居住区は相当キレイになっている。自分たちで土足禁止(公式には無し)にするくらいなので、キレイなものだった。※ あとは、違法なものがなければよい。別に、居住区にエロがあっても、キチンと整理されていれば文句もない。
とはいえ、ただ通りすぎるのも芸もない。たいがい当直士官はサッと通って終わりらしいのだが、己はせっかくなんだし、知り合いでもあるし「どーいった生活しとるんだろうね」と結構、部屋の中をみていた。もちろん、巡検なのでベットをめくられても、机の中を見られても仕方がないので、拒否はされない。でもまあ、「部屋の中をちょっと見せてよ」と断った上で、土禁部屋なら靴を脱いで入っていた。2mも入らないけどね。
だが、一度だけ「いや、勘弁してくれ」という3曹がいた。若くて生真面目な地上救難員なのだが「今日だけはダメなんです、今だけはダメなんです」と懇願する。そう言われるとこっちも興味を惹かれる。「ケチー」とか言うと、後ろで笑っていた同職(同じ分隊なのでマークは大体一緒)の1年先輩が「マズイもんじゃないので入って下さい」と言う。先導の当直先任海曹も、本当にヤバイことじゃないなと察したのな「巡検は断れないぞ」とも言う。
「ごめんください」と靴脱いで入ると、何のことはない、机にゲームと自動車のプラモが置いてあった。ゲームはテレビの電源切ってあるし、プラモも一時的に箱にいれてある。「なんで気にしたの」と尋ねると「居住区でゲームとかプラモ作っていると良くないと言われると思った」との由。居住区の先任も、当直先任海曹も、学校の学生隊舎じゃないからそんなこと気にするなと笑いながら言っていた。
翌日「昨日はゴメンね」と缶コーヒー持って行って、世間話すると「いや、なんとなくダメだと思っていたし、部屋の中入ってこられたもの始めてですよ」と抗議されたよ。ちなみに、直開けでも普通に仕事をしていた。海自では当直の「翌日明け」はなかった。海自空団規則だと、10時以降の深夜営業は翌日休みになるはずだが、翌日も深夜まで残業していた。
その次以降か、巡検で行くと、当の3曹君、今度は画面に正対して座った状態で気をつけをしている。その前にはキチンとPS3のコントローラがおいてあり、ポーズ状態にしてあったよ。もちろん、巡検を受ける姿勢としては非常によろしい。ただ、本人は厚木のサッカーチームの選手から転出して、下総でも別課に選手やっている。その上でサッカーのゲームをやっているのは、余程好きなのだろう。しかも、箱だけおいてあるプラモデルはP-3C。地上救難員が助けに行く、お店の飛行機、商売物そのもの。
で、「ゲームでまでサッカーやって、P-3Cのプラモ作るんだねえ、よっぽど好きなんだね」というと、その日の当直先任海曹が「好きな事を仕事にできて幸せだよな、でも昇任するとできなくなるのがね」としみじみ言っていたのを思い出した。それくらいじゃないと仕事に身も入らないだろうね。
※ 市ヶ谷の統合部隊で当直幹部やったとき、日夕点呼?だったかで居住区に行ったのだが、隊舎の階下、1-3階に居たエリート部隊、○○○保安中隊がやたら汚かった。他所の部隊なので文句も言えないが、掃除くらいヤレと思ったよ。
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やや旧聞に属するが、8月22日に、ロシア機が日本領空を審判した。外務省によると
日本政府が抗議するのは当たり前である。国家にとって領土ほかの領域は神聖であり、侵されてはならない。そのために、日本領空に入る権利を持たない航空機については、接近すれば空自機がスクランブルをかけ、視認し、挙動が不審であれば領空に近づかないように警告する。万一、入ればその事実を確認し、日本側の指示に従わせる。その後、出て行ったからといって放置することは許されず、抗議をすることになっている。
しかし、領空侵犯という言葉の割りには大したことはない。侵犯というよりもカスったというようなものだ。国際海峡である対馬海峡を通過するときに、航法ミスをしたのだろう。実際には何の利益もない、意図をもってやった領空侵犯ではない。※

海図W1200「対馬海峡及付近」(海上保安庁、2003)から、文谷が沖ノ島付近と領海を切り出し縮小の上、彩色した。なお、グーグルマップだとこのあたり
そのあたりで、領空侵犯という言葉だけで、直ぐに怒り心頭に発するのは、短慮が過ぎるのではないか。当時のブログ記事を見ると相当、お怒りの方を見かけた。日本侵略の意図であるように短絡する人もいた。各個人をブログを挙げるのも趣旨ではない。だから匿名の2chのまとめを上げるが、やはりすぐ撃ち落とせみたいな発言がある。
だが、ロシア機による領空侵犯の実態は、航法ミスの親戚のようなものだ。撃ち落とせというのはあまりにも乱暴である。逆に、2cの発言にある「ロシア空軍って領空の範囲が正確に認識できてないんじゃねーの?ww」あたりは、多分、事実だろう。領海が出る電子海図に自機のGPS位置が出るような仕組みであればともかく。経度緯度しか出ないGPSと、紙の海図であれば、プロット遅れで間違える可能性は高い。※※
実際に、領空侵犯というと、日本の陸地に、都市に向かって飛んでくるイメージがある。だが、ロシアによる領空侵犯の過半は、だいたい国際海峡で事故的にカスったようなものだ。太平洋側でもあるじゃないかという話もあるが、それも、無人の岩礁、孀婦岩にくっついている領海部分の上空をかすめたようなものだ。
もちろん、領空侵犯は放置できない。空自はスクランブルはしなければならないし、外務省も領空侵犯すれば抗議しなければならない。だが、その領空侵犯という言葉だけで、戦争行為や侵略を想起し、血を頭に上らせるのは、短慮がすぎるだろう。実際のところ、自衛隊の航空戦力で日本領空への侵入はまず阻止されている。外務省の抗議も有効であり、ロシアはとりあえず反論をするが、それなりに措置はしている様子である。冷戦期ソ連時代のような陸地に入り込むような侵入はない。
