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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.10
31
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12:00
Category : ミリタリー
 自走式の地雷処理器材は信用できるのだろうか?

 戦車等、車両に取り付ける地雷処理器材としては、ローラ式やチェーン(フレイル)式、プラウ式がある。車体の前にローラをつけて、それを押しながら進んで爆発させるのがローラ式。高速回転する棒にチェーンを取り付けて、地面を叩きながら進んで処理するのがチェーン式。前の土に鋤をいれて、地面を掘り返しながら進むのがプラウ式である。

 ただ、これってどこまで信用できるのかね。海で使う機雷では、機雷と処理機材との騙しあいが進んでいる。しかし、地雷処理機材は昔から全く変化がない。地雷に工夫をすればいずれも無効化できるのではないか。

 たとえば、ローラ式地雷処理器材なら、一回のローラ通過では発火しないロジックを組み込めば良い。ローラは一瞬で通り抜ける。圧力がかかっても、一瞬・一回では発火しないロジックにすれば、回避できるだろう。例えば、戦車や装甲車のキャタピラはしばらく踏み続けるので、圧力が0.5秒経過して始めて発火するロジックを組み込む。それとは別に、車輪式の車両も食うためには、一瞬の圧力も1秒以内に2回目があれば発火するロジックも組み込む。この二つのロジックで、ローラ追加では発火しないが、車両通過では発火するロジックになる。

 チェーン式も出し抜く方法はある。叩かれたときの衝撃では発火せず、圧力でだけ発火する仕組みを作れば良い。これは、機雷で言えば振り子装置で解決する。踏板からの衝撃・圧力で即発火するのではなく、意図的に0.2秒を遅延させる。別に衝撃センサ(昔のストーブの転倒防止装置で良い)を用意して、それが反応すれば、発火を2秒抑止すればよい。チェーンでは発火せず、キャタピラ・車輪でだけ発火する仕組みが作れる。

 プラウ式も対応策は考えられる。イタリア機体マンタのように地雷本体が移動・傾斜があったときには、たとえば2秒後に発火するようにすればよい。掘り出した地雷が巧く車体下に潜り込むかは分からないが、炸薬量次第では車体の側で発火しても効果は得られる。

 他にも、考えつく方法はある。例えばカウンターの取り付けで、最初の衝撃・圧力では発火せず、2回目、あるいは3回目以降の衝撃・圧力で発火する条件をつけてもよい。または、深く埋めて、磁気センサで磁気量ピークで発火する仕組みでも、振動センサとの複合感応でもよい。

 いずれにしても、対機雷戦に較べれば、地雷処理器材は甘い。今までの地雷処理器材はかつての掃海のようなものである。進歩した地雷で作られた地雷原、あるいは進歩した地雷を1-2割でも混ぜら混まれた地雷原が登場すれば、従来の地雷処理器材への信頼は喪失するだろう。そうなると、掃討的な手法、例えば地中レーダや地中ソーナーのような器材と、発見された地雷を効果的に破壊する器材(HEATの自動設置?)といった組み合わせが必要になるかもしれない。
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2013.10
30
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12:00
Category : 映画
 岩波ホールでハンナ・アーレントが上映中だが、矢鱈と人が多い。いつもなら並ぶこともないのだが、今回は入場待ちができている。28日月曜日、夜回(午後7時)で見たのだが、開場待ちが7階まで伸びている。「火曜日夜回に行こうとしたが、満員で入れない」という話があった。



 普段とは客層が違う。後ろに映画学校かなにかの学生さん並んでいる。普段は、ヴァイパー師匠が「死に損ない」というようなババァがメインなので、これは新鮮。

 ただねえ、まあ盛り上がる話ではない。最近の映画なら、カミュの自叙伝を映画化した「最初の人間」に近い感じ。これも岩波ホールだが、欧州モノでよくある中途キツくなる感じの映画だった。

 要は、ハンナがアイヒマン裁判傍聴記で一悶着といったもの。で「あいつは所詮小物、もちろん絞首刑は妥当だけど」や「ユダヤ人指導者も協力者じゃね」と評して、ユダヤ人社会やイスラエルが沸騰し、ハンナにキツく当たるといった内容。割と平板な話なので、どっちかというと、中途、話し相手によって英語とドイツ語が入れ替わるのを聞いている感じになった。

 そういう映画ではないことは承知して言うが。クライマックスでオリジナル要素入れないと持たない感じがする。亭主の病気を厳しくするとか、ハイデガーとの浮気の話を大げさにするとか、大学なり自宅を焼き討ちされるような絵を入れないと、2時間は持たない。

 どちらかというと、次回予告編の『少女は自転車に乗って』に相当やられましたね。あれは予告編だけでも、相当のもんだとわかりますよ。アフガニスタンで小学校に通いたいという女の子映画『子供の情景』(己、見終わったあとに500円寄付したよ)なみでしょう。



 価値観外交だとか積極的自由といっているが、実はヨリ酷いサウジ体制に何も言わず、むしろスリ寄っているのは言行不一致じゃないのかねと、予告編見ただけで思ったよ。もちろん、原油は大事なので、サウジ現体制に目をつぶって仲良くするのは仕方もない話ではある。ただ、サウジ現体制のヤバさを知った上で表面づらだけで付き合うのと、親米陣営だから仲間だろうと思考停止して本気で友好関係を考える間には、差はある。

 何も考えずに、サウジ現体制にズブズブになるのは、道義的というか気分的に良くないし、将来ズッコケたときのことを考えても避けた方がいいんじゃないのかね。
2013.10
29
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12:00
Category : ナショナリズム
 常任理事国として中国の品格を云々するよりも、日本の対中アドバンテージの維持を主張したほうが建設的ではないか?

 山本輝夫さんは「国連常任理事国の資格も品格もない中国」で中国が戦勝国意識を持っていることを問題としている。要は、日本は中国に戦場で負けたことはないので、中国に対しての敗戦国の立場ではないというものだ。

 しかし、日本は歴とした敗戦国である。たしかに、日本は大陸での戦闘では中国に大敗北は喫していない。だが、中国は見込み通り米英を巻き込み、日本に戦争で勝利を得ている。日本は日米中ソに降伏を申し入れている。

 山本さんは「戦場では勝っていた」というが、それも負け惜しみでしかない。具体的には
 作戦や戦闘において、中国軍が日本軍に勝利したのは、局地戦において数えるほどしかない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38978?page=3
 中国軍が勝利した戦史である拉孟・騰越(ラモウ・トウエツ)の戦いですら援蒋ルート遮断のため派遣された日本軍の小部隊に対して、米・中雲南遠征軍が数十倍する戦力(拉孟守備隊113歩兵連隊の1260人が、中国軍4万8000人の猛攻を100日間防いだ後玉砕。桁数の誤りではないので、念のため)で攻撃し、孤立した日本軍部隊は、玉砕するに至った。

 この作戦に、中共軍は参加していない。これくらいの戦力差がないと日本軍に立ち向かえなかったのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38978?page=3
と述べている。しかし、これは「ノモンハン事件でソ連側の死傷者数が多い、だから日本の勝利だ」というような自己欺瞞と同じである。戦闘で勝っても戦争で負けたら何の意味もない。

 日本が、中国に対して敗戦国の立場にあることに反発しても仕方がない。戦後秩序はそういう仕組みになっている。国連を見ても日本とドイツは旧敵国であり、米英仏露中は戦勝した大国として常任理事国の地位にある。今の日本が参加している秩序の成り立ちに文句をつけても仕方がない話である。

 常任理事国が気に食わないからといって、そこに「品格」といった道徳的な概念を持ち込むのも、詮ない話である。山本さんは、中国には常任理事国の品格がないと主張している。
中国は、国際社会の平和に貢献すべき常任理事国として、その責務に相応しい仕事をし、品格を有しているのだろうか?

 図体や軍事力だけで大国と言うのではない。それにふさわしい国家の品格が求められる。トラブルメーカーにすらなっているではないか!

 品格泣き[ママ]国家は常任理事国を辞すべきだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38978?page=4


 逆に、中国以外は品格ある常任理事国であるのだろうか? アメリカもソ連もイギリスもフランスも、「国際社会の平和に貢献すべき常任理事国として」ふさわしい「品格を有しているのだろうか?」といえば、いずれも怪しいものだ。ソ連の拒否権乱発は記憶に新しいが、米国も結構、拒否権を使っている。英仏もスエズ動乱では露骨に自国権益を確保するために拒否権を使い、カウンターで「平和のための結集決議」を食らっている。※※

 孟子にも春秋に義戦なしとある。外交とはそういうものであって、国家の品格を云々しても仕方もない話である。山本さんの記事には副題があり「剥き出しの大国・戦勝国意識を糾弾する!」とあるが、糾弾してどうなるものでもない。

 周りを見ない対中強硬策では、JIB's呼ばわりされるのがいいところだ。JIB'sとは日本、イスラエル、英国を指し、地域で身勝手なことをして面倒を起こすという言われ方である。

 日本は現況で結構優位をもっている。尖閣の問題でも日本は現地を抑えている。中国の海洋進出に対しても、日米同盟や海自戦力といった海軍力での優越を持っている。優位な立場にあるのだから、あとは騒ぎ立てずに現状を固定すればよい。互いに譲れない対立はそのままに適当にごまかして、貿易や投資といった双方金儲けができるようにしたほうがよい。余計な事を言って対立を煽るのも無意味なことだ。それならば、領土問題での優位や海軍力の優越を固定化するための、海保増強や海自増強を主張したほうが建設的だろう。



※   山本輝夫「国連常任理事国の資格も品格もない中国」『JB Press』(日本ビジネスプレス,2013.10)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38978

※※  新中国が常任理事国の椅子に座っていることに山本さんは疑念を抱いているが、大した問題でもない。フランスが戦勝国として常任理事国にあることを見れば、より大きく地域での存在感の大きな新中国がその椅子にあることは、大した問題ではない。
2013.10
28
CM:8
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12:00
Category : ミリタリー
 尖閣諸島そのものには何の価値もない。尖閣問題を重要だとするために、そこに軍事的な価値があると主張するのは、本末が転倒している。

 日本安全保障・危機管理学会の『安全保障と危機管理』がそれだ。「尖閣諸島の魚釣島」とした表紙に「3500mの滑走路を有する空軍基地が建設可能」と、軍事価値があるかのようにキャプションをつけている。

魚釣島
※ 『安全保障と危機管理』より

 だが、魚釣島に航空基地を作ることは現実的ではない。航空基地を作るためには、膨大な労力が必要である。

 まず航空基地を作るに足る平面部がない。魚釣島はほぼ円錐状の島で、頂部は海面から300mもつきだしている。離島で、岩盤ベースの山を削平して滑走路を作る手間は尋常ではない。埋め立ても、土砂を持ってくる元がない。しかも周辺は急に深くなる海である。岩盤ベースの島を削っても、いくらにもならない。航空基地には、基地施設も必要だが、その面積を確保するために削平・埋立するのは容易なことではない。

 仮に航空基地を作っても、維持に多額の費用を要する。水の確保は硫黄島より厳しい。硫黄島はまず天水に便り、駄目なら海水から真水を作っている。魚釣島には、その天水を集め、貯める地積もない。水については南鳥島並か、それ以下である。飛行後に航空機についた塩を流す真水も足りない上、維持できる隊員数も50-100人が限界だろう。燃料補給も困る。なんせ港がない。硫黄島式に逐一フローティング・ホースで引き入れるのでは手間がかかって仕方もない。

 その上、地積も狭い。本格的な戦争に耐えるほど、施設も器材も分散できない。警戒用レーダや防空兵器、整備格納庫や各種ショップ、倉庫、弾薬庫、隊舎、庁舎、通信局舎を分散する地積がない。日中どちらが航空基地を作っても、日中有事に際しては地上にあるものはあらかた破壊され、地下構造も判明次第に破壊されてしまう次第しまう。

 尖閣は、軍事活用をする余地もない。あっても洋上や上空監視だが、レーダを置くにしても、維持を考えれば哨戒機やAWACSを飛ばしたほうがよい。それ以外の用途は全くペイしない。

 要は、この学会が危険が危ないと言いたいだけの話だ。この日本安全保障・危機管理学会は、中国の脅威が危ない、防衛費はドンドン増やせというものだ。ちなみに、危機管理学会やセキュリティマネジメント学会とは全く関係はない。一応は学会の組織をとっているが、紀要の中身を見ても水準は低い。実際には、政治的結社に相当ちかい存在である。その点は、役員名簿をみれば明快である。名誉会長の安倍晋三、顧問には佐藤正久、山谷えり子と自民党に居る、一種機械じかけの右派がならんでいる。

 魚釣島に航空基地云々は、結局は、軍事的な重要性があるから中国が狙っていると言いたいわけだ。しかし、その実は逆だろう。頭のなかでは、まず中国が敵で、その中国との領土問題である尖閣問題は重要な問題であるといった、本末転倒の発想がある。それから尖閣が重要な理由を考えようとして思いついたのが、航空基地だということだ。

 ちなみに、航空基地云々は表紙のキャプションにそうあるだけで、本の中身には何も書いていない。表紙は中身の要約である。そう主張する内容が中身にないというものもなかなか他にみないものである。



