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尖閣問題のエスカレーションは、経済的依存により抑止されているのではないか?
これは、少し前の『フォーリン・アフィアーズ』で、リチャード・カッツさんが「Mutual Assured Production」※ と題して主張した内容である。実際にそうなのだろう。
尖閣問題では両国のナショナリズムが吹き上がった。
だが、両国の密接な経済的関係により、問題のエスカレーションは抑えられたと見て良い。現実には、日中はそれ以上の摩擦を起こさないよう、抑制する方向に舵をとっている。日本は国有化以降は、尖閣では何の積み増しもせず、日中関係を悪化させる総理大臣の靖国参拝ほかを見送っている。中国も、日本政府による国有化の騒動以降は、問題を刺激する民衆運動を抑制にかかっている。
これは、日中とも、経済的な相互関係を壊さないようにと行動した結果と、カッツさんは主張している。日中には、双方が受益者となる経済関係がある。カッツさんが例示しているのは、iPhoneの類である。中国が輸出するためには、日本製部品が必要である。その部品を購入しなければ、中国はヨリ豊かになれない、だから、日本との関係を悪くすることはできない。日本も、中国ほど強大な市場を手放せない、だから、日本は中国との関係を悪くすることができない。簡単にいえば、そのようなものだ。
注目すべきは、日本企業の動向についての紹介である。チャイナ・リスク云々が言われているが、中国本土での商売を減らす方向にある日本企業は、進出企業の6%に過ぎず、42%が規模を維持し、52%はむしろ規模拡大を目指しているというものである。ネトウヨ界隈がチャイナ・リスクで日本企業は撤退したがっているというのは、例によってウソだということになる。
自民党も安倍内閣も、相当に経済界に依存している。その経済界の以降が中国での平穏な商売である以上、自民党も安倍内閣も、対中関係を悪くする政策は取れない。
日中にある経済的依存が、日中の衝突を抑止しているということである。この点で、密接な経済的関係は戦争を抑止しないとする主張は、誤りであることが分かるだろう。もちろん、あくまでも安全保障問題や、軍事問題に詳しいと自称するごく一部の連中の主張である。だが、経済的相関関係が戦争抑止に効果を発揮することも明らかである。
国家全体での政策判断としては、経済要素は特に重視される。対して、安全保障や軍事といった要素は、平時ではそれほど重視はされない。尖閣諸島関連で、日中では安全保障や軍事の専門家が、(仕方もないことだが)軍事の理屈だけで、互いに相手が侵略を進めるといっている。だが、実際には、日中にある相互的な経済的依存がある。このため、両国政府とも対中、対日関係を悪化させる手段は努めて回避するのである。
実際に、今回も香港団体の尖閣諸島抗議船は、よくわからない理由で尖閣行きを止められている。※※ このあたりは、対日関係悪化を回避しようとする中国政府の意図の現れである。日本も、尖閣での海保・海監の平和的なにらみ合いを安定化させるために、政治的意図をもって出漁する石垣の漁船について、適当な理由で差止させたほうが良い。理由は幾らでも作れるだろう。尖閣各島から12マイルでの漁業資源保護のためでもいいし、海保と海監のにらみ合いで危険なので、航泊禁止でもよい。
※ Katz,Richard"Mutual Assured Production""foreign affairs"92,4(Council on Foreign Relations,New York,2013.7)pp.18-24.
※※ 「尖閣抗議船、出航できず=香港水上警察が阻止」『時事ドットコム』(時事通信,2013.11.3)http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013111300614
これは、少し前の『フォーリン・アフィアーズ』で、リチャード・カッツさんが「Mutual Assured Production」※ と題して主張した内容である。実際にそうなのだろう。
尖閣問題では両国のナショナリズムが吹き上がった。
だが、両国の密接な経済的関係により、問題のエスカレーションは抑えられたと見て良い。現実には、日中はそれ以上の摩擦を起こさないよう、抑制する方向に舵をとっている。日本は国有化以降は、尖閣では何の積み増しもせず、日中関係を悪化させる総理大臣の靖国参拝ほかを見送っている。中国も、日本政府による国有化の騒動以降は、問題を刺激する民衆運動を抑制にかかっている。
これは、日中とも、経済的な相互関係を壊さないようにと行動した結果と、カッツさんは主張している。日中には、双方が受益者となる経済関係がある。カッツさんが例示しているのは、iPhoneの類である。中国が輸出するためには、日本製部品が必要である。その部品を購入しなければ、中国はヨリ豊かになれない、だから、日本との関係を悪くすることはできない。日本も、中国ほど強大な市場を手放せない、だから、日本は中国との関係を悪くすることができない。簡単にいえば、そのようなものだ。
注目すべきは、日本企業の動向についての紹介である。チャイナ・リスク云々が言われているが、中国本土での商売を減らす方向にある日本企業は、進出企業の6%に過ぎず、42%が規模を維持し、52%はむしろ規模拡大を目指しているというものである。ネトウヨ界隈がチャイナ・リスクで日本企業は撤退したがっているというのは、例によってウソだということになる。
自民党も安倍内閣も、相当に経済界に依存している。その経済界の以降が中国での平穏な商売である以上、自民党も安倍内閣も、対中関係を悪くする政策は取れない。
日中にある経済的依存が、日中の衝突を抑止しているということである。この点で、密接な経済的関係は戦争を抑止しないとする主張は、誤りであることが分かるだろう。もちろん、あくまでも安全保障問題や、軍事問題に詳しいと自称するごく一部の連中の主張である。だが、経済的相関関係が戦争抑止に効果を発揮することも明らかである。
国家全体での政策判断としては、経済要素は特に重視される。対して、安全保障や軍事といった要素は、平時ではそれほど重視はされない。尖閣諸島関連で、日中では安全保障や軍事の専門家が、(仕方もないことだが)軍事の理屈だけで、互いに相手が侵略を進めるといっている。だが、実際には、日中にある相互的な経済的依存がある。このため、両国政府とも対中、対日関係を悪化させる手段は努めて回避するのである。
実際に、今回も香港団体の尖閣諸島抗議船は、よくわからない理由で尖閣行きを止められている。※※ このあたりは、対日関係悪化を回避しようとする中国政府の意図の現れである。日本も、尖閣での海保・海監の平和的なにらみ合いを安定化させるために、政治的意図をもって出漁する石垣の漁船について、適当な理由で差止させたほうが良い。理由は幾らでも作れるだろう。尖閣各島から12マイルでの漁業資源保護のためでもいいし、海保と海監のにらみ合いで危険なので、航泊禁止でもよい。
※ Katz,Richard"Mutual Assured Production""foreign affairs"92,4(Council on Foreign Relations,New York,2013.7)pp.18-24.
※※ 「尖閣抗議船、出航できず=香港水上警察が阻止」『時事ドットコム』(時事通信,2013.11.3)http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013111300614
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