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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2015.11
28
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04:45
Category : 未分類
 桜井よしこさんはこの期に及んで「『もんじゅ』は国益」と言い放っている。「高速増殖炉継続で日本の国益を守れ」がそれだ。

■ 「海水が石油に変えられれば日本の国益」
 その主張は、日本にとって「夢の原子炉」(桜井)だから継続しろといったものだ。完成すれば素晴らしい成果が得られる、だから実現させろという。

 しかし、実現できるかどうかの検討はどこにもない。実験用の「もんじゅ」すら30年かかっても運転できていない。最初に1回運転して12年休み、もう一度運転したところ事故を起こし、5年間放置されている。実験炉も運転できないのに、実用炉ができるわけがない。

 また、実現が輿論に受け入れられるかの検討もない。仮に高速増殖炉の実用炉の見込みが立っても、原発の新設が受け入れられるか、あるいは完成しても運転できるかといった点に問題がある。今の日本には、原発を受け入れる世論はない。桜井さんは規制委員会が高速増殖炉に否定的な状況を批判している。この状況で、新設・運転の見込みは全く立たないことくらいはわかりそうなものだ。 

 その意味で机上の空論にすぎない。「海水から石油を作れれば、日本のエネルギー問題は解決する」と主張するのと同じものだ。しかもすでに1兆円以上を突っ込んで成果なし、今後の実現可能性も日本社会での受容性もゼロの案件である。

■ スポンサー向け記事なのではないか?
 これは、桜井さんの支持者でも疑いを持つものだ。福島事故以降、アレ右派でも反・反原発の言動はしていない。例えば、ある反・反原発の闘士も「メルトダウンは起きていないのに起きたというデマを流す馬鹿は消えて下さい。」と、かつての自らの発言に恥じ、隠れてツイートを抹消している。
(抹消前)https://archive.is/Qde11
(抹消後)http://togetter.com/li/118754

 この状況からすれば、桜井さんの「高速増殖炉を作れ」といった主張は、おそらく支持者向けよりも出資元むけの発言だ。支持層をみても、声だけはデカイが桜井さんのネトウヨ運動に金を払いそうな連中はいない。金を出すスポンサーは別にいるから、その歓心を得る必要があるのだろう。

 実際、保守誌は昔から電気事業連合会の広告が多かった。今から見れば、あの手の会社は広告してまで売るものがない。地域独占の電力会社は電力を買ってくれと広告しなくともよい。でもなぜか広告を出す不思議がある。電気代の一部が、雑誌の広告やらPR記事やらを通じ、原発ヨイショ執筆者に回る構造になっているのだろう。
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2015.11
27
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06:04
Category : 未分類
 高岡で『よつばと』買ったあとで、岩波ブックセンターで新刊『徳川制度 下巻』を買ったのだが、収録された「維新の革命」士族の商法の魚屋編がなかなかないもの。

 大坂町奉行、大目付を歴任した松平大隅守が維新後に下谷茅町で魚屋をやっている。塩物問屋の、隠居の魚屋を居抜したものだ。そこで問屋の旦那に指導を受けながら営業。

 まず塩ジャケの切りようも分からず、卵の良し悪しも分からない。問屋の指導で切ると大きく見えて売れるが、自分で切ると小さく見えて最後まで残る。

 そして買い出しも難しい。最初のうちは昔の家僕を連れて河岸に行き、仕入れをする。だが、問屋の旦那に「商売人なら一人で仕入れろ」といわれ、素直に天秤を担ぐものの中途で息切れ、軽子を雇って運び、また叱責される。

 ただし、半年もすれば慣れる。相場を読んで一家の生計を立てるが、そこに火事で悉皆喪う。

 とはいえ「悲嘆に暮れても仕方がない」と、古什器を探し、旦那のお見舞金等、なけなしの手許金でウドンコを買ってすいとんやを始める。「割と回転率がよく小金を稼げるものだ」と気を良くし、その収入を元に翌日仕入れを増やして店を開くが、居眠りの隙を突かれ、野良犬にスイトン種を食われ、なけなしの食用油も舐め尽くされてしまう……

 読んでいてもショック。大隅守さまも悲嘆にくれて喋れない、呆然としてただ彳む。まずオレなら泣く。そして、夜間の後退に来た老僕にそれを告げたあと、主従ともに呆然として何もしゃべらない……。

