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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2015.10
30
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21:11
Category : 未分類
 岩波ホールで『真珠のボタン』(2015)と『光のノスタルジア』(2010)を見てきました。チリ映画です。2本だてですが、内容が絶対混ざると思ったので2日に分けて見ています。



 内容は、いわく言いがたい。退屈ではあるがつまらないわけではない。ドキュメンタリーであるが、動画についての作画術のような部分もある。なんというか、純文学でドキュメンタリーを混ぜたようなものとでも形容すべきですかね。


■ 順番がある

 順番は『光のノスタルジア』をみてから『真珠のボタン』なのでしょう。逆に見ても別に困るものでもありませんし、実際に逆に見たのですが、監督の興味分野や問題意識の展開からすればそうです。

 『光のノスタルジア』のテーマは、アタカマ砂漠でのピノチェト政権による強制収容と虐殺、遺体の隠蔽。その遺骨を探すおっ母さんたちと、天文台での宇宙探索を並べて提示しようとするものです。遺骨と、カルシウムのスペクトル吸収線の捜索を並列して示す意図があります。

 対して、『真珠のボタン』はパタゴニアでの先住民虐殺と、ピノチェト政権下での虐殺死体の海中投棄を重ねあわせています。死体が浮かばないようにレールをつけて沈めるのですが、30年を経過してもレールに衣服のボタンがついている。そして最初の原住民サンプルをを連れ去るとき、ボタンで買収したことを並べるものです。

 ただ、我々が見なれたドキュメンタリーではない。事件の伝達であれば、岩波でも前に書いた『オレンジと太陽』や『おじいさんと草原の小学校』のようなドラマ仕立ての方が優れているでしょう。

 事実の伝達と同時に美しい絵を撮ることに努力している。それがグズマン監督の持ち味なのでしょう。でも最初の30分はキツイものです。肝心のおっ母さんや、先住民族の人たちの話行動は興味をそそられるものの、同時に退屈という不思議なものです。


■ 日本について考えさせられるもの

 ただ、考えさせられる部分はあります。これは対象がぼんやりしており、鑑賞者に考えさせる部分が大きいためでしょう。つまらない映画ではあるものの、考えさせられる映画でもあるわけです。

 まずピノチェト政権の大罪についてはチリでは今でも追求があり「なかった説」は誰も口にできない。国内的に政権の評価は真っ二つに割れていても、その非人道的な取り扱いや虐殺はなかったとか、数が少ないから罪も軽いといった話はない。

 これが日本だと外国との関係なので無責任に発言できる。「国際法的に問題ない」とか「虐殺はなかった」「人数は少ないから罪は軽い」と言い出す。これが国内問題ならそうは言えないわけです。

 もう一つは、アレな政治勢力が政権を取るとロクなことにならないこと。反共を理由に反体制派を強制収容してバンバン殺す。これはチリ軍事政権だけではなく、韓国軍政時代もそう。しかも、体制の存在理由として「アメリカに従うこと」を掲げるので、経済的にもロクなことにはならない。

 そして、現政権はアレな雰囲気で相当似ている。勝手な危機意識で人権や自由、民主主義的価値観を軽んじる点。そして、ここ20年で明らかに失敗とされた新自由主義的経済政策に今更になって突き進めばアメリカの歓心を得られると考えている。この点でメンタリティー的にはピノチェトに相当似ているのでしょう。まったく永続敗戦論的な状況としか言いようはないものです。



 まあ、待ち時間に岩波過去上映作の展示をみたのですけど、ここ15年はほぼ全部をみてますね。学生時代は飛び飛びで見ていましたが、就職してからはほとんど見ている。スゲー面白いは『山の郵便配達』やイヌイット映画『氷海の伝説』、『胡同の理髪師』、『イラン式料理本』最近だと『ワレサ 連帯の男』ですね。まずハズレばかりですが、たまに大アタリはあるのでいいものです。
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2015.10
27
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11:27
Category : 未分類
 米海軍が南シナ海で中国埋立地の近傍を通過し、上空を通過するという。

 対して、中国は嫌がらせ以外はしない。中国は対外的には領海・領空であるとは主張しているが、その無理筋は承知しているためだ。特に実務家は通用しないことを承知している。

 先行例で見ても、東シナ海防空識別圏でも、中国は他国航空機に危害を与えていない。当初は民間機について、無届での通過は認めない姿勢であった。日本になし崩しにされている。米政府は最後に腰が引けて航空会社に「届けても良い」と言ったが、日本は「不要」と蹴った。日本は中国が危害を与えないことを確信していたためだ。

