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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.09
19
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06:21
Category : 未分類
 その1-2週間あとか、隊長が己と准尉と先任を呼ぶ。ご本尊は既に隊長室にいる。なにかと思うと、外出できるようにしてやれとのこと。隊長いわく「こいつが借金の返済について業者と相談するから外に出たいと言っている。身分証と営外証と私有車の鍵(これは先任がうまいこと言って取り上げた)を渡してやれ」という。

 准尉が班長どう思うのかというから、己は「そりゃないでしょう」と言った。また出勤できないと言われるのは勘弁だというと、先任も准尉も同意する顔。今、隊先任のS’’さんも呼べば人数的に押しきれるかなと思ったが、隊長は「オレがこいつと約束した、男同士の約束で二言はない、だからオレの判断で出す、外出できるようにしろ」とのこと。ついいつもの悪い癖で「約束を守れるなら滞納なんかしないと思いますがねえ」と、余計な一言を言ってしまったよ。

 で、案の定、翌日に帰ってこない。己が電話しても出ないし、先任も准尉も駄目。隊長が掛けると「十和田湖にいる」といっていたとのこと、隊長発案の捜索隊を出すが全然見つからない。翌日には「今、東京」とかいいだす。それを信じる隊長に、「田舎で嫌なことあって北に逃げてきたのだから、北海道じゃないですか」というと「あいつはオレには正直に話す」とまだ信じているような口ぶりに気が滅入った。

 もうこの段階で大事。それいぜんから副長と司令には話してあったので、副長が来た時に「なんで外出させたの」というから、隊長不在もあってその辺りをいろいろ隠して頑張っていると、先任がペラペラ一式話してしまった。お陰で非常にスッキリして、ありがとうといった感覚を覚えている。

 二週間目くらいか、副長含めた会議をしたときに、何かプランはないかというから「金を断てばいいのではないか」と言った。「どうせ逃げている身、まともなバイトもできないし、真面目に働けるとも思えない。酒でも飲む毎日で、自転車操業で借りているサラ金からの貸出を一切止めれば干上がるでしょう」というようなことを言った。どうやって止めるのかというから、奥さんに「この人、返せないので貸さないでください」と一筆入れればとまるでしょというと、隊長は「金がないと自殺するかも」というが、副長は己に同意した。現金なもので、隊長は「じゃあオマエやれ」と命令。

 戸籍上の奥さんとご一緒に、無人君のたぐいのレシートで割り出したサラ金、十軒くらいを回ると、全部の業者が「もう貸しません」とのこと。そりゃ、回収できないのに貸す奴はいない。さらに、分隊士の業務ですし奥さんも同意といって、引き落とし場所の履歴もらう。隊に戻ってエクセルでリストに足すと、やっぱり完全な自転車操業が判明。家に帰らなくなった時期あたりから、金返すために金を借りていた。

 それから、一週間も立たないうちに電話。サラ金から「うちのATMに来たので、扉を閉鎖して閉じ込めてます」とのこと。やっぱり北海道。早速、札幌地連(だったはず、同マークの海曹が複数いた)に依頼して本人を確保。警務隊とご一緒に帰ってきて、逃げないように監視つき営内居住にして、事情聴取。その時、勝手に席に座ったので「己、『座っていい』と言ってないよ」といって、立たせてから着席を許したことがある。まあ、曹士にそんなキツイことをいったのは、その時だけなんで覚えている。その三日後くらいか、司令が懲戒免職処分をしてケリとなった。

 ま、25%くらいは隊長が悪い話だった。そもそも、海曹士と対立する構造にあったときに、先任側につかず自分の下に媚びてきたからと重用して、序列スッ飛ばしの昇任やボーナスでのB判定とかくれていたのも甘やかした話。さらにどうみても「逃げるでしょ」というやつの詐術に引っかかって外出させたのも隊長のせい。あのまま借金返すプランを、場合によれば今の愛人と前の奥さん、義母同席の上で承知させて、2回位もキチンと返済させ、その後に家庭問題も処理できれば、硫黄島送りでもして完全返済できたと思うがね。

 この隊長は、他にも赤表紙なくしたりしていた。己が人事書類保管場所をチェックして、「K海曹の赤表紙がない」と真っ青になっていると、探せという。二週間探して、人事にも駄目なときの処理を聞いて、もうこりゃ駄目かと思っていたら、隊長の机の引き出しから出てきた。夜、酒飲みながら仕事をしているのだが、そのツマミに赤表紙を見ていたらしい。もちろん、その後は官舎まで車を運転して帰る。酒にはすごくだらしない。