※ 『安全保障と危機管理』23(日本安全保障・危機管理学会,2013.03)表紙より。カラーの表紙を白黒コピーを取ったため、3500m云々は薄く読みにくいため、文谷がフォトショップでマスクを作って強調した。カラーの表紙については、http://www.jssc.gr.jp/kikanshi.htmlにある。
2013.10
27
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19:11
Category : 未分類
 菊地成孔のラジオ聞こうと思ってTBSにしたら、野球なんかやってやがる。日本シリーズが云々らしいが、球を投げて棒振った程度の遊びを、大の大人が興奮調で実況しているのはマヌケなものだ。腹が立ったのでNHKにしたら、NHKも同じ野球をやってやがる。文化放送、ニッポン放送も同じ試合をやっているのには腹が立つ。

 この不愉快な野球をやっていないのは、進駐軍放送だけの始末。それなら、NHK、TBS、文化放送、ニッポン放送を別個の放送局にする必要もない。一局に纏めて、あと3局分の電波で別個の放送をしたほうが良い。そっちの方が、野球に辟易している人間を惹きつけられる。放送局も仕事のやりがいもあるだろう。だが、現実は横並びで逆張りなしと来ていやがる。

 TBSなら、野球やるよりも菊地成孔でも宇多丸でもコンバットRECにでも好きに話させたほうが、聴取率も宣伝料もよほどよいのではないか。日曜本来の予定なら、寄席の録音でも良い。あるいは、今晩深夜にやるLIFEを前倒しするのもよい。野球ごときよりも、LIFEのほうがよほど聞いていて面白いものだ。

 
2013.10
27
CM:2
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12:00
Category : ミリタリー
 「沖縄近海に中国軍機4機、空自が緊急発進」で、沖縄本島と宮古島の間をY-8のレーダ搭載型とH-6が通過したことがニュースになっている。

 別段騒ぐ内容でもない。中国が太平洋に出るには、琉球列島を通過するのが当たり前の話に過ぎない。日本側も充分対応できている。も探知し、緊急発進で公海上での行動であることを確認した。

 中国脅威論に関連させる話が出てくるのも、いつものことである。中国海軍や海上航空戦力が強化されることは、ゲーム相手の日本にとって厄介である。だが、列島線を通過したからといって侵略主義傾向云々と文句を付けるのは、おかしな話である。中国にも外洋に出る権利はある。しかも、日本に何の影響も与えず、公海上を通過している。そういう意見の御仁は、よほど中国が嫌いなのだろう。

 むしろ、注目すべきは戦闘機を随伴していない点である。航続距離からして当たり前の話であるが、中国機には戦闘機が随伴していない。

 中国が戦時に外洋哨戒をしようとしても、護衛なしでの列島線通過は相当に厳しい。列島線までなら、航続距離が長いSu-27系は護衛できるかもしれない。だが、防空システムと連動し、燃料と搭載量に余裕のある日本側迎撃機との戦いは不利である。それ以前に、哨戒機のホップ数に併せて送るほどの戦闘機もない。

 戦時に中国は太平洋に哨戒機を送り込むことは相当難しい。台湾北部を占領するか、さらに足の長い飛行機でも作り、南シナ海から迂回侵入でもしなければ、実用上はできない話である。



※ 「沖縄近海に中国軍機4機、空自が緊急発進」『YOMIURI ONLINE』(読売,2013.10.27)http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131026-OYT1T01255.htm
2013.10
26
CM:0
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12:00
Category : ミリタリー
 1術校での校長講話のメモが出てきた。今から10年近く前の、9月5日午後1-2時に行われた1時間の校長講話。昔から講話の時には、マメにメモを取っていたが、話の中身は余り書いていない。どちらかというと、なにか面白いことがないかと言うものを探して書いていた。この時のメモは、中級学生で聞いた講話で、日本海軍時代に作った映写講堂の二階席から眺めていたが、まずは観客の態度とかバタバタ寝るのが面白くてそればかりを見ていた。

 まずは、校長のお面について書いてあるが、個人が特定できるので省略する。いつも人相書のように「四角い顔で全体的に膨らむ」とか「頭髪やや薄く白髪多」といったものを書いて、その状況を思い出せるようにしていたが、大抵は失礼なことを書いていた。ちなみに、当時の課程主任(統率科の駄目艦艇3佐)についてメモには「不景気な面」、「残飯をあさる犬のよう」とか書いてある。奴と大声で口喧嘩した時に「貧乏神みたいな面しやがって」と口をついたのは、メモのせいだろう。

 話の内容は、偉い人の紋切り話だった。日本は前の戦争であんま悪くないみたいな、お店の都合のいいはなしだったことを思い出した。メモには「塩野七生のハナシは、PO[海曹]以下にはお歯にあわない」と書いてある。

 当然、聴衆は寝る。だが海曹士は寝ると班長クラスに怒られるので、必死になって耐えている。しかし、己達の幹部学生や、職員はお構いなく寝る。

 そもそも1佐級は最初から脚を組んでいる。同期相当ならわかるが、統率科長の若手1佐風情(艦艇装備)が脚を組んでいるのには、普段の言動と違う適当な野郎と思ったよ。で、その統率科長は1310には居眠りを開始。科長クラス(1-2佐)は、その時に10%は居眠りをしていた。

 主任といった3佐級も、1320にはボードで内職を始めている。まあ仕事が多いので、こういった時に内職するしかない。

 そのころ、前2列目の1佐が首を後ろに倒した形で昏倒するように寝た。飯食ったあとと、講話やるにはどうよの時間というのもあるが、どうにかすべきまわりの1佐も居眠りなので結果放置。校長もそいつが気になってしょうがない。とはいえ「こういう話だしな」とか「悪いのは俺か」と思ったのだろうし、冗談口での注意も学生の前だと言えない。

 そのころ「大東亜戦争」という言葉がでる。部内戦史的には「大東亜戦争」なのだが、まずは世間とのズレ。「パール判事の話もいいとこ取り」とメモにある。

 1325には、隣が眠りだす。2階の最前列なのだが、いつも真面目で忙しい奴なのでそのままにしておいた。海曹士の通路側が、通路に脚を投げ出し始めている。もともと椅子も戦前の小さい人サイズなので、巨漢タイプは椅子からはみ出す狭さなのでしょうがない。「科長級は服の中をボリボリ、POはヒゲを抜く、各学生の記録係は仕事があるので寝ないで済んでいる」とある。

 1337には「[校長が]尊皇家かつ敬神家なのは尊敬」と己も偉そうに書いている。ただし「昭和帝の憲法順守の素晴らしさを賞賛しているが、東条の憲法違反に触れていないのは片手落ち」とも書いてある。

 1345には、「POで脚を組み、海士[セーラー服]にも背中ボリボリがでる」とある。携帯をいじるのがいないのは、持ち込みを禁止しているためとかいてある。まあ饐だ。

 1350あたりからは、話の内容について己の評価があるが、1尉風情の書くものでもない内容。ただ、ズーッと艦艇勤務で、陸に上がって理系的な技術教育ならともかく、文系的な教育をやるというのは難しいのだろうなと当時から考えていた。中級のあとには、教官課程の教官をやったのだが、その時に講話のあり方について1佐将補クラスと話をしても、そんな感じだった。メモには塩野七生、桜井よしこ、八木秀次あたりは出すと品下るからやめておいたほうがいいとも書いてある。

 蘐園学派(桂園と誤記していた)に近いことを言っているのだから、徂徠の『政談』や『答問書』を読めばいいのにとも書いてあった。あとで別課程だか別教務班だかの記録係が話を聞きに来たので「『政談』や『答問書』」とか書いとけと書いたら、そのまま書きやがった。あとで感心したある科長級からそいつ褒められて呼び出しを受けたが、しどろもどろだったので結局己も呼ばれた。「もっと中身も教えてやれ」と怒られたよ。ただし、その日(だったと思う)にはふたりとも外で科長からタダ飯タダ酒にありつけた。

 他にも副校長や、掃海機雷科長、港務科長の講話メモが残っている。

 そういえば副校長の時には、己が記録係だった。講話を聞きながら記録草稿を作り、昼飯食わないで20分手書き(ロットリングで書いていた)で上げて第2(だったと思う)学生隊長に提出した。連絡官やったあとだから、議事録作るのはお手の物だったが、「速すぎる、前の話を流用したのでは」と疑われた。仕方がないので、メモを見せたら、副校長の人相書と似顔絵、口癖、手癖やら、席が前のやつの後ろ頭の絵、しかも「首の後ろうなじ部分にアトピーの痕か、右手で掻ける範囲だけ禿げて瘢痕化」とか書いてあったので「オマエ面白半分で聞いているのだろう」と怒られたよ。でもまあ「記録本紙をご覧になっていただけば」と言ったら「まあよく書けている、やることやっていればいいか」と印鑑ついてくれたのも思い出。
2013.10
25
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12:00
Category : 有職故実
 地下書庫で手にとった本で発見した。『Viking Empire』の181頁なのだが、綺麗な円形城址なので、本も買ってしまった。


大きな地図で見る

 城はスカンジナビアの盟主となったたハーラル青歯王によるものらしい。1066年のノルマン・コンクエストで死んだハーラル三世とは別家系の別人。

 城跡には博物館があって、そのウェブ版がこれ。http://www.vikingeborgen-trelleborg.dk/

 適当にググると、WIKIPEDIAにバイキングの円形城跡で項目が立っている。他にも城があり、それぞれを確認すると次の5ヶ所。

最初の城 Trelleborg (Trelleborg)
http://maps.google.co.jp/maps?f=q&hl=ja&q=&ie=UTF8&om=1&oe=UTF-8&z=16&ll=55.392665,11.268861&spn=0.005643,0.014591&t=k

2個目:Aggersborg
http://maps.google.co.jp/maps?ie=UTF8&oe=UTF-8&hl=ja&q=&om=1&z=16&ll=56.994601,9.257419&spn=0.005412,0.014591&t=k
http://da.wikipedia.org/wiki/Aggersborg

3個目:Fyrkat
http://maps.google.co.jp/maps?ie=UTF8&oe=UTF-8&hl=ja&q=&om=1&z=17&ll=56.623866,9.772339&spn=0.002733,0.007296&t=k
http://da.wikipedia.org/wiki/Fyrkat

4個目:Nonnebakken
http://maps.google.co.jp/maps?ie=UTF8&oe=UTF-8&hl=ja&q=&om=1&z=16&ll=55.369637,10.415039&spn=0.005646,0.014591&t=k
のちにOddfellowsとかいう寄合のロッジ敷地に転用された様子
http://da.wikipedia.org/wiki/Nonnebakken

Nonnebakken付近で紛らわしいもの
http://maps.google.co.jp/maps?ie=UTF8&oe=UTF-8&hl=ja&q=&om=1&z=16&ll=55.414436,10.464542&spn=0.005639,0.014591&t=k

5個目:Borgeby
http://da.wikipedia.org/wiki/Borgeby
だとここらへんだとしている。
http://maps.google.com/maps?f=q&hl=en&ie=UTF8&om=1&z=17&ll=55.751741,13.029034&spn=0.002796,0.007296&t=k だが形状はよくわからない

6個目:Trelleborg (Trelleborg)
http://da.wikipedia.org/wiki/Trelleborg_%28Trelleborg%29
では
http://maps.google.co.jp/maps?ie=UTF8&oe=UTF-8&hl=ja&q=&om=1&z=16&ll=55.374965,13.159304&spn=0.005645,0.014591 こことしている。都市化でよくわからない。


(2007年ころの日誌に手を入れて掲載)
2013.10
25
CM:0
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11:59
Category : 有職故実
 10年くらい前に同人誌のあとがきで書いたのだが。まあ太、犬、大の3文字を同居させたいから書いただけのようなものなのだが。タロとジロが、つがいだったら大変な事になっていたのではないかね。樺太犬は南極で生存できる。それが、繁殖したら、犬だらけの大陸になって、ペンギンの何種類かは絶滅したのではないか。

 ただ、犬が南極で殖えるかどうかは知らない。

 南極には昔から犬が連れて行かれている。アムンセンとスコットの競争でも、アムンセンは犬ぞりを使い、運んだ食料が減り、不要になった犬は食料にもされている。その歴史で何匹かは逃げただろうが、それが繁殖したという話は聞かない。気候に妊娠が耐えられないのかもしれないし、仮に子犬が生まれても直ぐに死んでしまうのだろう。
2013.10
24
CM:7
TB:0
12:00
Category : ミリタリー
 第1空挺団は、無駄を減らして空挺大隊にすればよい。

 第1空挺団には、減らせる冗費が3つある。まず第1に、空挺団は正味が強化空挺大隊であり、団としての組織は過剰で無駄である。第2に、普通科大隊は実質中隊規模であり、大隊の格を維持している点は無駄である。第3は、空挺特科大隊は、本当に必要性があるかどうか怪しく、規模としても間違いなく過大である無駄である。

■ 規模に合わせれば空挺大隊ではないか
 空挺団は、正味は1900名の空挺大隊にすぎない。空挺大隊に、団としての格式や、団本部といった組織は不要である。空挺大隊に格式を改めた上で、団本部他を廃止したほうが良い。空挺団は、昔から正味大隊だといわれていた。かつて1200人、今でも1900人では、強化大隊程度の規模に過ぎない。しかし、それを旅団に準じた組織とし、将補級指揮官と司令部機能をもたせているのは、無駄な出費である。冗費は省くべきである。

 将補指揮官の能力や、司令部としての団本部の機能も、中央即応集団司令部に肩代わりさせればがあれば、問題も生じない。かつては空挺団は略独立していたので、それなりの指揮官と司令部機能をもたせる発想も現実的であった。だが、上に中央即応集団があるとなれば、将補指揮官と司令部機能は要らない。2佐指揮官と大隊本部で事は足りる。