 一度だけラオスの民間機に無届だから帰れと指図した話があるが、それはプロレスだ。ラオスは中国の影響圏にある。

 今回も米艦・航空機に対しては嫌がらせしかしない。おそらく異常接近や擬似的襲撃や、中国軍艦による衝突コース維持と軽い体当たりにとどまる。米海軍も米政府もそれを確信しての行動に過ぎない。

 中国にも実務派はいる。対外強硬的発現を繰り返す当局者や軍人はいるが、実際に言うとおりのことをすれば実務家の力で抑えこまれる。

 これは日本も同じである。対外強硬発現を連発していた東京都知事や空幕長の主張は、対外関係実務には何も影響を与えなかった。

 特に、今回の12マイル以内と上空通過については、中国は分も相手も悪い。政府としては「緊張を高める行為だ」としか言うだけで終わる。飛行機や艦艇での物理的な衝突、交通事故の可能性はあるが、実際に武器を使い相手を沈めるような戦闘はない。

 この手の問題で厄介なのは、個人の暴走である。先走った愛国心から本当に体当りする馬鹿のような余計なことをする奴が出てくる。日本の尖閣問題でもビデオを流出させた保安庁の兵隊や、勝手に島に上陸する民間人のようなマヌケが出てくる。

 米中についても、その辺りの困った自国国民をコントロールする仕組みを作る必要があるということだ。
2015.10
24
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13:44
Category : 未分類
 原稿書いて送ったあとでニュースが出ると困るもの。「中国が作っているといわれた空母3隻目間違いなし」が新聞記事になった。

 ただ、中身がどうなるかは分からない。

 大連の国産1隻目は遼寧艦のプランを踏襲していると言われていた。

 そして、上海の国産2隻目は前々から多少違うとは言われていた。そんなの作るなら4万トンくらいの複数作るほうがいいといった話もあった。でもサイズは同じといった話もあった。

 何よりもメンドイのは、西側と中国系で計画名が違うこと。西側は大連を001A型、上海を002としている、対して中国では大連を002とする話もある。その辺りを書くと話が発散するので、厄介なので現行は西側式に統一して書いといた。

 書き出すと山東艦ではないかといった話まで書くことになりわけがわからなくなる。

 まあ、空母護衛の分だけ055型が必要になる。中国海軍力の整備も止まるだろといった話なんだけどね。

 なんにしても、この手のニュースが消費的にされていくのはどんなものかね。それで現実の世界がどう変化するのかとかそういうう話をするもんだと思うのだが、模型誌的な外見へのこだわりやら、中でも文芸的に人格を模した話になるとうんざりするものだ。 

 最近では、観艦式ニュースがそれだった。海自としては取り上げられて満足なのだろうが、特にネット記事は「レーガンが来た近い」だの「ブルーエンジェルスの写真が撮れた」だの、写真を撮るのが目的か、採った写真を見せびらかすのが目的なのかといった話ばかりなのは、書き手と読み手が劣化したものじゃないのかね。

 まあ、英語の動画や写真に解説と称する、抄訳以下のキャプションつけるネット記事もそれだがね。別にシリアで使った爆弾の形式がなんだろうとどうでもいい話に終始しているあたり、交通政策の話をしている時に汽車ポッポの各車両の形式やら車体番号を言い出すアレな連中の頭の悪さしか感じないものだ。

 アレは要は新薬の記事で「糖衣錠が甘くて美味しいです」みたいな表面ヅラっぽい話に終始しているだけなのだけれどもねえ。
2015.10
17
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15:18
Category : 未分類
 だいたい「国民会議」といった名前が胡散臭い。右派は「市民運動」といった言葉に忌避感を示すのに、自分たちは「国民」という言葉の価値を下げている。古くは「日本を守る国民会議」やら「自主憲法制定国民会議」があり、最近は「朝日新聞を糺す国民会議」といった更に下品な使い方がある。こいつらと一緒だと思われるくらいなら「国民」といった言葉は使いたくなくなるものだ

 そして「『1億総活躍社会』の具体策を議論する国民会議」を作るという。ネトウヨ統領のアレ宰相の肝煎を反映したもので
(1)名目GDP(国内総生産)600兆円(2)希望出生率1.8(3)介護離職ゼロ—の「新3本の矢」を掲げている。これらの目標の実現に向け、実効性のある政策をどう打ち出すかが国民会議の課題

http://jp.wsj.com/articles/JJ12587350436029663733520230622063113473163
という。そもそもロクな政策でもないものを、国民会議と称して追従者を集めて愚にもつかない解決策を提案させるものだろう。


