Category : 有職故実
『JT 20年史』を読んでいて、新規銘柄や廃止銘柄の項目にリベラマイルドを発見、と同時に、脳内にCMソングが流れる。
タバコは全く呑まない。就職してから、宴会で下僚がタバコを吸いやすいようにと、その時だけコイーバの紙巻とかアークロイヤルを買っていた。だが、一本火を付けておしまい。
だが、割りとタバコを吸う奴は好きだった。学校教官の時、事務室を出た踊り場が、その棟内で唯一の喫煙所になっていた。封を切ったタバコ、エコー、しんせい、わかばの類(うるまとかバイオレットとかハイトーンとか)「ご自由に」置いておくと、金のない海士学生が吸って「マズイ」とか「噎せる」というのを聞くのが面白かった。
先任と出て行くと「こんなクソ不味いタバコ」という。先任が「貧乏学生の為を思って、文谷教官の置いたタバコに文句つけるのか」というと、最初のうちは「いや、美味しいです」とかいうものの、じきに慣れてくる。顔見知りになってから、置いた当の己が「そんなもの誰が吸うか」「吸うならキューバだろ」とかいうと「ヒドイ」というが、給料日前の15日頃になると、そのタバコも「有難く頂く」という学生が出てくるので笑っていた。
タバコを見るクセや、マイナータバコを吸わせるクセは、学生時代からあった。己は気管支が弱いので吸えないので、奇妙かつキツイ煙草を買ってきて「ウマそうに吸え」とやっていた。
昔はタバコに慣用で、20未満は売らないという話もない。昭末平初は酒もタバコも緩やかだった。吸う方も吸う方で、高校時代にはニコチン切れに耐えられない奴もいた。だが、己の高校ではなにもいわれなかった。川越高校という県立男子校で、校則もなければ制服もない放置教育の学校だったということもあるがユルユル。外から見えないように吸って火の始末をおけば文句はなかった。校長がアノ高野連副会長だったが、その程度の時代だった。
大学に入ると、近所にヘンな煙草を売るのが趣味としか思えない薬局があった。江戸川橋(あるいは護国寺)から通っていたので発見したのだが、そこにいくとなんでもある。旧琉球煙草やら、キングサイズ・ホープやら、マリポーサまであった。それを買ってゼミなりサークルなりで吸わせるのも趣味だった。
『JT20年史』をみると、ヘンテコな煙草が一杯出ている。アイランド、COSMOS、アルカディア、バルカといった微かに見た記憶のある煙草から、DEAN、アレックスといった全く見たことの無いタバコもある。
そして、火を使わないタバコ、Airsがあった。これは先端のもぐさ状熱源で煙草の葉を燻してニコチンを出すというもの。タバコ吸いに渡しても、ゼミでもサークルでも、早稲田に住んでいた明大生田の友人連にも全く不評だったのを思い出した。もともと低ニコチン・低タール系のタバコは、タバコの葉をパフェッティング(膨潤)させているだけだから、薄すぎてタバコのみには物足りない。その上、せんねん灸方式で燻しだしても「酒の匂いをかがされているのと同じ」ということだろう。
ただ、この『JT20年史』で一番おもしろいは、個々たる煙草の銘柄ではなく、煙草会社のスタンスにある。2005年に刊行された本なのに「マウスにタールを塗ると癌になることは明らかですが、タバコの煙では再現性は確認されていません」「喘息等の刺激的なものを除き、環境たばこ煙(副流煙のこと)による健康被害は判明していません」とエクスキューズしている点。
JTは、結局タバコから脱却できそうにない。飲料部門といった分野に進出して、それなりに成功は収めているものの、タバコ以外で上がる利益は全体の10%に満たない。結局、タバコしかない。だから「タバコで肺がんになるという直接的な証拠はない」の立場は崩せないのだろう。もちろん、内部でも、色々あるのだろうけれども。
タバコは全く呑まない。就職してから、宴会で下僚がタバコを吸いやすいようにと、その時だけコイーバの紙巻とかアークロイヤルを買っていた。だが、一本火を付けておしまい。
だが、割りとタバコを吸う奴は好きだった。学校教官の時、事務室を出た踊り場が、その棟内で唯一の喫煙所になっていた。封を切ったタバコ、エコー、しんせい、わかばの類(うるまとかバイオレットとかハイトーンとか)「ご自由に」置いておくと、金のない海士学生が吸って「マズイ」とか「噎せる」というのを聞くのが面白かった。
先任と出て行くと「こんなクソ不味いタバコ」という。先任が「貧乏学生の為を思って、文谷教官の置いたタバコに文句つけるのか」というと、最初のうちは「いや、美味しいです」とかいうものの、じきに慣れてくる。顔見知りになってから、置いた当の己が「そんなもの誰が吸うか」「吸うならキューバだろ」とかいうと「ヒドイ」というが、給料日前の15日頃になると、そのタバコも「有難く頂く」という学生が出てくるので笑っていた。
タバコを見るクセや、マイナータバコを吸わせるクセは、学生時代からあった。己は気管支が弱いので吸えないので、奇妙かつキツイ煙草を買ってきて「ウマそうに吸え」とやっていた。
昔はタバコに慣用で、20未満は売らないという話もない。昭末平初は酒もタバコも緩やかだった。吸う方も吸う方で、高校時代にはニコチン切れに耐えられない奴もいた。だが、己の高校ではなにもいわれなかった。川越高校という県立男子校で、校則もなければ制服もない放置教育の学校だったということもあるがユルユル。外から見えないように吸って火の始末をおけば文句はなかった。校長がアノ高野連副会長だったが、その程度の時代だった。
大学に入ると、近所にヘンな煙草を売るのが趣味としか思えない薬局があった。江戸川橋(あるいは護国寺)から通っていたので発見したのだが、そこにいくとなんでもある。旧琉球煙草やら、キングサイズ・ホープやら、マリポーサまであった。それを買ってゼミなりサークルなりで吸わせるのも趣味だった。
『JT20年史』をみると、ヘンテコな煙草が一杯出ている。アイランド、COSMOS、アルカディア、バルカといった微かに見た記憶のある煙草から、DEAN、アレックスといった全く見たことの無いタバコもある。
そして、火を使わないタバコ、Airsがあった。これは先端のもぐさ状熱源で煙草の葉を燻してニコチンを出すというもの。タバコ吸いに渡しても、ゼミでもサークルでも、早稲田に住んでいた明大生田の友人連にも全く不評だったのを思い出した。もともと低ニコチン・低タール系のタバコは、タバコの葉をパフェッティング(膨潤)させているだけだから、薄すぎてタバコのみには物足りない。その上、せんねん灸方式で燻しだしても「酒の匂いをかがされているのと同じ」ということだろう。
ただ、この『JT20年史』で一番おもしろいは、個々たる煙草の銘柄ではなく、煙草会社のスタンスにある。2005年に刊行された本なのに「マウスにタールを塗ると癌になることは明らかですが、タバコの煙では再現性は確認されていません」「喘息等の刺激的なものを除き、環境たばこ煙(副流煙のこと)による健康被害は判明していません」とエクスキューズしている点。
JTは、結局タバコから脱却できそうにない。飲料部門といった分野に進出して、それなりに成功は収めているものの、タバコ以外で上がる利益は全体の10%に満たない。結局、タバコしかない。だから「タバコで肺がんになるという直接的な証拠はない」の立場は崩せないのだろう。もちろん、内部でも、色々あるのだろうけれども。
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