 酒癖の悪さとその後の運転については、転出後にも話を聞いた。先任によれば、転出なのに、海曹士は誰も祝わない。だから、100kmくらい先の艦艇基地の同期と酒を飲みにいったらしい。(己はその時に陸自の学校) その帰りに雪道で車ぶつけたみたいで、翌日の私有車のドアがベコベコになっていたねえと笑っていた。

 今から思えば、あの部隊では己は隊長と海曹士の板挟みになっていた。互いにアッチが間違っているという話を、聞いたふりをして聞かないようにしていたよ。

 馘首にした日に、本人が処分してくれといった、使わない私物放り込んだダンボールだかの中を見たら、代行運転の給与封筒がいくつかあった。バイトもしていたとことだけど、懲戒免職のあとだからどうでもいい話。シュレッダー掛けて処理したよ。
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2014.09
19
CM:0
TB:0
06:19
Category : 未分類
 「寮から泳いで脱出、2か月半欠勤の曹長を懲戒免」で思い出したが、初級幹部の時に2曹が逃げて最終的に馘首にしたことがある。奴さんは火宅の人で、借金こさえて、行き詰まって逃げた話。

 己が学生期間中を終えて部隊に戻ってきたら、その2曹の義母から官舎に電話が来た。何のことだかわからずに話を聞いていると「娘の亭主が家に帰らない、金も入れないからどうにかしろ」という話。

 実際、私生活はなんとかできるものでもないが、当時は班長で分隊士なので、心情把握しなければいけない。だから本人に話を聞こうとすると、逸そうとする。

 もともと、ふてぶてしい海曹で、一躍3海尉(当時は二尉だけどね)になった己のことなど聞こうとしない面をしていた。もともと九州の出で、地元に居づらくなって北に逃げてきた奴で、周囲ともやや合わない。同じように海曹士と合わない、特に先任と准尉と対立していた隊長に媚を売って、現場ではなく事務所(こっちのほうがキツイけどね)にいたやつ。隊長の庇護があるからオマエのいうことなんか聞かないという顔だった。

 ただし、そういう態度ということは、奴さんの義母の言うことが正しい証拠。事実上の住所は把握する必要があるし、家族環境も確認しなければならない。だから、除雪指揮所にS先任(同じように義母からの電話を受けていた)とS'准尉と事務所の先任を呼んで、圧迫して本人に話させた。先任が一言「俺にいっているのに班長に言えないってことはないだろ」というと、あとは質問にその通りと答えた。己も、どうするかは自由だけど、住所と家族構成が変わったら教えてねというと、仕方なく頷く。

 その後、本人あてに「友人からの電話」が増える。「こりゃ、滞納して、氷菓子がキチンと働いているのかのチェックだな」と思い、例によって先任と准尉つきで本人に尋ねると借金はないの一点張り。嘘つけと思っていたが「借金で首がまわらないなら、任意整理とかあるし、自己破産もあるよ、考えてね」といって放免したら…翌日、出勤しない。無断欠勤。

 ただ携帯に連絡はとれるので、先任が話して、当日は有給処理。翌日は己も話して有給処理「飼っていたウサギが死んてペットロス(当時はこの言い方はない)」とか抜かす。

 しかし3日目はありえないので、ペットロスに共感したふりをして、なだめて、あるいはキツイことをいって、とりあえずその日の夕刻に出てこさせる。そしてその場で身分証明書と営外証を没収。居住区を手配して、同室には注意しろと厳命。営内居住の手続きしているから「それまで飯をたべさせてやってください」給養班長にも、記憶が定かではないが、手続き的にはヤミ給食の手配をお願いした。

 借金はホニャララ万円で、返せない額ではない。エクセルで返済プランを立てて、毎月10万づつで5年?、あるいは15万づつ3年?のプランを作ると、先任と准尉は感心して「大学でそういうことやるのですか」と言われたよ。もちろん、人生で一度もない。

 数学は測量士の准尉のほうができるのだが、「金利の複式計算とか私はできませんよ」といって「班長やりましょうよ」と逃げられた。押し付ける理由も、断れる理由もない。なんせ准尉はエライ、昔の軍隊の階級で言うと少佐くらいにはエライから、中尉相当の二尉には命令のようなもの。イルカに聞きながら計算すると結構簡単に出来たけどね。

 そして例によって先任と准尉(どちらも、己への援護だけではなく、責任上常に同席した)同席で、ご本尊を呼び「こんなプラン立ててみたけど、10万づつ返すか、それとも15万づつ返す?」と聞くと、月五万程度しか返せないと甘ったれたことをいう。海曹なら、月の総支給額は年齢と同じか、-2万程度になる。四〇男が四〇面下げてそういうことを言えるものかと思ったが、それじゃあ退職までに返せないねというと、硫黄島に行かせろと返してきた。先任が、あそこに行かせる借金持ちは、心正しいヤツが行くところで、オマエにその資格はないよと言うとうなだれて何も言わない。