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中国国産空母について、同じ雑誌で連続して二つの記事があるが、その記事間でも平仄があっていない。大連で建造中と言われる空母について、001Aとするか002とするかその点
『鏡報』3月号に空母小特集がある。江小舟さんと梁天仞さんの記事で国産空母についてなのだが、情報がない中で書けと言われても困ったのだろう。江さんは「五大核心技術」があると述べるにとどまっている。また梁さんも読者サービスにこれ務めていた。
江さん※ が記事で述べている「五大核心技術」は、大連で建造中の002型で必要な技術について述べるものだが、その中身は「空母については全部が未知数だよ」と言っているようなものだ。
江さんは、「将来的に原子力推進にしなければならない」といった主張に合わせて、中国が空母建造に必要な重要技術は次の5ヶ、①艦載機、②船体、③原子炉、④艤装(カタパルト、エレベータ、バリア)、⑤着艦支援システムを述べている。だが、これは、空母については中国は遼寧艦を入手しても、まだ極初期段階にあるとする認識である。
対して、梁さん※※ の記事は、技術的困難を述べない、まずは読者サービスになっている。梁さんは、建造中と言われる空母について、おそらく建造場所から山東艦(想定001A型)と広東艦(想定002型)となるのではないかと述べている。山東艦が、遼寧艦の排水量5%増し、キティーホークを参考にする広東艦が、山東艦のさらに排水量5%増しとも述べている。§
予想図もあるが、蒸気カタパルトをアングルド・デッキ側の、左舷ギリギリにつけている。本文中でも触れているが、必要性は述べているが、開発に成功したといったような記述はない。
ただし、スキージャンプは残しているのは、むしろ現実臭い。試験用カタパルトと考えれば、完全導入は怖いので最初はそうするだろう。ちなみに梁さんは、カタパルトで飛ばすのは固定翼哨戒機や重装備のJ-15だけのような書きぶりをしている。§§
問題は、両者で平仄が合わないことである。江さんは山東省大連で建造している空母を002型としている。この点、梁さんが山東艦を遼寧艦の略同型、001A型とする点と対照的である。
そして、プランとしては江さんの認識の方が自然に見える。わざわざ2流以下のロシア式の遼寧艦の略同型を作る必要があるのかといった点で、梁さんの認識はちょっと不思議に見えるためだ。
この不合から、中国国産空母については、香港でもまだ細かいことはよくわからない段階であることは分かる。しかも『鏡報』でその程度であることは、まずは五里霧中といったところなのだろう。『鏡報』は、香港誌でも中国政府に近く、早期に中国情報が出る傾向にある。その『鏡報』でも、ここまで漠然としているということは、日本や米国から、あまり具体的なことを考えても無駄だということだろう。
彼らの空母技術は、「五大核心技術」を獲得する段階にある程度とみるのが妥当か。
※ 江小舟「解碼中国『002』型航母」『鏡報』440(鏡報文化企業有限公司,香港,2014.3)pp.39-41.
※※ 梁天仞「国産航母花開両朵」『鏡報』440(鏡報文化企業有限公司,香港,2014.3)pp.42-45.
