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やや旧聞に属するが、8月22日に、ロシア機が日本領空を審判した。外務省によると
日本政府が抗議するのは当たり前である。国家にとって領土ほかの領域は神聖であり、侵されてはならない。そのために、日本領空に入る権利を持たない航空機については、接近すれば空自機がスクランブルをかけ、視認し、挙動が不審であれば領空に近づかないように警告する。万一、入ればその事実を確認し、日本側の指示に従わせる。その後、出て行ったからといって放置することは許されず、抗議をすることになっている。
しかし、領空侵犯という言葉の割りには大したことはない。侵犯というよりもカスったというようなものだ。国際海峡である対馬海峡を通過するときに、航法ミスをしたのだろう。実際には何の利益もない、意図をもってやった領空侵犯ではない。※

海図W1200「対馬海峡及付近」(海上保安庁、2003)から、文谷が沖ノ島付近と領海を切り出し縮小の上、彩色した。なお、グーグルマップだとこのあたり
そのあたりで、領空侵犯という言葉だけで、直ぐに怒り心頭に発するのは、短慮が過ぎるのではないか。当時のブログ記事を見ると相当、お怒りの方を見かけた。日本侵略の意図であるように短絡する人もいた。各個人をブログを挙げるのも趣旨ではない。だから匿名の2chのまとめを上げるが、やはりすぐ撃ち落とせみたいな発言がある。
だが、ロシア機による領空侵犯の実態は、航法ミスの親戚のようなものだ。撃ち落とせというのはあまりにも乱暴である。逆に、2cの発言にある「ロシア空軍って領空の範囲が正確に認識できてないんじゃねーの?ww」あたりは、多分、事実だろう。領海が出る電子海図に自機のGPS位置が出るような仕組みであればともかく。経度緯度しか出ないGPSと、紙の海図であれば、プロット遅れで間違える可能性は高い。※※
実際に、領空侵犯というと、日本の陸地に、都市に向かって飛んでくるイメージがある。だが、ロシアによる領空侵犯の過半は、だいたい国際海峡で事故的にカスったようなものだ。太平洋側でもあるじゃないかという話もあるが、それも、無人の岩礁、孀婦岩にくっついている領海部分の上空をかすめたようなものだ。
もちろん、領空侵犯は放置できない。空自はスクランブルはしなければならないし、外務省も領空侵犯すれば抗議しなければならない。だが、その領空侵犯という言葉だけで、戦争行為や侵略を想起し、血を頭に上らせるのは、短慮がすぎるだろう。実際のところ、自衛隊の航空戦力で日本領空への侵入はまず阻止されている。外務省の抗議も有効であり、ロシアはとりあえず反論をするが、それなりに措置はしている様子である。冷戦期ソ連時代のような陸地に入り込むような侵入はない。
現実として日本は、領空侵犯をほぼ防遏している。あっても、カスった程度の防空侵犯しか許していない。この事実からすれば、領空侵犯がおきるたびに、頭に血が登って日本への攻撃や侵略であるように騒ぐのは行き過ぎである。逆に、確実に防空網が維持されている証拠ぐらいに考えておくべきではないか。
もちろん、まともな国として、ロシアに抗議するのは当たり前の話である。だが、この程度でも追尾して抗議するのも不寛容で、不経済な話でもある。まず、まともな国であることは、不寛容で、不経済なものなのだろう。
そして 日本は尖閣で、その不寛容、不経済な警備と抗議を、おそらくあと30年は続けなければならない。やらなければならないこととはいえ、面倒なことである。
※ 意図をもってやる領空侵犯としては、その国の領海・領空の主張を認めないものが挙げられる。例えば、尖閣諸島の日本領有を認めないために行われた、中国の領空侵犯がそれである。
とはいえ、もちろん中国は領空侵犯だと思っていないし、主張を認めているほかの島や日本本土領空は尊重している。
※※ 紙海図でも、準備よければ問題なく通峡できる。対馬海峡東水道なら、針路045度(別に030度でも050度でもいい)で海峡に入り、壱岐島北端が真南に見えたら左転し、針路を005度から030度の間に維持すれば、対馬、沖ノ島の日本領海にカスらず、最狭幅11マイルしかない公海部分を通過できる。
8月22日,午後0時9分31秒から午後0時11分10秒頃までの間,ロシア連邦軍用機2機(Tu-95爆撃機)が,福岡県沖ノ島北西の領海上空の,北緯34度15分,東経129度52分から,北緯34度27分,東経130度00分にかけて,我が国領空に侵入した。とのこと。これを受けてロシア大使館に厳重抗議し、事実関係調査を申し入れている。
