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『日本語学』(2010.11)読んでいたら、崎山理さんの「日本語の形成過程と言語接触」を見つけた。崎山さんはマライ・ポリネシア祖語を日本語にとっての起源の一つであると主張する方で、前にも、「『タニ』はマライ・ポリネシア祖語に由来」で紹介している。
今回も、手、目、食について、ポリネシア祖語との関係を簡潔に説明してる。taŋan(手:上古日本語では「た」)の残滓が「たなごころ」(手の心)。mata (目:上古日本語では「まあ」)が「まなこ」(目の子、瞳)。kaən(食べる:「け」)の名残が「かなえ」(食の器)としている。
特に、「か」=食べるの語幹は、相当に影響があるのではないか。「かま」「かまど」といった単語もそうだし、「噛む」といった同士にも影響しているのかもしれない。
なにより「はやと」ですか。ポリネシア祖語でのpaRi-taw(南の人)を規則的に音形変化するとfayi-toになる。ファい-ト=ハヤトであり、字義も通じる。
ほかにも、串良の地名もポリネシア系ではないかとしている。sisir(櫛で梳く)の語幹であるsir、それに道具化の接頭語、gaをつけるとgasirで串良としている。櫛の語源も案外そんなものだろう。
他にも、ダニエル・ロングさんの「小笠原諸島の日本語変種」も掲載されていて、コレも面白い。未成熟のウミガメを示す「ういんとる」は、Winter-Turtleからの変化であるとか、妊婦を「はらめ」つまり孕婦といったかつての用法が残っているというもの。
入植者由来の八丈方言の「なむら」=魚群も意味が拡大している。人も獣も含む群れを示す概念となったため、「自衛隊のなむら」といった用法もあるということ。
まあ、なによりが写真機かね。ウチの父方はカメラを未だに写真機というし、己も言う。これについて、植民地等に古い言葉が残存するコロニアル・ラグと説明している。
※ 崎山理「日本語の形成過程と言語接触」『日本語学』(2010.11)pp.18-31.
※※ ロング,ダニエル「小笠原諸島の日本語変種」『日本語学』(2010.11)pp.118-131.
今回も、手、目、食について、ポリネシア祖語との関係を簡潔に説明してる。taŋan(手:上古日本語では「た」)の残滓が「たなごころ」(手の心)。mata (目:上古日本語では「まあ」)が「まなこ」(目の子、瞳)。kaən(食べる:「け」)の名残が「かなえ」(食の器)としている。
特に、「か」=食べるの語幹は、相当に影響があるのではないか。「かま」「かまど」といった単語もそうだし、「噛む」といった同士にも影響しているのかもしれない。
なにより「はやと」ですか。ポリネシア祖語でのpaRi-taw(南の人)を規則的に音形変化するとfayi-toになる。ファい-ト=ハヤトであり、字義も通じる。
ほかにも、串良の地名もポリネシア系ではないかとしている。sisir(櫛で梳く)の語幹であるsir、それに道具化の接頭語、gaをつけるとgasirで串良としている。櫛の語源も案外そんなものだろう。
他にも、ダニエル・ロングさんの「小笠原諸島の日本語変種」も掲載されていて、コレも面白い。未成熟のウミガメを示す「ういんとる」は、Winter-Turtleからの変化であるとか、妊婦を「はらめ」つまり孕婦といったかつての用法が残っているというもの。
入植者由来の八丈方言の「なむら」=魚群も意味が拡大している。人も獣も含む群れを示す概念となったため、「自衛隊のなむら」といった用法もあるということ。
まあ、なによりが写真機かね。ウチの父方はカメラを未だに写真機というし、己も言う。これについて、植民地等に古い言葉が残存するコロニアル・ラグと説明している。
ハワイの日本語ではカメラのことを「写真機」といったりするような現象と述べている。実際に父方はお茶農園をやっていたが、開戦直後、昭和17年5月にブラジルから帰ってきているから、語彙もその辺りの影響があるのだろう。山刀のことをテラローサとか言っていたし、爺は97で死ぬ前の頃には「ブラジルではカルボンのことを炭という」と混乱していた。
※ 崎山理「日本語の形成過程と言語接触」『日本語学』(2010.11)pp.18-31.
※※ ロング,ダニエル「小笠原諸島の日本語変種」『日本語学』(2010.11)pp.118-131.
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