現実として日本は、領空侵犯をほぼ防遏している。あっても、カスった程度の防空侵犯しか許していない。この事実からすれば、領空侵犯がおきるたびに、頭に血が登って日本への攻撃や侵略であるように騒ぐのは行き過ぎである。逆に、確実に防空網が維持されている証拠ぐらいに考えておくべきではないか。
もちろん、まともな国として、ロシアに抗議するのは当たり前の話である。だが、この程度でも追尾して抗議するのも不寛容で、不経済な話でもある。まず、まともな国であることは、不寛容で、不経済なものなのだろう。
そして 日本は尖閣で、その不寛容、不経済な警備と抗議を、おそらくあと30年は続けなければならない。やらなければならないこととはいえ、面倒なことである。
※ 意図をもってやる領空侵犯としては、その国の領海・領空の主張を認めないものが挙げられる。例えば、尖閣諸島の日本領有を認めないために行われた、中国の領空侵犯がそれである。
とはいえ、もちろん中国は領空侵犯だと思っていないし、主張を認めているほかの島や日本本土領空は尊重している。
※※ 紙海図でも、準備よければ問題なく通峡できる。対馬海峡東水道なら、針路045度(別に030度でも050度でもいい)で海峡に入り、壱岐島北端が真南に見えたら左転し、針路を005度から030度の間に維持すれば、対馬、沖ノ島の日本領海にカスらず、最狭幅11マイルしかない公海部分を通過できる。
8月22日,午後0時9分31秒から午後0時11分10秒頃までの間,ロシア連邦軍用機2機(Tu-95爆撃機)が,福岡県沖ノ島北西の領海上空の,北緯34度15分,東経129度52分から,北緯34度27分,東経130度00分にかけて,我が国領空に侵入した。とのこと。これを受けてロシア大使館に厳重抗議し、事実関係調査を申し入れている。
「ロシア機による領空侵犯」『報道発表』(外務省,2013.8.22)http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press18_000023.html
日本政府が抗議するのは当たり前である。国家にとって領土ほかの領域は神聖であり、侵されてはならない。そのために、日本領空に入る権利を持たない航空機については、接近すれば空自機がスクランブルをかけ、視認し、挙動が不審であれば領空に近づかないように警告する。万一、入ればその事実を確認し、日本側の指示に従わせる。その後、出て行ったからといって放置することは許されず、抗議をすることになっている。
しかし、領空侵犯という言葉の割りには大したことはない。侵犯というよりもカスったというようなものだ。国際海峡である対馬海峡を通過するときに、航法ミスをしたのだろう。実際には何の利益もない、意図をもってやった領空侵犯ではない。※

海図W1200「対馬海峡及付近」(海上保安庁、2003)から、文谷が沖ノ島付近と領海を切り出し縮小の上、彩色した。なお、グーグルマップだとこのあたり
そのあたりで、領空侵犯という言葉だけで、直ぐに怒り心頭に発するのは、短慮が過ぎるのではないか。当時のブログ記事を見ると相当、お怒りの方を見かけた。日本侵略の意図であるように短絡する人もいた。各個人をブログを挙げるのも趣旨ではない。だから匿名の2chのまとめを上げるが、やはりすぐ撃ち落とせみたいな発言がある。
だが、ロシア機による領空侵犯の実態は、航法ミスの親戚のようなものだ。撃ち落とせというのはあまりにも乱暴である。逆に、2cの発言にある「ロシア空軍って領空の範囲が正確に認識できてないんじゃねーの?ww」あたりは、多分、事実だろう。領海が出る電子海図に自機のGPS位置が出るような仕組みであればともかく。経度緯度しか出ないGPSと、紙の海図であれば、プロット遅れで間違える可能性は高い。※※
実際に、領空侵犯というと、日本の陸地に、都市に向かって飛んでくるイメージがある。だが、ロシアによる領空侵犯の過半は、だいたい国際海峡で事故的にカスったようなものだ。太平洋側でもあるじゃないかという話もあるが、それも、無人の岩礁、孀婦岩にくっついている領海部分の上空をかすめたようなものだ。
もちろん、領空侵犯は放置できない。空自はスクランブルはしなければならないし、外務省も領空侵犯すれば抗議しなければならない。だが、その領空侵犯という言葉だけで、戦争行為や侵略を想起し、血を頭に上らせるのは、短慮がすぎるだろう。実際のところ、自衛隊の航空戦力で日本領空への侵入はまず阻止されている。外務省の抗議も有効であり、ロシアはとりあえず反論をするが、それなりに措置はしている様子である。冷戦期ソ連時代のような陸地に入り込むような侵入はない。
現実として日本は、領空侵犯をほぼ防遏している。あっても、カスった程度の防空侵犯しか許していない。この事実からすれば、領空侵犯がおきるたびに、頭に血が登って日本への攻撃や侵略であるように騒ぐのは行き過ぎである。逆に、確実に防空網が維持されている証拠ぐらいに考えておくべきではないか。
もちろん、まともな国として、ロシアに抗議するのは当たり前の話である。だが、この程度でも追尾して抗議するのも不寛容で、不経済な話でもある。まず、まともな国であることは、不寛容で、不経済なものなのだろう。
そして 日本は尖閣で、その不寛容、不経済な警備と抗議を、おそらくあと30年は続けなければならない。やらなければならないこととはいえ、面倒なことである。
※ 意図をもってやる領空侵犯としては、その国の領海・領空の主張を認めないものが挙げられる。例えば、尖閣諸島の日本領有を認めないために行われた、中国の領空侵犯がそれである。
とはいえ、もちろん中国は領空侵犯だと思っていないし、主張を認めているほかの島や日本本土領空は尊重している。