■ 名目に過ぎない

 まず「名目GDP(国内総生産)600兆円」というあたりで腰が抜けている。実質と言わないのは、要は「インフレでGDPを上げ底しますよ」といっているようなものだ。アベノミクスとやらも、結局は円の価値を切り下げただけなものと同じ伝である。

 指導部の権威のために、統計を操作して経済成長をしていると主張する中国と変わるものではない。円の価値を2/3に切り下げれば、マイナスを差し引いても名目で20%位は上がるだろうが、そのようなものだ。

 実際に、国民会議とやらを開催したところで実質GDPを増やす政策なんてものはない。低開発国や中進国なら先進国のマネでそれができる。だが、先進国はそれがない。まあ、統計マジックでおかみさんの家事労働に旦那が金を払って、それを夫婦一緒の家計に入れるといったものくらいものだろう。


■ 希望出生率とは何者か

 また、「希望出生率1.8」の「希望」の意味も最初から欺瞞でしかない。想定出生率が低いため、計算法を操作しようとするものに過ぎない。

 これは日本創生会議がヒネりだした計算法らしいがどうしようもない。既婚の夫婦に、平均の予定人数を乗じたものでは低すぎる。だから結婚していないやつに「結婚しないと決めたわけではない」の割合と、「子供は多めに欲しい」と言わせた率を掛けあわせている。

 これは、将来の平均年収計算に「無職が年収1000万稼いだら」を足すようなものだ。勤労者に給料を聞いたのでは低すぎて困る。だから就職していない奴に「できたら就職する」、「年収は1000万位欲しい」と言わせ、その結果を合算したものに過ぎない。

 後で成果を誇るために、どうとでもできる成果目標を最初に立てたものである。

 国民会議とやらでも、アンケートでの操作に使える施策を出して終わる。「政府は完全保育と、お母さんの完全復職を応援しています」のようなものだ。それを提示したあとで「条件が許せば、3人目を産みたいですか」とやれば希望出生率とやらは容易に増加するだろう。まずはそんな会議はいらないということだ。


■ 「やりがい」を与えて離職を許さない政策

 最後の「介護離職ゼロ」も、介護業界の食い物で終わる。もともとは介護の課題ではなく。介護業界の問題でしかないためだ。

 今の介護業界は、他に働き口がない人を狙い悪条件でこき使うといった、一種の底辺労働である。介護職は他に希望する仕事があればそちらに移動する。それをゼロにするというのは、嫌な仕事に縛り付けようとするものだ。

 今でも介護には補助金を突っ込んでいるが、全く給与に反映されていない。今後同様に突っ込んでも、経営者は居酒屋チェーン上がりのような連中だ。自分たちの利潤にするだけで給与は増やさない。

 そして国民会議に出てくるのも介護業界の代表連である。だいたい組合も作らせないのに、介護労働者の代表なんか出てくるわけもない。結局は自分たちが利潤で吸い取る補助金と、バイク便ライダーのように「やりがい」だけを与えて離職をさせないノウハウが適用されるだけだ。どうせ「ありがとう」で縛り付け、生きていかせるような。

 必要なのはむしろ省力化だろう。少ない人数で回せるようにしなければ高給や高待遇は与えられない。完全機械化で管理したり、パワードスーツ的な装備で力仕事を減らす必要がある。

 だが、今の介護企業は粗放的な経営しかしないので、国民会議はそれを重視させない。いざとなれば容易に撤退できるようにする。そのような提案を業界は受け入れるものではない。


■ ハゲと憲法学者とテキサス老婆あたりじゃね?

 もともと「1億総活躍社会」とやらが気持ち悪いのに、それに「国民会議」をつければさらに胡散臭くなる。出てくるのは「1億総活躍社会」で得をする業界の連中だけだ。

 今の内閣からすれば、それ以外の有識者もロコツなやつを連れてくるだろう。例えば今ヒマなゼロ戦ハゲとか海賊ハゲとか元NHK経営委員ハゲとか、3人の憲法学者とか、歴史戦大好きな方と、アパルトヘイト大好きな方のどっちかのテキサス老婆あたりが交じるのではないかな。
2015.10
17
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13:19
Category : 未分類
 北極海航路に価値はあるのだろうか?

