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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.11
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Category : 有職故実
 特定秘密の件で、前に読んだ戦争中の例を思い出したよ。

 戦時中だと、大本営発表について統計をとり、事実と違うだろと言っただけで大阪の憲兵隊捕まった例がある。「米国が開戦前に保有し、開戦後に就役を発表した戦艦の合計数よりも、大本営発表での戦艦撃沈数の方が多い」(大意)「ラバウル航空戦で『米軍機が二百数十機飛んできて、そのうち百五十五機落とした、日本側損害十五』ってどう考えてもおかしくないか、英独航空戦でもそんな比率はない」(大意)というもの。

 結局は、検事に無理矢理に流言飛語とされた。だが、検事もどう事実と異なるかを示すことができない。そこで事実に基づくこと無く日本の勝利を疑うものとして海軍刑法や臨時取締法違反で有罪となった事件がそれ。

 ほかにも、ペンキ屋の老人の話もある。「アメリカはレーダ射撃があるので水上砲戦で日本は勝てない」(大意)「統制経済はうまくいかない」(大意)「日本にはモウ空母がない」(大意)「アメリカには勝てない」(大意)といったもの。これは前に書いたとおり。これは警察に捕まって、同じように流言飛語として、海軍刑法と臨時取締法で送局された。こちらは特高報告に残っている。

 ちなみに、警視庁(東京)から東京都長官宛の特高報告には、にも、どうでもいい言論で取り締まられた例も多く載っている。「蕨に爆弾が落ちた」とか「オレの乗っていたフネが沈んだ」とか「対空砲が当たらない」といったもの。

 戦争中の例で見ると、実際に敵にバレて困ることを秘密にするよりも、自分たちが下手打っていることを隠すのに使われるのが、秘密といった取り扱いなのだろう。現代でも、宮城県警の捜査報償費みたいな例もある。



 まあ、防衛とか外交ならまだ分かるが、警察や一般省庁に秘密認めると、どーでもいいことを秘密にして、どーでもいい漏洩まで犯罪にするのではないのかね。防衛にしても、実際に見た秘密取り扱いには、まあどーでもいいことがあった。外交の秘密も、競走馬代金やらにつながった例もある。検察も、都合のわるい証拠、矛盾する証拠はついこの間までは出さなかった。これもその伝だろう。さらに一般省庁になると、悪事を隠す以外に秘密取り扱いの使い道はないだろう。あっても入札の予定価格調くらいだが、秘密とするとむしろ予定価格をバラしたことを秘密にするのではないかね。



※ 役人は秘密を独占したがる。そして秘密を暴かれると役人は怒るといった話については、ベネディクト・アンダーソンも「国家の見えざる敵 社会的実践としての海賊」が面白い。「秘密を独占することが権力の源泉となる」(アンダーソン、大意)といったあたりは、いい悪いはともかく、真実なのだろう。
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