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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.05
20
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Category : 未分類
 日本のもつEEZ、排他的経済水域は、広いことは広いが、あまり使い道もない。

 日本のEEZは世界第六位という。土地面積38万平方キロに対し500万平方キロ近くあり、経済活動上で囲い込んだ海の広さは、世界有数である。

 しかし、その大半、太平洋側の沖合にある大水深部は、あまり使い道もない。

 漁業資源を見た時、大水深の外洋部には全く魚がいない。漁業資源は殆ど沿岸寄りであり、潮目や湧昇流を除けば、外洋にはまずない。日本の場合、本州東岸やや沖合に親潮と黒潮の潮目があり、世界有数の好漁場であるが、そこから先の太平洋には魚はほとんどいない。

 特に、小笠原漁協が漁業権を確保しているあたり、小笠原、南鳥島、沖ノ鳥島のうち、後者には魚がほとんどいない。大陸棚を延伸した小笠原-大東島間も変わらない。あのあたりは大水深で陸地からの栄養も来ない貧しい海なので、魚はほとんど取れない。

 5年位前か、漁業権確保と東京都からの要請により、小笠原漁協が沖ノ鳥島で操業したときも、年に17トン程度しか取れていない。小笠原からの行程を考慮すると、まずはペイしない。

 海底鉱物資源も同じである。大水深の外洋部には、海底に資源があってもアクセスできない。海底油田でも2000m程度が限度であり、そこから更に深いところにある資源を経済的に回収する方法がない。

 レアメタルを含む泥を回収する云々も、簡単にできると提唱しているのも、発見した本人だけである。仮に回収できても、市場価格より高ければ意味は無いし、シェールガスのように、経済的に大量に取れても、それで市場価格が暴落すればやる甲斐もない。

 このようにみれば、日本のEEZが世界屈指といっても、それほどの実利もないように見える。その面積の多くを占める外洋大水深部は、経済的な利益を生み出す豊かな海ではない。

 もちろん、金にならなくとも、EEZを放棄することもできない。ほぼタダで合法的に海洋を囲い込む機会を捨てる必要もないし。一種の領土のようなものなので、国民もそれを喪うことも許さない。

 だが、大面積を持っていることを誇っていても意味は無い。EEZのうち、太平洋側の南鳥島、沖ノ鳥島、硫黄島、大陸棚延伸部は、今日の森林原野のようなものだ。如何に広い土地をもっているといっても、何の価値もない。それがお金を生み出すと考えるのは、虫も良すぎるだろう。



※   そもそも、太平洋には浅瀬や斜面があまりないので、漁業資源としては半分の広さの大西洋にも負けるらしい。40年前の新聞※※からだが、-1000m以浅の面積は、太平洋1360万平方キロであり、これは面積半分の大西洋の1550万キロよりも小さい。

※※  「太平洋の魚に危機 -ソ連の海洋学者がシンポジウムで指摘-ただし年間1000万トン余分にとればですが」『朝日新聞』1972年12月7日朝刊(朝日新聞,1972)p.3
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