Category : 未分類
山田吉彦さんの講演要旨が産経WESTに掲載されている。中国の海洋進出にあわせて南シナ海が危険であると主張するものであるが、南シナ海の範囲を混同し、機雷戦の脅威を煽っているようにしか見えない。
山田さんは、ASEAN各国向けの輸出は迂回できないと述べている。
だが、南シナ海の範囲を意図的に混同させた話ではないか。中国海洋進出の正面は南シナ海北部であり南部ではない。
また、日本からシンガポールとのアクセスはジャワ海経由で南側からの迂回で確保できる。東南アジアでの生産物はたいていはコンテナでやり取りされシンガポールに集積される。だからそれで十分である。
そもそも中国が海洋利用の自由を踏みにじり、南シナ海だけで日本とシンガポール、マレーシア、タイと海上輸送を阻止するような海上封鎖をする話はあまり現実味はない。
さらに経済的なインパクトもおかしい。
山田さんは東南アジアと日本の貿易「輸入が約900億ドル、輸出が約1000億ドル」がなければ日本経済が成り立たないという。つまり、海上封鎖のような日中対立がおきている状況を指している。
だが、それで経済が成り立たないなら、日中貿易ができない状況は日中双方ににとって致命的である。日本の対中輸出と輸入、中国の対日輸入と輸出は1600億ドルと1800億ドルである。それがなくなれば、東南アジア貿易どころではない。
最後に機雷の話を出しているが、これも首を傾げる内容である。
水深を見ればわかるが、南シナ海は機雷戦に適していない。中国の進出正面である南シナ海北部は海盆状であり、水深4000mに達する海で機雷敷設に適していない。しかも、オイルルートにせよシンガポール向け航路にせよ機雷戦に適した航路収束部もない。バシー海峡は大水深である上に広い。そこを機雷封鎖できるなら太平洋戦争で対潜機雷堰を作っている。南シナ海北部で水深や航路収束部として機雷戦向くのは、自国の広州・香港の前面くらいである。
結局は「大阪『正論』懇話会」向けの話だ。常に日本は存亡危機と思い込んでいる連中を満足させるため、南シナ海への中国海洋進出は危険が危ないといっているだけなのだろう。それに毎年個人4万、法人5万円の会費を払ってくれるのだからチョロいものだ。
まー「日米の懸念と、南シナ海周辺国の懸念は違う。日米としては公海使用と上空通過の自由を確保できればいい。南シナ海のどーでもいい岩礁がどこの国のものになろうと、日米は公海と上空の自由が確保されれば知ったこっちゃない」位はいえばいいものなのにね。
ちなみに、『軍事研究』の今月号、文谷数重「恐るに足りぬ脆弱な中国の人工島」でそのあたりを書いているので、よければ御覧の上お買い上げください。イイ雑誌ですよ。
山田さんは、ASEAN各国向けの輸出は迂回できないと述べている。
最も危険なのは南シナ海だ。迂回(うかい)航路があるとの主張も聞くが、全く海を知らない論理だ。ベトナム、マレーシア、シンガポールなど南シナ海を通らなければ、他国と貿易できない国が多くある。
日本とそれらの国との貿易総額は、輸入が約900億ドル、輸出が約1000億ドル。これなくして日本経済は成り立たない。となれば南シナ海の安全を守らなければいけない。しかも重要なオイルルートであり、日本人の使うエネルギーの80%がマラッカ海峡を通り南シナ海を通過して日本に送られている。この海の安全を守るのは日本の義務だ。
http://www.sankei.com/west/news/150901/wst1509010073-n1.html
だが、南シナ海の範囲を意図的に混同させた話ではないか。中国海洋進出の正面は南シナ海北部であり南部ではない。
また、日本からシンガポールとのアクセスはジャワ海経由で南側からの迂回で確保できる。東南アジアでの生産物はたいていはコンテナでやり取りされシンガポールに集積される。だからそれで十分である。
そもそも中国が海洋利用の自由を踏みにじり、南シナ海だけで日本とシンガポール、マレーシア、タイと海上輸送を阻止するような海上封鎖をする話はあまり現実味はない。
さらに経済的なインパクトもおかしい。
山田さんは東南アジアと日本の貿易「輸入が約900億ドル、輸出が約1000億ドル」がなければ日本経済が成り立たないという。つまり、海上封鎖のような日中対立がおきている状況を指している。
だが、それで経済が成り立たないなら、日中貿易ができない状況は日中双方ににとって致命的である。日本の対中輸出と輸入、中国の対日輸入と輸出は1600億ドルと1800億ドルである。それがなくなれば、東南アジア貿易どころではない。
最後に機雷の話を出しているが、これも首を傾げる内容である。
中国は台湾海峡の封鎖用に持っていた5万個の機雷を南シナ海方面を管轄する艦隊に移し、「人工島周辺で米国やフィリピンが強引に動けば機雷を敷設する」という動きを見せた。処理能力があるのは海上自衛隊だけ。
http://www.sankei.com/west/news/150901/wst1509010073-n3.html
水深を見ればわかるが、南シナ海は機雷戦に適していない。中国の進出正面である南シナ海北部は海盆状であり、水深4000mに達する海で機雷敷設に適していない。しかも、オイルルートにせよシンガポール向け航路にせよ機雷戦に適した航路収束部もない。バシー海峡は大水深である上に広い。そこを機雷封鎖できるなら太平洋戦争で対潜機雷堰を作っている。南シナ海北部で水深や航路収束部として機雷戦向くのは、自国の広州・香港の前面くらいである。
結局は「大阪『正論』懇話会」向けの話だ。常に日本は存亡危機と思い込んでいる連中を満足させるため、南シナ海への中国海洋進出は危険が危ないといっているだけなのだろう。それに毎年個人4万、法人5万円の会費を払ってくれるのだからチョロいものだ。
まー「日米の懸念と、南シナ海周辺国の懸念は違う。日米としては公海使用と上空通過の自由を確保できればいい。南シナ海のどーでもいい岩礁がどこの国のものになろうと、日米は公海と上空の自由が確保されれば知ったこっちゃない」位はいえばいいものなのにね。
ちなみに、『軍事研究』の今月号、文谷数重「恐るに足りぬ脆弱な中国の人工島」でそのあたりを書いているので、よければ御覧の上お買い上げください。イイ雑誌ですよ。
スポンサーサイト