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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.03
06
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12:00
Category : 未分類
 中国国産空母について、同じ雑誌で連続して二つの記事があるが、その記事間でも平仄があっていない。大連で建造中と言われる空母について、001Aとするか002とするかその点

 『鏡報』3月号に空母小特集がある。江小舟さんと梁天仞さんの記事で国産空母についてなのだが、情報がない中で書けと言われても困ったのだろう。江さんは「五大核心技術」があると述べるにとどまっている。また梁さんも読者サービスにこれ務めていた。

 江さん※ が記事で述べている「五大核心技術」は、大連で建造中の002型で必要な技術について述べるものだが、その中身は「空母については全部が未知数だよ」と言っているようなものだ。

 江さんは、「将来的に原子力推進にしなければならない」といった主張に合わせて、中国が空母建造に必要な重要技術は次の5ヶ、①艦載機、②船体、③原子炉、④艤装(カタパルト、エレベータ、バリア)、⑤着艦支援システムを述べている。だが、これは、空母については中国は遼寧艦を入手しても、まだ極初期段階にあるとする認識である。

 対して、梁さん※※ の記事は、技術的困難を述べない、まずは読者サービスになっている。梁さんは、建造中と言われる空母について、おそらく建造場所から山東艦(想定001A型)と広東艦(想定002型)となるのではないかと述べている。山東艦が、遼寧艦の排水量5%増し、キティーホークを参考にする広東艦が、山東艦のさらに排水量5%増しとも述べている。§

 予想図もあるが、蒸気カタパルトをアングルド・デッキ側の、左舷ギリギリにつけている。本文中でも触れているが、必要性は述べているが、開発に成功したといったような記述はない。

 ただし、スキージャンプは残しているのは、むしろ現実臭い。試験用カタパルトと考えれば、完全導入は怖いので最初はそうするだろう。ちなみに梁さんは、カタパルトで飛ばすのは固定翼哨戒機や重装備のJ-15だけのような書きぶりをしている。§§

 問題は、両者で平仄が合わないことである。江さんは山東省大連で建造している空母を002型としている。この点、梁さんが山東艦を遼寧艦の略同型、001A型とする点と対照的である。

 そして、プランとしては江さんの認識の方が自然に見える。わざわざ2流以下のロシア式の遼寧艦の略同型を作る必要があるのかといった点で、梁さんの認識はちょっと不思議に見えるためだ。

 この不合から、中国国産空母については、香港でもまだ細かいことはよくわからない段階であることは分かる。しかも『鏡報』でその程度であることは、まずは五里霧中といったところなのだろう。『鏡報』は、香港誌でも中国政府に近く、早期に中国情報が出る傾向にある。その『鏡報』でも、ここまで漠然としているということは、日本や米国から、あまり具体的なことを考えても無駄だということだろう。

 彼らの空母技術は、「五大核心技術」を獲得する段階にある程度とみるのが妥当か。

※  江小舟「解碼中国『002』型航母」『鏡報』440(鏡報文化企業有限公司,香港,2014.3)pp.39-41.

※※ 梁天仞「国産航母花開両朵」『鏡報』440(鏡報文化企業有限公司,香港,2014.3)pp.42-45.

§ 各艦の排水量で遼寧艦の5%増しというのは、あまり有り得そうにない。国産建造で、遼寧艦と同じサイズを作る必要はないためだ。
 まず、計画で誤差程度の5%を出す点が、怪訝である。特に大型艦で艤装も確定していない軍艦だと、それくらいは増減する。
 また、スキージャンプ発艦方式を主用するのであれば、船体はできるだけ伸ばそうとするはずである。
 さらに、機関出力も強化したいはずである。将来的な蒸気カタパルト装備やスキージャンプ利用を考えれば、缶は大きめにしたいだろう。
 実際には、山東艦の段階で排水量50%増しはやりたいはずだし、最初からキティホーク参考の計画にもするだろう。§ 

§§ だが、梁さんのレイアウトそのものはなんとなくだが正しいような気がする。「全体のレイアウトはキティホークに倣う」とか、図のカタパルトも「将来装備」といった扱いであるとか、エレベータを3基まで増やすとか、遼寧艦の経験?からスポンソンの位置を変えるといったあたりは、中国人も中国海軍もそう考えるだろうし、西側の認識と合致する点でもリアリティはある。もちろん、感覚的なものでなんとなくだが
2014.03
05
CM:0
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13:04
Category : 未分類
 日本が持っているものは韓国も持ちたがるのは、プルトニウムも変わらない。

