Category : ナショナリズム
常任理事国として中国の品格を云々するよりも、日本の対中アドバンテージの維持を主張したほうが建設的ではないか?
山本輝夫さんは「国連常任理事国の資格も品格もない中国」で中国が戦勝国意識を持っていることを問題としている。要は、日本は中国に戦場で負けたことはないので、中国に対しての敗戦国の立場ではないというものだ。
しかし、日本は歴とした敗戦国である。たしかに、日本は大陸での戦闘では中国に大敗北は喫していない。だが、中国は見込み通り米英を巻き込み、日本に戦争で勝利を得ている。日本は日米中ソに降伏を申し入れている。
山本さんは「戦場では勝っていた」というが、それも負け惜しみでしかない。具体的には
日本が、中国に対して敗戦国の立場にあることに反発しても仕方がない。戦後秩序はそういう仕組みになっている。国連を見ても日本とドイツは旧敵国であり、米英仏露中は戦勝した大国として常任理事国の地位にある。今の日本が参加している秩序の成り立ちに文句をつけても仕方がない話である。
常任理事国が気に食わないからといって、そこに「品格」といった道徳的な概念を持ち込むのも、詮ない話である。山本さんは、中国には常任理事国の品格がないと主張している。
逆に、中国以外は品格ある常任理事国であるのだろうか? アメリカもソ連もイギリスもフランスも、「国際社会の平和に貢献すべき常任理事国として」ふさわしい「品格を有しているのだろうか?」といえば、いずれも怪しいものだ。ソ連の拒否権乱発は記憶に新しいが、米国も結構、拒否権を使っている。英仏もスエズ動乱では露骨に自国権益を確保するために拒否権を使い、カウンターで「平和のための結集決議」を食らっている。※※
孟子にも春秋に義戦なしとある。外交とはそういうものであって、国家の品格を云々しても仕方もない話である。山本さんの記事には副題があり「剥き出しの大国・戦勝国意識を糾弾する!」とあるが、糾弾してどうなるものでもない。
周りを見ない対中強硬策では、JIB's呼ばわりされるのがいいところだ。JIB'sとは日本、イスラエル、英国を指し、地域で身勝手なことをして面倒を起こすという言われ方である。
日本は現況で結構優位をもっている。尖閣の問題でも日本は現地を抑えている。中国の海洋進出に対しても、日米同盟や海自戦力といった海軍力での優越を持っている。優位な立場にあるのだから、あとは騒ぎ立てずに現状を固定すればよい。互いに譲れない対立はそのままに適当にごまかして、貿易や投資といった双方金儲けができるようにしたほうがよい。余計な事を言って対立を煽るのも無意味なことだ。それならば、領土問題での優位や海軍力の優越を固定化するための、海保増強や海自増強を主張したほうが建設的だろう。
※ 山本輝夫「国連常任理事国の資格も品格もない中国」『JB Press』(日本ビジネスプレス,2013.10)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38978
※※ 新中国が常任理事国の椅子に座っていることに山本さんは疑念を抱いているが、大した問題でもない。フランスが戦勝国として常任理事国にあることを見れば、より大きく地域での存在感の大きな新中国がその椅子にあることは、大した問題ではない。
山本輝夫さんは「国連常任理事国の資格も品格もない中国」で中国が戦勝国意識を持っていることを問題としている。要は、日本は中国に戦場で負けたことはないので、中国に対しての敗戦国の立場ではないというものだ。
しかし、日本は歴とした敗戦国である。たしかに、日本は大陸での戦闘では中国に大敗北は喫していない。だが、中国は見込み通り米英を巻き込み、日本に戦争で勝利を得ている。日本は日米中ソに降伏を申し入れている。
山本さんは「戦場では勝っていた」というが、それも負け惜しみでしかない。具体的には
作戦や戦闘において、中国軍が日本軍に勝利したのは、局地戦において数えるほどしかない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38978?page=3
中国軍が勝利した戦史である拉孟・騰越(ラモウ・トウエツ)の戦いですら援蒋ルート遮断のため派遣された日本軍の小部隊に対して、米・中雲南遠征軍が数十倍する戦力(拉孟守備隊113歩兵連隊の1260人が、中国軍4万8000人の猛攻を100日間防いだ後玉砕。桁数の誤りではないので、念のため)で攻撃し、孤立した日本軍部隊は、玉砕するに至った。と述べている。しかし、これは「ノモンハン事件でソ連側の死傷者数が多い、だから日本の勝利だ」というような自己欺瞞と同じである。戦闘で勝っても戦争で負けたら何の意味もない。
この作戦に、中共軍は参加していない。これくらいの戦力差がないと日本軍に立ち向かえなかったのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38978?page=3
日本が、中国に対して敗戦国の立場にあることに反発しても仕方がない。戦後秩序はそういう仕組みになっている。国連を見ても日本とドイツは旧敵国であり、米英仏露中は戦勝した大国として常任理事国の地位にある。今の日本が参加している秩序の成り立ちに文句をつけても仕方がない話である。
常任理事国が気に食わないからといって、そこに「品格」といった道徳的な概念を持ち込むのも、詮ない話である。山本さんは、中国には常任理事国の品格がないと主張している。
中国は、国際社会の平和に貢献すべき常任理事国として、その責務に相応しい仕事をし、品格を有しているのだろうか?
図体や軍事力だけで大国と言うのではない。それにふさわしい国家の品格が求められる。トラブルメーカーにすらなっているではないか!
品格泣き[ママ]国家は常任理事国を辞すべきだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38978?page=4
逆に、中国以外は品格ある常任理事国であるのだろうか? アメリカもソ連もイギリスもフランスも、「国際社会の平和に貢献すべき常任理事国として」ふさわしい「品格を有しているのだろうか?」といえば、いずれも怪しいものだ。ソ連の拒否権乱発は記憶に新しいが、米国も結構、拒否権を使っている。英仏もスエズ動乱では露骨に自国権益を確保するために拒否権を使い、カウンターで「平和のための結集決議」を食らっている。※※
孟子にも春秋に義戦なしとある。外交とはそういうものであって、国家の品格を云々しても仕方もない話である。山本さんの記事には副題があり「剥き出しの大国・戦勝国意識を糾弾する!」とあるが、糾弾してどうなるものでもない。
周りを見ない対中強硬策では、JIB's呼ばわりされるのがいいところだ。JIB'sとは日本、イスラエル、英国を指し、地域で身勝手なことをして面倒を起こすという言われ方である。
日本は現況で結構優位をもっている。尖閣の問題でも日本は現地を抑えている。中国の海洋進出に対しても、日米同盟や海自戦力といった海軍力での優越を持っている。優位な立場にあるのだから、あとは騒ぎ立てずに現状を固定すればよい。互いに譲れない対立はそのままに適当にごまかして、貿易や投資といった双方金儲けができるようにしたほうがよい。余計な事を言って対立を煽るのも無意味なことだ。それならば、領土問題での優位や海軍力の優越を固定化するための、海保増強や海自増強を主張したほうが建設的だろう。
※ 山本輝夫「国連常任理事国の資格も品格もない中国」『JB Press』(日本ビジネスプレス,2013.10)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38978
※※ 新中国が常任理事国の椅子に座っていることに山本さんは疑念を抱いているが、大した問題でもない。フランスが戦勝国として常任理事国にあることを見れば、より大きく地域での存在感の大きな新中国がその椅子にあることは、大した問題ではない。
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