 そして、空挺団を空挺大隊に格下すれば、人員・予算・ポストを節約できる。1900人に団本部は要らない。大隊本部とすれば、人員もポストも安く上がる。団本部とする体裁を保つための人員は、無駄である。また団長を大隊長にすれば、指揮官ポストは将補から2佐になる。指揮官を2佐にできれば、先任幕僚以下も2佐以下とでき、人件費を浮かすこともできる。

■ 中隊編制で充分ではないか
 空挺団にある普通科大隊も、フカした編制であり、実質は普通科中隊に過ぎない。今の空挺団は、普通科3ヶ大隊編制とされている。しかし、この大隊は人員数400名弱の徒歩歩兵に過ぎない。増強中隊と称しても構わないレベルである。

 ここで、大隊を中隊に改称すれば、冗費を削ることができる。普通科大隊の名前を中隊とすれば、ここでも人件費浮かすことができる。大隊本部とするための人員の無駄や、高止まりになっているポストといった冗費を節約できる。

 400人弱が中隊として大きすぎるというなら、250人の中隊にすればよい。400人弱×3ヶ中隊がいやなら、人数を付け替えて250名強の普通科4ヶ中隊にすればよい。別に大隊は3ヶ中隊でも4ヶ中隊でも構わない。

■ 空挺特科大隊は必要なのか
 空挺特科大隊も、本当に必要性があるのか怪しい。もちろん、空挺団が全力で空挺降下したあとには欲しい部隊だろう。だが、空挺団といっても、本当に空挺降下をやるかというと、あまり考え難い。日本が空挺作戦しなければならない状況も考え難い。通用する戦闘も考えがたい、実際に、戦後に行えた大規模空挺作戦の例は、第三世界への侵攻や介入程度しかない。

 仮に、本当に空挺作戦をやる情勢では、空挺特科は活かせるかどうか怪訝である。仮にアフリカやアジアの奥地に行くとしよう。その時には、特科が必要か、あるいは特科を運ぶ余裕があるか怪しい。歩兵がいれば充分であり、特科は必要ない状況か、あるいは歩兵しか運ぶ余裕がなく特科は持っていけないかどっちかである。

 そもそも、空挺特科大隊は使いきれるのか。今の日本にとって、戦時空挺作戦は困難である。航空戦力や準備期間、器材を投入できるほどの余裕はない。戦時の空挺団運用でも、手軽にできる陸上輸送やヘリボーンがメインとなる。このように空挺ではなく、ヘリボーンや陸上輸送での空挺団投入なら、空投前提の空挺特科大隊である必要はない。普通の特科部隊で構わない。また逆に、空挺をやるとした時でも、空挺特科大隊やその弾薬を継続して運ぶ余力があるか疑わしい。

 仮に特科火力を持つにしても、使えるかどうか怪しい大隊の規模は要らない。とりあえずの空投用器材として、重迫4門、あるいはM777のような軽量砲4門、あるいは2重装備として両者あわせて計8門程度の中隊編制でも充分だろう。空挺部隊への特科については、不足は補える見込みはある。仮にいざ本番で火力が足りないということになっても、砲と砲弾は別の部隊から引き剥がしてくっつけても良い。

■ 中央即応集団の中で整理したほうが良い
 空挺団は、中央即応集団の隷下に置かれた。これは、中央即応集団の細々とした支援を得られるようになったことでもある。司令部機能ほかは集団に投げてもいいし、支援についても必要に応じて集団から貰う形にしてもいい。また、他の空挺団の機能や役割についても、集団に渡す工夫があってもよい。今の状況では、空挺団を団として維持する必要性は低い。中央即応集団のなかの空挺大隊として整理し、冗費を削るべきである。

逆に、空挺団を活かすにも、空挺団を強化してもしかたもない。空挺団を特徴付ける性格は、機動力である。だが、その強化には、輸送機やヘリといった航空輸送能力や、それを支援する機能に力をいれなければならない。仮に空挺や空輸による戦闘能力強化にしても、空挺特科大隊といったオモチャよりも、UAV等も活用したような、空中からの対地攻撃能力や輸送能力を強化したほうがよいだろう。極端な話、大重量・大容積物資を一気に運べるような大型気球や大型グライダーに重装備を載せて送るような仕組みのほうが、いろいろと便利になる。



※ 空挺団を空挺大隊としても、基幹となる普通科部隊1000名程度の人数は減らさなければ、戦力の低下はおきない。
2013.10
23
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12:00
Category : ミリタリー
 演習で88式SSMを先島に持っていくという話がある。「自衛隊統合演習に射程100km超の地対艦ミサイルを石垣島に展開へ」では、中国に対する牽制を狙っているという。それはそれでよい。

 しかし、88式や後継の12式は、離島展開に向いていない。いずれも、内陸で防護された陣地に置く発想で作られており、結局は本土に敵が押し寄せてくる発想の名残に過ぎない。自走できるものの、海上輸送での荷揚げや航空輸送では不便な大きさになっている。システムも無駄に高度であり、人員多数を従事させる兵器になっている。

 むしろ、離島防衛なら、ミサイルをバラで持って行ったほうが良い。ミサイル単体は、500-700kg程度しかない。大きさも、中身は直径30cm、コンテナも直径50cm程度である。ヘリに積めるし、コミューター機にも積める。漁船でも扱える重さ・大きさであり、容易に運べる。発射用トラック本体や、大掛かりな通信システムや、予備ミサイルを積むトラックやクレーンといった、ミサイルよりも何倍も重い物を持っていく必要はない。

 また、隠すことも容易である。極端な話、地面に幅・深さ直径50cm、長さ6mの穴を掘って仕舞っておけば、容易に発見できない。埋め戻しておけば多少の砲爆撃にも耐える。建物や横穴式の陣地にも簡単に入れることもできるし、方位が良ければそこから発射もできる。

 対艦ミサイル発射台もそれほど大したものは要らない。廃材で組んでもいい、廃車トラックのトリイ、仮設足場にでも立てかければよい。搭載も、ヤグラ組んでチェンブロックをぶら下げてもいい。700kg位なら、別にロープがあれば人力でも乗せられる。

 発射システムも大したものはいらない。対艦ミサイルはもともと高度なシステムではない。発射モードを幾つかもっているが、なんだかんだで通常使うのはLOS発射である。その向きにぶっ放せば、経路上にある艦船に突っ込む、燃料消費も少ないので最大射程となる。また、その方位で飛んで行けという方位発射や、この距離で捜索を開始しろというミサイル開眼距離の指定といったものも難しくない。人手での入力も、パラメータも少なく、時間的余裕もある。TOTにしても、大したロジックではない。コネクタを工夫すれば、今ならiPHONEとアプリで設定できる。

 これらの利点は、実は内地での運用でも変わらない。結局は、対艦ミサイルはバラでも構わない。バラで使う利点や、大掛かりな発射システムの不効率は、内地防衛でも同じことである。別に88式や12式の高度な発射システムが必要なわけではない。中身のミサイルをバラにして使えばよかった。また、海自の余剰ハープーンをそのままつかっても良かったということだ。

 特に12式は無駄の極みである。ミサイルとしての性能は88式と大差ない。それなら、在庫している88式の誘導部まわりだけを改修してもよかった。ミサイル全体を変えるにしても、88式発射機を使えるようにすればよかった。それをゼロから一式作ったのは、10式戦車と同じ防衛予算の無駄遣いである。
2013.10
22
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Category : ネトウヨ批判
 これは頭の悪い出羽守ではないのか?

 「ドイツでは~」といっているが、外地との比較では、日本本土のほうが悪条件であることを、全く考慮に入れていない。

 「心温まる日本の難民救出」だが、dragonerさん以下の理解はあまりにも表層的に過ぎる。中でも一番表層的な理解は、次の「ドイツでは~」だ。
内田弘樹‏@uchidahiroki
ドイツ海軍のように「バルト海沿岸から難民を必死で脱出させました!」みたいな「誰にも否定しがたい正義」(いやまぁこれもネオナチの錦の御旗になっちゃったりいろいろアレなんですが)を掲げられなかった軍隊というのは、直視するのは辛いモノです。
https://twitter.com/uchidahiroki/status/391579288199114752
dragoner‏@dragoner_JP
ドイツよりも遥かに広い地域に同胞バラ撒いておいて、あれですもの…… RT @uchidahiroki @dragoner_JP  戦時中のドイツ海軍みたいに「難民を脱出させるために頑張りました!」というエピソードさえまともにないあたり嫌ですよね。
https://twitter.com/dragoner_JP/status/391579312253456385


 戦争末期に、外地国民の内地帰還が出来なかったこと指して「ドイツと比較して日本は国民保護の観点に欠ける」とするのは、妥当ではない。dragonerさん以下は、その背後にあった条件を全て無視している。

 昭和20年では、内地よりも外地の方が安全であった。この事実を無視して「ドイツでは」とするのは、相当に乱暴である。外地邦人の安全確保といった面で見れば、内地還送の利は薄い。具体的に整理すれば次の3つに集約される。
1 本土決戦の危険性:内地は本土決戦で戦場になるが危険性ある
2 食料の問題:内地は飢餓線上にあるため健康上の問題がある
3 海上輸送力の喪失:当時は船舶輸送力そのものを喪失しており、海上輸送でのリスクが高い
実際、当時は、政府も外地邦人も、これらの理由から外地残留が内地に還送よりも安全であり、有利と判断している。

・1 本土決戦の危険性
 当時の日本が、表向きに本土決戦構想を維持していた点考慮していない点、Dragonerさん以下甘すぎる。当時は、外地よりも内地の方が危険であった。本土決戦では、全内地を戦場にする建前であり、民間人を義勇隊として防衛戦投入すら考慮されており、大量死傷も已むを得ないとされていた。対して、朝鮮、台湾、樺太、関東州等の外地や、大陸での日本占領区域は保持出来る見込みをもった比較的安全な後方地域であり、本土決戦以降に戦争継続をする上での策源地になると考えられていた。外地に居る民間人保護の方策として、昭和20年7月までの段階で、内地還送をしなかった点を非難することは妥当ではない。

・2 食糧の問題
 内地での食料問題を考慮していない点も甘すぎる。日華事変から内地の食糧事情はすでに厳しくなっている。さらに昭和20年度以降は、内地の食糧事情は更に悪化している。昭和20年度は、配給でも、最低限と考えられた穀物換算2合6勺も達成でない状況にあった。昭和20年度当時には、農業生産も食料品物流も麻痺している。本土決戦準備で農民含めて根こそぎ動員され、肥料生産も火薬製造にほぼ吸い取られ、少量できた肥料も飛行場整備に取られている。物流はもっと悲惨で、生産段階から末端まで全て麻痺している。トラックや馬の不足による小口輸送や、基幹となる船舶輸送の破綻、限界を超えた鉄道輸送といった問題があった。むしろ外地の食糧事情は戦時下でも良好であった。朝鮮、台湾、樺太、関東州と、いずれの地域でも食料や、石炭等の生活必需品入手は内地よりも格段に有利であった。食糧事情でも有利な外地に残すことが、在外邦人保護としては好ましい状態であった。

・3 海上輸送力の喪失
 そして、昭和20年には、外地邦人を内地に送る手段がほぼ途絶している。この時期には、まともな外洋船舶はない。昭和19年には船団に汚穢船まで組み込む状況である。太平洋沿岸域に艦載機による空襲を受け、機雷による航行不能船舶も頻発した昭和20年には動かす船がない。仮に動かせる船があっても、沖縄方面以南への航路は途絶している。東シナ海や関釜航路、日本海航路も、内地側港湾は悉く機雷で封鎖されている。そもそも、瀬戸内海に残った船舶も、関門や大阪湾機雷封鎖により動けない状況にあった。仮に船腹に都合をつけてたとしても、潜水艦や機雷、航空攻撃にさらされる海上輸送を行うことは、在外邦人保護の面から妥当な判断ではない。

 dragonerさん以下による「ドイツでは~」とする批判は、これらの点を検討しない表層的な理解である。外地在留邦人の問題について、満州の事例をクローズアップして内地送還を行わかなったことを批判している。だが、7月までの判断としては、北満地域(2月には民間人引き上げを計画していたが、実施しなかった)はともかくとして、全般的な判断としては外地残留が妥当である。また、8月、ソ連参戦以降には、やろうとしても輸送力がなかったという問題に行き当たる。満州以外でみれば、戦後まで外地に残った方が正解である地域も多い。終戦後も、台湾や朝鮮、樺太、上海では残留が有利と考える日本人は多く存在している。特に在台日本人は、食糧事情がよく、治安も良いために民国軍が上陸してきても、なお将来的に台湾に居住するつもりであった。

 別に、樺太や張家口からの民間人救出事例を無視している点でも、dragonerさん以下による「ドイツでは~」は批判として表層的である。樺太やではソ連参戦以降、北海道への疎開が始まり、終戦後にも継続した事実がある。張家口でも駐蒙軍は終戦後なおソ連と戦闘を続け、在留邦人を国府支配地域に逃している。それを無視して「ドイツではソ連占領区域から助けたが、日本はそれをしなかった」とするのは、乱暴な結論だろう。

