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シーレーンでの機雷除去には、集団的自衛権は関係しない。
アレな宰相がそういったことを言い出している。「シーレーンの機雷掃海も可能に 首相、集団的自衛権で意向」だが、それは筋の通った話ではない。
集団的自衛権とは、要は他国のために戦争をする話である。現実的には、同盟国の米国が戦争になった時には、参戦もできるようにする話だ。
これは、シーレーンの機雷除去には全くと言っていいほど関係しない。
■ 3つの状況
シーレーンに機雷が敷設されて問題となる場合、いくつかのパターンが考えられる。もともとのアレ宰相の意向もよくわからないのだが、日本船舶が利用する公海(厳密に言うと国際海峡とかいろいろあるが、面倒なので公海とする)に機雷が敷設された場合としては、次の3つが考えられる。
第1に、敷設国が戦争行為として機雷を敷設したと宣言したもので、戦争中である場合
第2に、その戦争が集結した場合
第3に、どこの国も敷設を宣言していない場合
である。
第一の場合、集団的自衛権は関係ない。中立義務を守るなら機雷除去はできないし、日本の生存のためにどうしても必要なら個別的自衛権を使えば良い。
まず、戦争で日本が中立の立場にいれば、中立義務から機雷除去はできない。中立国には義務があり、両国の戦争行為を邪魔することはできない。
仮にその機雷が、日本にとって生存を脅かすものであれば、個別的自衛権として戦争をすればよい。
第二の場合、そもそも自衛権には絡まない。戦争が集結したあと、他国が敷設した機雷を除去した例は、湾岸戦争のあと、ペルシア湾掃海で実施している。イライラ両国と話はつけてあったが、別にやらなくともよい。クレームもまずでない。平時の自国防衛のために国際航路に機雷を敷設することはできない。
第三の場合、除去しても文句をつける国はないので、自衛権は全く関係しない。かつてリビアが紅海とスエズ運河に隠れて機雷を敷設したことがあったが、その除去には一度も文句をつけていない。ニカラグアにアメリカが闇で機雷を入れたこともあったが、仮にその時にどこかの国が機雷除去をしても、アメリカは藪蛇なので文句を言えない。
このようなところだ。
アレ採用の発言は、実際には、ホルムズ海峡やペルシア湾でのイラン機雷敷設をイメージしているのだろう。アメリカとの衝突により、イランがペルシア湾口を封鎖するといった話である。
だが、それは第一の場合に含まれる。中立を保つなら文句は言えない。日本にとって死活的な問題であれば、日本は個別的自衛権を行使するだけの話である。あるいは、イランが闇で機雷を入れたなら、第三の場合に相当するので、機雷除去をしても文句は出ない。
■ 関係するのは上陸戦や、他国港湾の機雷除去
集団的自衛権云々関係する機雷除去は、もっと違った形である。
例えば、米国がアフリカあたりと戦争して、上陸戦を行うので沿岸にある対上陸戦用機雷を除去するといった話だ。
あるいは、どこぞの国が米国との戦争状態となり、戦争行為として米国の港湾に機雷を入れ、それを除去するといった状況である。
ただ、そのような話をすれば、国民は「なんでそんなことまでするの?」と言う。だから、それっぽい理由として日本のシーレーンを守るためにといった理屈付けをするのだが、その結果として集団的自衛権の話ではなくなっていることに、アレ宰相は気づいていないのだろう。
本当に必要なら、そういえば良い。米国にくっついての多国籍軍とか、国連軍とかで、機雷除去をできるようにしたいという話だ。それはそれでいい。日本の対機雷戦戦力は、世界でも貴重な存在で、外交的な武器として使えることは間違いないし、そう使うこともいいだろう。だが、それを隠して、しかもマトモに議会で議論もしない内閣限りの解釈改憲だけでやろうというのは、相当にふざけた話であることだ。
※ 「シーレーンの機雷掃海も可能に 首相、集団的自衛権で意向」『MSN 産経ニュース』(産経新聞,2014.6.14)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140614/plc14061416360021-n1.htm
※※ そもそも、航路を完全に閉鎖するような機雷封鎖はまずはやらない。戦争中でも、公海を塞ぐような機雷原を作るときには、普通は自国沿岸よりの火砲の届く範囲くらいに安全航路を用意する。第三国の船舶は、遠回りだけど、そこを通れという。
ただし、自衛権云々の話として、そういいた非現実事態を考えたのなら、その時は個別自衛権を使えばいい。本文で述べたように機雷除去だけをやってもいいし、戦争したいなら「○日までに日本による機雷除去を認めない場合、日本は必要な措置をとる」と最後通牒を突きつけてもいい。
アレな宰相がそういったことを言い出している。「シーレーンの機雷掃海も可能に 首相、集団的自衛権で意向」だが、それは筋の通った話ではない。