「ロシア機による領空侵犯」『報道発表』(外務省,2013.8.22)http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press18_000023.html
日本政府が抗議するのは当たり前である。国家にとって領土ほかの領域は神聖であり、侵されてはならない。そのために、日本領空に入る権利を持たない航空機については、接近すれば空自機がスクランブルをかけ、視認し、挙動が不審であれば領空に近づかないように警告する。万一、入ればその事実を確認し、日本側の指示に従わせる。その後、出て行ったからといって放置することは許されず、抗議をすることになっている。
しかし、領空侵犯という言葉の割りには大したことはない。侵犯というよりもカスったというようなものだ。国際海峡である対馬海峡を通過するときに、航法ミスをしたのだろう。実際には何の利益もない、意図をもってやった領空侵犯ではない。※

海図W1200「対馬海峡及付近」(海上保安庁、2003)から、文谷が沖ノ島付近と領海を切り出し縮小の上、彩色した。なお、グーグルマップだとこのあたり
そのあたりで、領空侵犯という言葉だけで、直ぐに怒り心頭に発するのは、短慮が過ぎるのではないか。当時のブログ記事を見ると相当、お怒りの方を見かけた。日本侵略の意図であるように短絡する人もいた。各個人をブログを挙げるのも趣旨ではない。だから匿名の2chのまとめを上げるが、やはりすぐ撃ち落とせみたいな発言がある。
だが、ロシア機による領空侵犯の実態は、航法ミスの親戚のようなものだ。撃ち落とせというのはあまりにも乱暴である。逆に、2cの発言にある「ロシア空軍って領空の範囲が正確に認識できてないんじゃねーの?ww」あたりは、多分、事実だろう。領海が出る電子海図に自機のGPS位置が出るような仕組みであればともかく。経度緯度しか出ないGPSと、紙の海図であれば、プロット遅れで間違える可能性は高い。※※
実際に、領空侵犯というと、日本の陸地に、都市に向かって飛んでくるイメージがある。だが、ロシアによる領空侵犯の過半は、だいたい国際海峡で事故的にカスったようなものだ。太平洋側でもあるじゃないかという話もあるが、それも、無人の岩礁、孀婦岩にくっついている領海部分の上空をかすめたようなものだ。
もちろん、領空侵犯は放置できない。空自はスクランブルはしなければならないし、外務省も領空侵犯すれば抗議しなければならない。だが、その領空侵犯という言葉だけで、戦争行為や侵略を想起し、血を頭に上らせるのは、短慮がすぎるだろう。実際のところ、自衛隊の航空戦力で日本領空への侵入はまず阻止されている。外務省の抗議も有効であり、ロシアはとりあえず反論をするが、それなりに措置はしている様子である。冷戦期ソ連時代のような陸地に入り込むような侵入はない。
現実として日本は、領空侵犯をほぼ防遏している。あっても、カスった程度の防空侵犯しか許していない。この事実からすれば、領空侵犯がおきるたびに、頭に血が登って日本への攻撃や侵略であるように騒ぐのは行き過ぎである。逆に、確実に防空網が維持されている証拠ぐらいに考えておくべきではないか。
もちろん、まともな国として、ロシアに抗議するのは当たり前の話である。だが、この程度でも追尾して抗議するのも不寛容で、不経済な話でもある。まず、まともな国であることは、不寛容で、不経済なものなのだろう。
そして 日本は尖閣で、その不寛容、不経済な警備と抗議を、おそらくあと30年は続けなければならない。やらなければならないこととはいえ、面倒なことである。
※ 意図をもってやる領空侵犯としては、その国の領海・領空の主張を認めないものが挙げられる。例えば、尖閣諸島の日本領有を認めないために行われた、中国の領空侵犯がそれである。
とはいえ、もちろん中国は領空侵犯だと思っていないし、主張を認めているほかの島や日本本土領空は尊重している。
※※ 紙海図でも、準備よければ問題なく通峡できる。対馬海峡東水道なら、針路045度(別に030度でも050度でもいい)で海峡に入り、壱岐島北端が真南に見えたら左転し、針路を005度から030度の間に維持すれば、対馬、沖ノ島の日本領海にカスらず、最狭幅11マイルしかない公海部分を通過できる。
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