※※ 紙海図でも、準備よければ問題なく通峡できる。対馬海峡東水道なら、針路045度(別に030度でも050度でもいい)で海峡に入り、壱岐島北端が真南に見えたら左転し、針路を005度から030度の間に維持すれば、対馬、沖ノ島の日本領海にカスらず、最狭幅11マイルしかない公海部分を通過できる。
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アドミラルに向かって「戦術や兵器は専門外」と言い切るのは、夜郎自大も過ぎる。JSFさんが、いつもの噛み付きぐせで、平間洋一さんに噛み付いている。

JSFさんは平間さんを「戦術や兵器は専門外」と評しているが、ならば、JSFさんには戦術や兵器について、平間さん以上にご存知なのだろうか。平間さんは艦艇用兵幹部であった。実際の経歴でも、呉監でオペレーションの担当責任者である防衛部長をやっている。その以前には護衛隊司令を、経歴監理箔付けの1年ではなく、通常通り2年経験している。むしろ、「戦術や兵器」の専門家でもある。そして、JSFさんに平間さん以上の「戦術や兵器」に対する専門的な知見はない。そもそもJSFさんは教育も経歴も受けていない。
JSFさんが今回噛み付いたのは、平間さんが提示した大和の運用である。「こじらせた仮想戦記マニアみたい」と難じている。だが、これはJSFさんこそが、大和について仮想戦記程度のイメージや知識でしか平間さんの主張を読めなかったことを示している。実際のところ、平間さんの主張は旧海軍が水上艦を温存し、活用しなかったことへの批判である。ただし、掲載誌が一般向けであるため、大和に仮託させたに過ぎない。
平間さんの主張は、旧海軍が主力艦を温存したことへの批判である。「戦艦大和の運用次第で、太平洋戦争の戦局は覆っていた!」で述べているのは、そういうことだ。平間さんは主力艦温存の象徴として大和を提示したものであり、温存批判の裏返しとして活用すれば役に立ったとしている。その具体例として、ミッドウェー、ソロモン、インド洋に投入した場合の価値を示している。
実際に、ミッドウェーで大和が空母群と同行していれば、間違いなく役にはたつ。少なくとも、無益に終わることはない。平間さんが指摘するように、大和には強力な旗艦機能、高い指揮統制通信機能がある。80年ころに流行った言い方だとC3の機能を持つ。要は、現在重視しているC4Iからコンピュータを除いたものにあたる。また、防御力も高い。司令部を載せておけば、仮に空母が沈んで、その上で多少の攻撃を受けても、混乱はヨリ小さいものになる。JSFさんは簡単に「仮想戦記」的と馬鹿にしているが、指揮統制通信機能が強化されることは馬鹿にできるのだろうか。
また、当時の局面ではどれだけ活かせるかはともかく水上戦火力はずば抜けて高く、対空火力も高い。平間さんが指摘したように、防空局面や、後に水上交戦を考慮した場合には、頼りになる戦力である。
ソロモン方面の戦いでも、水上戦や艦砲射撃に大和が参加すれば、戦局を有利にする材料となる。燃料そのほかの問題はあったにせよ、他に戦艦や重巡を出していることから、大和出せないことはない。ソロモンでは水上砲戦が頻発したことを考慮すれば、強力な装甲と火力を持つ大和級投入の効果は高い。極端な話、大和や武蔵が沈んでも、実際には多数に及んだ駆逐艦の喪失や消耗が限定されれば安いものである。
インド洋への投入も、悪い話ではない。旧海軍は効果が薄いとして、殆ど力を入れなかったインド洋であるが、平間さんの述べるように英国の戦争を邪魔する効果がある。場合によれば、対ソ連レントリースや、英米による援蒋ルートを遮断する効果も見込めるだろう。大和だけというよりも、大和以下の宝石のように温存していた水上艦(あるいは潜水艦や航空機、空母)を投入することは、悪手ではない。
インド洋での英国海上交通を破壊すれば、日本にとって戦争は相当に有利になる。先に述べたインドからの戦力・資源輸送、アフリカ戦線への補給、イラン経由レントリース、ビルマ経由・ヒマラヤ越による援蒋ルートは、すべてインド洋での海上輸送に依存している。英米にインド洋を使わせなければ、英国防衛、北アフリカでの英軍補給、ソ連へのイラン経由援助が難しくなり、欧州方面での連合国不利を引き起こすことができる。それにより、連合国は太平洋方面に投入できる戦力が減らさざるを得ない。同じようにインド洋の使用拒否により、英米による援蒋ルートに止めを刺すことができる。ソ連方面からの西北ルートは残るが、もともと供給量事態には貧弱なルートなので無視しても良い。
これにより、日本側は中国大陸での戦力拘束を緩和させる効果が見込めるのである。
旧海軍の可能行動からすれば、確かにインド洋での活発な作戦行動は難しい。実際にも日本は対豪州を重視し、最終的にはフィジー・サモア方面への押し出しを選んだ。しかし、日本の攻勢方面としてインド洋を選ぶことを「荒唐無稽で何の益もない」とは言えない。インド洋で英海上交通を麻痺、あるいは妨害することには大きな価値があるからだ。インド洋への戦力投入は、地味であり、決戦じみたドンパチは起きないかもしれないが、効果は高い。
され、これらはJSFさんの言う「こじらせた仮想戦記マニアみたい」な主張だろうか。ミッドウェー、ソロモン、インド洋に大和を投入しても、JSFさんは役に立たないとでも言うのだろうか。
不見識を攻められるのはJSFさんである。JSFさんは、大和という軍艦の名前と、それを用いた小説作品の印象に振り回されている。それらを捨象すれば、拒否的な反応を起こすほどのこともない。
平間さんの主張を、大和に象徴された温存水上艦を決戦に投入しろ、戦略的に運用しろということである。それによって、ミッドウェーやソロモンでの大失態は回避される可能性があり、あるいは少なくとも緩和はされる。インド洋については、全地球的な効果も期待できる。いずれも利益こそあれ、大した損もない。大和武蔵が沈んでも、大事にとっておくよりも、使って沈むならマシである。