 ただ、この話で一番興味深い点は、dragonerさんがする言動の盾である。dragonerさんは、平時において一般国民への惻隠の情もないのに、国家が戦時に一般国民を守ることを力説している点は指摘するべきだろう。dragonerさんは、今、起きてもいない「戦時日本の国民保護問題」に「ブチ切れ」ている。
dragoner‏@dragoner_JP
昨日、私がブチ切れたのは、戦時日本の国民保護問題を僅かな例外から肯定する人間は、未来の日本人を殺す存在になるという確信があるからです
https://twitter.com/dragoner_JP/status/391903541654077440
だが、実際に起きた原発事故で故郷を追われた人々には、国家のために「産業の空洞化はさけるべき」だ「だから原発、必要」だとも言い放っている。
dragoner‏@dragoner_JP
わりかし言えます RT @noiehoie: 耐え難きを耐え忍び難きを忍んで故郷を追われた人々や、生まれ来る子供の健康を心配する妊婦や、死と隣り合わせの労働を強いられる原発労働者に、「いやー、産業の空洞化はさけるべきでしょ?だから原発、必要でしょ?」とか、お前ら言えるのか?
https://twitter.com/dragoner_JP/status/89690064224911360
軍事に絡むことでは国民の安全、感情を主張し、原子力では現実に安全と安寧を奪われた被害者に「わりかし言えます」という。dragonerさんの矛盾は、非常に興味ふかいものである。
2013.10
21
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12:00
Category : 未分類
 防衛省にとって自前の官舎は既得権なので、必死に守ろうとする。他所の役所は、なんだかんだで財務省が管轄する合同宿舎が大きな部分を占めている。だが、防衛が使う官舎は全て自前(旧防衛施設庁は、一部合同宿舎に入れた)であり膨大な戸数を占めている。だから必死になる。

 防衛省には、官舎を専門にする部署があるので、そこが抵抗する。厚生がそれにあたる。防衛が持っている官舎は、国設宿舎と特借宿舎の二つがあるが、どちらも厚生が握っている。特借宿舎については、防衛省とは別人格の防衛省共済組合が担当しているが、似たようなものだ。

 防衛の厚生にとって、宿舎規模が小さくなる施策は、役所の論理として困る。まず、官舎で食っている役人、事務官技官や自衛官、共済組合の仕事が減る。安いしか取り柄のない官舎は、今回の財務の指示で値上げすると持たなくなる。今でも入居率が低い官舎があり、その維持を説明するのに苦心するのだが、それが全国的となると今のような大規模な整備は難しくなる。

 だから、防衛上の必要性を作ってゴネている。「公務員宿舎の家賃 防衛省が据え置き求める」※がそれだ。怪しいことこの上ない。

 防衛は「現在の家賃に住宅手当を上乗せした水準で転居できる地域を分析したところ駐屯地や基地まで、歩いて3時間以上かかる人がおよそ4割になると見込まれ」ると言っているが、今との比較がない。だいたい、田舎の航空基地でも、歩いて3時間以上かかるところに住んでいる隊員は2割はザラに居る。現地採用の人間は、地縁血縁のある地元に済む。自宅を買う人間も、交通不便な自衛隊基地の近くには家は買わない。大抵は交通便利なところに買う。いまでも歩いて3時間かかる人間が2割いる、それが3割になる程度の話だ。

 そもそもの「現在の家賃に住宅手当を上乗せした水準で転居できる地域を分析したところ」も怪しい。同じ価格帯に転居する前提であるが、実際には官舎から出るなら、多少高くとも便利なところに住む。仮に防衛の和光宿舎から出て行くとしても、借家で川越市以北に行くような、都落ちする奴はいない。和光官舎3万円から出て行くとしても、2万7000円の手当を足して5万7000円の家には住まない。一人暮らしや夫婦暮らしなら、多少狭くても和光市内に留まるか、むしろ都心よりに移る。子供がいるにしもて、朝霞や志木あたりの離れたところで済ます。

「家賃収入が年間17億円減る一方、住宅手当や交通費などで、新たに支出が89億円増える」も、相当に影響を大げさにした調査結果だろう。防衛省だけに限らないが、役所が政策に絡む調査というものはそんなものだ。静岡空港や茨城空港の利用者予測のようなものと眉に唾つけてみるのがいい。

 なににしても、防衛省の都合にすぎないということだ。

 官舎の問題では、防衛だけを特別扱いにする必要もない。自衛官の給与水準は、一般の国家公務員よりも高めに設定されている。給与水準の低い一般公務員の官舎代を上げて、防衛だけを据え置くのはおかしな話である。また、国家公務員の人数の過半数は自衛官である。民間より安すぎるとういった官舎問題で、対象の過半数を残すのは片手落ちもすぎる。防衛もお構いなしに官舎代を上げれば良い。



※  「公務員宿舎の家賃 防衛省が据え置き求める」『NHK NEWS WEB』(NHK,2013.10.20)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131020/k10015409351000.html
2013.10
20
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12:00
Category : ミリタリー
 74式戦車の部品再生産は、容易に実現可能である。

 前に「74式戦車の部品の再生産はできない、予算は単歳だけど再生産は1年では終わらない」という半端な知識をひけらかす人がいた。普通に国債で契約できると教えたのだが、調べてみると実際に国債でやっている。

 ちなみに国債とは国庫債務負担行為のことで、国が1つの契約の履行期限を2-5年とするもの。普通は2-3年で、それぞれ2国、3国と呼ぶ。ミサイル艇は3国、掃海艇は4国。護衛艦と潜水艦は5年だが、これは国債ではなく特例の艦艇継続費でやっている。艦艇建造は年度ごとの支払いがバラつくが、国債だと年度支払いの標準があるが、

 平成25年度の一般会計予算をみると、武器車両等整備費用は最長の5年国債になっている。25年予算では、戦車や装甲車を購入する武器購入費も5国である。例の水陸両用車、AAVP-7、昔のLVTP-7を買う話があるので、輸入につきものの納期トラブルを防ぐために、このあたりは5年にしているのだろう。やる気になれば、明許繰越と事故繰越を使えば、この予算は7年まで引き延ばすこともできる。明許と事故繰は昔やったことがあるが、面倒だが難しいというほどでもない。

 武器車両整備費が5年国債なら、その枠内に74式の部品再生産を入れれば5年、伸ばして7年でできるということだ。もちろん、全ての整備費が5国というわけでもなく、中には単歳や2国・3国も含まれている。だが、枠の最長が5国なら、74式の部品再生産でも、理由を立てれば5国にするのは難しくない。

 車両については、輸入でなくとも国債にしている例もある。国産大型トラックは納期の関係で2国とされている。大型トラックで理由が立っているなら、戦車用部品調達でも理由は立つ。

 「74式は寿命だ、足回りやらエンジンやら」も、結局はやるべき整備をやっていないだけの話だ。確かに、油気圧式のサスペンションも面倒だろうし、エンジンは12ZC系列で素性は悪い。

 だが、エンジンと足回りに高度整備を施せば、74式はまだまだ使える。砲は機動戦闘車と同じである。FCSにしても、L-7は中距離までなら直接照準でも命中率に大差はない。装甲も、機動戦闘車よりも丈夫である。

 もちろん、戦車は余っている。90式戦車が350両、10式が50両もあれば、74式はなくても良い。ただ、74式の過半は製造から30年も経っていない。その足回りとエンジンに高段階整備を施せば、別に10式も機動戦闘車も新しく作る必要はなくなる。本土防衛やら警備所要は大したものではない。また、その優先度も低い。74式でも性能は充分であるし、無駄に高い新車両を買うよりも既存品を活用したほうが経済的である。
2013.10
19
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12:00
Category : ミリタリー
 海自は物持ちが良い。退役艦艇から引き剥がした大砲の類は後生大事にとってある。昔の艦艇に積んでいた人力装填の3インチ砲が、大湊の弾薬補給処で相当後まで保管しているのを見たことがある。武器関係では対潜爆弾もそうだった。今ならOTOの3インチ速射砲※ やCIWS、機関砲の類も後生大事にとっておいてあるのだろう。

 その3インチ速射砲も、CIWSも予備品が相当に余っている。搭載艦艇がドンドン退役しており、除籍前には金目のものと使えそうなものは全部引き剥がす。物持ちの良い海自はそれを「何かに使えるだろう」と、とっておいてある。おそらくは、戦時に特設艦艇を作るとか、輸送艦や補給艦への追加装備として使う頭なのだろう。

 しかし、大概は取っておいてそのままになる。有事がないのはそれはそれでいいのだが、あの砲とCIWSをもっと積極的に活用できないものか。例えば、昨日挙げた、インド洋に置きっぱなしにしていいような安価な軍艦あたりは、それでこさえられるのではないか。

 はるな、たちかぜから取り外し、後生大事にとっておいてある5インチ砲Mk42 を、飾り程度の主砲にしてダブルエンダーで2門つける。対空と実用に使うOTOの3インチ砲も、背負部分に前後にダブルエンダーで積む。FCSもどうせあまる2型21だか22だか積んでおけば良い。砲の据え付けさえ良ければ、3000m先の風船に吊った1mのレフレクターに直撃する。対空防御が気になるなら、CIWSを追加してもいい。CIWSはFCSはいらない。両舷の高いところに自爆艇その他よけで掃海艇の20mmを1門づつ積んで置けば充分だろう。

 ミサイルも、中古で簡単なものなら積める。ハープーンなら置くだけで終わる。TOTのような高度なことをしなければ、ケーブル1本にスイッチ付けるだけで終わる。さすがに対空ミサイルは面倒だが、スティンガーやら携SAMを、ミストラルのSIMBAD発射機みたいなランチャーに積んどけばないよりはマシだろう。

 それで一隻をでっち上げれば、結構安く上がるのではないかね。



※  ちょっと前までは、3インチ速射砲の保管には意味があった。OTOの3インチ速射砲は、、Mk45なんかとは違って、要はデカイ機関銃で定期整備に時間が掛かる。このため、護衛艦本来の定期整備基幹に間に合わないので、Aに積んでいた砲をBに、Bに積んでいた砲をCに積むようなことをやっていた。たしか会計検査関係資料でみたことがある。
2013.10
18
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13:00
Category : ミリタリー
 海賊対処のためのインド洋派遣は、もう5年目に入っている。いまのところ、水上艦2隻とP-3Cを順繰りに派遣しているが、その往復も厄介である。飛行機はともかく、護衛艦は置きっぱなしにしてもいいのではないか。

 インド洋に護衛艦を置きっぱなしにすれば、艦艇を往復させる無駄が省ける。ソマリア沖までは、1万2000kmある。片道15ノット強でざっと2週間はかかる。派遣期間5ヶ月のうち、往復に1ヶ月を費やしている計算になる。護衛艦を置きっぱなしにして、乗員だけを飛行機で入れ替える方式にすれば、その1ヶ月分が節約できる。水上艦2隻で、30日分とみれば、60隻・日の戦力を有効に使うことができ、艦艇燃料や乗員の給与・休養も安くあげられる。

 実際に、昔から遠洋漁業では置きっぱなし方式を採用している。漁船を現地の港にとどめ、乗員を飛行機で入れ替え、漁獲物を冷凍船で日本に送る方法である。漁船はそれで問題なく動いている。

 ただし、問題は3つある。1つ目は人員上の問題、2つ目は艦艇整備の問題、3つ目は艦載ヘリの整備問題である。

 まずは、人員上に問題がある。乗員を交代させる仕組みがないことである。今の仕組みでできるのは、できるのはスワップだけである。予備クルーがないので、交代用乗員の準備や、交代後の乗員を休養させることができない。また、細かいことだが、護衛艦にも厳密な互換性がない。同じクラスの護衛艦でも、全く同じには作っていない。同型艦の乗員を連れて行っても、ごく短期間は乗員完熟のための訓練は必要になる

 艦艇整備の問題もある。護衛艦の装備品には、頻繁な整備が必要なものがある。艦艇基地では、毎日整備が行われている。電測やシステム関係では、ほぼ毎日どこがしかの業者が入っている。艦艇をインド洋に長期間置きっぱなしにした場合、日本国内のようなメンテナンスは難しく、稼働率はそれなりに低下していくことになる。

 艦載ヘリの整備も面倒くさい。ヘリコプターの整備感覚は相当短い。SH-60の場合、飛行30時間ごとにSi-30の整備が必要になる。以降も、飛行時間が伸びるごとにより高段階の整備が求められる。インド洋派遣でもすでに相当のムリをしている。たとえば「きり」型では本来はできないはずのエンジン交換を行っている。

 結局のところ、これらの問題があるので、水上艦を行ったり来たりさせている。

 しかし、上で挙げた問題は、割り切りと工夫である程度解決するのではないか? インド洋派遣は、あくまでも海賊対処である。それほど高度な運用は求められない。対潜戦や対空戦闘の必要もない。監視と臨検、けが人の輸送といった戦闘とはつながらない仕事がメインであり、あっても機関銃をメインとする砲戦程度である。

 人員上の問題は、同型艦グループから、必要を絞った人数を抽出して予備クルーを作っておけば良い。それを、置きっぱなし水上艦に一番似た同型艦に乗せて国内で3日程度訓練して現地に送り込む。団結的な連携プレーは、派遣後に行動しながらできるようにすればよい。

 艦艇整備の問題も、使わない装備はしばらく放置しても良いと割り切れば良い。別に対潜戦や対空戦をやるわけではない。ソーナー、対潜砲台、SAMまわりは、日日で点検する程度でよいと割り切れば、整備はそれほど負担ではなくなる。もちろん、機関や大砲まわりが壊れたときには、今までやっているように、国内から部品を送る体制でやってみて、駄目なら技術者を派遣すればよい。

 艦載ヘリは、ヘリごと丸替えすればよい。艦内や現地でできる整備の限界を超えたときには、ヘリごと丸替えするしかない。ただし、ジプチに基地があるので、そこを拠点として予備機でも置いておけば、計画的、あるいは突然の機体入れ替えもそれほど難しくない。ヘリ自体は他国の大型輸送機でも、船舶でも送ることはできる。

