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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.12
15
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13:22
Category : ミリタリー
 住重が機関銃でデータ改ざんしたという話※ だが。拳銃や小銃ならともかく、最も重要な火器である機関銃が対象で、しかも耐久性となると困った話だ。

 陸戦で一番重要なのは機関銃である。機関銃がなければ防御も攻勢も威力を大きく欠く。同じように連射ができるからといって、自動小銃で代用できるものではない。極端な話をすれば、小銃は機関銃を援護する役割のようなものだ。

 そのため、機関銃には耐久性と互換性が必要になる。まずは1万発でも2万発でも発射できる堅牢さと、過熱や故障に備えての銃身を始めとする交換部品との互換性が求められる。

 今回は、その耐久性が問題になる。極端な話、発射速度は多少遅速があってもいい、だが、銃身の耐久性については、次第によっては重篤な問題である。銃身そのものの寿命はともかく、機関銃と銃身の接続部が絡むと、作り直しが必要になるだろう。

 銃身接続部は耐久性と精密性の両立が求められる。設計はともかくとして、製造段階で最も高度な精密加工が要求されるのは、銃身と接続部である。機関銃の場合、銃身はその場交換しても集弾性※※ は損なわれないことになっている。その取付も、いまでは更なる精度が求められている。A4の昔は銃身取付時にゲージを使ったギャップ(締付距離)調整があったが、ここ50年の機銃(海自ではまずない)では、ギャップ調整も精密加工で一発交換できるようにしているためだ。

 銃身取付部が絡むと、機関銃への不信になるだろう。もともと住重機関銃への評判は良くない。62式は割と早期に悪評が出た。当初、海軍5式30mm機銃の流れを汲む先進性という話であったが、5式なんてまともに実用されていない。その後、MINIMI、M2QCBと世界ブランドのベルギーFN社設計となったが、やはり製造技術に問題があったのだろう。

 住重については、結構監督官や検査官をやった。住重浦賀と保谷両方やったが、保谷は機関銃ラインを持つ工場だ。あそこは潜水艦の二酸化炭素吸収装置を作っている会社で、そのつながりで口を濁すがホニャララも作っている。(これは入札の公告で出ている) そこから技術者がこっちに来て、作業待ちの時、風邪か何かで休んだ代理人(アミン専門家だったひと)の代理さんが機関銃ラインと言う話で、なんともなしに「将来の機関銃はどうするのですかね」と聞いたら「ウチの機関銃は全く問題はない、完全無欠」みたいに言っていたのが印象的だった。

 住重は、三菱よりもしっかりしているという印象だった。だが、防衛調達は構造自体がアレなんで、前回はどっちも架空請求でとっ捕まっている。実際のところ、検品も数しかみないのだからこういうこともあるのだろう。機関銃も、ロット抜いて3万発射撃とかやったほうがいいのかもしれない。


※ 「自衛隊の機関銃データ 改ざんして納入か」『NHK NEWSWEB』(NHK,2013.12.15)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131214/k10013833571000.html

※※ ただし、命中精度はそれほどではない。軍用銃全体が命中精度は甘いが、機関銃のそれは更に甘い。60年代に62式機関銃について書かれた記事を読んだ記憶があるが、50m先で10cm四方だかと、軍用弾薬を使うにしても相当に甘かった。
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