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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.11
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Category : 未分類
 理系上がりに兵書しか読ませないと、世間知らずの将校が生まれる。JBPressの森清勇さんの記事※ をみると、将校教育について、戦前と全く同じ失敗をしていることが伺える。

 森さんの「日本のジャーナリストの怠慢とジャーナリズムの堕落」だが、内容的にはいつもの恨み節である。だが、今回については、あきらかな間違いがある。

 まずは、調べなかったり、陸自の失敗と自衛隊の失敗を混同している。具体的にはここだ
 管理面においても、同一敷地内にある大蔵省と防衛庁(共に当時)の官舎を比べると、防衛庁官舎は狭く貧弱であったし、予算査定時期になると、他の省庁ではあり得ないような庁舎のコンクリート床に毛布を敷いて寝泊まりした。

 一般の公務員や会社員などには理解されない自衛隊特有の旅費体系で、出張においても旅費や日当などの現金は一切支給されない。「運搬費」という形で目的地までの切符が渡される。給食・宿泊は部隊で行い、諸々の経費には自分の給料から出す仕儀となる。


 大蔵と防衛の公務員宿舎には、面積差はない。森さんは大蔵省(全公務員向け)の官舎が広いとしているが、たまたま狭い宿舎に押し込まれただけの話である。宿舎には単身から家族持ち用(110平米とかある)まであるが、防衛は人事計画が寸前ギリギリなので宿舎手配がうまくいかない。独身者10人、所帯持ち5人の後任に、独身5人、所帯持ち10人となれば、狭い所に押し込められるだけの話である。それがいやなら、森さんがキチンと調整すべきだし、嫌なら外に家を借りればいい。家賃は一定額まで半額補助がでる。

 予算編成時期にベッドが用意されないのは、他省庁も同じである。どこの省庁も、正規のベッドはない。国交や文科に行ったヤツに聞いても、アレは個人で買うもので与えられるものではない。毎日帰れないからそうしているだけの話である。対して、今の防衛省には、有事用として作ったシャワー、洗濯機付きの正規の寝床がある。大面積和室×1、陸海空用×各1だが、これは他省庁にはない。ちなみに担当として清掃業者込みで全部を管理していたが、結構なカネを掛けている。

 本来の出張なら、旅費(バウチャー買えば余る)も日当(5400円だったか)もキチンとでる。後払証=運搬費による輸送は、部隊単位の輸送くらいしか使われない。それを個人単位の出張につかうことは、海空には曹士でもまずない。陸が正規の予算要求をしていないか、旅費類をどっかの中央部署に吸い取られている結果だろう。そもそも出張は個人で要求する。嫌なら行くなという話だ。

 森さんは、慰安婦問題報道でも、日本の名誉を優先するといい切るあたり、ジャーナリズムの本質を理解していない。
 しかし、[吉田証言が]国際社会の問題になる以前に、どのマスコミも、日本の名誉は「我がこと」という意識に至らなかったのだろうか。「我がこと」となれば、何とかしなければという思いに駆られるに違いない。


 そもそも、慰安婦問題で日本が責められているのは、吉田証言が原因ではない。人身売買と管理買春が原因である。「軍の強制連行ではなく、『関与』を示すものでしかない」(森)と述べているのは問題の本質を誤っている。「関与」そのものが問題なのである。さらに言えば、強制連行の事例そのものも皆無でもない。

 そして、臭いものにフタをするのが、マスコミの仕事ではない。国益や名誉を考えろというが、ジャーナリズムは国益や名誉のために事実をまげるのが仕事だと勘違いしているのだろう。

 結論として「産経こそがクォリティ紙に相応しい」(森)とするのも、やはり世間とのズレを感じる。兵隊時代に自衛隊をヨイショするマスコミが良いマスコミ※※ だという思い込みなのだろう。それで産経だけを読むと、そう考えるようになるということだ。クオリティ紙は、国益や国の名誉のために臭いものにフタはしない。一部の読者層をヨイショするために、国民の自衛官やら警察官顕彰もしない。

 森さんがこの手の発言をするバックグランドとしては、やはり理系教育と兵書ばかりを読んできたものがあるのだろう。

 理系については、某教団がアレな理由と通じるものがある。理系理系そのものが悪いわけではないが、社会に対して批判的な読書をする習慣もない。同じ事件について、右派左派両方からの主張を比較するような教育はない。自分たちが常識と考える慣習を疑う習慣もない。

 兵書の読み過ぎも同じである。特に陸はCGSを通る教育ばかりを行うし、そこで思想統制が図られる。当今はドクトリンという言葉を戦策レベルに安易に使うがが、本来の意味は思想や価値観の統制に近い。用兵術や戦略論の類は、所詮は社会科学にすぎないが、出来ん子はそれを自然科学と勘違いしたりする。価値観統制も、相当ズレているもので、陸CGS出で基地対策をやっていた奴が、基地対策をやっている己に、「北富士演習場での入会はけしからん」といって、忍野の母の戦いを知らないのかと唖然としたことがある。その感覚では、有事に使用範囲や期間のお願いも難しかろうと思ったよ。

 教育では用兵術、幕僚勤務でもG-3(作戦)系統しかやらせないから、行政関連や予算執行の経験もないのでトンチンカンなことを言いだす。「防衛官舎は狭い」とか「官費のベッドがない」「出張で旅費がない」といいだす森さんの背景には、理系+兵書教育の弊害がある。ある意味で被害者とも言えるが、任官以降に自腹で一般書を買って読む機会はいくらでもあった点からすれば、自業自得とも言える。

 逆に己が知る限り、将官クラスは、まともな一般書や一般紙を読んでいるし、性格や人使いはともかく世間との乖離はそれほどない。新聞は朝日と日経、雑誌や本には『諸君』(これはいい右派誌だった)もあったが、わだつみの声もあたったし、何回読んでも挫折した石母田正を見た時には「負けた」と思った。(読んだかどうかは聞いていない)

 逆に定年将補で終わるあたりには、産経と正論をおいて右派的な発言をするタイプも結構いるし、高い確率でマイナー宗教に帰依している。世間話や部下指導等でも、そのスタンスでやるから、1佐(一)にはなれても、将官になれないのだろうと思っていたよ。森さんも、御趣旨についてはともかくとして、そんな感じなのだろう。※※※



※   森清勇「日本のジャーナリストの怠慢とジャーナリズムの堕落 -南京大虐殺や百人斬りの虚報も朝日新聞だけの責任か」『JBpress』(日本ビジネスプレス,2014.11.17)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42191

※※  防大出は大学の段階でそう考えるらしい。幹部候補生の段階でも「分隊でとる新聞は産経」と機械的に発言していた。自分の会社を擁護する新聞を読んでなにか役に立つものかねと文句をつけたら、朝日と読売になったがね。

※※※ このタイプは、むしろ人使いや性格はいいが(海空の田母神恩顧1佐は、4人中4人がそんな感じ)、中にはパワハラで裁判もいる。一術校の時、自己啓発にハマり、お前は精神が悪いと文句つけてきた課程科長が、佐世保の指揮官でパワハラ裁判、賠償金となった時には、そうだろうなあと思ったよ。将官になるヤツなら、基本は全員に当たりが悪くとも、パワハラや個人への違法行為はキレイに避けるものだ。
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