 ただし、一番いいのは、置きっぱなし専用の護衛艦を作っておくことだ。高度な3次元レーダ装備やVLS、ソーナーもいらない。5インチ砲とヘリだけあればいい。護衛艦に乗ったことがあれば直感的にわかるような、ただっ広いレイアウトにして壁に説明書だらけの水上艦を、完全互換で3-4隻作っておけばいい。2隻は国内で、2隻は国外に置きっぱにしておいて、艦艇を2年1回でローテーションでもすれば、相当に便利だろう。バルブの位置や機械の配置も、広いところに系統立てて配置しておけば、余り悩まない。他の型から転勤しても直ぐに対応できる。

 海外派遣が終わっても、大砲とヘリが使えれば、いまの「あぶくま」よりもよほど使える水上艦が残る。平時の水上監視や、艦砲射撃での水陸両用戦の支援、ヘリに全てを依存する形の対潜戦といった任務に投入することはできる。
2013.10
18
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11:59
Category : 有職故実
 セルフ式のガソリンスタンドで、まだまだ入るのに、機械が勝手に満タンを検知して止まってしまうことがある。下から上がって来る泡混じりのガソリンを液面だと感知した結果だ。なんとなく満タンにこだわるから、結局、継ぎ足しをする羽目になる。

 あの自動検知装置、てっきり、音響センサだとばかり思っていた。ヘルムホルツ共鳴…何のことはない、壷を叩いたとき、容積の大きいほど低い音で鳴るというあの原理…で、タンクの空容積減少にともない、共振周波数が高くなることを利用していると思っていた。給油口から出てくる音は、最初は低い音だが、後にだんだん高くなってくる。シュゥー、というか、キュゥーという音とともに自動検知が働いてストップするから、てっきりあの音を利用していると考えていた。共鳴周波数が急速に上がったら、満タンみたいなロジック。

 しかし、現物はもっと単純で確実なもの。給油管の中で真空引きをしている感知管があるとは知らなかった。
http://www.tatsuno.co.jp/self/ 多分、感知管の系統の奥に、バネで押される弁みたいなものがある。それが、感知管からの空気で押されている間は満タン停止装置を動作させない。逆に感知管からの空気流が弱くなると満タン検知機構が動作する。大の大人の出にも余る給油器の大きさからすると、実際には機械式にガソリン送油側のバルブを閉めるようになっているのだろう。小銃の尾栓をとめるロッキングカムのような仕組みで。

 なんにせよ、機械式である。昭和期の古いスタンド、ホイール式表示式給油機にも満タン停止装置がついている。エレキ式だと何かの拍子のトラブルが気になるが、単純な機械式であれば信頼性は高い。なんにせよ、シンプル・イズ・ベストなのだろう。
2013.10
17
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12:00
Category : 未分類
 早大図書館で『台湾光華雑誌』(左が中国語、右が英語)を眺めていると 「台湾のおいしいパン屋さん」見たいな記事を発見。

 写真とキャプションで「菠蘿麺包」とある、「菠蘿って、バニラかな?」と思うが、写真はメロンパンライク。英語はBoluo Bunとあるだけで得体が知れない。

 「珍珠〓菠蘿」下駄は「女乃」という字…まあ美味しいのでしょう。「黒魚保菠蘿」という表現もある。黒魚の汁が入っている…イカ墨?か。あるいは、黒魚といえばマグロで、そのツナか(中国語では黒魚=真鯛らしいが、結局何だったのだろう)。

 調べてみたら、パイナップル・パンとのこと。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%A0%E8%98%BF%E5%8C%85
なんでパイナップルかというと、表面の形がが似ているから。

 メロンパンにメロンが入っていないように、菠蘿にはパイナップルは入っていないとのこと。

 ほかに読んだ台湾雑誌は、『卓越雑誌』と『天下雑誌』。 まともに読んでいないけれどもレイアウトからして台湾版『プレジデント』のような感じだった。

(2008年の日記から採録)
2013.10
16
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12:00
Category : 有職故実
 ソ連による内外発表を、外務省が纏めた『ソ連月報』という本があった。その月報の、80年初頭を読むと、対外プロパガンダも多数掲載されている。

 だが、そのプロパガンダの中に、本当の気持ちが吐露されている。対外強硬的な強がりであっても、その中にソ連の弱味を乱すことができる。

 例えば「日本の軍国主義者は、北海道に精鋭の4個師団を配備し、ソ連への侵攻を窺っている」(大意)とある。当時の日本人からすれば、逆にソ連が日本に攻めこむつもりだろうと反発しただろう。だが、それはソ連人※ も同じである。

 これは、ソ連にとって、4ヶ師団は相当に脅威であるとする心情を素直に表したものである。

 ソ連人が日本の侵攻を危惧することも、不思議ではない。ソ連極東部は、今ほどでないにせよ、昔からスカスカである。対日正面はサハリンに2ヶ師団があるだけ。日本の軍備増強に対しては、70年代末から戦力をかき集めて、北方領土に全滅予定部隊を1ヶ師団規模置くのが限界だった。

 北方領土返還を要求する日本が、戦力を強化するのはソ連にとって脅威であった。特に、強硬に返還要求をしている北方領土から目鼻の先にある、北海道の陸上戦力強化は脅威以外の何物でもない。日本は、ソ連の脆弱な下腹、オホーツク海に貫入している北海道の、その正面の4個師団プラスを重点的に近代化を始めたのである。

 また、キエフ級軽空母に対する批判への反発も同じである。当時、ソ連が空母を入手したことに、中国を含む西側はソ連軍事力増強の象徴であると非難していた。ソ連はそれに対抗して「アメリカは大型空母15隻を保有しているのに何の非難もされない。だが、ソ連がキエフ級を整備しただけでは『平和の敵』と非難されるのは理不尽 」(大意)と反発している。

 これも、LPH相当の能力しかないキエフ級を理由にして、西側海軍力の増強を始められるのは、割にあわないので勘弁してくれといった内面を見て取ることができる。

 ソ連海軍からすれば、キエフ級は玩具であることを承知している。

 そのキエフ級を理由に、西側が海軍力を強化するのは、酷いイジメである。海軍力格差はむしろ広がるといった絶望があるのだろう。特に、キエフ級のイメージは、西側海軍力強化にいいように使われている。アメリカの600隻海軍を後押しする要素になっているし、日本の海空自衛隊強化をするための、理屈付けにも使われていた。

 ソ連だけではないが、対外プロパガンダには、強硬な物言いに見えるものの、そこには内面の弱味も観察できるものだ。今の中国や、最近、急に下品になった日本の対外主張にも、強気であるように見えながら、その内実は弱味を隠しているものは見つけられるだろう。



※ 今となっては「ソ連人」はお笑い種だが、当時はソ連人と纏めて見られていた。ソ連国内の、アジア系少数民族やイスラムとの距離感は知られていたが、スラブ系諸民族の間の軋轢、例えばウクライナ人は自分たちは抑圧されていると感じているといった話は、軽視されていた。
2013.10
15
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19:40
Category : ミリタリー
 JSFさんが、例によって誤った知識で他人を攻撃している。「戦時国際法では発電施設への攻撃は禁止されています」と明言したのがそれだ。だが、戦時国際法には発電施設への攻撃を禁止する条項はない。

■ いつもの戦車への執着
 ことの始まりは、戦車の必要性への疑問に対する、いつもの拒絶反応である。戦車整備に疑問を持つ意見に対しては、JSFさんとその一党は、カミツキガメのように怒り狂う。イトヨとサイン刺激のようなものなのだろう。そこに戦車不要論とやらを見つけて、闘争を仕掛けている。その理屈も奇妙なものなのは前から変わらない。島嶼国家である日本で戦車は重要性を持たないという主張に対して、大陸国での戦車の重要性を述べるというチグハグなものだ。

 一党の中でも特に間抜けな意見としては、次が挙げられる。
松田未来@macchiMC72
だから戦車と装甲車では防御力の桁が違うと何度言えば。
http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-ffd8.html …
105ミリ砲で装甲戦力の中核を担えると考えてるのかな。
https://twitter.com/macchiMC72/status/389750332571406336
dragoner‏@dragoner_JP
戦車が電撃戦等の機動戦理論の中核・主役足り得たのは、地上の全ての敵を自車で破壊できる攻撃力と、敵の反撃を受けても機動を持続する防護力を備えていたからであって、そのいずれも微妙な装甲車両がそれを代替できると考えているのならば、ああそうですかとしか言い様がない
https://twitter.com/dragoner_JP/status/389753316923539456
前者は、兵器の強い弱いでしか考えられない貧困な発言である。日本本土での防衛力の所要といった大きな視点は持てないことを示している。後者も理屈に酔っているだけの話である。戦車が戦いの主役となるような環境ではそうかもしれないが、日本がその環境に当てはまるのかについては、思慮が及んでいない。

 そして、「それは大陸国の話ではないか」と冷静な疑問を投げかける別人に、JSFさんは論難を仕掛けている。そこでは、いつもの時代錯誤も振り回している。「日本の本土防衛方針って『アメリカ軍の救援が来るまで粘る』」がそれだ。結局は、JSFさんの現状認識が昭和50年代で止まった「侵略される弱い日本」に留まっていることを露呈している。

■ JSFルール:電力網攻撃禁止
 この流れで出てくるのが、JSFルール、電力網攻撃禁止である。中途半端な国際法知識で
JSF‏@obiekt_JP
@kimomenistan だからそれがどうしたんですか? 絶たれたら復旧すればいいし、戦時国際法では発電施設への攻撃は禁止されています。戦時国際法を全く守らないような相手ならアメリカのみならず全世界を敵に回してしまうわけで、そいつ負けますよ。
https://twitter.com/obiekt_JP/status/389807425458405376
と述べてしまっている。

 これは、JSFさんの戦時国際法に対する理解が、複数の段階で誤っていることを示している。

 まずは、単純な条文理解の誤りである。国際法では、電力網への攻撃は明示的に禁止されていない。生半可にジュネーブ条約を読んだのだろうが、明示的に禁止されているのは、原子力発電所への攻撃である。その原子力発電所への攻撃も絶対的禁止ではない。攻撃が明許される条件も記載されている。

 また、JSFさんは攻撃禁止となる理由が全くわかっていない。攻撃禁止目標は、文明的価値の尊重、人命保護の必要性で決められている。原子力発電所が攻撃禁止とされたのは、攻撃に伴う副次的な被害、放射能が撒き散らされる事態が、人命保護という概念に反するためである。これは、ダムが攻撃禁止目標とされていることと共通している。ダム攻撃禁止は、人命の安全に必要な安全設備を攻撃することは、人命保護という概念に反するためである。

 そして、JSFさんは戦時国際法の根幹を為している、軍事的合理性という概念も理解していない。戦時国際法は、軍事的必要があり、付随する民間被害を受容の範囲とできる限りにおいては、軍隊やその施設以外への攻撃を認めている。たとえば、軍隊の利用や戦争遂行努力に組み込まれたインフラへの攻撃である。このため交通網や通信網は、攻撃目標であることは自明となっている。電力網も、交通網や通信網に準じた攻撃目標として、認知されている。実際にも、コソボ紛争でも攻撃目標となった前例がある。前例は国際法を構成する要素となりえるため、電力網攻撃そのものを持って国際法違反とは言いがたくなっている。

 また、JSFさんの発言には、国際法への無知以外の矛盾点もある。「戦時国際法では発電施設への攻撃は禁止されています。戦時国際法を全く守らないような相手ならアメリカのみならず全世界を敵に回してしまうわけで、そいつ負けますよ。」について、ある軍事研究家がその矛盾を突いている。迷惑を考えて名を明かさないが
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-3308615,00.html 思いきりイスラエルがやってる気もしますが、米軍がこれに対して人道的介入したんでしょうか
と、普段からJSFさんが擁護しているそのイスラエルが、発電所を攻撃している実例をあげている。

 JSFさんは攻撃的衝動に身を任せたとき、無知を晒すことが多い。前の電気防蝕もそうだが、今回の国際法も酷い。一党も、戦時国際法についてご存じないので、その辺り無知であることを承知していないのだろう。

 そもそもの電力網等攻撃の危険性の指摘についても、JSFさんは電力網に限った反論しかしていない。JSFさんの反論もあまり説得力を持たないものであるが、それは置いておく。だが、電力網が攻撃されるときは、交通網も通信網も攻撃されている。それ以前に、制空権も失われており、自衛隊も悉く攻撃されている。制空権を喪った挙句、自衛隊も好きに叩かれ、その上電力網、交通網、通信網に攻撃を受ける段階で、果たして戦争継続できるものだろうか。

 また、日本上空での制空権を喪った段階では、日本周辺での制海権も怪しくなる。日米海軍による制海が失われれば、日本の生存に必須な海上輸送も止まる。また、JSFさんが心待ちにしている米軍の海上輸送もできない状態である。その状態で戦争を続けることを選ぶとするJSFさんは、かつての本土決戦論者と変わるところはない。

 そのとき、JSFさんは「自衛隊には無傷の戦車400両がある。敵を本土に引き釣りこめさえすれば勝てる」とでもいうのだろう。迷惑至極な話である。
2013.10
15
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12:00
Category : 有職故実
 福岡の火事の件で、防火扉が違法状態という報道があるが、消防のスタンドプレイではないか。「福岡・整形外科10人死亡火災 防火扉の一部が違法状態」がそれだ。

