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安全保障関係で、理由が思いつかない時に使える便利な言葉に地政学がある。たいていは使う御仁の頭は弱いと見て良い。本来であれば、相手が理解できるように理屈づけて説明すべきであるのに、それができない時に捨て台詞のように使う言葉のためだ。
それを佐藤正久さんが使っている。択捉島について「安全保障でスゲー重要」といいたいのだろうが、それが説明できないのでがつかないので「地政学が~」と言っている。
■ 軍事的な妥当性のない佐藤発言
だが、佐藤さんの発言には何の妥当性もない。
どこが「艦隊を隠すにも好適地」(佐藤)なのだろうか? 択捉島は太平洋に面しており、日米海空戦力行動圏に面している。艦隊を置いても日米哨戒機からも隠れられず、航空攻撃や潜水艦脅威に直面する島であり、しかも防空戦力が少ないために何もできない。
さらに択捉島には良港がない。有名な単冠湾にしても、停泊施設はなく、外海からのうねりの打ち込みがあり、年に2-3回ほど大波がでるため停泊地としては不適である。
また、ハワイ攻撃での距離の近さもそれほどではない。ロシアにはペトロハバロフスクがある。ここは良港であり、ある程度の港湾能力も防空戦力もある。択捉島に艦隊をおいてハワイを攻撃するくらいならこちらのほうがまだマシである。
■ 領土問題にイッチョ噛みしたいだけ
結局は、佐藤正久さんは軍事的に理由をつけられないということだ。北方領土=択捉島の問題にイッチョ噛みし、支持層や保守にアピールしたい助平心なのだが、悲しいかな語れる話題が安全保障しか無い。
だが安全保障では、日本にとって北方領土はあまり意味はない。
そもそも、ロシアにもあまりない。ソ連であればオホーツク聖域化のために必要であった。日本がオホーツクに侵入し、潜水艦に拠る戦略原潜攻撃や、米海軍・海兵隊による沿岸部を襲撃する恐怖に対抗するために、国後水道の防備はそれなりに重要であったが、いまではない。
今の問題は、ナショナリズムに絡む領土問題に過ぎない。北方領土は日本人が、ロシア人が自国領土だと思い込んだ結果、譲れないと考えているだけの話である。そこに軍事的な価値はないのである。
だが、佐藤正久さんは、それがあると言わなければ自分の出る幕はない。だから必死になって地政学といっているのだろう。
まあ、支持者は賢くないから騙せるかもしれないけどね。連中の頭の内容はリツイートを見ればわかるもんだ。
■ オマケ
「露首相のメドベージェフが[中略]軍の近代化も企図している」(佐藤)と書いているけど、その実現性について全く言及しないのも、佐藤さんの立ち位置を示している。それが考えられたのはバレル100ドルを超えていた時代であって、14年からの原油価格暴落で、原油とそれにリンクした価格体系の東アジア向け天然ガス収入が激減した今のロシアにその余力はない。でも、北海道の陸兵を維持する理由が怪しくなるのでそれは言えないわけだ。
それを佐藤正久さんが使っている。択捉島について「安全保障でスゲー重要」といいたいのだろうが、それが説明できないのでがつかないので「地政学が~」と言っている。
佐藤正久@SatoMasahisa
【ハワイに一番近い日本、択捉島!】露首相のメドベージェフが再び択捉島訪問に意欲を燃やし軍の近代化も企図しているが、真珠湾攻撃に参加した空母機動部隊は択捉島から出撃。メルカトル図法では分かりにくいが、ハワイに一番近い日本は北方領土の択捉島で、艦隊を隠すにも好適地。地政学的にも重要 1:33 - 2015年8月15日
https://twitter.com/SatoMasahisa/status/632470146120986624
■ 軍事的な妥当性のない佐藤発言
だが、佐藤さんの発言には何の妥当性もない。
どこが「艦隊を隠すにも好適地」(佐藤)なのだろうか? 択捉島は太平洋に面しており、日米海空戦力行動圏に面している。艦隊を置いても日米哨戒機からも隠れられず、航空攻撃や潜水艦脅威に直面する島であり、しかも防空戦力が少ないために何もできない。
さらに択捉島には良港がない。有名な単冠湾にしても、停泊施設はなく、外海からのうねりの打ち込みがあり、年に2-3回ほど大波がでるため停泊地としては不適である。
また、ハワイ攻撃での距離の近さもそれほどではない。ロシアにはペトロハバロフスクがある。ここは良港であり、ある程度の港湾能力も防空戦力もある。択捉島に艦隊をおいてハワイを攻撃するくらいならこちらのほうがまだマシである。
■ 領土問題にイッチョ噛みしたいだけ
結局は、佐藤正久さんは軍事的に理由をつけられないということだ。北方領土=択捉島の問題にイッチョ噛みし、支持層や保守にアピールしたい助平心なのだが、悲しいかな語れる話題が安全保障しか無い。
だが安全保障では、日本にとって北方領土はあまり意味はない。
そもそも、ロシアにもあまりない。ソ連であればオホーツク聖域化のために必要であった。日本がオホーツクに侵入し、潜水艦に拠る戦略原潜攻撃や、米海軍・海兵隊による沿岸部を襲撃する恐怖に対抗するために、国後水道の防備はそれなりに重要であったが、いまではない。
今の問題は、ナショナリズムに絡む領土問題に過ぎない。北方領土は日本人が、ロシア人が自国領土だと思い込んだ結果、譲れないと考えているだけの話である。そこに軍事的な価値はないのである。
だが、佐藤正久さんは、それがあると言わなければ自分の出る幕はない。だから必死になって地政学といっているのだろう。
まあ、支持者は賢くないから騙せるかもしれないけどね。連中の頭の内容はリツイートを見ればわかるもんだ。
■ オマケ
「露首相のメドベージェフが[中略]軍の近代化も企図している」(佐藤)と書いているけど、その実現性について全く言及しないのも、佐藤さんの立ち位置を示している。それが考えられたのはバレル100ドルを超えていた時代であって、14年からの原油価格暴落で、原油とそれにリンクした価格体系の東アジア向け天然ガス収入が激減した今のロシアにその余力はない。でも、北海道の陸兵を維持する理由が怪しくなるのでそれは言えないわけだ。
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