 日本は30t以上のプルトニウムを保有し、使い道も見つからないのに再処理、つまり国内生産をやめようとしない。電力会社の会計の話はいつ聞いてもよくわからないが、MBA商法が大好きな経営陣が「アレは資産だ」ということにしないと困るらしい。その経営をなんでも認める連中も、もう詰んでる「もんじゅ」まで擁護している。

 それを見ているせいか、韓国もプルトニウムを持ちたがっている。彼らの再処理の理屈は「北の核があるので核装備をする」いうよりも「日本が再処理しているのだから、韓国もやる」といった中身になっている。

 『外交』最新号に大田昌克さんの「東アジアの核秩序に変貌の足音-韓国を突き動かす『再処理』願望」が掲載されている。太田さんは日本同様に「原子力界の暴走」が原因としているが、その主張を支えるのは、やはり「日本がやっているから」だ。

 韓国の再処理は、パイロプロセッシング法によるという。ピューレックス法とは異なり、プルトニウムだけの抽出には向いていないものであるらしい。だが、やる気になればプルトニウムを生産することも可能であるという。

 もちろん、米国はやめさせたがっている。太田さんの米側インタビューによると
ピューレックスもパイロも大きな差はない。両方とも純粋なプルトニウムを抽出する工程を設けることが可能だ。
セイモア,ゲイリー(ホワイトハウス調整官)へのインタビュー
「東アジアの核秩序に変貌の足音-韓国を突き動かす『再処理』願望」
という認識である。

 日本へのプルトニウム返還要求も、韓国への対応が頭にある。「米提供のプルトニウム返還へ=政府」※※ によると、貸与プルトニウムを返す話も、韓国の「日本もプルトニウムを持っている」反論を封じるため。時事通信は「オバマ政権が重視する核軍縮・不拡散」への日本側の自発的協力§ のように書いているが、実際には韓国の再処理への対応もある。

 韓国がプルトニウムを入手し、最終的に核兵器を持つと日本は困る。さすがに日本も核保有を検討する必要が出てくるが、核は安くない上に、核抑止力以外には何の役にも立たない。核兵器装備コストの他にも、韓国との軍事的な対立も強くなる。それは避けない。
 この点から、韓国のプルトニウム再処理を止めさせるためにも、日本も再処理をやめたほうがいいのではないか。

 現状、再処理には何のメリットもない。プルトニウムの平和利用は、高速増殖炉の失敗でなくなった。惰性で続けているが、金を吸い取られるだけの事業である。

 「いつかは日本も核」を、という人も居るだろうが、それに必要なプルトニウムは十分に保有している。日本はすでに核武装するにしても有り余るプルトニウムは保有している。

 日本の再処理は、韓国を刺激し、その再処理の理屈に使われている。それならば、やめても良いだろう。



※  大田昌克「東アジアの核秩序に変貌の足音-韓国を突き動かす『再処理』願望」『外交』(時事通信,2014.1)pp.50-53.

※※ 「米提供のプルトニウム返還へ=政府」『時事ドットコム』(時事通信,2014.2.26)http://www.jiji.com/jc/zc?k=201402/2014022600363

§ 時事通信によれば、外交での自己顕示欲だけが強い首相が目立つためという。「安倍晋三首相はオランダのハーグで3月24、25両日に開催される核安全保障サミットに出席する意向で、プルトニウム返還を具体的な成果として発表したい考えだ。」とあるが、30tプルトニウムを持っている日本がアメリカに300kgを返したところで、何の成果になるのか怪しいものだ。
2014.03
04
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TB:0
12:58
Category : 未分類
 海自が使っているSAMについて、所要があって探していたのだが、あんまりないというかほとんど無い。無人で動く、と、設標もやる、と、磁気・音響を出して掃海するといったあたりだけしかない。

 米軍で上陸戦に使う計画があり、たしか2セットを実験運用していたはず。このあたりは昔の雑誌に断片的にでていたのだが、ネットではそれも出てこない。時期的に湾岸戦争の頃で、そこで使ったのかどうかがなんとも言えない。ググっても、まずは米軍がまたぞろ検討しているゴム風船式のSAM3しかでてこない。

 そもそも写真が出てこない。日本にある個人の撮影と、スウェーデンの製造元コクムスの写真だけ。個人写真は全景がわからない。製造元の写真は解像度が悪い。掃群も101掃も写真を出していない。主力兵器は管制艇ではなく、SAMだと思うけどね。

