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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.03
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Category : 未分類
 ポーランドの自主管理労組、連帯の記事を読もうと1981年の新聞を読んでいたら、韓国への砲身輸出事件が見つかった。

 後に堀田ハガネ事件と呼ばれる事件だが、韓国が榴弾砲の砲身素材を日本から輸入しようとしたことがあった。ベトナム戦争以降のことで、米国がそれまでのように韓国を援助しなくなった。榴弾砲の供与も減ったので、自前で整備しようとして、その素材を日本から買ったというもの。

 韓国は大阪の堀田ハガネに発注したが、それがどう回ってかバレて、武器輸出三原則の観点から国会質問になった。それはそれとして、その後追い報道がなかなか面白い。

 81年1月28日『朝日新聞』には「韓国向砲身材料 砲撃で壊れるシロモノ」とある。要は、熱処理その他が不良であって、実射に耐えず倉庫に仕舞われているという話である。
 砲身製造には、それなりのノウハウがいるが、それを持っている日本製鋼に発注すると、一発で砲身だとバレる。だから、堀田ハガネは山陽特殊鋼に発注した。山陽特殊鋼は仕様通りに鋼塊を作った。それを堀田ハガネが中ぐりと外部成形をして、韓国に送った。

 しかし、仕様書は砲としては不完全で、韓国でライフリングを施し、実射すると使い物にならなかったという。

 韓国は不完全であると堀田ハガネにクレームをつけた。おそらく、砲身用であることは伝えていたので、ある意味、当然のクレームである。

 だが、その堀田ハガネも山陽特殊鋼にクレームをつけている。しかし、砲身用であることを知らない山陽特殊鋼は、仕様は満たしているとクレームを受け付けなかったというもの。

 砲身用に作ったチューブが砲撃に耐えられないならともかく。砲身用と伝えずに組成と強度だけの仕様で発注すれば、砲撃に使えないとして文句は言えないだろう。どの顔をして山陽特殊鋼にクレームをつけ、損害賠償を迫ったのだろうかね。

 ちなみに、堀田ハガネは管材として輸出の届け出をクリアしたらしい。しかし、そのチューブはライフリングはないものの、先が細くて元が太いという不可思議な形状をしている。後の防衛庁による鑑定では、「こんなチューブが民生用のわけないだろう」と、武器専用品と断じられている。(30日朝日新聞) たしかにそんな形状のチューブは考え難いものがある。



※ 「韓国向砲身材料 砲撃で壊れるシロモノ」『朝日新聞』(朝日新聞,1981.1.28)
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