 「総合海洋政策本部会合 北極に関する初の基本政策決定」によれば政府は「アジアとヨーロッパを結ぶ北極海航路の官民連携による活用」を基本方針に据えるという。

 たしかに、地図上で見れば北極航路は有望に見える。東京-ロッテルダムが北極海経由であれば1.3万キロであり、今のバシー・マラッカ・スエズ・ジブラルタル経由の2.1万キロよりも近く見えるからだ。

 だが、「アジアとヨーロッパを結ぶ北極海航路」は「活用」できるものなのだろうか?

 まず、安価ではない。温暖化の結果、北極海では開氷面が増えたという。だが、開氷面にも季節変動があり、小規模な結氷、流氷もある。商船はそれに耐える高級なグレードが必要になり安価ではない。場合によれば先導する砕氷船のコストも考えなければならない。

 また、安定使用は難しい。また荒天も多い割に航路支援は絶無である。位置はGPSでわかるので灯台はいらないかもしれないが、現在位置が判ったところで海図未整備ではどこに危険があるのかがわからない。落水者捜索や急病人や船火事等への対応も期待できない。

 そもそも、運ぶものもない。日本-ヨーロッパ間で専用船を仕立てて運ぶものはない。物流の基本、コンテナ船は日本・中国(華中・華南)・シンガポールで荷物を集めつつアムステルダム・ハンブルクに向かう。そして、アジア物流の中心は上海(舟山・寧波港)と広州である。このため、日本とアムステルダム往復便は現実味が全く無い。

 日本-欧州直行便は、例えれば新幹線の仙台駅-大阪駅の直行便のようなものだ。東京(上海)と名古屋(広州)をトバすようなものには現実的ではない。それならサイズに合った飛行機で仙台空港から直行便を組んだほうが結果的には安い。それに当たるのがシベリア鉄道での西向け輸送力の余剰を活かしたシベリア・ランド・ブリッジである。それでコンテナ輸送をしたほうが、空荷七割のコンテナ船を往復させるよりも安価だろう。

 北極海航路を使う機会があるとすれば、ロシアの北極海周辺部開発への器材輸出くらいだろう。そんなのは1回ポッキリで終わる輸送である。

 北極海で採掘できた天然ガスや石油も、ロシアはパイプラインで南に回す。安定輸送が確保できない北極海輸送では採掘も安定継続できないし、北極海輸送に消極的な国にも売れるからだ。対日輸出でも既存パイプラインとの接続を活かしてガバニやワニノ、ナホトカまで運ぶ形になる。

 結局は、北極海航路はマトモな輸送路とは成り得ないということだ。



 まあ、そのあたりを全く理解しない人も多い。JSFさんなんかロシアは日本に上陸戦を仕掛けられるとか言い出して
また近年の温暖化により北極海航路が確立された場合、ロシア海軍主力の北方艦隊が極東に回航して来る可能性があります。過去にロシアは日露戦争でバルチック艦隊を遠路派遣した先例があります。また、つい先月にロシア極東で行われたヴォストーク2010演習では、北方艦隊と黒海艦隊の旗艦(ロケット巡洋艦)が参加しています。これは普通に対馬海峡を通過してきましたが、将来は北極海航路を用いた機動展開訓練が行われるかもしれません。
何故か山桜37演習の想定に拒否反応を示す隅田金属ぼるじひ社

とかマヌケなことを言っている。

 よくみりゃ巡洋艦かCGとでも書けば済むところを「ロケット巡洋艦」とか書くあたりでもマヌケだけどね。ロシア海軍だけ面倒に書いて粋がっているけど、それ以外の言語の海軍は日本語での概念で済ませているあたりに気付かない。このあたりも頭が悪いけどね。
2015.10
14
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18:08
Category : 未分類
 産経は天下国家を論じる風を装いながら「私はUFOに乗った」を載せている。

 ZAKZAKの加賀孝英さんの記事は、常に都合が良い。

 今回の記事、「【スクープ最前線】米軍、中国『人工島』駆逐作戦決行へ すでに水面下で熾烈な戦いも」登場した人物とその順序は、次のようになっている。ちなみに内容はどうでもいい。
旧知の米軍関係者は怒りに満ちた顔でそういった。
   [中略]
防衛省関係者がいう
   [中略]
米政府関係者がいう。
   [中略]
以下、複数の米情報当局関係者から得た極秘情報だ。
   [中略]
公安当局幹部にこの情報をぶつけると、沈黙して、認めた。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20151014/frn1510141140001-n1.htm


