Category : ミリタリー
江畑謙介さんが訳した『世界史を動かすスパイ衛星』(もう20年前の本ですね)に、スパイ衛星KH-9の解像度について書かれている部分がある。KH-9は冷戦時代に使われたフィルム回収式の偵察衛星である。今から思えば、こいつに燃料やフィルムを補給することも、スペースシャトルの重要な仕事ではなかったかと思うのだが、それはさておき、KH-9の解像度についてである。
冷戦時代、偵察衛星の解像度についてはいろいろ言われていた。公開写真があったため、飛行機が類識別できることは判明していた。地上でジェットエンジンをアイドリングしたあとの排熱がエプロンの路面に残っているのも、赤外線で分かることも知られていた。しかし、それからはだんだん怪しくなってくる。たとえば、昼間の人影から部隊の人数が分かるとか、上から見てもソックリのソ連系戦車の類識別ができるとかドンドン怪しくなっていった。最後に、これは間違いなくガセだろうと言われていたのが、車のナンバーが読めると言ったものだ。
その偵察衛星の解像度について、江畑さんは「これらの写真はあまりに詳細、かつ鮮明に写っていたため、一三六キロの高度からではなく、あたかも二六メートルくらいの高さから撮影したかのようであった。」(p.159)と書いているのに出くわした。鮮明であることを説明する表現なのだが、136kmと26mを対比するのはあまりにも突拍子もない。
もちろん、ヤードポンド法をメートル法に置き換えたことは容易にわかる。マイル、ヤード、ファゾム、チェーン、フィート、インチのどれかをそのままメートル法に置き換えたのだろうと勘案して計算すると、85マイルと85フィートであった。
しかし、なんで「85マイルの高さではなく、85フィートの高さから撮影したようだった」と訳さなかったのかが不思議でならない。136kmと26mなんて組み合わせの方が突拍子もないし、実感もわかない。「85マイル(136km)と85フィート(26m)」とか、せめて「150kmと15m」のように丸めればよかったのではないか。26mなんて別に根拠のある数字
でもない。
割りと数字が厳密な割には、タイトルはザックリと改題しているも不思議だった。訳題は既述のとおり『世界史を動かすスパイ衛星』であるが、原題はは『America's secret eyes in space』である。タイトルはオリジナルにまったく拘泥されていない。それなのに、マイルとフィートをわざわざ換算しているのは、なんともヘンな印象をもったよ。
もちろん、江畑さんの訳なので内容的にも間違いもなく、面白い本なのでオススメですけども。
冷戦時代、偵察衛星の解像度についてはいろいろ言われていた。公開写真があったため、飛行機が類識別できることは判明していた。地上でジェットエンジンをアイドリングしたあとの排熱がエプロンの路面に残っているのも、赤外線で分かることも知られていた。しかし、それからはだんだん怪しくなってくる。たとえば、昼間の人影から部隊の人数が分かるとか、上から見てもソックリのソ連系戦車の類識別ができるとかドンドン怪しくなっていった。最後に、これは間違いなくガセだろうと言われていたのが、車のナンバーが読めると言ったものだ。
その偵察衛星の解像度について、江畑さんは「これらの写真はあまりに詳細、かつ鮮明に写っていたため、一三六キロの高度からではなく、あたかも二六メートルくらいの高さから撮影したかのようであった。」(p.159)と書いているのに出くわした。鮮明であることを説明する表現なのだが、136kmと26mを対比するのはあまりにも突拍子もない。
もちろん、ヤードポンド法をメートル法に置き換えたことは容易にわかる。マイル、ヤード、ファゾム、チェーン、フィート、インチのどれかをそのままメートル法に置き換えたのだろうと勘案して計算すると、85マイルと85フィートであった。
しかし、なんで「85マイルの高さではなく、85フィートの高さから撮影したようだった」と訳さなかったのかが不思議でならない。136kmと26mなんて組み合わせの方が突拍子もないし、実感もわかない。「85マイル(136km)と85フィート(26m)」とか、せめて「150kmと15m」のように丸めればよかったのではないか。26mなんて別に根拠のある数字
でもない。
割りと数字が厳密な割には、タイトルはザックリと改題しているも不思議だった。訳題は既述のとおり『世界史を動かすスパイ衛星』であるが、原題はは『America's secret eyes in space』である。タイトルはオリジナルにまったく拘泥されていない。それなのに、マイルとフィートをわざわざ換算しているのは、なんともヘンな印象をもったよ。
もちろん、江畑さんの訳なので内容的にも間違いもなく、面白い本なのでオススメですけども。
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