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文科省の大臣と政治任用連中が、教科書採択でまた余計なことをしようとしている。
NHK WEBの「町独自の教科書採択 国が是正要求へ」※によると、文科省が竹富町に対して、教科書採択ごときで政治的な圧力を掛けようとしている。文科省というものの、大臣も政務官も見事に教科書議連で固めている。文科省が、というよりも、大臣と政務官が圧力をかけたいというものだろう。
ことの発端は、沖縄、先島にある竹富町が、「作る会」系はないだろと独自に東京書籍の教科書を採用したことである。これについて右派は「自虐史観」云々で騒いでいるが、実態は石垣島教育長への反発である。その辺りは「昔は「卑弥呼が教科書に載っている」と文句をつけていた」で前にも書いたが、政治的打算から、石垣島の教育長が独走した結果である。石垣の教育長は、手続きを無視し、人事や規則を弄って「作る会」系の教科書を採択させた。
竹富町が反発したのは、石垣島教育長の手続き無視の影響が大きい。公表された教科用図書八重山採択地区協議会議事録を見ると、手続きへの抗議である。特に「八重山採択地区協議会連絡会会議概要」がわかりやすいが、所詮は各教育長が持ち回りで会長をする協議会で、たまたま会長をやった石垣島の玉津教育長がゴリ押しでやらかした。それに対して、竹富島の教育長である慶田盛副会長が「なに勝手にやっているんだ」反発している。
その後、竹富町が独自教科書を採用しつづけているのは、意地もある。地域的に、隣の石垣市がいいようにしているといった状況への反発も影響している。教科書そのものは大した問題ではないが、それを押し付ければ町全体で反対する。協議会は「違う教科書では、国費で無料ではなくなるぞ」と脅したが、なに大した額ではない。竹富町は自分たちで払うといい、金を出し合って子どもたちに寄付した。
民主党時代には、独自の教科書採択は、特段の政治的問題とはならなかった。東京書籍の教科書も、検定に合格している。日本中で使われている教科書であり、「作る会」系の育鵬社よりよほどメジャーである。それを使っても、現実的には何も問題は起きない。地方自治、団体自治で、国費が入っているわけでもない。実害のない問題に騒いでも無駄なだけである。
しかし、現政権は「義務教育教科書無償措置法」を使って問題視しようとしている。問題でもないものを問題視しようと無駄な労力を費やしているのである。文科省というよりも、中身の教科書議連幹部、文科大臣と政務官がそのように努力している。義家政務官(-9月30日まで)はわざわざ竹富島まで文句を言いに行った。そして、文部大臣も「義務教育教科書無償措置法」、つまり教科書を無償給付する根拠を与えるだけの、どうでもいい法律で竹富町を縛ろうとしている。しかし、その法律の目的は教科書をロハで配ることであり、竹富町が遠慮したとしても他の市町村への無償給付が害されるわけでもない。教科書をもらう側の子供にも実害もない。教科書は国費で無償ではなくなるだけであり、それも篤志家で教科書代の寄付することで解決している。
大臣政務官の意図は、実際には「作る会」系の教科書を使わないことに対する懲罰にある。採択した教科書が逆なら、石垣島が東京書籍をゴリ押しし、竹富島が「作る会」系の教科書を採択したら、今度は竹富町を賞賛し、石垣市を非難する。
ただし、それは地方自治、団体自治を尊重しない行為となる。町民は教科書なんかどうでもいい。どうせ近現代まで勉強しないのだから、東京書籍でも「作る会」でも、どんぐりの背比べである。だが、自分達で決めたことへの干渉には腹を立てる。2年前に決めてから、右派からやいのやいの言われるものの、実害は何もでていない。金も自分たちで解決している。そこに政治的でしかない干渉を受ければ、町民は余計に腹を立てるだろう。
沖縄も怒る可能性がある。沖縄県としては、竹富町と石垣市・与那国町それぞれの決定を尊重する立場にあった。文科大臣の是正要求とは、その沖縄県に竹富島に是正を要求しろと強要する行為である。県も町も話し合った結果、実害もなく、平穏無事に行ってきた行為について、政治的意図から頭ごなしに命令口調で言われれば、反発も大きい。
沖縄問題は既に微妙な取り扱いを必要とする。かねてからの基地問題の上に、オスプレイ配備では、県の意見は全く無視された状況にある。そこに、政治的意図による命令口調の国の容喙があれば、沖縄県も規模はともかく反発するだろう。反発は、沖縄との関係改善にとって有害である。
さて、教科書議連ごときの都合による地方自治への干渉で、竹富町の、沖縄の感情をさらに悪化させていいことがあるのだろうか。日本は中国とのゲームの最中にある。そのゲームでは、沖縄の基地群やそこへの自衛隊・米海空軍の展開は重要な価値をもつ。沖縄の基地を円滑に利用するためには、沖縄県や県下自治体、県民との関係改善が欠かせない。この状況にあるのに、教科書ごときの問題で、しかも自慰的な目的で必要もない火種を投げ込もうとするのは、文科相も、それを止めようとしない内閣も、まともにモノが見えていないのだろう。
※ 「町独自の教科書採択 国が是正要求へ」『NHK WEB』(NHK,2013.10.1)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130930/k10014913511000.html
