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北村淳さんが「いちど取られたら取り返せない、心しておくべき離島奪還の難しさ」で、米軍人の個人判断では、中国軍が先島に侵攻すると述べている。だが、中国が先島を侵攻するメリットはなんなのだろうか?
北村さんは、記事で「上陸させてから奪回するよりも、上陸させないことが優先する」と述べている。その意見は間違いなく正しい。中国は尖閣に揚がるのは難しいという主張も正しい判断である。警備厳重であり、上陸戦や島嶼維持をするための、安定した海上利用ができない以上は、難しい。
だが、その先で、「だから先島に攻めてくる」という判断は、突飛である。米軍人の話としているが、結局はその人個人の判断で、しかも「同じ苦労をするなら成果が大きなほうがいい」くらいの話であるように見えるためだ。
中国が、尖閣への上陸が難しいなら、先島への上陸はもっと難しい。なぜなら
① 先島は日本本土からも遠いが、中国にしても尖閣よりも本土からも遠い。
② 住民が居住しているため、日本も侵攻は座視しない。
③ 力の真空を防ぐために形ばかりの戦力を配置する計画もある。
ためだ。
北村さんは弾道ミサイルや、ADIZにへの接近で日本海空戦力を拘束すれば終わりとしている。だが、直接侵攻の段階では、日本がそんなものを無視する。弾道弾で拘束されるのは、イージスとPAC3程度である。ADIZ接近も、上陸戦の脅威の前には無視して良い。つまり、海空戦力はその程度では拘束されないのである。
それでいて、中国には先島侵攻のメリットはない。艦隊を太平洋に通すために琉球列島を占領するという話は、艦隊が通れない理由と、その解決法として誤っている。中国艦隊が通れないのは、南九州や沖縄本島にある航空戦力が原因である。戦力を配置していない先島があるからではない。先島を占領して、島の色を自国の色に縫っても、先島周辺での通峡ができないことはかわらない。それなら、沖縄本島を弾道弾やら旧式機飽和で空襲したほうが良い。
これは、主張のために、現実性のない危機感を煽る手法ではないか。上陸戦対処として、事前展開を主張することは分かるい。だが、そのための、先島危機を強調するのは、筋が悪い。
主張のために、米国が何もできないことを強調する文脈としては
エアシーバトルは、A2/ADを打破する発想であり、しかも構想に過ぎない。その程度にとどまる概念をもって、現実的に「島嶼防衛戦でアメリカ軍が勝ち残るのは不可能に近」いとするのは、抽象度が相当に違っている。運用概念ではなく、具体的に集中できる戦力を比較すると、そのような状況は考えられない。ここも、主張のために強調された危機感なのだろう。
北村淳「いちど取られたら取り返せない、心しておくべき離島奪還の難しさ」『JBPRESS』(日本ビジネスプレス,2014.8.28)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41577
北村さんは、記事で「上陸させてから奪回するよりも、上陸させないことが優先する」と述べている。その意見は間違いなく正しい。中国は尖閣に揚がるのは難しいという主張も正しい判断である。警備厳重であり、上陸戦や島嶼維持をするための、安定した海上利用ができない以上は、難しい。
だが、その先で、「だから先島に攻めてくる」という判断は、突飛である。米軍人の話としているが、結局はその人個人の判断で、しかも「同じ苦労をするなら成果が大きなほうがいい」くらいの話であるように見えるためだ。
中国が、尖閣への上陸が難しいなら、先島への上陸はもっと難しい。なぜなら
① 先島は日本本土からも遠いが、中国にしても尖閣よりも本土からも遠い。
② 住民が居住しているため、日本も侵攻は座視しない。
③ 力の真空を防ぐために形ばかりの戦力を配置する計画もある。
ためだ。
北村さんは弾道ミサイルや、ADIZにへの接近で日本海空戦力を拘束すれば終わりとしている。だが、直接侵攻の段階では、日本がそんなものを無視する。弾道弾で拘束されるのは、イージスとPAC3程度である。ADIZ接近も、上陸戦の脅威の前には無視して良い。つまり、海空戦力はその程度では拘束されないのである。
それでいて、中国には先島侵攻のメリットはない。艦隊を太平洋に通すために琉球列島を占領するという話は、艦隊が通れない理由と、その解決法として誤っている。中国艦隊が通れないのは、南九州や沖縄本島にある航空戦力が原因である。戦力を配置していない先島があるからではない。先島を占領して、島の色を自国の色に縫っても、先島周辺での通峡ができないことはかわらない。それなら、沖縄本島を弾道弾やら旧式機飽和で空襲したほうが良い。
これは、主張のために、現実性のない危機感を煽る手法ではないか。上陸戦対処として、事前展開を主張することは分かるい。だが、そのための、先島危機を強調するのは、筋が悪い。
主張のために、米国が何もできないことを強調する文脈としては
中国のA2/AD戦略に対抗するためにアメリカ軍が構築している空海統合戦闘構想では、とても人民解放軍相手の島嶼攻防戦でアメリカ軍が勝ち残るのは不可能に近[い]と述べている部分である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41577?page=2
エアシーバトルは、A2/ADを打破する発想であり、しかも構想に過ぎない。その程度にとどまる概念をもって、現実的に「島嶼防衛戦でアメリカ軍が勝ち残るのは不可能に近」いとするのは、抽象度が相当に違っている。運用概念ではなく、具体的に集中できる戦力を比較すると、そのような状況は考えられない。ここも、主張のために強調された危機感なのだろう。
北村淳「いちど取られたら取り返せない、心しておくべき離島奪還の難しさ」『JBPRESS』(日本ビジネスプレス,2014.8.28)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41577
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