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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.05
05
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Category : 未分類
 ウクライナ東部での実力行使は、親ロシア派の政治的影響力の終わりではないのか。

 ウクライナは、親ロシア派の実力排除を始めた。おそらくこれは、ウクライナからのロシア人やロシア権益排除につながる最初の一歩である。

 今回のウクライナの行動は、ユーゴスラビアでの民族国家成立の流れと同じもので不可逆的である。親ロシア派がロシアの威を借りて独立運動まがいのことをし、それを敵としてウクライナ政府が実力排除を始めれば、もう元には戻らない。今回の流血と、そのうちに起きる親ロシア派のテロ、そのテロへのカウンターとしての、ウクライナ極右のカウンターテロで、ウクライナ人は今まで以上にロシアを憎むことになるだろう。

 それにより、今後はウクライナからロシア人は、政治的には居なくなる。

 ウクライナから、ロシア人は排除される。ロシア人はウクライナ人の敵として忌避され、激烈にか、あるいは穏やかはともかく、長期的にはウクライナから排除される。

 依然として残るロシア系市民も、その政治的立場は低落する。ロシア系住民や、ロシア人は残るだろうが、ロシアとの確執で生まれたウクライナ人のウクライナ的な政策の下では、少数民族や外国人としての立場しか保てなくなる。

 ウクライナ人とロシア人の中間であると考える人間もほとんどいなくなる。ウクライナ人に同化するか、ロシア人として移住、少数民族扱い、外国人登録することになるだろう。

 これは、ウクライナにあったロシアの権益も排除されるということである。ロシアの権益、言い換えればロシアの口出しは、ロシア人混住地域や競合地域があるために発生したものである。その原因であるロシア人やロシア系住民が、無視できる数、あるいは政治的に無視される程度となれば、ロシアの権益は失われる

 いずれにせよ、ロシアとの対立対峙の結果、ウクライナ愛国主義は生まれた。今後のロシアとの対峙を見ても、愛国主義は強くなる方向にしか動かない。

 この状況で、ウクライナでの連邦制の芽はなくなったといってよい。ロシアややロシア系住民、ロシア人居住者の顔色を窺う必要もないし、窺えなくなったためでもある。ウクライナ国民はロシアに弱腰の政府を許さず、極右を含む愛国主義者によるウクライナ政府もそのような行動はとれなくなったのである。

 結局、一番損をしたのはロシアではないのか。前にも「クリミアは手に入れたけどウクライナは喪ったんじゃないの」で書いたが、ロシアはウクライナを喪い、クリミヤを手に入れたに過ぎない。そのクリミヤ入手とウクライナ東部での親ロシア派支援によって、ロシアはウクライナ東部での権益も喪い、ウクライナの反ロシア主義に火をつけてしまった※ ウクライナ国境は辺境ではなくなり、ウクライナ愛国主義と対峙する正面にもなるだろう。



※   実際にウクライナは徴兵制復活も決めている。あのウクライナ軍がロシア軍に勝てるはずもないとする意見もある。だが、ロシア人将校等を排除し、ウクライナ愛国主義が浸透した国民軍となると、話は別である。ナショナリズムは最も強力な兵器であり、軍事技術や用兵術の劣勢から、窮地に陥っても寝返りも降伏もなくなり、死ぬまで戦うだろう。一度、玉砕のような事態が起きれば、さらにナショナリズムは高揚する。ウクライナ国民軍はロシアにとって相当厄介な敵になるだろう。

※※  まー、ソ連崩壊課程の最終段階じゃないのという気もするね。ロシアが旧ソ連圏として、周辺国に持っていた権益はドンドンなくなっていくわけで、最後の段階がウクライナじゃないの。かの独裁国ベラルーシは、ロシアのビットのようなもので、ズーっとあのままじゃないのと思うけどね。
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