 報道は、防火扉が煙感知ではなく、熱感知のままにされたことを責める内容である。だが、そんなものは既存不適格でいくらでもある。74年の基準法改正以前の建物では、熱感知はいくらでも残っている。さらに、それ以前の建物では、防火扉が手動なところも幾らでも残っている。

 そして、病院も、増築前であれば、合法であった。そして、極く小面積を増築したからといって、火災の危険性が増えるわけでもない。防火扉が熱感知ではなく煙感知でも、延焼防止には大した効果はない。

 そもそも「建物4階の防火扉は、閉まらないようにロープで固定されていた」では、熱感知でも煙感知でも変わるものではない。そこで「病院1階の防火扉2枚が、法律で義務づけられた『煙感知式』のものではなかった」ことは、火災発生や延焼の原因とは全く関係を持たない。

 これは、消防のスタンドプレイである。消防は取るに足らない設備を云々して、建設業を、オーナーを虐める。

 消防の仕事は年々減る。建物が不燃化せず茅葺きが残り、石炭木炭薪で調理していた昭和30年までには、火事は多かった。延焼も多く、街区がまるごと焼けることも珍しくはない。しかし、昭和50年以降は、火事は減った。建物は木造を含めて難燃・不燃化し、屋内での裸火使用も相当に減少している。

 暇になった消防は、自分で仕事を作り始めた。消防法を盾にした予防消防がそれだ。特に指導課の裁量指導は、建設行政に較べてあまりにも根拠に乏しく、杜撰である。根拠である消防法規にすら基づかない、その場限りの上乗せ規制や難癖も多い。ヒマな人間ほど余計な仕事を作るが、消防はそのいい例でである。自分たちで仕事と権益を作りだそうとしているわけだ。

 今回の防火扉の例は、過剰な要求である。防火扉をつけろから始まり、熱感知はダメだ、煙感知にしろ、煙感知も駄目だ、炎感知にしろといった、大した効果も上がらないエスカレーションを求めてくる。これらは、効果が少ない割にカネがかかる。そのような過剰要求の原因としては、背景に消防設備業界があるからである。

 消防と消防設備業界の癒着は、ロクなものではない。そのいい加減さは、消防指導課に対応した者から話を聞けば良い。月刊『フェスク』あたりにある無駄な設備ばかりをつけろと五月蝿い。その中身は、悉くが金が掛かり、業界を儲けさせるだけのオモチャである。委細は前に「この無駄なもの『火災脱出用シュータ』」で書いている。

 所詮は、消防のスタンドプレイである。真に受けるべき内容ではない。
2013.10
14
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12:00
Category : ミリタリー
 英国に艦艇用ガスタービン・エンジンを売るらしい。「エンジン部品英艦提供を政府容認 川崎重工製、禁輸三原則抵触せず」※によると、民間でも使えるエンジンだから構わないという話である。

 日本護衛艦の、ガスタービン・エンジンの半分以上は英国系エンジンである。ロールスロイスのオリンパス、タイン、スペイ※※ が、汎用護衛艦に使われている。スペイは今でも使われている。これらの製造・サポートは川崎である。§

 これらのガスタービンは、汎用といえば汎用である。航空機用エンジンを転用したもので、発電設備や大規模揚排水設備でも使われている。民間船にも例はないわけでもない。軍艦専用というわけでもない。だから輸出可能としたのだろう。

 しかし、「民生にも使える」ことと「民生品だから」は違う。中古の英国製艦艇を使っている国は多い。オリンパス、タイン、スペイの類を「民生用であり武器ではない」とすると、その手の国、しかも戦争中の国にも売れることになってしまう。

 相手が英国だから安心というのもわかる。それほど無茶はしないだろう。仮に転売するにしても、日本製であることをわからないようにごまかしてくれといえば、誤魔化してくれるだろう。

 本来なら「英国ならOK」といった国ごとの切り分けを前に出すべきではないのか。今でも、米国には防衛技術は売れることになっている。その仕組を、まずは安心の英国に適用する形を取るべきだった。

 これは、必要に応じて「売れそうで、売って構わない国」に拡大しても構わない。例えば、アジアなら豪とNZ、マレーシア§§ あたり、中南米ならアルゼンチン、ブラジル、チリあたりが、売れそうであり、かつ安心できる国だろう。逆に、インドやベトナムは相当に怪しい。今の政権の価値観外交とやらの横車があっても売らないに越したことはない相手である。¶



※ 「エンジン部品英艦提供を政府容認 川崎重工製、禁輸三原則抵触せず」『47News』(全国新聞ネット,2013.10.14)http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013101301001673.html

※※ 他にも、護衛艦の非常発電機が小さいガスタービンだったような気がする。ただし、RRではなく、米国製LM500かもしれない。

§「日本におけるロールス・ロイス」(ロールス-ロイス)http://www.rolls-royce.com/japan/jp/about/rolls-royce_japan.jsp

§§ 今回のロールスロイス設計の艦艇用ガスタービンに関しては、これらの国は英連邦で英国製艦艇を使っているようだが、使っていない。実際には独製MEKO系がメインである。豪、NZのガスタービンは米国製、マレーシアではガスタービンは使っていない。

¶ まあ、中国もスペイの元になった英国系ファントム用エンジンの製造設備も持っているけどね。
2013.10
13
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13:25
Category : 有職故実
 根底には、国際社会とか国連は全く無力とする発想なのだろうが、これはこれで現実味はない。

 投稿日時とベストアンサーの中身から、テキ屋とサクラ臭い。http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1082210225だが、国際社会という要素を完全無視できるという回答には、逆に非現実である。

 そもそも、問い・回答ともに混乱している。「米軍基地がなくなること」と「日米安保を解消」は違う。そして、現況で、なぜ日米安保を解約するのかは分からない。

 回答は、逆に非現実的である。「国際社会は全く無力であり、特に常任理事国の侵略には干渉できない」とする主張に終始している。

 しかし、常任理事国であっても、大義名分のない無名の師は、正当化されない。なにも悪いことしてない日本が、ロシアや中国に一方的に攻め込まれる状況であれば、国際社会はロシアや中国を非難する。主権国家への侵略は、常任理事国にも強い逆風となる。実際にソ連のアフガニスタン侵攻がそうだった。常任理事国であるソ連は、安保理で拒否権を行使したが「平和のための結集」でひっくり返されている。

 常任理事国の拒否権も、どこにあるのかわからない僻地にあり、政治的関係や経済関係で孤立していたアフガニスタン侵攻レベルでひっくり返っている。仮に常任理事国が、納得できる理由なく日本に攻めこむと、安保理の拒否権は、どうように平和のための結集決議で封じ込められる。

 ある程度、外面のいい日本が一方的に侵略されている状況なら、援軍は来る。露骨な侵略への対抗であり、政治的にも各国の援助は見込める状況である。また、日本に恩を売るチャンスでもある。イラクのクウェート侵攻と同じように、日本経済、市場へのアクセスを重視する国は、日本に援軍を送る。中国やロシアが日本を侵略するような情勢では、安保条約を抜きにしても、米国は介入するし、英連邦もそれについてくる。国際社会での名声を求めるフランスあたりも来る。おそらく、名もない小国も、後々を考えて、歩兵1ヶ大隊みたいな、象徴的な戦力位は派兵しましょうかという話にもなる。

 そもそも、回答は現実的な前提をすっ飛ばしている。中国やロシアに対日侵攻する理由も能力もなく、自衛隊もそれほど弱くもなく、日米安保の存在を無視している。

 それに加えて、国際社会とか国連は全く無力であるとするのは、逆に甘い見方である。国際社会も国連も無視出来るものでもない。特に植民地帝国的な侵略であれば、国際社会は間違いなく動く。この点を非現実的な理想主義的、空想主義的であると批判したいのだろう。だが、逆に全く動かないとするほうが、非現実的である。




予定投稿の日にちを間違えていたので、いま反映させました
2013.10
12
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12:00
Category : ミリタリー
 仮に対日戦で中国が全力で航空戦をやるとした場合、中国側の勝ち目は薄いのではないか。アラアラの計算ではあるが、開戦初日で実質パリティ、4日目でソーティ数で並び、8日目以降は日中戦力は逆転する。

 日中の航空戦力は、質で超越する空自と、数で超越する解放軍空軍といった態勢にある。

 空自側は質で優れる。戦闘機や兵装での性能、パイロットの技量や、整備能力、AWACSや空中給油機といった優位がある。対中戦での防空を考慮すると、洋上救難体制や、JADGEや陸海空対空ミサイルによる支援も優位にある。ただし、中国に対しては数で劣る。F-15は200、F-2(F-16改良型)は100と、約半分である。

 中国空軍は、数で優れる。概ねF-15に対抗できると見られているSu-27系をざっと400、F-16系に対抗できると考えられているJ-10を250保有している。ただし、質的には日本に劣る。Su-27系統はF-15に勝るものではなく、J-10はF-16に優位に立つ機体ではない。中国空軍パイロットの飛行時間は相当短いといわれている。整備能力は特に高いという話はない。実用AWACSは持たず、空中給油機も少ない。また、対日戦での攻勢的航空戦を考慮すると、J-10は航続距離の限界に近く、余裕ある戦闘ができない。日本側とは違い、航空救難や防空システム、対空ミサイルによる支援は期待できない。

 一概にどちらが優れているというわけでもない。仮に、日本が中国本土に空襲を掛けても、巧くはいかないだろう。Su-27やJ-10といった新鋭機だけでなく、J-7以降の旧式機も立ち向かってくるし、地対空ミサイルによる攻撃も考慮しなければならない。

 ただし、日本での防空戦であれば、日本側が有利な態勢を確保できる。日中両空軍が日本周辺で戦闘するなら、日本側が優位は確実である。使用できる基地数や、そこから戦場までの距離、JADGE、SAM、空中給油、航空救難その他の支援で、日本側は優位にある。中国側としては、航空撃滅戦で戦闘機を地上撃破したいだろうが、日本側の航空基地や、転用可能な民間空港の数から、それらを覆滅するのは難しい。仮に、琉球列島や九州にある航空基地を叩いても、足の長い日本側航空機が本州ほかから防空戦参加を阻止できない。本州西部にある基地や、本州、四国や大東諸島の空港を転用した特設航空基地から、悠々と防空戦に参加する。

 対日航空戦では、中国空軍は早期に戦力を損耗し、日本への航空戦が不可能になるのではないか。中国空軍は多数の作戦機を持っているが、態勢上の不利から日本周辺での消耗戦では分が悪い。仮に、日中の損耗比を1:3、日本機が1撃破される間に、中国機が3撃破される。航空戦1日あたり日本の損耗が5%、中国15%とすると、8日目で日中戦闘機数は209:208と同数となってしまう。

 航空戦での数的優位も、中国側はなかなかとれない。中国側が数的優位が取れるのは、開戦第一撃だけである。

 機体回転率を加味すると、航空戦では日本側が有利になる。日本側は防空戦で進出距離が短く、非常着陸も容易で疲労も少なく整備等後方支援に優れる。中国側はそれがない。日本側が1日3ソーティ、中国側が1日2ソーティとすると、初日の段階で中国はそれほど優位を取れない。中国が優位を取れるのは650機を集中運用できる第一撃だけになる。

 ソーティ数でみれば、日本側は開戦第一日でもパリティを確保できる。機体の稼働率を無視した計算だが、日本は初日900ソーティを出せるが、中国は1300ソーティに留まる。空中での戦力比は1:1.4であるが、中国側の圧倒的優位ではない。日本側はJADGEにより優位な対勢を作れるし、SAMによる支援も得られる。中国側は基地攻撃やレーダサイト攻撃にも戦力を吸引される不利がある。日本側防空任務と中国側制空任務の機体数は、1:1に近いものになるだろう。

 そして、4日目になると、日中の在空戦力比率は完全にパリティになる。日本側残存機257、771ソーティに対して、中国側残存機399、798ソーティと、ほぼ1:1になってしまう。これでは質的に優位にない中国側は、レーダサイトや航空基地を初め、軍港や交通結節点への対地攻撃の余裕は全くなくなる。対日航空戦をやる意味は相当に失われる。

 8日目、日本側209機、627ソーティに対して、中国側208機、416ソーティと、日中比は1:0.66となる。航空機性能や、JADGEほか支援、稼働率を考慮すると、中国側には勝ち目がない。そもそも、ここまで消耗する前に中国側は対米戦や、日本側空襲、それ以外との戦闘に供えて戦力温存を図るだろう。

日中航空戦

 これに機体稼働率を加味すると、中国側はさらに悲惨になる。日本側稼働率を0.8、中国側を甘めに見て0.7とすると、一日早い3日目にソーティ数が648対656とパリティになる。東側航空機の耐久性や、その運用、整備思想から、稼働率が維持できるのは、実際は3日が限度となる。3日目以降の稼働率が、日本側0.7、中国側0.5に低下すると、8日目のソーティ数での戦力比率は450:200になってしまう。

 また、日本側には、航空戦に使える予備戦力がある。50機のF-4も、防空任務に随時投入可能である。在日米軍の米空軍90機、海兵隊40機も、防空ほか航空撃滅戦や含む航空戦に投入可能である。空母に搭載される米海軍戦闘機約50機も、防空にもその他航空作戦にも参加できる。他にも、米国からの戦時増援は、少なくとも空軍戦闘機で50-100、空母1-2隻はある。

