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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2014.02
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Category : 未分類
 尖閣なんか米国にとってはどうでもいい話だ。米国にとって、尖閣諸島は何の価値もない。あの島そのものを米国が利用する価値もなければ、米国からすればEEZはどうでもいい。

 これはレインさんが『外交』最新号でを述べた※ ことだ。米国がオフショア・バランシングを志向する点についての主張なのだが
中国(そして日本)にとって尖閣諸島の問題は高い戦略的、象徴的価値があるが、米国にとっては、本質的に戦略的価値はない。
レイン,クリストファー「パックス・アメリカーナの終焉後に来るべき世界像」『外交』(時事通信,2014.1)p.25
としている。

 その尖閣諸島云々で、米国は「尖閣諸島が米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用対象との立場を重ねて強調した。」(東京新聞※※ )と述べたという。

 しかし、そこにリップサービス以上の価値はない。

 そもそも、米国からすれば尖閣はどっちのものでも構わない。日本領でもいいし、中国領でもいい、別に台湾領でも構わない。

 本心は「そんな島の取り合いに巻き込んでくれるな」だ。戦争にでも巻き込まれて、米軍人の血が流れることを恐れている。また、片方に深入りして、もう片方から恨まれることも恐れている。

 だが、日中間の両方にいい顔をし、調停者として振る舞い、利益を得るためには、何らかの発言をする必要がある。米国にとっては、日中がある程度対立しているのは悪くはない。両方にいい顔をすることによって、両方から味方に引きこもうと利益を貰えるからだ。

 だから、米発言にそこにリップサービス以上の価値を見出し「いざとなれば、尖閣問題で米国も助けてくれる」と喜ぶのは早計である。

 尖閣問題で、米政府は援助してはくれない。米軍部ほか、対中強硬路線でまとまっている安全保障サイドが、日本の安全保障サイドに「もし中国が尖閣に攻めて来る話があれば、セクション内でもっている自前の情報をあげるよ」という程度だろう。あとは自国が儲かる武器の売却くらいか。

 この程度なら、米国は中国にも同じことをしているかもしれない。

 今のところ米国は「他国の領土問題に関与しない」と毎回言っている。これは中国側に対し「尖閣問題に米国は首を突っ込まないよ」というリップサービスである。

 そこから一歩踏み込んだ話もあるのかもしれない。たとえば経済系の対中融和派は、中国の対外融和派に「もし日本が尖閣でエスカレーションさせる話があれば、セクション内で入手した情報を中国にあげるよ」と言っている。また「自分たちは尖閣への介入を阻止するように振る舞うよ」と伝えている。そういう話があっても不思議ではない。

 尖閣問題で米国が助けてくれるというのも、まずは期待ができない。米国はどうでもいいと思っているわけなのだから、それに期待するのは無駄な話だ。

 さらには、日中にしても、尖閣はどうでもいい話だ。尖閣諸島は政治的なシンボルであるので妥協できないが、島やEEZには実利はない。一番いいのは、現状で放置することか。

 まあ、現状放置で一番やばいのは、両国のアレ国民の行動である。中国漁民の体当たりもアレだったが、日本のアレ右派の上陸や石垣市議の漁船による操業もアレだ。中国は、自国アレ漁民や香港のアレ運動家を尖閣に出さないようにしている。日本もそれに習って、尖閣から12マイルに禁漁や航泊禁止措置を取るべきだと思うけどね。そうすりゃ、相当の危険要素はなくなる。あとは公船同士が仲良く睨み合えばいいよ。



※   レイン,クリストファー「パックス・アメリカーナの終焉後に来るべき世界像」『外交』(時事通信,2014.1)pp.20-25

※※  「中国の防空圏拡大阻止 日米外相一致『尖閣、毅然と対応』」『東京新聞 NEWS WEB』(東京新聞,2014.2.8)http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014020802000243.html
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