 実話だがドラマツルギ―の高まりであることだよ。物語を作るには人を殺す殺さない、世界が滅びる滅びないは全然いらないということだ。自転車を盗まれて、盗んででもスリルだよねえと。
2015.11
24
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TB:0
01:35
Category : 未分類
 当たり前だが、日本はもうASEANで主導的な地位にはない。

 中国はASEAN切り崩しでマレーシアに椀飯振舞をしている。南沙問題については孤立気味となったので「国債を買ってあげるよ」とか「1兆円相当の投資枠を設定するよ」といったもの。ロイターの「中国、マレーシア国債買い増しへ 500億元の対中投資枠も付与」 がそれ。

 対して、日本のやっていることはショボい。インドネシアとの関係改善は安保分野での会談といったもの。朝日新聞「日本・インドネシア、2プラス2開催へ 安保分野で連携」 。ちなみにインドネシア最大の貿易相手国は中国であり、基本的に政府は中国とことを荒立てたくない。もちろん、「対中包囲網」やら「安全保障のダイヤモンド」云々ほどの効果は全くない。

 日本にできることも、その影響力もこんなものなのだろう。

 ASEANとしてもお得意様の大旦那は中国であり、それに靡くのも当然といったものだ。マレーシアやインドネシアのように安全保障で多少対立する要素はあっても、現実的な視点からすれば中国との関係を維持しなければならない。



■ フィリピンはアテにならない

 逆に、この構造で中国に頼れず、かつての力を失った日本に頼る国は、まともな国なのか?

 フィリピンが日本に接近しているが、結局は自力で対中関係を改善できないだけの結果である。領土問題に起因する国民感情をコントロールできず、政府そのものがそれに乗っかっているためだ。

 そして、その対中対峙でも外国だよりである。自力で中国に対峙できる軍事力を作れないくせに、中国との対立のために外国から武器を買おうとしている。フィリピンはアメリカからハミルトン型カッター2隻を貰い、いま3隻目引渡を準備中にある。日本からはTC-90に加えてP-3Cも貰おうとしている。

 だが、自前で買わない兵器が、威力を発揮できるだろうか? ベトナムは財政が厳しい折でも、自力で潜水艦を6隻買った。その爪に火を灯すような苦労して買った潜水艦と、日米に甘やかされて貰ったフィリピンの水上艦やP-3C、どちらが尊く強いかを考えればよい。

 基本的に他力本願であり、政府が国民感情に流されるままのフィリピンはアテにならないということだ。
2015.11
16
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18:01
Category : 未分類
 卓上掃除機を探していたら、なぜか吸気系統にタービンをあとづけする商品にぶつかったのだが、俄然、興味が湧いた。

インチキ
画像は、アマゾンの商品展示http://www.amazon.co.jp/dp/B015D2FPAOより

 不思議に思ったのは
・ この程度の口径でモーターを仕込んだら、断面積減少で流量は減るんじゃないの?
・ 羽の表面粗さはともかく、断面も相当に雑じゃないか?
・ 羽の数が少なく、パイプの間の隙間がスカスカ、ラビリンス・シールまでいかなくとも、圧縮の効率は見込めないのではないか?
 といったところだ。

 でも、よく見りゃ無動力。吸気圧で動くようになっているインチキ・グッズ。回転開始時には羽の重量で吸気圧を損するし、定速回転時にも微小な転がり摩擦でも圧力を熱にかえるあたりで損をしている。アルミのケースもエンジン室内の熱気を吸い取って吸気温度を上げてくれるだろう。

 なによりも、羽の軸受での断面積減少と支持部の乱流発生で流体損失を生み出している。これで上限出力や燃費が上がるというのはインチキというものだ。これなら、昔の軍艦みたいに甲板上の吸気口を巨大なラッパ口にして、前進時の空気圧縮効果を期待したほうが全然効果的だ。

 もちろん、インチキだが実用で困るものではない。車の吸気圧は1気圧以下なので損失も大したものではない。今の車は電子制御だから、燃焼をみてバルブ開度を最適化するので別段支障もなく普通に動く。

 だがねえ、ダマすほうにも「もう少し工夫してかっこよくしろ」と思う。羽の枚数と仕上げをあげ、ナンチャッテでいいからラビリンスをつけて、実際には羽を回すのに手一杯でもいいからモータつけて、熱を拾うだけでもいいから放熱フィンつけるとかね。

