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厚木での海自夜間飛行で、産経新聞が抑止力が低下する云々と言っている。
抑止力低下という言葉は自分を騙すのにちょうどいい。大概は、具体的に説明できないから、そう言って納得した気持ちになっている。沖縄海兵隊の価値への疑問や、オスプレイ配備への反発、今回の厚木夜間飛行差止といった話について、ライト・イズ・ライトとしか考えられない右派の中の頭の悪い連中は、すぐに抑止力が失われると言い出す傾向がある。あたかも、頭の悪い軍事マニアが、戦車の数を減らす程度の話で、実効上の問題を説明できないので、それは戦車無用論と反発するようなものだ。
抑止力云々も、具体的にどのような機能がどの程度低下するのかは全く説明できていない。仮に尋ねても、ほぼ答えられないだろう。
今となっては、厚木は正面ではなく、抑止力とやらを担う基地ではない。かつて対ソ戦が考慮されていた時代は、厚木にある四空群は日本海も担当していた関係から、比較的正面部隊に近い立場にあった。しかし、今日の対中対峙の状況では、まずは後方部隊である。太平洋での監視も無理に深夜離発着する必要は少ない。救難は今回の差止では禁止されない範囲である。
実査に、厚木の夜間飛行が無くなって、抑止力が減ったと思う国はどこにあるのだろうか?
軍事的に仮想敵である中国にしても、外洋活動の邪魔になる日本哨戒機の脅威が減ったわけではない。日本南西部を扼する鹿屋や、太平洋にでてもどこまでも追いかけてくる硫黄島のP-3Cの飛行が止まるわけではない。
そもそも、P-3Cは異様に足が長い。厚木の機体にせよ、飛行が差し止められた夜10時前に飛び立ってしまえば、翌日の昼前まで飛んでいる。中国にとってはP-3Cの脅威が減るような話はない。
それに、緊急時の飛行は差止に含まれていない。緊急時の飛行とは、救難のための飛行や、災害派遣、緊急着陸であり、有事の際の実働も含まれるだろう。そもそも、報道される限りでは、緊急時の飛行については、その許容範囲を相当に取れるような書きぶりになっている。
おそらく、交渉次第では1R、2R(ワン・レディ、ツー・レディという、空自で言うスクランブル待機機のようなもの)の飛行も不可能ではない。
もともとP-3Cにしても、後継となるかもしれないP-1にしても、騒音は大したものではない。飛行が頻繁でなかれば、夜間離着陸への反発もそれほどもない。そもそも、騒音訴訟での眼目は米海軍のジェット戦闘機である。
だから、原告側に「防衛上にどうしても必要な場合、1R、2Rの飛行を認めてくれ、でも実績からすると年に○○回程度しかないよ」という言い方であれば、原告と交渉は可能な範囲である。原告としても、米海軍の航空機が憎いわけであって、別に海自が憎いわけでもなく、海自航空機もそれほどは憎くもない。成立の余地は十分にある。
他にも、下総や羽田を使用する裏技もある。この場合、厚木基地が持つと主張している抑止力は全く損なわれないことになる。P-3Cはどこから飛ばしても厚木の司令部で管理できる。実際に、厚木滑走路を工事で全面クローズした時には、1R、2Rは下総においた実例もある。武装を搭載した状態であれば、24時間空港の羽田からでも運用は可能である。夕方に下総や厚木に機体を飛ばして、一晩中待機をさせればよい。着陸機も下総でも羽田でも下ろすことは容易である。
この辺りを考慮せずに、自衛隊の協力者を気取って抑止力云々するのはなんなのだろうか。抑止力が減るとか、それは戦車不要論だというような言い方はをするのは、大概は物事を理解していない頭の悪い幇間である。
※ 「厚木基地訴訟 抑止力損なう判断疑問だ」『MSN産経ニュース』(産経新聞,2014.5.24)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140524/plc14052403050004-n1.htm
厚木基地では、すでに周辺住民に配慮して夜間や早朝の飛行を原則自粛している。だが、任務が深夜に及ぶことも多く、午後10時から翌午前6時までという時間規制は非現実的だ。海洋進出を活発化させる中国への監視活動の強化が求められているのに、抑止力低下につながる。具体的に厚木からの夜間飛行で担保される抑止力ってなんなのかね。