しかし、ミクロしか見えないJSFさんは、平間さんの主張を理解できない。もともと「戦術や兵器」にこだわるJSFさんは、より大きな戦略や戦争を見ていない。そもそも、JSFさんは戦術に詳しいのか疑問であり、兵器についても、微細なスペックやモデラー的に細部のディティールにこだわっているだけである。このようにミクロに拘泥するJSFさんは、平間さんの主張は読めても、その本質には気づくことはできない
それでいて、平間さんを「戦術や兵器は専門外」と断じている。平間さんの経歴について、推測できず大口を叩くのは夜郎自大も過ぎるというものである。その上、問題が「戦術や兵器」であると矮小化してしか理解できないのは、ミクロだけしか見えず、マクロが見えないJSFさんの問題点であるといえるだろう。
※ JSFさんには前科がある。JSFさんは、詳しい人に「○○さんは専門家ではない」云々で大やけどをしている。福島での原発事故でがある。JSFさんは、詳しい人に「○○さんは専門家ではない」云々で大やけどをしている。福島での原発事故で「核分裂が止まってるのにメルトダウンとかおきるわけないでしょう。」「メルトダウンは起きていないのに起きたというデマを流す馬鹿は消えて下さい」「馬鹿は黙ってろ」と述べた。それと全く同じことを今回もしているということだ。
※※ 手違いで公開状態になっており、気づいたら1時間ほど経っているので、日時だけ明日の12字にして公開状態にしておきます。

JSFさんは平間さんを「戦術や兵器は専門外」と評しているが、ならば、JSFさんには戦術や兵器について、平間さん以上にご存知なのだろうか。平間さんは艦艇用兵幹部であった。実際の経歴でも、呉監でオペレーションの担当責任者である防衛部長をやっている。その以前には護衛隊司令を、経歴監理箔付けの1年ではなく、通常通り2年経験している。むしろ、「戦術や兵器」の専門家でもある。そして、JSFさんに平間さん以上の「戦術や兵器」に対する専門的な知見はない。そもそもJSFさんは教育も経歴も受けていない。
JSFさんが今回噛み付いたのは、平間さんが提示した大和の運用である。「こじらせた仮想戦記マニアみたい」と難じている。だが、これはJSFさんこそが、大和について仮想戦記程度のイメージや知識でしか平間さんの主張を読めなかったことを示している。実際のところ、平間さんの主張は旧海軍が水上艦を温存し、活用しなかったことへの批判である。ただし、掲載誌が一般向けであるため、大和に仮託させたに過ぎない。
平間さんの主張は、旧海軍が主力艦を温存したことへの批判である。「戦艦大和の運用次第で、太平洋戦争の戦局は覆っていた!」で述べているのは、そういうことだ。平間さんは主力艦温存の象徴として大和を提示したものであり、温存批判の裏返しとして活用すれば役に立ったとしている。その具体例として、ミッドウェー、ソロモン、インド洋に投入した場合の価値を示している。
実際に、ミッドウェーで大和が空母群と同行していれば、間違いなく役にはたつ。少なくとも、無益に終わることはない。平間さんが指摘するように、大和には強力な旗艦機能、高い指揮統制通信機能がある。80年ころに流行った言い方だとC3の機能を持つ。要は、現在重視しているC4Iからコンピュータを除いたものにあたる。また、防御力も高い。司令部を載せておけば、仮に空母が沈んで、その上で多少の攻撃を受けても、混乱はヨリ小さいものになる。JSFさんは簡単に「仮想戦記」的と馬鹿にしているが、指揮統制通信機能が強化されることは馬鹿にできるのだろうか。
また、当時の局面ではどれだけ活かせるかはともかく水上戦火力はずば抜けて高く、対空火力も高い。平間さんが指摘したように、防空局面や、後に水上交戦を考慮した場合には、頼りになる戦力である。
ソロモン方面の戦いでも、水上戦や艦砲射撃に大和が参加すれば、戦局を有利にする材料となる。燃料そのほかの問題はあったにせよ、他に戦艦や重巡を出していることから、大和出せないことはない。ソロモンでは水上砲戦が頻発したことを考慮すれば、強力な装甲と火力を持つ大和級投入の効果は高い。極端な話、大和や武蔵が沈んでも、実際には多数に及んだ駆逐艦の喪失や消耗が限定されれば安いものである。
インド洋への投入も、悪い話ではない。旧海軍は効果が薄いとして、殆ど力を入れなかったインド洋であるが、平間さんの述べるように英国の戦争を邪魔する効果がある。場合によれば、対ソ連レントリースや、英米による援蒋ルートを遮断する効果も見込めるだろう。大和だけというよりも、大和以下の宝石のように温存していた水上艦(あるいは潜水艦や航空機、空母)を投入することは、悪手ではない。
インド洋での英国海上交通を破壊すれば、日本にとって戦争は相当に有利になる。先に述べたインドからの戦力・資源輸送、アフリカ戦線への補給、イラン経由レントリース、ビルマ経由・ヒマラヤ越による援蒋ルートは、すべてインド洋での海上輸送に依存している。英米にインド洋を使わせなければ、英国防衛、北アフリカでの英軍補給、ソ連へのイラン経由援助が難しくなり、欧州方面での連合国不利を引き起こすことができる。それにより、連合国は太平洋方面に投入できる戦力が減らさざるを得ない。同じようにインド洋の使用拒否により、英米による援蒋ルートに止めを刺すことができる。ソ連方面からの西北ルートは残るが、もともと供給量事態には貧弱なルートなので無視しても良い。
これにより、日本側は中国大陸での戦力拘束を緩和させる効果が見込めるのである。
