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水産庁資源管理のあり方検討会についてだが、二つの新聞記事を合わせて読むと面白い。
ひとつは毎日新聞「水産庁:漁獲量管理強化を検討…乱獲で上限設定」※ で、水産庁が資源保護にシフトしたことを報じる内容になっている。そこに漁業者や水産加工関連業者の反発や、地元自治体あるだろうともしている。
もう一つは東スポの「識者が警鐘“居酒屋や回転ずしから近海魚が消える!?”」※※ だが、これは「水産庁の資源保護はアリバイ工作だ」とする、検討会委員の勝川俊雄さんの意見にフォーカスしている。官製検討会のいつものアレ、何を言っても筋書きが変わらないアレな状況を報じ、資源保護の実は上がらないだろう点を示唆している。
記事として両者に優劣はない。
だが、前者はある種の職業的客観性を保っているが、問題の焦点がぼんやりしている。「漁業資源が涸渇しつつあるのではないか」や「水産庁は漁業・水産加工関連団体の言いなりではないのか」といった核心的な点を明示していない。
後者は、検討会全体の話はしていないが、最も危惧すべき点を明示していることで、非常に面白い内容になっている。スポーツ新聞特有の、単純化して正邪をつける携行はあるものの、問題の本質、「水産庁は、業界利権を守るため、形だけの規制でお茶を濁そうとしている」を明示している。
実際、水産庁は漁業資源保護に不熱心であり、既存利権を保護よりも優先しているように見える。具体的にはマグロ漁獲枠、南氷洋調査捕鯨、ウナギ保護である。中でもマグロとクジラでは、利権保護のためナショナリズムまで利用している。
マグロ漁獲枠と南氷洋捕鯨での交渉では、水産庁は日本国内にあったナショナリズムを煽り利用する方向であった。その主張も資源保護の観点ではなく、マグロ輸入量確保といった業界団体の意向や、IWCへの反発だけの経済的合理性や将来見通しの立たない反発だけで成り立っている。
特に南氷洋捕鯨は全く合理性がない。今度、南氷洋捕鯨についても国際司法裁判所からの判決が出るらしい。それについては朝日新聞が報じている「残る?廃止?調査捕鯨、岐路 国際司法裁31日判決」§ が詳しい。その中に
ウナギ保護も全く手をつけていない。国内のシラスウナギ保護も、国内の成魚保護も、海外でのウナギ資源乱獲への手当も全く行っていない。これでは取れるだけ取れと言っているようなものである。この辺りをみると、漁組や水産団体の傀儡であるように見えるのである。
漁業資源保護は、水産庁よりも環境省にやらせたほうがいいのかもしれない。環境省も露骨に省益確保、権限拡大をやっているが、保護の実をとるならそちらのほうがよい。
※ 「水産庁:漁獲量管理強化を検討…乱獲で上限設定」『毎日新聞』(毎日新聞,2014.3.24)http://mainichi.jp/select/news/20140325k0000m020094000c.html
※※ 「識者が警鐘“居酒屋や回転ずしから近海魚が消える!?”」(東京スポーツ,2014.3.26)http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/248724/
§ 「残る?廃止?調査捕鯨、岐路 国際司法裁31日判決」(朝日新聞,2014.3.28)http://digital.asahi.com/articles/ASG3K4QMBG3KULZU002.html
ひとつは毎日新聞「水産庁:漁獲量管理強化を検討…乱獲で上限設定」※ で、水産庁が資源保護にシフトしたことを報じる内容になっている。そこに漁業者や水産加工関連業者の反発や、地元自治体あるだろうともしている。
もう一つは東スポの「識者が警鐘“居酒屋や回転ずしから近海魚が消える!?”」※※ だが、これは「水産庁の資源保護はアリバイ工作だ」とする、検討会委員の勝川俊雄さんの意見にフォーカスしている。官製検討会のいつものアレ、何を言っても筋書きが変わらないアレな状況を報じ、資源保護の実は上がらないだろう点を示唆している。
記事として両者に優劣はない。
だが、前者はある種の職業的客観性を保っているが、問題の焦点がぼんやりしている。「漁業資源が涸渇しつつあるのではないか」や「水産庁は漁業・水産加工関連団体の言いなりではないのか」といった核心的な点を明示していない。
後者は、検討会全体の話はしていないが、最も危惧すべき点を明示していることで、非常に面白い内容になっている。スポーツ新聞特有の、単純化して正邪をつける携行はあるものの、問題の本質、「水産庁は、業界利権を守るため、形だけの規制でお茶を濁そうとしている」を明示している。
実際、水産庁は漁業資源保護に不熱心であり、既存利権を保護よりも優先しているように見える。具体的にはマグロ漁獲枠、南氷洋調査捕鯨、ウナギ保護である。中でもマグロとクジラでは、利権保護のためナショナリズムまで利用している。
マグロ漁獲枠と南氷洋捕鯨での交渉では、水産庁は日本国内にあったナショナリズムを煽り利用する方向であった。その主張も資源保護の観点ではなく、マグロ輸入量確保といった業界団体の意向や、IWCへの反発だけの経済的合理性や将来見通しの立たない反発だけで成り立っている。
特に南氷洋捕鯨は全く合理性がない。今度、南氷洋捕鯨についても国際司法裁判所からの判決が出るらしい。それについては朝日新聞が報じている「残る?廃止?調査捕鯨、岐路 国際司法裁31日判決」§ が詳しい。その中に
厳しい資金繰りが続く鯨研の頼みは税金による支援だ。毎年10億円前後のSS対策費が出るほか、民間の鯨肉加工拠点が宮城県石巻市にあるため、東日本大震災の復興予算などから11年度に25億円の支出を受けた。省エネ漁業にする制度を「特例」として適用され、年45億円を12年度から3年間受け取る。つまり、面子を保つだけの捕鯨に今でも年10-35億円を費やしており、国営化するとさらに数十億円の冗費が必要になるという。
水産庁内では「全部税金で運営する完全国営化しかない」との声も出るが、新たに数十億円規模の税金が必要。一方、食べられなくなっている鯨肉を、巨額の税金を使ってまで捕り続ける必要があるのか、という見方もある。
ウナギ保護も全く手をつけていない。国内のシラスウナギ保護も、国内の成魚保護も、海外でのウナギ資源乱獲への手当も全く行っていない。これでは取れるだけ取れと言っているようなものである。この辺りをみると、漁組や水産団体の傀儡であるように見えるのである。
漁業資源保護は、水産庁よりも環境省にやらせたほうがいいのかもしれない。環境省も露骨に省益確保、権限拡大をやっているが、保護の実をとるならそちらのほうがよい。
※ 「水産庁:漁獲量管理強化を検討…乱獲で上限設定」『毎日新聞』(毎日新聞,2014.3.24)http://mainichi.jp/select/news/20140325k0000m020094000c.html
※※ 「識者が警鐘“居酒屋や回転ずしから近海魚が消える!?”」(東京スポーツ,2014.3.26)http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/248724/
§ 「残る?廃止?調査捕鯨、岐路 国際司法裁31日判決」(朝日新聞,2014.3.28)http://digital.asahi.com/articles/ASG3K4QMBG3KULZU002.html
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