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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.12
14
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12:00
Category : ナショナリズム
 中国艦艇と米艦艇がチキンレースやった話だが、これは冷戦時代は日常的にあった話である。公海上での演習で、監視する米艦とソ連艦が同じようなことをしていた。相手の針路に割り込み針路を変えさせる。たまには並走状態で軽くゴツンもあった。ソ連のミサイル艇かなにかが米水上艦の斜め後ろからゴツンの事件があった。

 ただ、「一触即発」はない。産経ニュースで、その語を見たが、やはり違和感はある。極端な話、これはいつものゲームの範囲を超えない。米中で行っている軍事力を使った競り合いは、米ソ冷戦のように、エスカレーションの先に戦闘を見越した、にらみ合いではない。決して衝突には至らないことを暗黙としたゲームである。米中艦艇による、じゃれ合いは、その中のミニゲームにすぎない。

 問題は、事故にある。互いに死傷者を出すつもりはなくとも、結果として事故が起きることがある。例えば、海南島でのEP-3とJH-8の接触事故がそれだ。艦艇同士であれば、並走そのものが危険をはらんでいる。それなりの速力で艦艇同士が近づくと、ベルヌーイの力で吸い寄せられるためである。ブツかっただけなら大した話ではないが、なにかの拍子で死傷者や、火災浸水が起きると、ゲームの趣旨から離れた無用な緊張をもたらす。

 必要なのは事故回避措置である。互いに不幸な事故を回避する仕組みがあれば、安全にチキンレースができる。その前例はある。あの米ソ冷戦でも、事故回避の仕組みはあった。「米・ソ間で合意した海軍艦船間で使用する信号」がそれだ。国際信号に準じた信号であり、意図しない事故発生の防止に役立てようとするものである。「PJ3:本船は、舵故障中。注意あれ」や「QF1:本船は、機関を停止した。注意あれ」、「RU8:本船から2海理の圏内には、30分以内に潜水艦が浮上する。貴船は、これを避けられたい」といった信号である。これを米中でも使えば、ゲームはほぼ安全となる。

 事故回避措置が必要なのは日本でもかわらない。尖閣あたりでの保安庁と海警の対峙も、両国間には暗黙のルールができている。ゲームに参加するのはハルストライプを持ったフネに限定する、互いに死傷者を出さない、タラ戦争のように体当たりはしない、政治的変化がない限りは上陸とか余計なことはなしない…そんなものだ。その暗黙のルールを確固とするために、暗黙のルールにとって危険因子を尖閣から追い出したほうがよい。

 尖閣でのゲームで最も危険な因子は、政治団体の進入である。わざと尖閣まで行って出漁し、あるいは飛び込んで上陸するような政治的パフォーマンスは、ゲームを危険にする。そのためには、あの一体を禁漁にしたほうがよい。尖閣諸島については、島から12マイルを、資源保護あたりを名目に禁漁区とし、外国艦船の不法侵入あたりを理由に航泊禁止にしたほうがよい。



※ 「中国艦船と米巡洋艦が“一触即発”-南シナ海」『産経ニュース』(2013.12.14)http://sankei.jp.msn.com/world/news/131214/amr13121410530006-n1.htm
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