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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.10
14
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12:00
Category : ミリタリー
 英国に艦艇用ガスタービン・エンジンを売るらしい。「エンジン部品英艦提供を政府容認 川崎重工製、禁輸三原則抵触せず」※によると、民間でも使えるエンジンだから構わないという話である。

 日本護衛艦の、ガスタービン・エンジンの半分以上は英国系エンジンである。ロールスロイスのオリンパス、タイン、スペイ※※ が、汎用護衛艦に使われている。スペイは今でも使われている。これらの製造・サポートは川崎である。§

 これらのガスタービンは、汎用といえば汎用である。航空機用エンジンを転用したもので、発電設備や大規模揚排水設備でも使われている。民間船にも例はないわけでもない。軍艦専用というわけでもない。だから輸出可能としたのだろう。

 しかし、「民生にも使える」ことと「民生品だから」は違う。中古の英国製艦艇を使っている国は多い。オリンパス、タイン、スペイの類を「民生用であり武器ではない」とすると、その手の国、しかも戦争中の国にも売れることになってしまう。

 相手が英国だから安心というのもわかる。それほど無茶はしないだろう。仮に転売するにしても、日本製であることをわからないようにごまかしてくれといえば、誤魔化してくれるだろう。

 本来なら「英国ならOK」といった国ごとの切り分けを前に出すべきではないのか。今でも、米国には防衛技術は売れることになっている。その仕組を、まずは安心の英国に適用する形を取るべきだった。

 これは、必要に応じて「売れそうで、売って構わない国」に拡大しても構わない。例えば、アジアなら豪とNZ、マレーシア§§ あたり、中南米ならアルゼンチン、ブラジル、チリあたりが、売れそうであり、かつ安心できる国だろう。逆に、インドやベトナムは相当に怪しい。今の政権の価値観外交とやらの横車があっても売らないに越したことはない相手である。¶



※ 「エンジン部品英艦提供を政府容認 川崎重工製、禁輸三原則抵触せず」『47News』(全国新聞ネット,2013.10.14)http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013101301001673.html

※※ 他にも、護衛艦の非常発電機が小さいガスタービンだったような気がする。ただし、RRではなく、米国製LM500かもしれない。

§「日本におけるロールス・ロイス」(ロールス-ロイス)http://www.rolls-royce.com/japan/jp/about/rolls-royce_japan.jsp

§§ 今回のロールスロイス設計の艦艇用ガスタービンに関しては、これらの国は英連邦で英国製艦艇を使っているようだが、使っていない。実際には独製MEKO系がメインである。豪、NZのガスタービンは米国製、マレーシアではガスタービンは使っていない。

¶ まあ、中国もスペイの元になった英国系ファントム用エンジンの製造設備も持っているけどね。
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