fc2ブログ

RSS
Admin
Archives

隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
→ 新刊・既刊等はこちら

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Powered by fc2 blog  |  Designed by sebek
2014.12
09
CM:2
TB:0
13:07
Category : 未分類
 海保を海自の下に入れたら、その利点が全くなくなってしまう。

 浜口和久さんは「海上自衛隊の組織の中に海上保安庁を組み入れ、指揮命令系統を一本化し、即応能力を高め」ろと主張している。その理由は、事態対応能力の向上である。

 だが、海保の利点は、軍隊ではないことにある。海保の船艇は公船であり軍艦ではない。さらに、80年代には船体にストライプが入れられており、それを強調している。これは60年代にUSCGがハル・ストライプの表象を取り入れたことからの、流行の後追いである。軍艦ではないことを意識させるものであり、その行動が、行政権の一環としての警察権行使であることを強調するものである。


 領域警備、出入国、漁業のトラブルで、各国がカッターや巡視船を出して、軍艦をあまり出さないようになっているのは、それが理由である。行政として事務的対応をしていることを示すためであり、軍艦を出して戦闘を辞さないというシグナルを与えないためである。

 東アジアでも、それがやり方である。日本は最初からそのようにしているし、中国も、韓国も、台湾もそのようになっている。

 この点を考慮すると「海保を海自の組織下に入れろ」(浜口)とする主張は筋が悪い。海保で角を立たせずに収められる可能性を失うものであるからだ。近所トラブルで、いきなり警察を呼んだり、裁判を起こすようなものであり、全くスマートではない。

 浜口さんは、強硬策を述べることしかできていない。本人のホームページを見ても
「隣国によって1平方メートルの領土を奪われながら放置する国は、その他の領土も奪われ、遂には領土を全て失い、国家として存立することをやめてしまう[中略]尖閣諸島、竹島、北方領土だけではない。森林、自然資源、港湾から防衛地区までが隣国に狙われている。
「濱口和久オフィシャルページ」http://www.hamaguchi.ne.jp/

と述べている。支持層、顧客層がそのような連中なので、それに合わせているのだろう。

 だが、「奪われる」とか「狙われている」とする、危険が危ないとする発想で、政策提案という商売をすると、非現実的なことしか言えなくなる。それが「海保を海自の下に入れろ」である。



※ 濱口和久「海上自衛隊に海上保安庁を組み入れよ」『ネットアイビーニュース』(データ・マックス,2014.11.29)http://www.data-max.co.jp/politics_and_society/2014/11/24136/1129_hmg_1/

※※ 浜口さんは
給油口の大きさ・形状を同じにすれば、海上自衛隊の補給艦を洋上に待機させることにより、海上保安庁の巡視船も給油の時間を短縮することができる。加えて、自衛艦と巡視船の基本的部分の規格を統一することによって、船の運用の共通化も図ることができる
と述べているが、海保の燃料は、半分は軽油であるし、小型艇だと洋上給油したところで、乗員が持たないので意味は無い。
スポンサーサイト