 ちなみに、加賀さんの記事は常にこのような形となっている。

 以前の記事「中国、米に“土下座” 尖閣上陸『3時間でいい』と懇願」では、加賀さんは情報元として
1 「外務省関係者」
2 「複数の米国防総省関係者」
3 「旧知の中国人民解放軍幹部」
から情報を仕入れたとある。(「外務省と国防総省と人民解放軍の友人によると」)

 同様に「【スクープ最前線】韓国系団体、安倍首相の議会演説阻止へ猛圧力 妨害工作に米側も激怒」では加賀さんは
1 「[日本の首相]官邸関係者」
2 「複数の米政府関係者」
3 「米軍関係者」
を情報元として並べている。(「毎回都合よく情報が集まるものだ」)

 ちなみに、それだけの人脈があれば、本当ならいろんな新聞や雑誌にスクープが乗るはずだが、加賀さんの記事は産経系でしか読めない。不思議な事だ。

 もちろん、東スポには「私はUFOに誘拐された」の類はある。

 だが、天下国家を論じる風の雑誌新聞がそれをすれば、普段の国を憂える様子もただのフリだということだ。ちなみに加賀さんの記事はZAKZAKだけではなく、産経の本体にも転載されている。「習主席が進める“粛清”Xデー間近…日本政界にも飛び火か」産経の天下国家を論じる姿勢もマネッコにすぎないということだ。




 ちなみに、いつものことだがZAKZAK、産経の読者はナメられている。今回の記事でも「複数の米情報当局関係者から得た極秘情報」とやらの中身も、どうせ読者は頭が悪いとたかをくくっている様子が見える。

 まず中国国内機関が作ったリストを米国が知っているというあたりと、それを「複数の米情報当局関係者」から教えてもらったあたりには作りこみが甘い。
中国は日米分断工作も仕掛けている。[中国政府が中国国内で]政財官界やマスコミ人など数十人の『日本人スパイ容疑者逮捕リスト』を作成したとの情報がある。数人が[中国国内で]『逮捕する』と脅され、協力者になったようだ。


 だいたい、中国国内で言われた「逮捕する」といった脅しが、日本国内に戻ってきて通用する構造は甘い。ここで使うべき道具は、せめてハニートラップではないか。

 そして、その「複数の米情報当局関係者」が「日本の識者」に詳しかったり、「反日勢力」といったネトウヨ用語を使っていること「安倍政権」擁護であること、なによりも「アジアの自由と民主主義、人権、法の支配を守ろう」といった、ホンモノならどうでもいいことを述べているあたりも、ネトウヨ読者層に媚びすぎている。
最近、露骨に中国寄りになった識者がいる。彼らが一部の野党やメディア、反日勢力と結託して、米国とともに『アジアの自由と民主主義、人権、法の支配を守ろう』としている安倍晋三政権潰しに動く恐れがある」

読者の願望に合わせるにしても、もう少しリアリティが必要なのではないかね。

 まあ、「米情報当局関係者」が実在すれば一番面白いのだけどね。その証拠とやらのメールが日本語だったり、英文なんだけどグーグル翻訳で、マスコミがpressじゃなくてmass communicationだったりするのではないかと想像するのは楽しいものであるよ。
2015.10
13
CM:22
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10:28
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 南京大虐殺の件で「ユネスコ拠出金を減らせ」と言いだしているのだが、中国が拠出金の穴を埋める大旦那になったらどうなるのだろうか?

 官房長官が支持者向けのパフォーマンスをしている。毎日新聞高本耕太さんの記事「菅官房長官:ユネスコ分担金『停止・削減を含め検討』」といったものだ。『政府として停止・削減を含めて検討している』(菅官房長官)と述べたとされるが、要は内閣が自分たちの支持層向けのアピールをしているだけのものだ。

 高木さんによれば、官房長官は
南京事件に関しては「確かに南京で非戦闘員殺害とか略奪行為があったことは否定できないが、(犠牲者の)人数にはいろんな議論がある」とも語った。
http://mainichi.jp/select/news/20151013k0000m010031000c.html

という。

 だが、戦闘従事者ではない「非戦闘員殺害」について、一定規模以上で発生したことが「否定できない」以上「(犠牲者の)人数にはいろんな議論」をしたところでこの件で日本に勝ち目はない。値切って10万人、5万人、1万人にしたところで南京大虐殺の汚名は消えないためだ。

 この手の話は身内でしか通用しない理屈で、外に言うべきものではない。

 強盗が「確かに無理やり力づくで奪った、だが30万円ではない。5万円だから強盗ではない」といって、強盗罪ではなく窃盗罪だといえるだろうか? 