「厚木基地訴訟 抑止力損なう判断疑問だ」『MSN産経ニュース』http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140524/plc14052403050004-n1.htmより
抑止力低下という言葉は自分を騙すのにちょうどいい。大概は、具体的に説明できないから、そう言って納得した気持ちになっている。沖縄海兵隊の価値への疑問や、オスプレイ配備への反発、今回の厚木夜間飛行差止といった話について、ライト・イズ・ライトとしか考えられない右派の中の頭の悪い連中は、すぐに抑止力が失われると言い出す傾向がある。あたかも、頭の悪い軍事マニアが、戦車の数を減らす程度の話で、実効上の問題を説明できないので、それは戦車無用論と反発するようなものだ。
抑止力云々も、具体的にどのような機能がどの程度低下するのかは全く説明できていない。仮に尋ねても、ほぼ答えられないだろう。
今となっては、厚木は正面ではなく、抑止力とやらを担う基地ではない。かつて対ソ戦が考慮されていた時代は、厚木にある四空群は日本海も担当していた関係から、比較的正面部隊に近い立場にあった。しかし、今日の対中対峙の状況では、まずは後方部隊である。太平洋での監視も無理に深夜離発着する必要は少ない。救難は今回の差止では禁止されない範囲である。
実査に、厚木の夜間飛行が無くなって、抑止力が減ったと思う国はどこにあるのだろうか?
軍事的に仮想敵である中国にしても、外洋活動の邪魔になる日本哨戒機の脅威が減ったわけではない。日本南西部を扼する鹿屋や、太平洋にでてもどこまでも追いかけてくる硫黄島のP-3Cの飛行が止まるわけではない。
そもそも、P-3Cは異様に足が長い。厚木の機体にせよ、飛行が差し止められた夜10時前に飛び立ってしまえば、翌日の昼前まで飛んでいる。中国にとってはP-3Cの脅威が減るような話はない。
それに、緊急時の飛行は差止に含まれていない。緊急時の飛行とは、救難のための飛行や、災害派遣、緊急着陸であり、有事の際の実働も含まれるだろう。そもそも、報道される限りでは、緊急時の飛行については、その許容範囲を相当に取れるような書きぶりになっている。
おそらく、交渉次第では1R、2R(ワン・レディ、ツー・レディという、空自で言うスクランブル待機機のようなもの)の飛行も不可能ではない。
もともとP-3Cにしても、後継となるかもしれないP-1にしても、騒音は大したものではない。飛行が頻繁でなかれば、夜間離着陸への反発もそれほどもない。そもそも、騒音訴訟での眼目は米海軍のジェット戦闘機である。
だから、原告側に「防衛上にどうしても必要な場合、1R、2Rの飛行を認めてくれ、でも実績からすると年に○○回程度しかないよ」という言い方であれば、原告と交渉は可能な範囲である。原告としても、米海軍の航空機が憎いわけであって、別に海自が憎いわけでもなく、海自航空機もそれほどは憎くもない。成立の余地は十分にある。
他にも、下総や羽田を使用する裏技もある。この場合、厚木基地が持つと主張している抑止力は全く損なわれないことになる。P-3Cはどこから飛ばしても厚木の司令部で管理できる。実際に、厚木滑走路を工事で全面クローズした時には、1R、2Rは下総においた実例もある。武装を搭載した状態であれば、24時間空港の羽田からでも運用は可能である。夕方に下総や厚木に機体を飛ばして、一晩中待機をさせればよい。着陸機も下総でも羽田でも下ろすことは容易である。
この辺りを考慮せずに、自衛隊の協力者を気取って抑止力云々するのはなんなのだろうか。抑止力が減るとか、それは戦車不要論だというような言い方はをするのは、大概は物事を理解していない頭の悪い幇間である。
※ 「厚木基地訴訟 抑止力損なう判断疑問だ」『MSN産経ニュース』(産経新聞,2014.5.24)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140524/plc14052403050004-n1.htm
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