 アレ、導入に関係した人の話を聞いたことがあるのだが、中身よりも寒くて死にそうだったような話しかしなかった。SAMにも人は乗れるらしいのだが、冬のスウェーデンなので早く終わらないかしか考えられなかったといったもの。

 その人は、軍事研究の落合さんの記事に出てくる。対機雷戦/機雷戦の主柱のような人なのだが、船越埋立地の件で、3掃?にいた時に駐車場と工事仮設の件でよく怒られた。通信線をぶった切った時にも怒られたよ。

 そのあとに学校に行ったときに、指導教官になったのだがら、当初はチョットきまりが悪かった。もちろん、そのあたりは忘れてくれるし、聞いたことは何でも教えてくれるし、何言っても怒られなかったけどね。

 ペルシア湾に行った時の幕僚で、決まった時には電話回線がパンクしたとかも言っていた。臨時で、多分幕僚部に3回線増やして準備をしたとかも言っていた。5年位前に定年で、関西の方の大学のカッターか何かの訓練係に再就職したとか言う話だった。



 納品終わってからなので、まあ、とっ散らかっているけど、次もあるから、しばらくこんな感じかね
2014.03
03
CM:4
TB:0
21:03
Category : 未分類
 ウクライナ情勢だけれども。クリミアやら東部やらにロシアが進駐したことで、ロシアの勝ちみたいな言い方もあるのだが、将来的にはどうなるのかね。

 各プレイヤーの立場を考えても、ロシア一人勝ちでもないように見える。ロシアは侵略によりウクライナ民族主義に日をつけたわけで、ウクライナへの影響力を喪い、ウクライナを中立化させることに失敗した。回収できたのは東側のロシア人居住地域だけ。この点でロシア強い、ロシアスゲーはちょっと見誤っているなと

 ウクライナにとっては不幸だが、面倒なロシア系住民を切り捨てる機会にもなる。ウクライナにとって、クリミアやら東部を失うことは痛手である。しかし、、ウクライナ民族主義に抵抗するロシア系住民を切り捨てるチャンスでもある。ロシア系住民の数が一気に減れば、ウクライナは心置きなく、ウクライナ民族主義に合わせた反ロシアのスタンスをとれるし、新西欧政策もとれる。

 欧州にとっても、何を考えているのかわからないロシアへの封じ込めが進捗するので、いい話である。ウクライナは、今までのように欧州とロシアの中立から、反ロシアと親西欧に傾くことになる。クリミアや東部を喪ったウクライナは、反ロシア感情がつよくなり、勝手にロシアに対抗してくれるためだ。特にポーランドやバルト三国は喜ぶ。

 この点は、仮にウクライナが戦争した※ あとで、勝とうが負けようが関係はない。だから、ロシアがキエフ侵攻でもしない限り、西欧は軍事介入までする気もないだろう。そもそも、クリミア半島やウクライナ東部のような地の果てがどうなろうが知ったことではない。

 トルコにとっても、ウクライナがフラフラした状態から反ロシアに転じてくれるのは悪くない。ロシアはセヴァストポリを新しく手に入れたわけでもない。ロシアの黒海へのアクセスは変わらないが、ウクライナと睨み合ってくれれば、黒海でのロシアの地位の足は引っ張られることになる。

 アメリカにとっては、実益も実害もない。基本的には世界の果てで起きたどうでもいい話である。もともとロシアに頼むこともない。あとは外交で世界の敵を許さないアメリカを見せられれば満足する。熱戦になって経済が冷え込むのだけはかんべんしてくれといったところか。

 逆に、ロシアは何かを得られたわけでもない。自国国境付近のクリミアやハリコフを獲得できたというのも、見方次第では違うようにみえる。ウクライナ全土への影響力を喪い、西欧との緩衝国を喪った上で、かろうじて自国国境付近のみだけを確保したとも言えるだろう。

 黒海へのアクセスで重要なセヴァストポリを確保できたというのも、現実的な利益がどれだけあるかは怪しい。もともとロシアは海軍では実利を得ていない。ロシアは海軍を威信財として持っているだけであり、それをセバストポリに並べても、大国であるという満足感が得られるだけである。

 結局は、世界の敵という汚名を蒙り、ロシア封じ込めが明瞭になったのではないか。そうすれば、ロシアの勝ちという見方は正しいものでもない。

 今回の動乱も、ロシア人による植民地帝国、ソ連崩壊の最後の余波なのだろう。ロシア人による他民族支配や、衛星国支配がまたひとつ終わったということだ。結局は、ロシア人はロシア人が住んでいるところしか支配できないわけだ。