 あるいは米国が「広島の原爆は14万人を殺したが、長崎の原爆は7万人しか殺さなかったので非人道性が低い」というようなものだ。

 それを得として言い出すのは、世間を知らない連中か、その連中におもねったものでしかない。海外に向けて「太平洋戦争はアジア解放のための戦争」とか言い出す頭の悪い連中と、それをヨイショしようとする商売人の構図だ。

 なによりも、自分たちがやっていたことにもブーメランでもある。「(登録は)密室で行われ、法律に基づくものでもない。透明性や公平性をもっと出すべきだ」(菅官房長官)と述べたともされている。それであれば、長州革命史観で無理やり萩もこじつけ、世界遺産にした「明治日本の産業革命遺産」も透明性や公平性は怪しいものだ。

 そして解決法が金というのもなんだ。

 「拠出金を減らせ」と、ユネスコに圧力を掛けてどうするのかね?

 圧力合戦で力較べをすれば、今の日本は中国に負ける。向こうは今がピークの世界大国であり、落ち目の日本とは力の差は歴然としている。そこで金の力で勝負して勝ち目もない。

 その穴を中国が埋めたら、産経やネトウヨ曰くの「歴史戦」でさらに不利になる。それに気づかず、いまだ旦那ヅラで「拠出金を減らせ」と言い出す右派は一貫性に欠けることにきづかないほど頭が悪い。そして、そのアレ保守の機嫌を取ろうという内閣もみっともないものであるよ。



*   高本耕太「菅官房長官:ユネスコ分担金『停止・削減を含め検討』」『毎日新聞』(毎日新聞,2015.10.13)http://mainichi.jp/select/news/20151013k0000m010031000c.html
2015.10
08
CM:8
TB:0
21:29
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 アイルランド軍隊の互助組織が、海軍を批判している。オリオーダンさんの"Pay navy heroes full allowance, says group"がそれ。*

 要は「地中海で過酷な任務にあったっている海軍将兵に海外派遣手当を支給しろ」というもの。アイルランド海軍も海上での難民救難にあたっている。任務は通例の海難救助とは異なり、感染症対策で防護衣を着用したりブローカーの処罰や引渡しを含むものとしている。その任務は、通常の海難救助手当の55ユーロ/日ではなく、海外派遣手当の80ユーロ/日に相当するというものだ。

 この組織"PDforra"は、実際は組合らしい。ググってホームページを見ると陸海空軍の将兵6500人が参加しており、年金や税金について民間他業種との水平運動をしているらしい。

 これは自衛隊にあってもいいのではないかね。自衛隊での待遇は、指揮官や上部組織が恣意的に決める。そこに文句をいう経路はない。

 実際に、メチャクチャな話も多い。例えば、イージス情報流出では、なぜか「勤務体制の引き締め」と称して「深夜勤務・当直翌日の代休なし」が決まった。これは情報流出と何の因果関係もないし、翌日の作業に従事した場合に危険を引き起こすものでもあり、なによりも労働への反対給付のバランスを崩すものであった。

 このため、各部隊のマトモな連中は海曹士をケアした。それまでの代休処理を使わせ、本当はイケナイが闇で休みを与えた。アレなところは言うがままだったけどね。

 だが、本来ならそれに抗弁できる組織を作っておくべきではないか。それが先任伍長や海曹会というが、力は弱く人によっては上に媚びる。

 その点で組合を認めてもいいのではないかね。自衛隊員なんて現業そのものだ。現業公務員のように団体交渉権だけは認めないが、団結権と団体交渉権位は認めたほうがいい。右派はとんでもないと言うだろうが、どうせ政治的には保守的な組合になるから危惧することもない。隊員への不利益取り扱いやら、アレ指揮官の無根拠の強制行為は減らせるだろうよ。



*   Sean O’Riordan"Pay navy heroes full allowance, says group""Irish Examiner"(Irish Examiner,2015.10.7)
2015.10
07
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TB:0
11:36
Category : 未分類
 自衛隊の問題点に気づきながらも、それに触れないあたり、産経記事は不思議なものだ。