§ 各艦の排水量で遼寧艦の5%増しというのは、あまり有り得そうにない。国産建造で、遼寧艦と同じサイズを作る必要はないためだ。
まず、計画で誤差程度の5%を出す点が、怪訝である。特に大型艦で艤装も確定していない軍艦だと、それくらいは増減する。
また、スキージャンプ発艦方式を主用するのであれば、船体はできるだけ伸ばそうとするはずである。
さらに、機関出力も強化したいはずである。将来的な蒸気カタパルト装備やスキージャンプ利用を考えれば、缶は大きめにしたいだろう。
実際には、山東艦の段階で排水量50%増しはやりたいはずだし、最初からキティホーク参考の計画にもするだろう。§
§§ だが、梁さんのレイアウトそのものはなんとなくだが正しいような気がする。「全体のレイアウトはキティホークに倣う」とか、図のカタパルトも「将来装備」といった扱いであるとか、エレベータを3基まで増やすとか、遼寧艦の経験?からスポンソンの位置を変えるといったあたりは、中国人も中国海軍もそう考えるだろうし、西側の認識と合致する点でもリアリティはある。もちろん、感覚的なものでなんとなくだが
『鏡報』3月号に空母小特集がある。江小舟さんと梁天仞さんの記事で国産空母についてなのだが、情報がない中で書けと言われても困ったのだろう。江さんは「五大核心技術」があると述べるにとどまっている。また梁さんも読者サービスにこれ務めていた。
江さん※ が記事で述べている「五大核心技術」は、大連で建造中の002型で必要な技術について述べるものだが、その中身は「空母については全部が未知数だよ」と言っているようなものだ。
江さんは、「将来的に原子力推進にしなければならない」といった主張に合わせて、中国が空母建造に必要な重要技術は次の5ヶ、①艦載機、②船体、③原子炉、④艤装(カタパルト、エレベータ、バリア)、⑤着艦支援システムを述べている。だが、これは、空母については中国は遼寧艦を入手しても、まだ極初期段階にあるとする認識である。
対して、梁さん※※ の記事は、技術的困難を述べない、まずは読者サービスになっている。梁さんは、建造中と言われる空母について、おそらく建造場所から山東艦(想定001A型)と広東艦(想定002型)となるのではないかと述べている。山東艦が、遼寧艦の排水量5%増し、キティーホークを参考にする広東艦が、山東艦のさらに排水量5%増しとも述べている。§
予想図もあるが、蒸気カタパルトをアングルド・デッキ側の、左舷ギリギリにつけている。本文中でも触れているが、必要性は述べているが、開発に成功したといったような記述はない。
ただし、スキージャンプは残しているのは、むしろ現実臭い。試験用カタパルトと考えれば、完全導入は怖いので最初はそうするだろう。ちなみに梁さんは、カタパルトで飛ばすのは固定翼哨戒機や重装備のJ-15だけのような書きぶりをしている。§§
問題は、両者で平仄が合わないことである。江さんは山東省大連で建造している空母を002型としている。この点、梁さんが山東艦を遼寧艦の略同型、001A型とする点と対照的である。
そして、プランとしては江さんの認識の方が自然に見える。わざわざ2流以下のロシア式の遼寧艦の略同型を作る必要があるのかといった点で、梁さんの認識はちょっと不思議に見えるためだ。
この不合から、中国国産空母については、香港でもまだ細かいことはよくわからない段階であることは分かる。しかも『鏡報』でその程度であることは、まずは五里霧中といったところなのだろう。『鏡報』は、香港誌でも中国政府に近く、早期に中国情報が出る傾向にある。その『鏡報』でも、ここまで漠然としているということは、日本や米国から、あまり具体的なことを考えても無駄だということだろう。
彼らの空母技術は、「五大核心技術」を獲得する段階にある程度とみるのが妥当か。
※ 江小舟「解碼中国『002』型航母」『鏡報』440(鏡報文化企業有限公司,香港,2014.3)pp.39-41.
※※ 梁天仞「国産航母花開両朵」『鏡報』440(鏡報文化企業有限公司,香港,2014.3)pp.42-45.
§ 各艦の排水量で遼寧艦の5%増しというのは、あまり有り得そうにない。国産建造で、遼寧艦と同じサイズを作る必要はないためだ。
まず、計画で誤差程度の5%を出す点が、怪訝である。特に大型艦で艤装も確定していない軍艦だと、それくらいは増減する。
また、スキージャンプ発艦方式を主用するのであれば、船体はできるだけ伸ばそうとするはずである。
さらに、機関出力も強化したいはずである。将来的な蒸気カタパルト装備やスキージャンプ利用を考えれば、缶は大きめにしたいだろう。
実際には、山東艦の段階で排水量50%増しはやりたいはずだし、最初からキティホーク参考の計画にもするだろう。§
§§ だが、梁さんのレイアウトそのものはなんとなくだが正しいような気がする。「全体のレイアウトはキティホークに倣う」とか、図のカタパルトも「将来装備」といった扱いであるとか、エレベータを3基まで増やすとか、遼寧艦の経験?からスポンソンの位置を変えるといったあたりは、中国人も中国海軍もそう考えるだろうし、西側の認識と合致する点でもリアリティはある。もちろん、感覚的なものでなんとなくだが
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