旧海軍の可能行動からすれば、確かにインド洋での活発な作戦行動は難しい。実際にも日本は対豪州を重視し、最終的にはフィジー・サモア方面への押し出しを選んだ。しかし、日本の攻勢方面としてインド洋を選ぶことを「荒唐無稽で何の益もない」とは言えない。インド洋で英海上交通を麻痺、あるいは妨害することには大きな価値があるからだ。インド洋への戦力投入は、地味であり、決戦じみたドンパチは起きないかもしれないが、効果は高い。
され、これらはJSFさんの言う「こじらせた仮想戦記マニアみたい」な主張だろうか。ミッドウェー、ソロモン、インド洋に大和を投入しても、JSFさんは役に立たないとでも言うのだろうか。
不見識を攻められるのはJSFさんである。JSFさんは、大和という軍艦の名前と、それを用いた小説作品の印象に振り回されている。それらを捨象すれば、拒否的な反応を起こすほどのこともない。
平間さんの主張を、大和に象徴された温存水上艦を決戦に投入しろ、戦略的に運用しろということである。それによって、ミッドウェーやソロモンでの大失態は回避される可能性があり、あるいは少なくとも緩和はされる。インド洋については、全地球的な効果も期待できる。いずれも利益こそあれ、大した損もない。大和武蔵が沈んでも、大事にとっておくよりも、使って沈むならマシである。
しかし、ミクロしか見えないJSFさんは、平間さんの主張を理解できない。もともと「戦術や兵器」にこだわるJSFさんは、より大きな戦略や戦争を見ていない。そもそも、JSFさんは戦術に詳しいのか疑問であり、兵器についても、微細なスペックやモデラー的に細部のディティールにこだわっているだけである。このようにミクロに拘泥するJSFさんは、平間さんの主張は読めても、その本質には気づくことはできない
それでいて、平間さんを「戦術や兵器は専門外」と断じている。平間さんの経歴について、推測できず大口を叩くのは夜郎自大も過ぎるというものである。その上、問題が「戦術や兵器」であると矮小化してしか理解できないのは、ミクロだけしか見えず、マクロが見えないJSFさんの問題点であるといえるだろう。
※ JSFさんには前科がある。JSFさんは、詳しい人に「○○さんは専門家ではない」云々で大やけどをしている。福島での原発事故でがある。JSFさんは、詳しい人に「○○さんは専門家ではない」云々で大やけどをしている。福島での原発事故で「核分裂が止まってるのにメルトダウンとかおきるわけないでしょう。」「メルトダウンは起きていないのに起きたというデマを流す馬鹿は消えて下さい」「馬鹿は黙ってろ」と述べた。それと全く同じことを今回もしているということだ。
※※ 手違いで公開状態になっており、気づいたら1時間ほど経っているので、日時だけ明日の12字にして公開状態にしておきます。
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文科省の大臣と政治任用連中が、教科書採択でまた余計なことをしようとしている。
NHK WEBの「町独自の教科書採択 国が是正要求へ」※によると、文科省が竹富町に対して、教科書採択ごときで政治的な圧力を掛けようとしている。文科省というものの、大臣も政務官も見事に教科書議連で固めている。文科省が、というよりも、大臣と政務官が圧力をかけたいというものだろう。
ことの発端は、沖縄、先島にある竹富町が、「作る会」系はないだろと独自に東京書籍の教科書を採用したことである。これについて右派は「自虐史観」云々で騒いでいるが、実態は石垣島教育長への反発である。その辺りは「昔は「卑弥呼が教科書に載っている」と文句をつけていた」で前にも書いたが、政治的打算から、石垣島の教育長が独走した結果である。石垣の教育長は、手続きを無視し、人事や規則を弄って「作る会」系の教科書を採択させた。
竹富町が反発したのは、石垣島教育長の手続き無視の影響が大きい。公表された教科用図書八重山採択地区協議会議事録を見ると、手続きへの抗議である。特に「八重山採択地区協議会連絡会会議概要」がわかりやすいが、所詮は各教育長が持ち回りで会長をする協議会で、たまたま会長をやった石垣島の玉津教育長がゴリ押しでやらかした。それに対して、竹富島の教育長である慶田盛副会長が「なに勝手にやっているんだ」反発している。
その後、竹富町が独自教科書を採用しつづけているのは、意地もある。地域的に、隣の石垣市がいいようにしているといった状況への反発も影響している。教科書そのものは大した問題ではないが、それを押し付ければ町全体で反対する。協議会は「違う教科書では、国費で無料ではなくなるぞ」と脅したが、なに大した額ではない。竹富町は自分たちで払うといい、金を出し合って子どもたちに寄付した。
民主党時代には、独自の教科書採択は、特段の政治的問題とはならなかった。東京書籍の教科書も、検定に合格している。日本中で使われている教科書であり、「作る会」系の育鵬社よりよほどメジャーである。それを使っても、現実的には何も問題は起きない。地方自治、団体自治で、国費が入っているわけでもない。実害のない問題に騒いでも無駄なだけである。
しかし、現政権は「義務教育教科書無償措置法」を使って問題視しようとしている。問題でもないものを問題視しようと無駄な労力を費やしているのである。文科省というよりも、中身の教科書議連幹部、文科大臣と政務官がそのように努力している。義家政務官(-9月30日まで)はわざわざ竹富島まで文句を言いに行った。そして、文部大臣も「義務教育教科書無償措置法」、つまり教科書を無償給付する根拠を与えるだけの、どうでもいい法律で竹富町を縛ろうとしている。しかし、その法律の目的は教科書をロハで配ることであり、竹富町が遠慮したとしても他の市町村への無償給付が害されるわけでもない。教科書をもらう側の子供にも実害もない。教科書は国費で無償ではなくなるだけであり、それも篤志家で教科書代の寄付することで解決している。