 産経新聞、石鍋圭さんが「【防衛最前線(38)】観測ヘリOH1 密かに敵情を暴く“ニンジャ”の必殺技とは」が掲載されている。

 内容的にはどうでもいい。いつもの自衛隊ヨイショでしかない。

 例えば、これは80年代には登場していた技術を褒めているものにすぎない。
 ニンジャの鋭い「目」「耳」に当たるのが後部座席の後方上に搭載された「索敵サイト」だ。赤外線センサーや可視カラーTV、レーザー測距装置を一体化し、敵の地上部隊の状況を昼夜問わずに探知できる。

ローターハブの上にスタビライズされた各種センサーを装着するマストマウントは、OH-58Dが85年に装備を始めている。OH-1は以後20年間分の各センサー技術進歩はあるものの、大差はない。それを今更ほめても仕方がない。

 速力も同じようなものだ。一番遅いUH-1と比較して自衛隊スゲーとしている。
 観測ヘリには、敵に気づかれないよう低空を高速で飛行する速力も求められる。OH1の巡航速度は時速240キロ、最高速度は時速280キロを誇る。多用途ヘリ「UH1J」の巡航速度時速216キロを大きく引き離す。

だが、巡航速度はUH-60やAH-64と大差なく、CH-47よりも遅い。「UH-60と同じスピードが出ます」(産経)は、褒められる点ではない。高速性能を誇るなら新機軸をつけたAH-56位早くなければ自慢できるものではない。

 そして高機動性能は、まずは使いみちもない。
 スピード以外の運動能力もニンジャの愛称に恥じない。機首を上に向けての垂直上昇や、80度での急降下や宙返り、後ろ向き宙返りなどのアクロバット飛行が可能で、緊急時にはいち早く退避できる。

かつてはヘリ対ヘリの空戦が考えられていた。その伝ではある程度は意味のある性能かも知れない。だが、ヘリ同士の空戦はあまり考慮される時代ではなくなった上、あっても自衛用のサイドワインダーから携SAMを発射しあう形となっている。80-90年代に考えられていた機関砲同士の交戦ではない。このため攻撃時にはそれほどの機動性は必要ないし、回避時も多少の高機動では逃げきれない。素直にNOEに移りしてフレアでも撒いたほうがマシだ。

 なによりも、開発行政の大失敗に全く触れないあたりは、相当に問題がある。
 当初は約250機を生産する計画だったが、実際には34機で打ち止めとなった。先代のOH6の生産コストが1機あたり4億円以下だったのに対し、OH1は1機約20億円と偵察ヘリとしては高額だったことが障壁となった。ただ、その外観や機動性、希少性からミリタリーファンの間でもOH1の人気は高い。

これは装備行政での大失敗であり、それを問題視せず「人気は高い」と言い出すのはどうかしている。民間航空機開発で同じことをしても、同じことを言うのだろうか? OH-6とOH-1はジャンボ機とコンコルド以上に価格差があるにも関わらず、技術・性能差は大したものでもない。それを褒めるのであれば、コンコルド開発もほめられるだろう。

 この記事は、埋め草である。その伝ではどうでもいいものだ。その中で主要顧客とみている自衛隊をヨイショしようとする気持ちもあるのだろう。(実際には、兵隊はそれほど産経を読まないし、一佐以上クラスが図書購入費で任意にとれる新聞でも産経はあまり読まれていない。普通は朝日か日経であり、読売と毎日も抜いていない)

 だが、褒めるにしても褒めようもある。ダメなものを拾ってきて褒めるよりも、本来、キチンと褒められるものを探してきて、拾ってきて褒めるのが正当なものだ。それをせずにWIKIPEDIAの引き写しのような中身を持ってきて商用記事にし、それをそのまま掲載するあたりは、まずはロクなものではない。



 まあ、「防衛最前線」ではそのうちミネビアの9ミリ機関拳銃も褒めると思うよ。「引金を引いたら弾がでます、しかも連続で」とか書くのだろうと思うがね。フランスのミトライユーズに遅れること150年でもそう書くだろう。
2015.10
03
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17:14
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 桜井よしこさんの「台北に営業にいってきたよ」記事。台湾人は概ね漢民族なことに気づいていないのではないですかね。

私が案内された台中の寶覺禅寺はその内のひとつである。台湾で亡くなった日本人と台湾人、多くの軍人と軍属のご遺骨と御霊を祭る碑の前で手を合わせ、大東亜戦争下の台湾で没した全ての人々に心からの慰霊と深い感謝の祈りを捧げた。