 本格的にすれば自動車雑誌にも広告を出せるかもしれない。ツチノコ状に中央部を太くし強力モータを取り付けて、損失分を補って自然吸気から0.01気圧でもリアルに気圧を上げられれば掲載拒否はされない。自動車の記者連中はロータリエンジンでも褒める。喜んでタービン加圧を褒めるだろうよ。

 インチキ商売にも努力の余地はある。アイデアと夢を売るのなら、カモをもっとワクワクさせるべきだ。プラセボ効果で買ったやつの車の出力も燃費も上がって満足を与えられるだろう。

 まあ、この手のインチキで一番好きだったのは、20年近く前に兵隊が私有車用に作っていた塩ビ製の自動車用ロール・バーだった。後部座席に入れるタイプなのだが、ジョイントも管の内側つけて隠してある。「ホンモノなんか入れたら人乗せるときに、簡単にバラしてどかせないでしょ」といっていた。


* 配管の途中に二股ソケットをいれて、片方からブロワー突っ込めばタービンの代わりになるんじゃないかね。
  こんなやつだけど http://www.amazon.co.jp/dp/B003HLQSD2 
  車じゃなくてロビンエンジンの吸気口にコレを突っ込んでみました位はやってもいいかもしれない
  燃料供給がベンチュリー効果の霧化式?で間に合わないから出力は増えないとか
  空気運転ができるとかあるのかねえ
2015.11
14
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20:36
Category : 未分類
 宮嶋茂樹さんは不肖宮嶋のキャラに振り回されている。他人が作り上げた虚像で人気が出たが、本人にはそれを自前でつくり上げる力はない。外見だけマネっこしようとしているが、残念だが能力が及ばない。

 ZAKZAK記事「慰安婦でゼニたかる韓国 日本を『限度額なしのATM』としてか見ていない」は全くそれだ。ヘイトスピーチ一つにしてもオリジナリティはない。
「強制連行された従軍慰安婦」にまたゼニめぐんでやろうとしとるんやて? これを日本語で「盗人に追い銭」というんや。
 今、キャンキャンほえとる自称・慰安婦がホンマやったとしてもやで。当時の大卒の初任給より高い報酬受け取ったんやろ? そりゃあ、いくらお国のためとはいえ、不特定多数の、愛する男以外の将兵を慰めるのはつらい仕事や。いくら無理強いしても続かんで。
 百歩譲っててもやで。だまされて連れて行かれたとしてもや。だましたのは日本人やなしに朝鮮人の女衒(ぜげん)がほとんどやったんやろ。何でその償いを21世紀の日本人に求めるんや?
 千歩譲ってもやで。それを日本政府や軍部が黙認しとったとしてもや。その人数が20万人はいくら何でもムチャやで。20万人いうたら10個師団以上の兵力や。半島からそれほど大量の人員運べる輸送力あったら日本は戦争に負けてないわえ。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20151112/dms1511121140005-n1.htm

ほとんどが嫌韓本、ネトウヨ発言の受け売りで全く新味はない。それだけでは他の嫌中韓、ヘイト系記事に負けるので努力したところで、「ゼニめぐんでやろうとしとるんやて?」といった乱暴を装った表現や、口語方言の文字化に過ぎない。

 結局は「不肖宮嶋」のキャラはは本人の能力を超えているということだ。勝谷誠彦さんの作った虚像で世間の人気を得たが、本人はそれを演じるだけの器量はない。ヘイトスピーチとしても、コピペしての3流しか作れないあたりが限界ということだ。

 だが、本人はかつての人気にすがろうとしている。これはミジメなものだ。不肖宮嶋のキャラにあわせて振る舞おうと背伸びをして、そのキャラに合わせた右派的な主張をしようとしているが、全て上滑りにある。

 おそらくは、番長清原と同様に引き返せない。前にも書いた(「番長清原と同じ構造」)が他者が作り上げた虚像を演じようとして失敗したのが番長清原だが、不肖宮嶋も同じ伝となる。実際にアウトロー社会雑誌しか相手がいなくなった番長清原と同様に、不肖宮嶋もフジサンケイ系だけしか取り上げていない。

 その質からしても、産経も昔のつきあいだけで仕方なく載せているだけの話だ。10月28日の産経ニュース掲載の宮嶋茂樹「いつまでも あると思うな 中国マネー」はまったくそれだ。記事という体裁でヘイトスピーチをし、ネトウヨの歓心を買っているつもりだろうが、その中身は界隈で使い尽くされた悪口であり、全く新味はない。