大臣政務官の意図は、実際には「作る会」系の教科書を使わないことに対する懲罰にある。採択した教科書が逆なら、石垣島が東京書籍をゴリ押しし、竹富島が「作る会」系の教科書を採択したら、今度は竹富町を賞賛し、石垣市を非難する。
ただし、それは地方自治、団体自治を尊重しない行為となる。町民は教科書なんかどうでもいい。どうせ近現代まで勉強しないのだから、東京書籍でも「作る会」でも、どんぐりの背比べである。だが、自分達で決めたことへの干渉には腹を立てる。2年前に決めてから、右派からやいのやいの言われるものの、実害は何もでていない。金も自分たちで解決している。そこに政治的でしかない干渉を受ければ、町民は余計に腹を立てるだろう。
沖縄も怒る可能性がある。沖縄県としては、竹富町と石垣市・与那国町それぞれの決定を尊重する立場にあった。文科大臣の是正要求とは、その沖縄県に竹富島に是正を要求しろと強要する行為である。県も町も話し合った結果、実害もなく、平穏無事に行ってきた行為について、政治的意図から頭ごなしに命令口調で言われれば、反発も大きい。
沖縄問題は既に微妙な取り扱いを必要とする。かねてからの基地問題の上に、オスプレイ配備では、県の意見は全く無視された状況にある。そこに、政治的意図による命令口調の国の容喙があれば、沖縄県も規模はともかく反発するだろう。反発は、沖縄との関係改善にとって有害である。
さて、教科書議連ごときの都合による地方自治への干渉で、竹富町の、沖縄の感情をさらに悪化させていいことがあるのだろうか。日本は中国とのゲームの最中にある。そのゲームでは、沖縄の基地群やそこへの自衛隊・米海空軍の展開は重要な価値をもつ。沖縄の基地を円滑に利用するためには、沖縄県や県下自治体、県民との関係改善が欠かせない。この状況にあるのに、教科書ごときの問題で、しかも自慰的な目的で必要もない火種を投げ込もうとするのは、文科相も、それを止めようとしない内閣も、まともにモノが見えていないのだろう。
※ 「町独自の教科書採択 国が是正要求へ」『NHK WEB』(NHK,2013.10.1)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130930/k10014913511000.html
NHK WEBの「町独自の教科書採択 国が是正要求へ」※によると、文科省が竹富町に対して、教科書採択ごときで政治的な圧力を掛けようとしている。文科省というものの、大臣も政務官も見事に教科書議連で固めている。文科省が、というよりも、大臣と政務官が圧力をかけたいというものだろう。
ことの発端は、沖縄、先島にある竹富町が、「作る会」系はないだろと独自に東京書籍の教科書を採用したことである。これについて右派は「自虐史観」云々で騒いでいるが、実態は石垣島教育長への反発である。その辺りは「昔は「卑弥呼が教科書に載っている」と文句をつけていた」で前にも書いたが、政治的打算から、石垣島の教育長が独走した結果である。石垣の教育長は、手続きを無視し、人事や規則を弄って「作る会」系の教科書を採択させた。
竹富町が反発したのは、石垣島教育長の手続き無視の影響が大きい。公表された教科用図書八重山採択地区協議会議事録を見ると、手続きへの抗議である。特に「八重山採択地区協議会連絡会会議概要」がわかりやすいが、所詮は各教育長が持ち回りで会長をする協議会で、たまたま会長をやった石垣島の玉津教育長がゴリ押しでやらかした。それに対して、竹富島の教育長である慶田盛副会長が「なに勝手にやっているんだ」反発している。
その後、竹富町が独自教科書を採用しつづけているのは、意地もある。地域的に、隣の石垣市がいいようにしているといった状況への反発も影響している。教科書そのものは大した問題ではないが、それを押し付ければ町全体で反対する。協議会は「違う教科書では、国費で無料ではなくなるぞ」と脅したが、なに大した額ではない。竹富町は自分たちで払うといい、金を出し合って子どもたちに寄付した。
民主党時代には、独自の教科書採択は、特段の政治的問題とはならなかった。東京書籍の教科書も、検定に合格している。日本中で使われている教科書であり、「作る会」系の育鵬社よりよほどメジャーである。それを使っても、現実的には何も問題は起きない。地方自治、団体自治で、国費が入っているわけでもない。実害のない問題に騒いでも無駄なだけである。
しかし、現政権は「義務教育教科書無償措置法」を使って問題視しようとしている。問題でもないものを問題視しようと無駄な労力を費やしているのである。文科省というよりも、中身の教科書議連幹部、文科大臣と政務官がそのように努力している。義家政務官(-9月30日まで)はわざわざ竹富島まで文句を言いに行った。そして、文部大臣も「義務教育教科書無償措置法」、つまり教科書を無償給付する根拠を与えるだけの、どうでもいい法律で竹富町を縛ろうとしている。しかし、その法律の目的は教科書をロハで配ることであり、竹富町が遠慮したとしても他の市町村への無償給付が害されるわけでもない。教科書をもらう側の子供にも実害もない。教科書は国費で無償ではなくなるだけであり、それも篤志家で教科書代の寄付することで解決している。
大臣政務官の意図は、実際には「作る会」系の教科書を使わないことに対する懲罰にある。採択した教科書が逆なら、石垣島が東京書籍をゴリ押しし、竹富島が「作る会」系の教科書を採択したら、今度は竹富町を賞賛し、石垣市を非難する。
ただし、それは地方自治、団体自治を尊重しない行為となる。町民は教科書なんかどうでもいい。どうせ近現代まで勉強しないのだから、東京書籍でも「作る会」でも、どんぐりの背比べである。だが、自分達で決めたことへの干渉には腹を立てる。2年前に決めてから、右派からやいのやいの言われるものの、実害は何もでていない。金も自分たちで解決している。そこに政治的でしかない干渉を受ければ、町民は余計に腹を立てるだろう。
