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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.10
06
CM:4
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12:00
Category : ミリタリー
 「はまゆき」が標的として処分されるニュースがあった。「旧護衛艦『はまゆき』最後の出港…『標的艦』」では、砲爆撃の目標とされるとある。

 標的処分は楽に見えるが、実際には解体処分したほうが安い。退役した護衛艦は使えるものを全部ひっぺがしてから標的/解体される。だが、標的となると海洋汚染防止のためにもう一手間掛けられる。油や油の混じったビルジを徹底して抜き出して、タンク内を清掃する必要がある。対して、解体処分はそこまで厳密ではなく、金属回収により業者の利益が見込めるため、逆に国にお金が入る。

 ただ、「ゆき」型を廃用するのは勿体ないものである。「ゆき」型は、後継艦の「きり」型よりも評判は良かった。

 「きり」には問題点がある。有名な後部マスト冷却問題のほかに、上甲板の亀裂問題もある。致命的な問題ではないが、却って悪くなったと常々言われていた問題である。

 逆に、「きり」が「ゆき」よりも優れている点あまりない。ヘリ搭載能力がやや優れること程度であるが、結局は狭いので、常時2機搭載するのは難しい。時期的に建造時から静粛性が考慮されている点も長所であるが、「ゆき」も後に静粛性確保をやったようで、今となっては差もない。そもそも、対潜戦もまずはヘリ運用から始まる時代には、あまり個艦の静粛性は問題とはならない。

 さすがに、「ゆき」よりも「きり」を先に廃用しろということにはならない。運用上は、「ゆき」と「きり」は同じようなものである。老齢艦から処分するのは当然である。「きり」よりさきに「ゆき」を処分するのは、妥当である。

 しかし、「ゆき」よりも使えない護衛艦を残して、「ゆき」を処分するのは妥当ではない。具体的には、使えないのは「あぶくま」型である。「あぶくま」型は「ゆき」型に比べ、ヘリ搭載ができず、航続距離・行動日数が少なく、荒天に弱く、対空兵装も弱い。

 「ゆき」を処分して「あぶくま」型を残すのは、あまり効果的ではない。特に、ヘリ運用能力がない「あぶくま」型は、護衛艦としてはあまり意味は無い。ヘリ運用能力を再整備した「ゆき」を残したほうが、水上艦戦力としては、効果的な戦力を残せるのである。

 「ゆき」をケチケチ退役させるよりは、「あぶくま」級6隻をまとめて退役させたほうが良い。処分するのが勿体無いというなら、江田内か霞ヶ浦あたりで、6隻メザシでつなげておけばいいのではないか。「ゆき」があれば、「あぶくま」は使うこともない。



※ 「旧護衛艦『はまゆき』最後の出港…『標的艦』」『Yomiuri Online』(読売新聞,2013.10.5)http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131005-OYT1T00393.htm
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