集団的自衛権とは、要は他国のために戦争をする話である。現実的には、同盟国の米国が戦争になった時には、参戦もできるようにする話だ。
これは、シーレーンの機雷除去には全くと言っていいほど関係しない。
■ 3つの状況
シーレーンに機雷が敷設されて問題となる場合、いくつかのパターンが考えられる。もともとのアレ宰相の意向もよくわからないのだが、日本船舶が利用する公海(厳密に言うと国際海峡とかいろいろあるが、面倒なので公海とする)に機雷が敷設された場合としては、次の3つが考えられる。
第1に、敷設国が戦争行為として機雷を敷設したと宣言したもので、戦争中である場合
第2に、その戦争が集結した場合
第3に、どこの国も敷設を宣言していない場合
である。
第一の場合、集団的自衛権は関係ない。中立義務を守るなら機雷除去はできないし、日本の生存のためにどうしても必要なら個別的自衛権を使えば良い。
まず、戦争で日本が中立の立場にいれば、中立義務から機雷除去はできない。中立国には義務があり、両国の戦争行為を邪魔することはできない。
仮にその機雷が、日本にとって生存を脅かすものであれば、個別的自衛権として戦争をすればよい。
[首相は]シーレーンを通じた石油、食料などの輸入が、資源の少ない日本にとって死活的に重要との認識を示した上で、「日本はなすべきことをやらなければいけない。機雷掃海もしっかりと視野に入れて議論したい」と語った。とある。これは従来の個別的自衛権そのものの話である。実際には、戦争をやることもなく、機雷だけ除去してもよい。日本は自国の生存のために云々と宣言し、両国の戦争には関与しないとでも言い訳して機雷除去だけをやればよい。※※
第二の場合、そもそも自衛権には絡まない。戦争が集結したあと、他国が敷設した機雷を除去した例は、湾岸戦争のあと、ペルシア湾掃海で実施している。イライラ両国と話はつけてあったが、別にやらなくともよい。クレームもまずでない。平時の自国防衛のために国際航路に機雷を敷設することはできない。
第三の場合、除去しても文句をつける国はないので、自衛権は全く関係しない。かつてリビアが紅海とスエズ運河に隠れて機雷を敷設したことがあったが、その除去には一度も文句をつけていない。ニカラグアにアメリカが闇で機雷を入れたこともあったが、仮にその時にどこかの国が機雷除去をしても、アメリカは藪蛇なので文句を言えない。
このようなところだ。
アレ採用の発言は、実際には、ホルムズ海峡やペルシア湾でのイラン機雷敷設をイメージしているのだろう。アメリカとの衝突により、イランがペルシア湾口を封鎖するといった話である。
だが、それは第一の場合に含まれる。中立を保つなら文句は言えない。日本にとって死活的な問題であれば、日本は個別的自衛権を行使するだけの話である。あるいは、イランが闇で機雷を入れたなら、第三の場合に相当するので、機雷除去をしても文句は出ない。
■ 関係するのは上陸戦や、他国港湾の機雷除去
集団的自衛権云々関係する機雷除去は、もっと違った形である。
例えば、米国がアフリカあたりと戦争して、上陸戦を行うので沿岸にある対上陸戦用機雷を除去するといった話だ。
あるいは、どこぞの国が米国との戦争状態となり、戦争行為として米国の港湾に機雷を入れ、それを除去するといった状況である。
ただ、そのような話をすれば、国民は「なんでそんなことまでするの?」と言う。だから、それっぽい理由として日本のシーレーンを守るためにといった理屈付けをするのだが、その結果として集団的自衛権の話ではなくなっていることに、アレ宰相は気づいていないのだろう。
本当に必要なら、そういえば良い。米国にくっついての多国籍軍とか、国連軍とかで、機雷除去をできるようにしたいという話だ。それはそれでいい。日本の対機雷戦戦力は、世界でも貴重な存在で、外交的な武器として使えることは間違いないし、そう使うこともいいだろう。だが、それを隠して、しかもマトモに議会で議論もしない内閣限りの解釈改憲だけでやろうというのは、相当にふざけた話であることだ。
※ 「シーレーンの機雷掃海も可能に 首相、集団的自衛権で意向」『MSN 産経ニュース』(産経新聞,2014.6.14)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140614/plc14061416360021-n1.htm
※※ そもそも、航路を完全に閉鎖するような機雷封鎖はまずはやらない。戦争中でも、公海を塞ぐような機雷原を作るときには、普通は自国沿岸よりの火砲の届く範囲くらいに安全航路を用意する。第三国の船舶は、遠回りだけど、そこを通れという。
ただし、自衛権云々の話として、そういいた非現実事態を考えたのなら、その時は個別自衛権を使えばいい。本文で述べたように機雷除去だけをやってもいいし、戦争したいなら「○日までに日本による機雷除去を認めない場合、日本は必要な措置をとる」と最後通牒を突きつけてもいい。
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