NHK WEBの「町独自の教科書採択 国が是正要求へ」※によると、文科省が竹富町に対して、教科書採択ごときで政治的な圧力を掛けようとしている。文科省というものの、大臣も政務官も見事に教科書議連で固めている。文科省が、というよりも、大臣と政務官が圧力をかけたいというものだろう。
ことの発端は、沖縄、先島にある竹富町が、「作る会」系はないだろと独自に東京書籍の教科書を採用したことである。これについて右派は「自虐史観」云々で騒いでいるが、実態は石垣島教育長への反発である。その辺りは「昔は「卑弥呼が教科書に載っている」と文句をつけていた」で前にも書いたが、政治的打算から、石垣島の教育長が独走した結果である。石垣の教育長は、手続きを無視し、人事や規則を弄って「作る会」系の教科書を採択させた。
竹富町が反発したのは、石垣島教育長の手続き無視の影響が大きい。公表された教科用図書八重山採択地区協議会議事録を見ると、手続きへの抗議である。特に「八重山採択地区協議会連絡会会議概要」がわかりやすいが、所詮は各教育長が持ち回りで会長をする協議会で、たまたま会長をやった石垣島の玉津教育長がゴリ押しでやらかした。それに対して、竹富島の教育長である慶田盛副会長が「なに勝手にやっているんだ」反発している。
その後、竹富町が独自教科書を採用しつづけているのは、意地もある。地域的に、隣の石垣市がいいようにしているといった状況への反発も影響している。教科書そのものは大した問題ではないが、それを押し付ければ町全体で反対する。協議会は「違う教科書では、国費で無料ではなくなるぞ」と脅したが、なに大した額ではない。竹富町は自分たちで払うといい、金を出し合って子どもたちに寄付した。
民主党時代には、独自の教科書採択は、特段の政治的問題とはならなかった。東京書籍の教科書も、検定に合格している。日本中で使われている教科書であり、「作る会」系の育鵬社よりよほどメジャーである。それを使っても、現実的には何も問題は起きない。地方自治、団体自治で、国費が入っているわけでもない。実害のない問題に騒いでも無駄なだけである。
しかし、現政権は「義務教育教科書無償措置法」を使って問題視しようとしている。問題でもないものを問題視しようと無駄な労力を費やしているのである。文科省というよりも、中身の教科書議連幹部、文科大臣と政務官がそのように努力している。義家政務官(-9月30日まで)はわざわざ竹富島まで文句を言いに行った。そして、文部大臣も「義務教育教科書無償措置法」、つまり教科書を無償給付する根拠を与えるだけの、どうでもいい法律で竹富町を縛ろうとしている。しかし、その法律の目的は教科書をロハで配ることであり、竹富町が遠慮したとしても他の市町村への無償給付が害されるわけでもない。教科書をもらう側の子供にも実害もない。教科書は国費で無償ではなくなるだけであり、それも篤志家で教科書代の寄付することで解決している。
大臣政務官の意図は、実際には「作る会」系の教科書を使わないことに対する懲罰にある。採択した教科書が逆なら、石垣島が東京書籍をゴリ押しし、竹富島が「作る会」系の教科書を採択したら、今度は竹富町を賞賛し、石垣市を非難する。
ただし、それは地方自治、団体自治を尊重しない行為となる。町民は教科書なんかどうでもいい。どうせ近現代まで勉強しないのだから、東京書籍でも「作る会」でも、どんぐりの背比べである。だが、自分達で決めたことへの干渉には腹を立てる。2年前に決めてから、右派からやいのやいの言われるものの、実害は何もでていない。金も自分たちで解決している。そこに政治的でしかない干渉を受ければ、町民は余計に腹を立てるだろう。
沖縄も怒る可能性がある。沖縄県としては、竹富町と石垣市・与那国町それぞれの決定を尊重する立場にあった。文科大臣の是正要求とは、その沖縄県に竹富島に是正を要求しろと強要する行為である。県も町も話し合った結果、実害もなく、平穏無事に行ってきた行為について、政治的意図から頭ごなしに命令口調で言われれば、反発も大きい。
沖縄問題は既に微妙な取り扱いを必要とする。かねてからの基地問題の上に、オスプレイ配備では、県の意見は全く無視された状況にある。そこに、政治的意図による命令口調の国の容喙があれば、沖縄県も規模はともかく反発するだろう。反発は、沖縄との関係改善にとって有害である。
さて、教科書議連ごときの都合による地方自治への干渉で、竹富町の、沖縄の感情をさらに悪化させていいことがあるのだろうか。日本は中国とのゲームの最中にある。そのゲームでは、沖縄の基地群やそこへの自衛隊・米海空軍の展開は重要な価値をもつ。沖縄の基地を円滑に利用するためには、沖縄県や県下自治体、県民との関係改善が欠かせない。この状況にあるのに、教科書ごときの問題で、しかも自慰的な目的で必要もない火種を投げ込もうとするのは、文科相も、それを止めようとしない内閣も、まともにモノが見えていないのだろう。
※ 「町独自の教科書採択 国が是正要求へ」『NHK WEB』(NHK,2013.10.1)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130930/k10014913511000.html
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