沖縄も怒る可能性がある。沖縄県としては、竹富町と石垣市・与那国町それぞれの決定を尊重する立場にあった。文科大臣の是正要求とは、その沖縄県に竹富島に是正を要求しろと強要する行為である。県も町も話し合った結果、実害もなく、平穏無事に行ってきた行為について、政治的意図から頭ごなしに命令口調で言われれば、反発も大きい。
沖縄問題は既に微妙な取り扱いを必要とする。かねてからの基地問題の上に、オスプレイ配備では、県の意見は全く無視された状況にある。そこに、政治的意図による命令口調の国の容喙があれば、沖縄県も規模はともかく反発するだろう。反発は、沖縄との関係改善にとって有害である。
さて、教科書議連ごときの都合による地方自治への干渉で、竹富町の、沖縄の感情をさらに悪化させていいことがあるのだろうか。日本は中国とのゲームの最中にある。そのゲームでは、沖縄の基地群やそこへの自衛隊・米海空軍の展開は重要な価値をもつ。沖縄の基地を円滑に利用するためには、沖縄県や県下自治体、県民との関係改善が欠かせない。この状況にあるのに、教科書ごときの問題で、しかも自慰的な目的で必要もない火種を投げ込もうとするのは、文科相も、それを止めようとしない内閣も、まともにモノが見えていないのだろう。
※ 「町独自の教科書採択 国が是正要求へ」『NHK WEB』(NHK,2013.10.1)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130930/k10014913511000.html
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国防は、どうしても金食い虫であり、不採算な投資ではないか。
ロナルド・モースさんは、国防支出を増やせば経済も好調になる、イスラエルを見ろと言っている。※ 具体的には
しかし、国防支出を増やして経済構造が改善するといった話はおかしい。実例もない。例として挙げたイスラエルの経済は繁栄しているとはいえない。
イスラエルの経済は好調ではない。イスラエル経済はそれほど大きくもなく、GDPも高いわけでもなく、好調でもない。イスラエルの経済規模は、フィンランドやアイルランドと同程度しかない。そして、一人あたりGDPは、フィンランドやアイルランドの6割程度でしかなく、生産性が高くないと、南欧病と言われたスペインやイタリアと同程度しかない。経済成長も鈍化している。その成長率にしても、アメリカからの30億ドルの供与と30億ドルの借款の点滴効果がある。また移民による人口ボーナス効果に底上げされてもいるだろう。
また、イスラエル経済は、安全保障・防衛関係での投資で維持されているわけではない。輸出を見ても、安保・防衛投資の影響はそれほどのものではない。いまだにダイヤ研磨が輸出の花型であり、あまり安保や防衛とは関係のない化学工業がそれに並ぶ。安保・防衛技術に基づく輸出も、例えば精密機器といった分野に含まれているだろうが、それほど大きくもない。電子関連は、安保・防衛で作られたというよりも、インテルのラインに依存しており、安保・防衛の投資とは関係ない。
また、モースさんが別に挙げた国も、国防支出で経済が好転しているわけではない。モースさんは「本格的な防衛産業戦略を持っている」として「韓国、台湾、中国、ロシア
」を挙げている。だが、これらの国の経済は、国防支出で好転していない。韓国、台湾、中国は「世界の工場」として経済を拡大し、成長させている。軍事関連産業による経済効果は、その陰で完全に無視される程度である。ロシアは未だに石油や天然ガス、木材といった一次産品精算に頼っている。むしろ国防支出に四苦八苦している状況にある。
逆に、世界には少ない国防支出で成功している国も多い。香港、シンガポール、ノルウェー、ベネルクス、アイスランドなど幾らでも挙げられる。明らかに巨大な国防支出に圧迫されていないことは利点である。
これらの点からすると、モースさんのいう「防衛費を増額させよ」は悪手である。国防支出を増やしても経済は強くならない。むしろ、国防支出により、圧迫された経済は悪影響を受けるだろう。
このモースさんの主張には、理解に苦しむ点が多い。人名事典からモースさんの項目を見つけたが、その職歴部分は
あるいは、日本の事情に詳しいために、媒体に迎合したのかもしれない。国家基本問題研究所は、保守シンクタンクを自称しているが、まずは神がかり右派の集まりである。国基研を保守系シンクタンクと呼べば、真面目にやっている日本財団その他に失礼である。その神がかり右派に依頼されたので、モースさんは、国基研の方針である「安保大事、防衛費増やせ、米共和党と関係者をヨイショしろ」を纏めてヤッツケ仕事をしたのかも知れない。
国基研も、仲良しサークルなのでそのまま掲載したのだろう。シンクタンクを名乗るならリジェクトしても良さそうな水準だが、それも厄介なのだろう。専従がいるかどうかは知らないが、職員としてもソッチの方が面倒はない。代表の櫻井よし子さんにしても、今どき
※ モース,ロナルド「アベノミクスに欠落する軍事研究開発」(国家基本問題研究所,2013.8.5)http://jinf.jp/weekly/archives/11089
※※ 「ロナルド・モース」『人名事典』http://www.php.co.jp/fun/people/person.php?name=%A5%ED%A5%CA%A5%EB%A5%C9%A1%A6%A5%E2%A1%BC%A5%B9
※※※ 櫻井よし子「科学と理性に基づく原発政策を」(国家基本問題研究所,2013.9.24)http://jinf.jp/weekly/archives/11362
