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野口裕之さんの署名記事だが、いろいろと違和感を感じる内容になっている。
「中国を贔屓し日本を孤立させる新世界秩序 〝目覚めた獅子〟は本当に文明的か」(http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704/chn14070411300002-n1.htm)について、結局は中国と米国への恨み節に終始している。1ページに付き2ヶ所はオカシイと言いたくなるところがある。
中でも、中国大陸での権益は後暗いところのない正当な権利、それを認めない英米はけしからんというのは、何事だろうかね。
野口さんは
膠州湾そのものは、中国に属する。そして中国は、第一次世界大戦に参戦しており、戦勝国としての地位を占めている。
租借権引継については、どう贔屓目にみても中国は関係国であり、その同意が必要であった。
だが、その手続きは相当に怪しいものである。無理やり飲ませた対華二十一ヶ条要求によるものであるためだ。
対華二十一ヶ条要求は、火事場泥棒のようなものだ。欧州列強がヨーロッパの戦争に巻き込まれている間、日本は中国に二十一ヶ条の要求を突きつけている。その半分はフッカケであるが、力を背景に15条を認めさせた。
その中に膠州湾租借地の件も含まれている。日本は、欧米が介入できない間に、ドイツから占領したと言う体で、膠州湾を自国租借地にしようとしたものといえる。
戦時下において、敵国以外の国に力で強要する行為は正しいものだろうか。しかも中国は参戦国である。日本は火事場泥棒をしたと、英米ほか国際社会はそう考える。いわば力による現状変更であり、中国に利権を持つ各国としても認められない。
この事情を前提に見ると、野口さんの主張は筋悪である。「第一次大戦で日本が獲得した中国内のドイツ租借地利権を、中国に肩入れした英米両国により、ほぼ全面的に放棄させられた。」(野口さん)とある。
だが、そこでは日本に都合の悪いことを全部オミットしている。中国も連合国に参戦した戦勝国であること。世界大戦での日本の火事場泥棒的な行為。なんだかんだ言って、戦後に日本は膠州湾での権益を確保しており「ドイツ租借地利権を[略]全面的に放棄」したわけではないことがそれだ。
そもそも、中国も抵抗するのは当たり前である。今の日本で言えば、米国が北方領土あるいは竹島からロシア、韓国を追い出したあとで、ここでの権益は米国が引き継ぐというようなものだ。しかも、対華二十一ヶ条要求では、どうみてもドイツ利権とは関係ない、製鉄所よこせといった漢冶萍煤鉄公司への要求も含まれている。
そこで中国が英国ほかを頼ることも当たり前である。中国にも裁判的な意味で言う防御権はあり、それを攻めるもの妙な言い方である。
野口さんの提示した日本の膠州湾租借地の引き渡し要求は「力による現状変更」であった。それを正当な権利として認めながら、記事後段(http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704/chn14070411300002-n4.htm)で新中国による南シナ海での行動について、「力による現状変更」であることを示唆して非難するのは、矛盾するものだ。
※ 野口裕之「中国を贔屓し日本を孤立させる新世界秩序 〝目覚めた獅子〟は本当に文明的か」『MSN産経ニュース』(産経新聞,2014.7.6)http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704/chn14070411300002-n1.htm
「中国を贔屓し日本を孤立させる新世界秩序 〝目覚めた獅子〟は本当に文明的か」(http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704/chn14070411300002-n1.htm)について、結局は中国と米国への恨み節に終始している。1ページに付き2ヶ所はオカシイと言いたくなるところがある。
中でも、中国大陸での権益は後暗いところのない正当な権利、それを認めない英米はけしからんというのは、何事だろうかね。
野口さんは
《ワシントン会議/21~22年》では、第一次大戦で日本が獲得した中国内のドイツ租借地利権を、中国に肩入れした英米両国により、ほぼ全面的に放棄させられた。3年前の《パリ講和会議》では、日本が発議した《人種的差別撤廃提案》の取り下げを条件に英米も日本の利権を認めており、完全な裏切りだった。と述べている。まずは、対独参戦で占領したドイツ膠州湾租借地を、日本の租借地にできなかったことを恨んだものだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704/chn14070411300002-n2.htm
膠州湾そのものは、中国に属する。そして中国は、第一次世界大戦に参戦しており、戦勝国としての地位を占めている。
租借権引継については、どう贔屓目にみても中国は関係国であり、その同意が必要であった。
だが、その手続きは相当に怪しいものである。無理やり飲ませた対華二十一ヶ条要求によるものであるためだ。
対華二十一ヶ条要求は、火事場泥棒のようなものだ。欧州列強がヨーロッパの戦争に巻き込まれている間、日本は中国に二十一ヶ条の要求を突きつけている。その半分はフッカケであるが、力を背景に15条を認めさせた。
その中に膠州湾租借地の件も含まれている。日本は、欧米が介入できない間に、ドイツから占領したと言う体で、膠州湾を自国租借地にしようとしたものといえる。
戦時下において、敵国以外の国に力で強要する行為は正しいものだろうか。しかも中国は参戦国である。日本は火事場泥棒をしたと、英米ほか国際社会はそう考える。いわば力による現状変更であり、中国に利権を持つ各国としても認められない。
この事情を前提に見ると、野口さんの主張は筋悪である。「第一次大戦で日本が獲得した中国内のドイツ租借地利権を、中国に肩入れした英米両国により、ほぼ全面的に放棄させられた。」(野口さん)とある。
だが、そこでは日本に都合の悪いことを全部オミットしている。中国も連合国に参戦した戦勝国であること。世界大戦での日本の火事場泥棒的な行為。なんだかんだ言って、戦後に日本は膠州湾での権益を確保しており「ドイツ租借地利権を[略]全面的に放棄」したわけではないことがそれだ。
そもそも、中国も抵抗するのは当たり前である。今の日本で言えば、米国が北方領土あるいは竹島からロシア、韓国を追い出したあとで、ここでの権益は米国が引き継ぐというようなものだ。しかも、対華二十一ヶ条要求では、どうみてもドイツ利権とは関係ない、製鉄所よこせといった漢冶萍煤鉄公司への要求も含まれている。
そこで中国が英国ほかを頼ることも当たり前である。中国にも裁判的な意味で言う防御権はあり、それを攻めるもの妙な言い方である。
野口さんの提示した日本の膠州湾租借地の引き渡し要求は「力による現状変更」であった。それを正当な権利として認めながら、記事後段(http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704/chn14070411300002-n4.htm)で新中国による南シナ海での行動について、「力による現状変更」であることを示唆して非難するのは、矛盾するものだ。
※ 野口裕之「中国を贔屓し日本を孤立させる新世界秩序 〝目覚めた獅子〟は本当に文明的か」『MSN産経ニュース』(産経新聞,2014.7.6)http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704/chn14070411300002-n1.htm
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