 これらから、中国には全面対日戦は相当に困難である。仮に日中の損耗比や一日の損耗率、ソーティ数や稼働率が多少変動しても、中国空軍には対日航空戦での勝ち目はない。中国は対日戦で制空権を、言い方を変えれば絶対的航空優勢をとることはできない。※ それからすれば、中国軍による日本本土侵攻は初手で躓くということだ。中国脅威論で、日本本土防衛を云々してもこんなものである。

 日本軍事力は強力であり、周辺国による本土上陸は無理な相談だということだ。本土防衛にしか使えない戦力を更に積み増しても無駄な話である。日本の安全保障上の問題はグローバル化している。陸自の戦車みたいな本土防衛にしか使えない戦力を作るよりも、その資源を外洋やその向こうで使える戦力に投入したほうが良い。



※ 尖閣諸島や先島諸島でも中国は制空権を打ち立てられない。仮に尖閣諸島での航空優勢が中国ベースになっても、日本側は任意の時期に航空戦力を集中運用することにより、航空優勢を奪うことができる。一時的な航空優勢で上陸戦なんかできやしないが、通り魔的な攻撃で上陸戦を頓挫させることはできる。
2013.10
11
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12:00
Category : ミリタリー
 江畑謙介さんが訳した『世界史を動かすスパイ衛星』(もう20年前の本ですね)に、スパイ衛星KH-9の解像度について書かれている部分がある。KH-9は冷戦時代に使われたフィルム回収式の偵察衛星である。今から思えば、こいつに燃料やフィルムを補給することも、スペースシャトルの重要な仕事ではなかったかと思うのだが、それはさておき、KH-9の解像度についてである。

 冷戦時代、偵察衛星の解像度についてはいろいろ言われていた。公開写真があったため、飛行機が類識別できることは判明していた。地上でジェットエンジンをアイドリングしたあとの排熱がエプロンの路面に残っているのも、赤外線で分かることも知られていた。しかし、それからはだんだん怪しくなってくる。たとえば、昼間の人影から部隊の人数が分かるとか、上から見てもソックリのソ連系戦車の類識別ができるとかドンドン怪しくなっていった。最後に、これは間違いなくガセだろうと言われていたのが、車のナンバーが読めると言ったものだ。

 その偵察衛星の解像度について、江畑さんは「これらの写真はあまりに詳細、かつ鮮明に写っていたため、一三六キロの高度からではなく、あたかも二六メートルくらいの高さから撮影したかのようであった。」(p.159)と書いているのに出くわした。鮮明であることを説明する表現なのだが、136kmと26mを対比するのはあまりにも突拍子もない。

 もちろん、ヤードポンド法をメートル法に置き換えたことは容易にわかる。マイル、ヤード、ファゾム、チェーン、フィート、インチのどれかをそのままメートル法に置き換えたのだろうと勘案して計算すると、85マイルと85フィートであった。

 しかし、なんで「85マイルの高さではなく、85フィートの高さから撮影したようだった」と訳さなかったのかが不思議でならない。136kmと26mなんて組み合わせの方が突拍子もないし、実感もわかない。「85マイル(136km)と85フィート(26m)」とか、せめて「150kmと15m」のように丸めればよかったのではないか。26mなんて別に根拠のある数字
でもない。

 割りと数字が厳密な割には、タイトルはザックリと改題しているも不思議だった。訳題は既述のとおり『世界史を動かすスパイ衛星』であるが、原題はは『America's secret eyes in space』である。タイトルはオリジナルにまったく拘泥されていない。それなのに、マイルとフィートをわざわざ換算しているのは、なんともヘンな印象をもったよ。

 もちろん、江畑さんの訳なので内容的にも間違いもなく、面白い本なのでオススメですけども。
2013.10
10
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Category : 未分類
 機動戦闘車が公開された。だが、これは本当に離島防衛に、あるいは今の陸自に必要な物なのだろうか。

■ 何にしても中途半端

 機動戦闘車は、何にしても中途半端に見える。対戦車砲としては必要性がない。戦車としては装甲が弱い。歩兵砲としては高価に過ぎる。偵察車両としても、戦車砲の火力は既存の87式に勝るメリットにはならない。

 機動戦闘車は、実質的には対戦車自走砲である。敵戦車を撃破できる砲を、小火器に抵堪できる程度の装甲で囲われた、軽量かつ安価な車体に搭載したものだ。中身としてはマーダーやらナースホルンやらと変わるものではない。

 しかし、現今の情強では、対戦車砲を新規整備する必要性は立たない。既に日本本土への上陸戦の虞れははない。やろうという国もなく、やろうとしてもごく小規模な侵攻しかできない。主力戦車が多数揚がってくる事態はない。この状況では、対戦車専用装備を新規整備する必要性は立たない。

 戦車としては、あまりに脆弱であり使用できない。機動戦闘車は26tしかない。これでは、ありふれた装甲車が持つ機関砲で容易に撃破されてしまう。相手がゲリコマ、空挺部隊等、徒歩歩兵の類であれば戦車的に使えるかもしれない。だが、それなら何も105mm戦車砲は要らない。87式偵察車でも96式装甲車でも同じである。

 自走できる歩兵砲としても、高価であるため、数を揃えられない。今度は重く、大きすぎる。それ自体は悪くはないが、高価過ぎて普通科に配るほどの数は揃わない。そもそも歩兵砲であれば、105mm戦車砲や高度なFCSは要らない。基本は機関砲で足りる。その上で陣地を吹き飛ばすための榴弾威力が必要といっても、軽砲で十分である。

 自走歩兵砲であれば、かつての60式無反動砲クラスまで水準を落とさないと数は揃わない。いまなら96式装甲車に、パックハウザークラスの山砲や、砲身を切り詰めた105mm榴弾砲を積んだほうが、入手性から適している。

 偵察車両としても、既存装備である87式偵察車に付け加えるほどのものでもない。実際に、87式で大概のことはできる。出来ないのは対戦車戦闘だけだが、そんなものは砲塔の脇にミサイルでもつければいい。

 もちろん、偵察部隊は機動戦闘車を欲しがる。偵察部隊は機甲職域であり「前捌き」云々という主張もあるので、対戦車火力は魅力的だろう。ただし、本土防衛の所要も、内地で敵戦車と遭遇する可能性も無くなっている。この点で、105mm戦車砲を装備する機動戦闘車は、無理して追加する装備ではない。

■ 離島防衛や原発警備に適しているわけでもない

 機動戦闘車では、防衛省はその必要性について、とりあえず予算が湧いてきそうな離島防衛を理由に挙げている。

 しかし、機動戦闘車は、離島防衛や原発等の重要施設防護に向いているわけでもない。

 機動戦闘車は離島防衛に必須でも、向いているわけでもない。離島防衛で重要なのは、制海権・制空権であり、陸兵は居れば事足りる。もちろん、走行車両もあれば便利かもしれないが、、機動戦闘車は使いやすいわけでもない。離島防衛で使う装甲車としては、今度購入すると言われている水陸両用車や、ヘリで運べるようなさらに軽い装甲車の方が、輸送性で適している。

 離島防衛で105mm戦車砲も、あまり必要性はない。強力なのはいいことなのだが、オーバーキルである。重くなるデメリットの方が大きい。基本、揚がってくるのは軽装備の徒歩歩兵の類か、あるいは水陸両用車、軽戦車の類である。機関砲で充分撃破できる。105mm砲でなければできないことは、水上艦との砲戦程度である。

 空輸性も良くない。重量26tでC-2に載るとしているが、まだ実用化されず、多数を作れないC-2に搭載できるからといって、空輸性に優れるとするのは詭弁である。これは「C-17に搭載できるからM1が空輸性に優れる」というようなものだ。

 空輸性云々をするのなら、20t未満に収めて数量的に主役であるC-130に積めなければ※ 実用的ではない。あるいは、12t未満に収めてCH-47でスリング輸送できれば、離島防衛で相当に使い勝手はよくなるだろう。12t未満の砲装備装甲車の例も少なくはない。パナールやERC-90、サラディン装甲車やスコーピオン軽戦車は12t未満である。米海兵隊が使っているLAV25も、CH-53Eで空輸できる重量であるために選定されている。もちろん、軽くなったからといっても、離島防衛で必須の装備にもならないが、26tで空輸性というよりはマシである。

 原発警備ほか、対ゲリラ・コマンドにも向いているわけでもない。もちろん、戦車よりは向いているかもしれないが、相手は基本徒歩の軽装備である。原発警備なら、それこそ、警察車両+の、治安維持用の装甲車に砲塔をつけた程度の安い車両で充分であり、105mm砲は不要である。サクソン装甲車やイラクで使ったMRAPで良い。ゲリコマ対策も、96式で充分であり、機動戦闘車を必要とする事態はない。

■ 結局は、少数配備して終わり

 機動戦闘車は、最終的に予算問題に行き当たることになる。今まで述べたように、機動戦闘車は中途半端であり、必要性が高いわけでもない。財政上の問題から、防衛費は縮減傾向にある。中でも陸自予算はもっとも厳しい立場に置かれており、新規事業が立ちにくい。大幅な人員削減でもしない限りは、この手の装備は少数配備に終わる。

 陸にはカネがない、結局は、開発して終わりのパターンである。87式対空自走砲や89式装甲車の轍を踏むことになる。いつもの自己満足のための開発に終わる。開発費の分で、似たような海外製を買ったほうがマシだった。どのみち性能は似たようなものである。

 機動戦闘車のお先も真っ暗といったところである。このあたり全く見ないで、国産でありギミックが優れてるから褒めるマニアも、木を見て森を見ていない。

 いつものようにJSFさんがヨイショしているが、言っていることが無茶苦茶である。国産新兵器への盲目の愛というか、痴人の愛であるので仕方ないかもしれない。「機動戦闘車は新しいカテゴリーの装備であり、戦車と戦う為のものではないし、戦車扱いもされません。歩兵の支援と戦車以外の敵装甲車両の撃破が任務です。」(JSF)※※ だが、「歩兵の支援と戦車以外の敵装甲車両の撃破が任務」なら機関砲で足りるわけで、105mm戦車砲は「戦車と戦う為」でなければ不要である。「戦車扱いもされません。」といい切って数が揃うとでもいうように書いているが、定数外となっても、毎年の予算要求の段階で戦車との食い合いは必至である。そもそも「機動戦闘車は新しいカテゴリーの装備」と言い切っている。だが、そういった触れ込みで登場した製品は大概どっちつかずで、ロクなものではなく、死屍累々だった。

 結局は、必要性について検討できないどころか、全く気づいてもいないわけだ。機動戦闘車とやらも、組織の惰性で対戦車兵器を欲しがって作ったが、その必要も立たない。戦車としても歩兵砲としても偵察車両としても中途半端である。開発にしても「よその軍隊が持っているから開発してみた」というだけの代物である。数を揃えられる見込みもない。まずは、徒花※※※ に終わるのだろう。



※ C-130に無理させていいなら、一応、サイズ的にはギリギリどうにか搭載できる。搭載重量を超えるが、搭載しても最大離陸重量には達しない。重量も床に補強材でも敷いて、燃料を減らせばなんとかなるだろう。

※※ JSF「機動戦闘車(MCV:Maneuver Combat Vehicle) 公開」http://obiekt.seesaa.net/article/377016136.html

※※※ 機動戦闘車にある下手に高級な中途半端さが、DATの対抗馬DCCを思い出す。それなら圧縮劣化のあるMDでいいだろと思ったよ。同時期、高校から大学の間、己が使っていたのはDATだったけどね。デッキも良かったし、ポータブルのTCD-D3もよかったしし、再生専用のWMD-DTも良かった。95年には、極初期のCD-R(メディアが@3000位した)に移っちゃたけどね。
2013.10
09
CM:4
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12:00
Category : 有職故実
 『JT 20年史』を読んでいて、新規銘柄や廃止銘柄の項目にリベラマイルドを発見、と同時に、脳内にCMソングが流れる。



 タバコは全く呑まない。就職してから、宴会で下僚がタバコを吸いやすいようにと、その時だけコイーバの紙巻とかアークロイヤルを買っていた。だが、一本火を付けておしまい。

 だが、割りとタバコを吸う奴は好きだった。学校教官の時、事務室を出た踊り場が、その棟内で唯一の喫煙所になっていた。封を切ったタバコ、エコー、しんせい、わかばの類(うるまとかバイオレットとかハイトーンとか)「ご自由に」置いておくと、金のない海士学生が吸って「マズイ」とか「噎せる」というのを聞くのが面白かった。

 先任と出て行くと「こんなクソ不味いタバコ」という。先任が「貧乏学生の為を思って、文谷教官の置いたタバコに文句つけるのか」というと、最初のうちは「いや、美味しいです」とかいうものの、じきに慣れてくる。顔見知りになってから、置いた当の己が「そんなもの誰が吸うか」「吸うならキューバだろ」とかいうと「ヒドイ」というが、給料日前の15日頃になると、そのタバコも「有難く頂く」という学生が出てくるので笑っていた。

 タバコを見るクセや、マイナータバコを吸わせるクセは、学生時代からあった。己は気管支が弱いので吸えないので、奇妙かつキツイ煙草を買ってきて「ウマそうに吸え」とやっていた。

 昔はタバコに慣用で、20未満は売らないという話もない。昭末平初は酒もタバコも緩やかだった。吸う方も吸う方で、高校時代にはニコチン切れに耐えられない奴もいた。だが、己の高校ではなにもいわれなかった。川越高校という県立男子校で、校則もなければ制服もない放置教育の学校だったということもあるがユルユル。外から見えないように吸って火の始末をおけば文句はなかった。校長がアノ高野連副会長だったが、その程度の時代だった。

