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自衛隊の上陸戦で、AAV-7で不足することはあるのだろうか?
北村淳さんは「自衛隊の『AAV-7』大量調達は世紀の無駄遣いだ」(JBPress)で、AAV-7の調達を批判している。
確かに、いきなり52両も調達する点は問題もあるだろう。例えば、載せる揚陸艦もないとか、52両を使い切れる編制が出来るのか、それが妥当なのかといった問題があるためだ。
だが北村さんの「旧式である」とする理由で、役に立たないという主張は怪訝である。北村さんは、米海兵隊が望む最新装備ではないことを理由にAAV-7を批判している。EFVでなければ役に立たないとか、ACVですらないといったものだ。しかし、別に旧式装備でも問題なく使えることは多いし、最新装備としても解決しない問題も多い。水陸両用戦闘車としてみれば、EFVもAAV-7も、ビーチ近辺では能力に大差はない。
EFVは、海上を高速移動できるだけの話である。EFVは沿岸域からの対艦攻撃を避けるため、水平線の向こうから上陸部隊を発進させようとするものだ。
だが、堅固な海岸防御に対して、水平線以遠からの上陸戦は、米国以外にはできない。結局は米式の圧倒的な対地攻撃能力があるから可能な戦闘である。固定翼機やヘリ、巡航ミサイル等の超長距離火力で海岸が叩けるから成り立つ。
日本では航空戦力や長距離火力からそのようなことはできない。近接しての艦砲射撃がなければ火力は不足するし、それでも充分準備された海岸陣地を粉砕することは難しい。できるのは、日本の支援火力でどうにかなる程度の、防備の甘い、あるいは無防備な海岸への上陸戦である。それなら、揚陸艦で沿岸に近づくことも可能であるし、AAV-7でも十分である。
日本には、旧式のAAV-7で不可能で、新式のEFVならば可能になるような上陸戦はない。そこで、AAV-7を指して旧式であるので上陸戦はできないという北村さんの指摘は、焦点を外すものである。
実際に、英蘭の水陸両用戦部隊は、AAV-7すら持っていない。ヘリと上陸用舟艇で揚陸戦を行う発想である。多少なりとも装甲化されているのは、LCVPに天井をつけるとか、BV-206程度であり、いずれも迫や手榴弾の破片や、流れ弾であれば跳ね返せる程度のものである。伝統ある両国は、準備された陣地に向かって、敵前上陸でもするのでなければそれで充分と見ている。
北村さんは、米海兵隊と同じものを作らなければ駄目という発想なのだろう。もちろん、米海兵隊は世界最高水準かもしれないが、それと同じ装備を買っても、揚陸艦の規模や、航空戦力・火力で不足する自衛隊では同じ行動は実現できるものではない。そのような問題点からすれば、水陸両用戦闘車の問題はミクロの問題に過ぎない。
日本が実現可能な範囲での上陸戦を考慮すると、AAV-7でも問題はない。そもそも、水陸両用戦闘車すら必須ではない。そこで、EFVではないことを指して旧式であり使い物にはならないという北村さんの主張は、全般を見ないで細部を取り上げるものだろう。
※ 北村淳北村淳さんは「自衛隊の『AAV-7』大量調達は世紀の無駄遣いだ」『JB Press』(2014.9.11)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41690
※※ もちろん、北村さんへの批判は、プロキシの上、何も確認しないといった、志のない桜林美佐さんへの批判とは違うものである。
北村淳さんは「自衛隊の『AAV-7』大量調達は世紀の無駄遣いだ」(JBPress)で、AAV-7の調達を批判している。
確かに、いきなり52両も調達する点は問題もあるだろう。例えば、載せる揚陸艦もないとか、52両を使い切れる編制が出来るのか、それが妥当なのかといった問題があるためだ。
だが北村さんの「旧式である」とする理由で、役に立たないという主張は怪訝である。北村さんは、米海兵隊が望む最新装備ではないことを理由にAAV-7を批判している。EFVでなければ役に立たないとか、ACVですらないといったものだ。しかし、別に旧式装備でも問題なく使えることは多いし、最新装備としても解決しない問題も多い。水陸両用戦闘車としてみれば、EFVもAAV-7も、ビーチ近辺では能力に大差はない。
EFVは、海上を高速移動できるだけの話である。EFVは沿岸域からの対艦攻撃を避けるため、水平線の向こうから上陸部隊を発進させようとするものだ。
だが、堅固な海岸防御に対して、水平線以遠からの上陸戦は、米国以外にはできない。結局は米式の圧倒的な対地攻撃能力があるから可能な戦闘である。固定翼機やヘリ、巡航ミサイル等の超長距離火力で海岸が叩けるから成り立つ。
日本では航空戦力や長距離火力からそのようなことはできない。近接しての艦砲射撃がなければ火力は不足するし、それでも充分準備された海岸陣地を粉砕することは難しい。できるのは、日本の支援火力でどうにかなる程度の、防備の甘い、あるいは無防備な海岸への上陸戦である。それなら、揚陸艦で沿岸に近づくことも可能であるし、AAV-7でも十分である。
日本には、旧式のAAV-7で不可能で、新式のEFVならば可能になるような上陸戦はない。そこで、AAV-7を指して旧式であるので上陸戦はできないという北村さんの指摘は、焦点を外すものである。
実際に、英蘭の水陸両用戦部隊は、AAV-7すら持っていない。ヘリと上陸用舟艇で揚陸戦を行う発想である。多少なりとも装甲化されているのは、LCVPに天井をつけるとか、BV-206程度であり、いずれも迫や手榴弾の破片や、流れ弾であれば跳ね返せる程度のものである。伝統ある両国は、準備された陣地に向かって、敵前上陸でもするのでなければそれで充分と見ている。
北村さんは、米海兵隊と同じものを作らなければ駄目という発想なのだろう。もちろん、米海兵隊は世界最高水準かもしれないが、それと同じ装備を買っても、揚陸艦の規模や、航空戦力・火力で不足する自衛隊では同じ行動は実現できるものではない。そのような問題点からすれば、水陸両用戦闘車の問題はミクロの問題に過ぎない。
日本が実現可能な範囲での上陸戦を考慮すると、AAV-7でも問題はない。そもそも、水陸両用戦闘車すら必須ではない。そこで、EFVではないことを指して旧式であり使い物にはならないという北村さんの主張は、全般を見ないで細部を取り上げるものだろう。
※ 北村淳北村淳さんは「自衛隊の『AAV-7』大量調達は世紀の無駄遣いだ」『JB Press』(2014.9.11)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41690
※※ もちろん、北村さんへの批判は、プロキシの上、何も確認しないといった、志のない桜林美佐さんへの批判とは違うものである。
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