 ウクライナへの進駐を指して「ロシア強い、ロシアスゴイ」というのは、やはり早計なのではないかね。



 まあ、日本にとってはどうでもいい話なのだが。アレ政権のアレ宰相はどうするのかね。北方領土に色目を使って、いまのロシアと仲良くする選択肢は先ずなくなっただろう。アレ宰相も、内政、経済の行き詰まりも見えてきている中で、外交で得点を得るチャンスは失われたあたりで、ザマーミロとも思うけどね。



※ ウクライナも、負けを覚悟で一合戦くらいはしたほうがいいのかもしれない。
 負けたとしても戦ったほうがいい。それで欧州の同情や援助も得られる。また、ウクライナがパイプライン網を抑えていることを東西に印象づけられるかもしれない。欧州は天然ガスが手に入らないので、次にウクライナがヤバくなったときに、「思いとどまれ」といろいろ助けてくれるかもしれないし、ロシアも天然ガス販路を喪うので「ウクライナとの戦争良くない」という発想を植え付けられるかもしれない。
 あとは「独立戦争やって血を流した」という建国神話も、ウクライナは作らないいけないのではないかね。ウクライナはソ連崩壊時に独立戦争をやっていない。独立戦争をやらないで独立した国は、反抗期なしに成人した大人のようなものだ。韓国なんかそうだが、旧宗主国に対して鬱屈した感情を抱くのは、後々よくないと思うけどね。
2014.03
02
CM:1
TB:0
20:19
Category : 未分類
 後にサウジアラビア大使(1998-2001)となったムハンマド・クルディーさんの回顧談「より良き未来を約束するために」を見つけた。『サウジアラビアと日本』(サウジ大使館文化部)1968年に三等書記官で日本に着任する時の話が載っている。

 中に、遠距離通勤に驚く部分がある。1.5時間と聞いて『アッラーは信仰者の崇拝を忘れることなく信仰者を助けたもう』と嘆息するのだが。当時も今も、日本人からすれば、1.5時間の通勤でそこまで言うのは、あまりに大げさなのではないかという話だが、サウジの人には相当の苦痛に見えたのだろう。

 ただ、お給料720-850ドルもあれば、そこまでの痛勤はないはず。当時は1ドル360円、初任給3万600円の時期である。確かに麻布に住めないかもしれないがとのことだが、戸越や中目黒のあたりなら、当時は低層で今よりもさらに家賃も安い。300ドルもあれば一軒家なりアパートに住めたのではないかと思う。汽車で30分もかからない。

 おそらく、日本大使館の先達にからかわれたのではないか。右も左もわからない初任外交官が、全く訳の分からない日本に来た。そこで大使に衣食住大変だぞと言われて不安になっている。サウジの連中も、面白がってあることないことを色々吹き込むだろう。

 当時を伺わせるものは、懐かしいモロヘイヤとオクラがないという記述か。オクラは昔からありそうな気もするが、元々はアフリカ原産で日本に入ってきたのはここ20年の話である。モロヘイヤも同じであり、60年代日本では手に入らなかったのだろう。

 サウジと日本は60年代には経済成長を始めているが、一気に発展するのは70年代以降の話である。サウジの原油国有化と国際原油価格高騰、日本製造業の高度化と日本製品のブランド化はどちらも70年代からになる。それ以前のサウジと日本は、成長株であるものの、今ひとつパッとしない、豊かになる過程の国である。その辺りを伺える点でも、面白い本である。



 まあ、エスノセントリズムから遠い商売の外交官だから、相当マイルドで、しかも日本担当なので日本人にも読みやすくしているのかもしれないけれども。
 率直な感想の部分を秘しているのなら、それも読みたいものだが。
2014.03
01
CM:0
TB:0
20:07
Category : 未分類
 飲んでいて岩波ホールでやる『ワレサ 連帯の男』の話になったのだけれども。


 なんだかんだいって、ソ連は実際に介入できない立場だったよなという方向に話が進んだ。

 1980年代、ポーランドで始まった自主労組、連帯とその運動に対しては、ソ連が介入するかどうかが話題になっていた。ソ連は介入一歩寸前まで行ったとするのが、同時から今までの常識であった。

 しかし、ソ連が介入しても、デメリットの方が多いので介入はない。まずは、①対外イメージの失墜がある。また、②介入が失敗した時の威厳低下もある。そして、③介入実施によって東欧離反が明瞭になる可能性がある。