 大学に入ると、近所にヘンな煙草を売るのが趣味としか思えない薬局があった。江戸川橋(あるいは護国寺)から通っていたので発見したのだが、そこにいくとなんでもある。旧琉球煙草やら、キングサイズ・ホープやら、マリポーサまであった。それを買ってゼミなりサークルなりで吸わせるのも趣味だった。

 『JT20年史』をみると、ヘンテコな煙草が一杯出ている。アイランド、COSMOS、アルカディア、バルカといった微かに見た記憶のある煙草から、DEAN、アレックスといった全く見たことの無いタバコもある。

 そして、火を使わないタバコ、Airsがあった。これは先端のもぐさ状熱源で煙草の葉を燻してニコチンを出すというもの。タバコ吸いに渡しても、ゼミでもサークルでも、早稲田に住んでいた明大生田の友人連にも全く不評だったのを思い出した。もともと低ニコチン・低タール系のタバコは、タバコの葉をパフェッティング(膨潤)させているだけだから、薄すぎてタバコのみには物足りない。その上、せんねん灸方式で燻しだしても「酒の匂いをかがされているのと同じ」ということだろう。

 ただ、この『JT20年史』で一番おもしろいは、個々たる煙草の銘柄ではなく、煙草会社のスタンスにある。2005年に刊行された本なのに「マウスにタールを塗ると癌になることは明らかですが、タバコの煙では再現性は確認されていません」「喘息等の刺激的なものを除き、環境たばこ煙(副流煙のこと)による健康被害は判明していません」とエクスキューズしている点。

 JTは、結局タバコから脱却できそうにない。飲料部門といった分野に進出して、それなりに成功は収めているものの、タバコ以外で上がる利益は全体の10%に満たない。結局、タバコしかない。だから「タバコで肺がんになるという直接的な証拠はない」の立場は崩せないのだろう。もちろん、内部でも、色々あるのだろうけれども。
2013.10
08
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12:00
Category : ミリタリー
 台湾が新型艦、あるいは新造艦を買う方法はあるのだろうか。

■ 台湾は軍艦が手に入らない

 台湾は、軍艦調達に苦慮している。台湾には、大型艦を建造できる造船業がない。海外から軍艦を買うにしても、中国が機嫌を悪くするので売る国もない。アメリカだけが、現在でも台湾に艦艇を輸出しているが、やはり対中配慮もあるので旧式艦がメインとなっている。

 台湾には造船業がない。台湾は高度な艦艇整備が可能であるが、造船能力がない。台湾には、旧大戦型駆逐艦にFRAM相当を施せるような、高度な整備設備・技術はある。だが、船体を作り、主機を据え付けるような造船業はない。これは、台湾に大規模な製鋼業がないためである。造船業には背後に製鋼業が必要である。それがなければ、船体を作るための種々の鋼板や、プロペラシャフトを柔軟に供給することができない。その製鋼業が台湾にはない。

 台湾には、新型新造艦を売ってくれる国がない。世界中でどこの国をみても、台湾よりも中国が大事である。台湾問題ごときで、重要な対中関係に影響をあたえることは許されない。このため、どこの国も台湾には艦艇を売らない。フランスがフリゲートを、オランダが潜水艦を、ドイツが掃討艇を売ったことがある。だが、中国の抗議と、対中関係の重要性から、全てはスポット的な取引で終わっている。

 唯一売ってくれる米国も、最新艦艇は供与しない。唯一、台湾への武器売却を行っている米国も、米国も対中関係を重視する。中国の意向も汲んで供与武器は選んでいる。米中ともに「防衛用武器」に限るというルールを尊重している。そこに、最新鋭の大型水上艦は含めることができない。できるのは、ノックス級、ペリー級の売却であり、最新でも退役したキッド級でなければ売ることはできない。

 このため、台湾は海軍力強化に困っている。台湾にしても、海軍力を強化したい。

 台湾にしても「新中国が攻めてくる」と、すべてを対上陸戦に備える時代は終わっている。もちろん、中国による侵攻対処は日本よりも重視はしているが、かつてほどではない。政治的・経済的にデタントの段階に入っており、両岸関係の安定は長続きする見込みにある。金門・馬祖などを見ればわかるように、対上陸戦にはかつて程の比重は置かれない。

 台湾は、むしろ海軍力を強化したい。その志向も、外洋に向かっている。台湾の繁栄は自由貿易に依存しており、自由貿易は航海の自由に依存している。また、領土問題や海上領域問題もある。台湾は、南沙諸島分割でのプレイヤーであり、重要な島嶼を実効支配している。また、尖閣も自国領土と主張している。その南沙や尖閣ほかで、漁業での対立問題も抱えており、フィリピンとは険悪な関係にある。これらの問題は、陸戦力では解決不能で、海軍力を建設しなければならない。

 ただし、既述したとおり、台湾には新型軍艦を売ってくれる国はない。そのため、台湾の海軍力増強はブレーキが掛けられている状態である。


■ 中国から買えばいいのではないか

 しかし、艦艇問題は、中国から軍艦を購入することで解決するのではないか。

 中国は、台湾への武器売却でフリーハンドを持っている。中国が台湾に武器を売却すると言って、文句をつける国はない。

 政治的にも、台湾への武器売却は全く不可能という話でもない。台湾は、すでに大陸反攻を放棄している。台湾は武器を欲しがっているが、その武器は台湾の現体制を維持するためだけに使われる。台湾軍は、中国本土への直接的な脅威にはならない。また、中国も、現状では強いて台湾を武力回収するつもりもないので、台湾軍が多少強くなっても、当座の問題はない。

 艦艇の取引は、新中国と台湾にとって悪いものではない。

 台湾は、念願の新型艦艇を手に入れることができる。新中国から購入には、サイズや、新造であるかどうか、数量的な制限はない。台湾が台湾の事情に合致した艦艇を購入することができる。今までのように、台湾の都合に必ずしも一致しない大型艦や、逆に小さく古過ぎる小型艦があてがわれることもない。

 新中国は、台湾への西欧武器輸出を邪魔することができる。欧米が台湾に武器を売却するということは、政治的にはその欧米の国が台湾に肩入れすることである。政治的な後盾という錯覚は、新中国が最も危惧する台湾独立を勢いづける要素になる。だが、新中国が台湾に武器を売却することにより、武器購入で気を大きくした台湾人が、独立論をぶつことを妨害できるのである。

 また、両国ともに、武器取引によって、両国の関係安定を宣伝できる効果が得られる。すでに両岸関係は安定しているが、その安定が一層進んだ印象を、それぞれの地域内や国際社会に与えることができる。そして、両岸は平和裏な併存が保てるといった印象は、両国軍事費の削減や、海外からの投資そのほかで有利な要素にもなる。

 実際には、新中国には米国製に慣れた台湾海軍のメガネに適う艦艇はない。台湾海軍は、フランス製のラファイエット級は使えないとまで評するほど贅沢な海軍である。新中国製は、フランス製以下と評されるだろう。

 しかし、船体だけを作らせて、あとは台湾で艤装すれば問題は解決する。新中国に計画段階から噛ませることで、外国製武器システムの輸入に伴う問題は解決する。新中国も関与した計画段階から、アメリカ製の戦闘システム、ガスタービン・エンジンを搭載するとしておけば、後の購入で文句を言われることもない。両岸合意の上となれば、やる気になれば、日本製の補機や舵機、給排水系統や、計装すら購入できるだろう。潜水艦であれば、今の新中国製、元級も似たようなものだ。船殻だけ国産で、エンジンやソナー、多分システムもは独仏製を使っている。台湾向けに売ったところで大差はない。

 中国による、船体だけの輸出例もある。1990年代、タイ王国海軍に輸出したフリゲートがそれであった。中国製の船殻とエンジンに、欧米系の武器システムを装備したものである。船体はそれほど悪くないらしい。1980年代に輸出された中国艦、チャオプラーヤ級については、タイ海軍は酷評しているが、90年代に建造されたナレースアンにはその悪評がない。
2013.10
07
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12:00
Category : ミリタリー
 香港誌『鏡報』に高新7号が記事にされている。要は、米国のEC-130のお仲間らしい。梁天仞さんによると「運-8に中波からテレビ放送までの器材を積んで、空中から宣伝放送をするための器材である」とのこと。

 だが、米国と同じように心理戦機を使えるかというと、怪しい部分がある。心理戦機は、それで勝利するための機体ではない。戦闘で勝てば有効利用できるかもしれないが、心理戦機だけでは戦闘に勝つことは難しい。そもそも、心理戦機を使うためには、ベースとなる心理戦のノウハウが必要である。中国は国内向け心理戦のノウハウはあるかもしれないが、対外戦向けのノウハウが充実しているとは思えない。

 梁さんの「神機心戦機『高新7号』」では、概ねEC-130と同等であると説明されている。梁さんによると、高新7号は運-8(An-12)を改修した機体で、19人乗り、AM,FM,HF(短波:SWのこと)、テレビ放送設備を持ち、同時にEA、EPほかの電子戦が可能とされている。8時間以上の飛行が可能であり、すでに飛行時間6000時間を越えているともされている。

 しかし、心理戦機の具体的な利用については言及されていない。あるのは、米国のEC-130の説明であり、同じように使えるという示唆である。

 心理戦についても、まともに言及していない。例としては『史記』での四面楚歌と、日中戦争でも宣伝戦だけである。後者は、日本軍隊無法、の蛮行を世界に伝えたという意味で、心理戦とはややずれている。

 実際に、高新7号は対外戦には、あまり使えないだろう。もともと中国の対外宣伝が上手にいった話は聞かない。かつての、あるいは今の北京放送を聞いても、宣伝効果よりも国内都合を先に出している。対外戦での心理戦も見るべきはない。唯一、国内で日本軍を包囲した上で「投降しろ」がいいところである。朝鮮戦争でも上手く行っていないし、上手く行った国共戦は内戦である。

 心理戦機は、信念が揺らいだ相手には有効かもしれない。だが、それも対外戦であれば、相手国の文化、国情、人心に通じて始めて可能になる。信念を持つ相手となると更に難しい。米国であれば、ソフトパワーで多少は信念を揺るがせられるが、中国にはそういったものはない。

 基本的に、アメリカが作っているから作ったものだ。機体は難しくない。機内の偽装も難しくない。対して高くもない周波数に、AM/FM/SSB、あるいはデジタルで送り込むだけの話であり、民生用器材を組み合わせればできてしまう。

 中国も、実用としてはあまり期待していないだろう。梁さんもどう役に立つのか困った様子で、国内での災害時で活用できるとしているが、その程度ではないか。あるいは、VOAほかの外からの宣伝放送にジャミングを掛け、あるいは強力な通信で完全に上書きするような使い方がいいところあろう。



※ 梁天仞「神機心戦機『高新7号』」『鏡報』435号(鏡報文化公司,2013.10)pp.50-53.
2013.10
06
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12:00
Category : ミリタリー
 「はまゆき」が標的として処分されるニュースがあった。「旧護衛艦『はまゆき』最後の出港…『標的艦』」では、砲爆撃の目標とされるとある。

 標的処分は楽に見えるが、実際には解体処分したほうが安い。退役した護衛艦は使えるものを全部ひっぺがしてから標的/解体される。だが、標的となると海洋汚染防止のためにもう一手間掛けられる。油や油の混じったビルジを徹底して抜き出して、タンク内を清掃する必要がある。対して、解体処分はそこまで厳密ではなく、金属回収により業者の利益が見込めるため、逆に国にお金が入る。

 ただ、「ゆき」型を廃用するのは勿体ないものである。「ゆき」型は、後継艦の「きり」型よりも評判は良かった。

 「きり」には問題点がある。有名な後部マスト冷却問題のほかに、上甲板の亀裂問題もある。致命的な問題ではないが、却って悪くなったと常々言われていた問題である。

 逆に、「きり」が「ゆき」よりも優れている点あまりない。ヘリ搭載能力がやや優れること程度であるが、結局は狭いので、常時2機搭載するのは難しい。時期的に建造時から静粛性が考慮されている点も長所であるが、「ゆき」も後に静粛性確保をやったようで、今となっては差もない。そもそも、対潜戦もまずはヘリ運用から始まる時代には、あまり個艦の静粛性は問題とはならない。

 さすがに、「ゆき」よりも「きり」を先に廃用しろということにはならない。運用上は、「ゆき」と「きり」は同じようなものである。老齢艦から処分するのは当然である。「きり」よりさきに「ゆき」を処分するのは、妥当である。

 しかし、「ゆき」よりも使えない護衛艦を残して、「ゆき」を処分するのは妥当ではない。具体的には、使えないのは「あぶくま」型である。「あぶくま」型は「ゆき」型に比べ、ヘリ搭載ができず、航続距離・行動日数が少なく、荒天に弱く、対空兵装も弱い。

 「ゆき」を処分して「あぶくま」型を残すのは、あまり効果的ではない。特に、ヘリ運用能力がない「あぶくま」型は、護衛艦としてはあまり意味は無い。ヘリ運用能力を再整備した「ゆき」を残したほうが、水上艦戦力としては、効果的な戦力を残せるのである。

 「ゆき」をケチケチ退役させるよりは、「あぶくま」級6隻をまとめて退役させたほうが良い。処分するのが勿体無いというなら、江田内か霞ヶ浦あたりで、6隻メザシでつなげておけばいいのではないか。「ゆき」があれば、「あぶくま」は使うこともない。



※ 「旧護衛艦『はまゆき』最後の出港…『標的艦』」『Yomiuri Online』(読売新聞,2013.10.5)http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131005-OYT1T00393.htm