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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.04
08
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Category : 未分類
 そろそろお迎えも近いだろうワイダ監督の『ワレサ 連帯の男』を見てきたよ。



 ここだけの話だが、ネタバレするとワレサと連帯がポーランド労働者党独裁体制に勝つ中身になっている。それはさておき、それよりもワイダが描く社会主義ポーランドの工場経営のアレ加減にマネージャーは何をやっているのだろうと思ったよ。

 コメコン体制下でポーランドは造船を受け持っていた。ソ連は軍艦を作り、ポーランドは商船や輸送艦を受け持つ体制であった。そのため、造船業に重点を置いた工業生産をしていた。その象徴がグダニスク造船所であり、ワレサはそこの電気工であった。

 しかし、その重点生産が上手くいかない。社会主義的生産でいつも出てくるノルマを割り振るのだが、結局、ノルマは達成できない。その原因は労働量投下の問題ではなく、大本は停電と鋼材不足による。労働者は手空きを強制される。

 また、労働効率を上げる工夫にも欠ける。ケレン工か塗装工なのだが、防塵マスクがない。ワレサは防塵マスクを支給されていない労働者を責任者のところに連れて行くが、マネージャークラスは(官製の)労働組合に掛け合えというだけ。

 そこで、マネージャーは何をやっていたのだろうか。もちろん、映画であって無能なポーランド社会主義生産体制を強調しているのだろうけど。一番貧しい労働者を買収して「ノルマ未達は自分たち労働者の責任だから、自分たちの給与を下げよう」と提案させる程度なのか。

 結局、戦時下の日本のアレな徴用工場と同じではないのかね。戦時下日本では、工場は利潤や原材料割当も確保されたので、経営者は何もしなくなった。社会主義ポーランドの工業生産も、エリート工場であるグダニスク造船所でもそうだったということなのか。

 もちろん、マトモなマネージャーもいたと思うよ。戦時日本でも、現有の工場設備を最大限に回転させようとした経営者や軍監督官がいた。戦後の日本生産性本部はそういった連中が作ったものだし、戦後の科学的経営の萌芽でもあった。同じように、ポーランドにもいたはずだろう。

 戦時日本の工場でも、マトモなマネージャーは生産性を維持するために、なんでも工夫をした。映画で言えば防塵マスクの類がそれでコネや賄賂を使っても手に入れたし、鋼材品切や停電があっても手空にならないように工夫をした。食糧が問題なら闇で直接購入もした。

 しかし、映画で出てくるグダニスク造船所のマネージャーは何もしていない。もちろん、現実には優先割当そのほかを要求したのだろうが、おそらくそのあたりで終わりだろう。映画の中でおそらく事実である部分、労組の大会で無様な小細工を弄して失敗したり、不穏の空気を予察できず、突然のストに狼狽えたりするようでは駄目ではないのか。



※  アンジェイ・ワイダ『ワレサ 連帯の男』(アルバトロス・フィルム,2013)

※※ ポーランド労働者党独裁体制でも、政治犯罪でも逮捕から48時間しか拘束できず釈放する。このあたり、中世の司法制度運用をしている日本よりも自由を大事にする国じゃないのかね。

§  オレ、酒飲まないから、路上飲酒検問もイイねと思った。飲酒運転の検問じゃなくて、歩行者への飲酒そのものの検問ね。それを理由に付き合い酒を断れるからねえ。

§§  映画が始まる前に、配給そのほかの会社のロゴCGが10以上でる。数えると面白いと思うよ。
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