① ポーランドに介入すれば、ソ連の対外イメージは間違いなく失墜する。1980年正月、アフガン侵攻では、平和のための結集決議をソ連はつきつけられている。世界平和の敵と宣言されたようなものだ。その上、ポーランドの自主的な労働運動に武力介入したとすれば、侵略者としてソ連はイメージされることになる。

② ポーランド介入失敗による威厳低下の可能性も高い。迅速な制圧に失敗する見込みは相当にある。その場合には介入は失敗である。衛星国への介入に失敗したとなると、強力なソ連といった印象は一気に崩れてしまう。軍事力以外に何も持たなかったソ連は、超大国であるかどうかといった疑念を抱かれることになるだろう。

 介入が失敗する可能性は少なくない。ポーランドは一丸となってソ連と交戦する可能性が高い。確かに、映画『ワレサ 連帯の男』で描かれているように、連帯と政府の衝突を激しいものである。連帯運動はポーランド政府の敵であった。だが、連帯と政府の争いは、あくまでの国内の主導権争いに過ぎない。国外からの侵略があった場合、ポーランドは一丸となって立ち上がる可能性は高かった。ハンガリーやチェコと異なり、ポーランド共産党、政府、軍の関係は強固なのである。

 国民国家としもポーランドは強靭である。カソリックの国であり、その点での団結も強い。なんせ、労働者党(共産党)の党員も洗礼を受けている国である。その上、国民も反ロシア感情が強く、ソ連の侵略には徹底抗戦するだろうことは間違いない。

③ ポーランド介入の過程で、東側の離反が明らかになってしまう可能性も高い。ポーランドへの介入で、東側諸国がどれだけ協力するかも怪しい。明らかに不正義であるポーランド介入に、積極的に付き合う国は東ドイツ位なものだろう。自分たちが東側ブロックの優等生である、そう勘違いをしている東ドイツ以外には、まともに付き合う国はない。ルーマニアは明らかに拒否する。チェコスロバキアやハンガリーにとっても、かつての記憶から自国国民の強力な反発に直面する。社会主義国家でも、自国政権の安定性を揺るがすような政策は取れない。唯一の親ソ国、ブルガリアも、やれと言われればやるが、乗り気でもない。あと、兵隊を出してくれるのはモンゴルくらいしかないだろう。

 介入の結果、東側の拒否が見えると、やはりソ連の権威は低下する。ルーマニアの明確な離反、ユーゴ化と、チェコスロバキア、ハンガリーが距離感をとると、その後にも支障が出る。距離感をとっても大丈夫だとわかれば、経済的に西側によりつつあったチェコスロバキアとハンガリーは、さらにソ連と距離を取ろうとする。ルーマニア体制は、国民受けもあるので、ソ連に敵対するくらいの立場を取りかねないだろう。

 とまあ、酒飲みながらこんな話をしたのだけれども。さらに④ソ連国内も怪しくなるよねという話にもなった。

④ ウクライナにある予備戦力をポーランドに向かわせると、ウクライナが動揺する。すでにアフガン侵攻でソ連中央アジアでの反ソ傾向は強くなっている。その上、ウクライナのビンの蓋である、キエフ軍管区(ソ連の国家予備戦力、第2OMGそのもの)をポーランドに投入した場合、ウクライナも動揺する可能性がある。

 他の軍管区から埋め合わせにウクライナに送るにしても、引っ張るにしても、まともな部隊や兵站機能はすでにアフガン侵攻で使い尽くしている。そのためには大規模動員を掛けなければならないが、経済的に厳しい当時のソ連にとって、西側や中国との戦争でもなければ大規模動員は出来る話ではない。

 実際のところ、こういった問題があるのでポーランド介入はなかったのではないかという話になった。厳密には関連書籍や先行研究も見なければいけないが、あながち間違っているわけでもないだろう。



 まあ、ミリタリーの仲間内で飲み会やっても、全然、メカや軍隊の話をしなくなったよ。2次会で、高名な軍事評論家、艦これでマネタイズしている日本軍艦の権威のAさんとか、独露軍事史に造詣深いBさんと話したものだが、研究史的な話とか、『菊と刀』的な「彼らはこう考えるんじゃないか」みたいな話とか、明治時代の蓄妾の神様、伊藤博文は森繁久彌がハマっているとかいったような、アニメとか映画の話しかしなかった。ストパンの映画についても、「どうせだから、最初の『ランボー』やれば」みたいなはなしだけどね。