ロナルド・モースさんは、国防支出を増やせば経済も好調になる、イスラエルを見ろと言っている。※ 具体的には
安全保障・防衛関係に多くを投資する国は、相対的に強く、経済も繁栄することを歴史は示している。今日、その最たる例はイスラエルである。イスラエルの成功企業の90%は軍事的な研究開発の副産物である。と述べている。
モース,ロナルド「アベノミクスに欠落する軍事研究開発」(国家基本問題研究所,2013.8.5)http://jinf.jp/weekly/archives/11089
しかし、国防支出を増やして経済構造が改善するといった話はおかしい。実例もない。例として挙げたイスラエルの経済は繁栄しているとはいえない。
イスラエルの経済は好調ではない。イスラエル経済はそれほど大きくもなく、GDPも高いわけでもなく、好調でもない。イスラエルの経済規模は、フィンランドやアイルランドと同程度しかない。そして、一人あたりGDPは、フィンランドやアイルランドの6割程度でしかなく、生産性が高くないと、南欧病と言われたスペインやイタリアと同程度しかない。経済成長も鈍化している。その成長率にしても、アメリカからの30億ドルの供与と30億ドルの借款の点滴効果がある。また移民による人口ボーナス効果に底上げされてもいるだろう。
また、イスラエル経済は、安全保障・防衛関係での投資で維持されているわけではない。輸出を見ても、安保・防衛投資の影響はそれほどのものではない。いまだにダイヤ研磨が輸出の花型であり、あまり安保や防衛とは関係のない化学工業がそれに並ぶ。安保・防衛技術に基づく輸出も、例えば精密機器といった分野に含まれているだろうが、それほど大きくもない。電子関連は、安保・防衛で作られたというよりも、インテルのラインに依存しており、安保・防衛の投資とは関係ない。
また、モースさんが別に挙げた国も、国防支出で経済が好転しているわけではない。モースさんは「本格的な防衛産業戦略を持っている」として「韓国、台湾、中国、ロシア
」を挙げている。だが、これらの国の経済は、国防支出で好転していない。韓国、台湾、中国は「世界の工場」として経済を拡大し、成長させている。軍事関連産業による経済効果は、その陰で完全に無視される程度である。ロシアは未だに石油や天然ガス、木材といった一次産品精算に頼っている。むしろ国防支出に四苦八苦している状況にある。
逆に、世界には少ない国防支出で成功している国も多い。香港、シンガポール、ノルウェー、ベネルクス、アイスランドなど幾らでも挙げられる。明らかに巨大な国防支出に圧迫されていないことは利点である。
これらの点からすると、モースさんのいう「防衛費を増額させよ」は悪手である。国防支出を増やしても経済は強くならない。むしろ、国防支出により、圧迫された経済は悪影響を受けるだろう。
このモースさんの主張には、理解に苦しむ点が多い。人名事典からモースさんの項目を見つけたが、その職歴部分は
国防総省戦略貿易チーム主任研究員、経済戦略研究所副理事長、メリーランド大学国際プロジェクト部長などを歴任。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教授、麗澤大学国際経済学部教授と立派なものである。だが、博士号は柳田国男と民俗学とされている。日本語や日本の事情、日本の国民性には詳しいだろうことは窺える。だが「国防支出で経済が強くなる」という主張や、その実例としてイスラエルを挙げる点で、日本、あるいは東アジア以外の事情や、安全保障・防衛関係、各国経済についての知見に、ある種の予断を持ってしまう。
「ロナルド・モース」『人名事典』http://www.php.co.jp/fun/people/person.php?name=%A5%ED%A5%CA%A5%EB%A5%C9%A1%A6%A5%E2%A1%BC%A5%B9
あるいは、日本の事情に詳しいために、媒体に迎合したのかもしれない。国家基本問題研究所は、保守シンクタンクを自称しているが、まずは神がかり右派の集まりである。国基研を保守系シンクタンクと呼べば、真面目にやっている日本財団その他に失礼である。その神がかり右派に依頼されたので、モースさんは、国基研の方針である「安保大事、防衛費増やせ、米共和党と関係者をヨイショしろ」を纏めてヤッツケ仕事をしたのかも知れない。
国基研も、仲良しサークルなのでそのまま掲載したのだろう。シンクタンクを名乗るならリジェクトしても良さそうな水準だが、それも厄介なのだろう。専従がいるかどうかは知らないが、職員としてもソッチの方が面倒はない。代表の櫻井よし子さんにしても、今どき
1000年に1度の大地震と大津波を乗り切った5号機と6号機は、福島第2原発及び東北電力の女川原発などと共に、日本の優れた原発技術を象徴しており、むしろ誇ってよいものだ。と発言している。そのような話が続いているので、国基研としては、モースさんの主張やその論拠にしても、それほどの違和感は感じないのだろう。
櫻井よし子「科学と理性に基づく原発政策を」(国家基本問題研究所,2013.9.24)http://jinf.jp/weekly/archives/11362
※ モース,ロナルド「アベノミクスに欠落する軍事研究開発」(国家基本問題研究所,2013.8.5)http://jinf.jp/weekly/archives/11089
※※ 「ロナルド・モース」『人名事典』http://www.php.co.jp/fun/people/person.php?name=%A5%ED%A5%CA%A5%EB%A5%C9%A1%A6%A5%E2%A1%BC%A5%B9
※※※ 櫻井よし子「科学と理性に基づく原発政策を」(国家基本問題研究所,2013.9.24)http://jinf.jp/weekly/archives/11362