日本人、台湾人の区別なく、ご遺骨をこのように集めて塔を建立し、回向を続けてくれる国や民族が、台湾の他に存在するだろうか。
http://yoshiko-sakurai.jp/2015/10/01/6137


 台湾をヨイショしていますが、それなら大陸も同じ漢民族なことに気づいていない。中国でも台湾でも漢民族は漢民族で同じ言語、文字、歴史を共有していて、教育内容も領土感覚も同じわけです

 そして、桜井さんは民族性云々で、漢民族は日本との親和性が高いと主張をしているわけです。これは他にも項目立てで「最も親和性の高い民族」ともあります。

 でも、それは桜井さんの主張にとって不都合ではないですかね。

 まず、民族性での親和性については、大陸の漢民族も日本に近いことになる。日本と大陸は文化的・感覚的な背景から交渉しやすい相手ということになる。これは「暴虐な中国人」といった桜井さんの主張とは隔絶するものです。

 逆に、大陸の漢民族について民族性を暴虐とすれば、台湾人の過半も暴虐になるわけです。実際に、暴虐はともかく台湾も日本に媚びへつらっているわけでもなく、尖閣問題なんかでも悪感情がたまに吹き上がる。実際は、桜井さんほかはそれを見ないふりをしてきただけなのでこれは無視するのでしょうけれども。

 なんにせよ、桜井さんの主張には、この手の詰めの甘い物が相当に交じっている。前の領海とEEZの区別がつかないあたりもそうです。

 このあたりは、前からいわれている「何人かで書いている」を伺わせるものです。

 その文体を調べれば日本書紀みたいにα群β群にわかれるのではないですかね。主張はともかくキチンと調べて書いているα群と、テキトーなβ群。で、αは思想はともかく仕事には忠実な人、βは頭の悪いネトウヨバイトあたりが書いているのではないか。そう想像するものです。

 ま、この辺りはテキサス老婆ということでしょう。文章ぶん投げのテキサス親父と同等です。そして台湾に営業で行って、台湾独立派におべっか使うあたりも変わるものでもないわけですならねえ。
2015.10
01
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16:53
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 消防法違反で逮捕といった事件だが、逮捕する条件を満たしているのだろうか?

 逮捕は処罰ではない。刑法犯の容疑者について、逃亡や証拠隠滅のおそれといった理由のためにやむをえず行うものだ。この場合の容疑者に逃亡のおそれもないし、証拠隠滅のおそれもない。

 そもそも消防法違反ごときで身体の拘束を許していいものか? 確かに消防吏員の立ち入りを拒み、設備の指図に従わずに営業したことで罪には問える。だが、それは逮捕を必須としない。在宅で起訴すればよい。そもそも罰金刑程度でしかない。

 要は消防のいうことを聞かないから逮捕したというものだ。それまで10年放置して、起訴以前に取り調べもなにもしないで、何の緊急性もない現状での逮捕はそういうものでしかない。

 そして逮捕を処罰として使ったっている。法の支配も人権もあったものではない。まずは中世そのものだということだ。

 そもそも消防の怠慢も相当ではないか。

 本来なら、行政代執行だ。問題は消防の命令に従わないことではない。検査できないこと、消防機器がない建物が使用されていることにある。その危険除去を目的とするならば代執行による建物や使用の安全化を取るべきだ。

 それをせずに消防法の罰則規定を用いたことは、まずは消防はロクに仕事せず、警察に頼んで逮捕の苦痛で処罰させて対応しようとしている。まずはまともな役人のやることではないものだ。



 まあ、消防吏員はたいがい役人としてアレだけどね。根拠法規を説明できなかったり、他の法令との関連性を理解していない。結構、指示が基準がない。それでいて偉そうなものだ。

 それでいて仕事もない。今は建物も内装も燃えない。昭和30年代以降、不燃化が進んで火事なんか全然起きもしないし延焼もしない。仕事もやることないから隠れて副業をするのだが、常識がなくて限度を知らないから風俗経営とか賭博開帳をやっておロープになる。

 彼らは吏員というとムッとするから、そう言うといいよ。実際に市町村の吏員だからしょうがない。なにかと各種◯◯官の真似をしたり行政の割に偉そうに振る舞うあたりはその劣等感の現れにしかみえない。戦前でも「礼装上の理由もないのに帯刀とか、警官のコンプレックスだろ」上にあたる内務官僚に馬鹿にされている。