 ヘイトスピーチ一つ作れないのでは、ネトウヨ商売で先がない。他人が言ったことをオウム返しにして口調語尾を変えるだけのコピペなぞ、商売相手の無知蒙昧なネトウヨでもできる。

 だが、宮嶋さんはそれでも不肖宮嶋といったキャラにしがみつかなければならない。まずは大した思想もないが、軍隊周りの写真家として現場や右派誌で仕事するうちに「ライト・イズ・ライト」といった観念や、自己脅迫に捕われているためだ。その商売をするなら右派でなければならないと思い込んでいるのだろう。
2015.11
12
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16:30
Category : 未分類
 JB Pressの北村淳さんの記事は「危険が危ない」を煽ることを優先しているのではないか?

 「日本周辺海域も『波高し』、中国潜水艦が再び米軍空母に接近」なのだが「中国海軍お得意の政治的デモンストレーション」として
「孫子」の伝統を尊重する中国共産党、そして人民解放軍は、潜水艦に限らず軍事力を政治的に多用する。今回の“潜水艦接近劇”も政治的メッセージを発する意図があったと考えられる。[中略]そこで中国海軍は、かねてより予定されていた米韓海軍合同演習に向かうアメリカ空母の直近に潜水艦を浮上させたのだと考えられる。これは、以前よりしばしば中国海軍が実施している政治的デモンストレーションの方法である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45225?page=2

と述べている。

 だが、潜水艦はキロ型(記事中ではIMP Kiloだから「改良キロ型」としている)と見做している。

 果たして在来潜に「アメリカ空母の直近に潜水艦を浮上させ」ることができるのだろうか?

 中央が海軍に「米空母間近に接敵し、勝ち誇るように浮上しろ」というのは、無理がある。キロのような在来型潜水艦は、空母機動部隊を追尾できない。水中で高速力を出すとすぐに電池が切れてしまうためだ。このため、ごく短時間のダッシュ以外では2-6kt(4-12km/h)程度しか出さないといった話がある。平時にも12kt以上、戦時には20kt以上で走り回る空母機動部隊を先回りするのは、相手が自艦位置に向かってくる場合以外には、まずはできない。

 その意味で元記事自体が怪しいものであった。そもそも「中国潜水艦は少なくとも半日以上にわたって『ロナルド・レーガン』を近距離で追尾していたという。この事実そのものをアメリカ軍当局は否定していない。」(北村)のあたりからも、米国報道は不思議な内容であった。速力と潜水航続距離の関係から在来潜水艦にはそれは難しく、原潜であっても静粛性から同様に難しいためだ。特に中国原潜については、商については実用性は高いといった話はあるが、静粛性が高いといった話はない。

 この点から、北村さんの記事で「キロがそれを実施した」とするあたりには疑問を抱くものだ。

 要は、対中対峙での「危険が危ない」を強調することが目的であり、事実関係はその次においているのではないかといったものだ。

 実際に、潜水艦の評価にも首をひねることがある。北村さんは元はキロよりも優れるとしている。
 これに対して、中国海軍は「宋型」「キロ型」「改良キロ型」、そしてさらに静粛性が高いと言われている「元型」通常動力潜水艦を合わせて40隻ほど保有している。また、比較的新型の攻撃型原潜と最新鋭の攻撃型原潜も少なくとも6隻は運用していると考えられている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45225?page=4

だが、元はキロより静粛であるといった話はない。もちろん宋よりも優れるといった点は衆目一致しているが「むしろ元でも性能的に満足できないためにラダの輸入を考えている」といった推測も多い。その点、元は静粛性でキロを超えているといった判断にも疑問が残るのである。

 そして、潜水艦戦力逆転への危惧は、北村さんの強引な誘導にしか見えない。
 一方、アメリカ海軍は現行の主たる攻撃原潜である「ロサンゼルス級」を「バージニア級」に更新する作業は遅々として進んでいない。

 このような両海軍の潜水艦整備状況から、「それほど遠くない将来に、中国潜水艦戦力がアメリカのそれを凌駕しかねない」と危惧している海軍関係者も少なくない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45225?page=4


 だが、その数を比較してもあまり意味はない。中国の主力は在来潜であり、実用に耐える原潜は商のみで、それでも静粛性にも問題を抱えている。対して米国は全て原潜であり、静粛性の高いロサンゼルス後期型以降で揃えられている。 それを見ないのは、昔の防衛白書で「中国は1200隻、北朝鮮は300隻の軍艦を持っている。日本は90隻、在日米軍は15隻しかない」と、数だけで騒ぐようなもので、上海型砲艇やコマール型ミサイル艇と、イージス艦や空母の数を直接比較するものである。そもそも、昔の中国は今よりも多数のロメオ型潜水艦を持っていた。

 このあたりで北村さんは無駄に脅威を煽っているようにしか見えない。もちろん、結論の通り、米国は日本の対潜戦能力に期待をしている。だが、その理由は別に米海軍が中国に対して劣勢になったからではないし、今に始まったものでもない。

 JB PRESSの安全保障記事については、全体的に冷静ではない。ネトウヨ系に受ける扇情性が重視されており、あまりアナリティクスではない。

 もちろん、北村さんの記事は読む価値があることを認めた上での批判である。その点でJB Pressでも、退職後もライト・イズ・ライトを振り回す兵隊上がりの森清勇さんや、産経系で相手のいうことだけを鵜呑みにして何も調べず、時代遅れの防衛産業の提灯持ちを桜林美佐さんの記事とは異なっている。
2015.11
10
CM:3
TB:0
07:40
Category : 未分類
 今の日本は金を大量に刷ってはいるが、借り手がない。だから長期金利は0.3%にとどまっている。有利な投資先がないためだ。

 この状況で法人税を下げたところで、設備投資は増えない。現状では、リスク込みで0.3%よりも有利な投資先がない。企業は利益をためても、内部留保を増やして終わる。やっても自社株買いにとどまる。変な投資をするくらいなら、見た目の配当を上げ、あるいは配当総額を減らすこともできると考えるためだ。

 その点からすれば「法人税を引き下げれば設備投資が増える」というのは眉唾でしかない。

 ロイター「民間議員、法人税20%台へ先行減税提言=諮問会議議事要旨」によると、伊藤元重さんが次のように述べたとされている。
国内総生産(GDP)600兆円に向けて設備投資を促すためには、法人税が極めて重要だと指摘。「16度中に(実行税率を)20%台に引き下げるような努力が必要だと思うし、そのための財源をどうするのかという議論に当然なると思う」と問題提起した。
http://jp.reuters.com/article/2015/11/09/corporate-tax-idJPKCN0SY0XD20151109?sp=true


 しかし、法人税を更に下げ、利益を挙げさせたところで企業は設備投資はしない。金利ほぼゼロなのに投資しない企業はそんなことはしない。30年前のように、税率を高くして設備投資を短期償却や控除したほうが確実である。

 前々からだが、経済諮問会議でのヘンテコは多く、今回ロコツな発言が報道されている。

 いつもの新浪剛志さんは「賃金を上げるために保険料負担を減らせ」と朝三暮四を言っている。
「政・官は、実質賃金を上げるために雇用保険料、健康保険料等の引き下げに最大限努めなければならない。そのためには、企業の社員のみならず、時限立法でも良いので、パートの方々の配偶者控除や社会保険料の負担免除も、一気に200万円まで引き上げたらどうか」と提案した。
http://jp.reuters.com/article/2015/11/09/corporate-tax-idJPKCN0SY0XD20151109?sp=true


 従業員の、国民の福祉を切り下げれば、その分だけ給料の額面が上がるだろうといった主張だ。会社は、20万の給料の従業員に10万の社会保障をつけている。その10万の負担を5万に減らせば、給料を増やしてやろうというものだ。この段階でも、実際には給与+社会保障の総額は増えない。統計上での実質賃金が増えるだけだ。

 実際には朝三暮四にも及ぶまい。合計支給額を減らす気が満々であるためだ。そもそもMBA商法に染まった新経営者の代表である。凡百の従業員の給料や福利厚生に熱心になるはずはない。そう言い出すのは、自分たちにトクになると判断したためでしかない。どうせ5万円減らしても給料は3万くらいしか増やさずにすむ、2万は会社が懐に入れられるといった算段なのだろう。

 すでに日本の法人税は低い。これ以上企業を甘やかす必要はない。富岡幸雄さんの『税金を払わない巨大企業』で明示されているように大企業は租税を回避に努力し、一部は全く支払っていない。ネットで富岡さんは些末な計算で叩かれているが、大局をみればそうだ。実際にトヨタは去年まで5年間法人税を払っていない。当の社長が「ようやくトヨタも法人税を払えるようになりました」と、それまで租税回避に努力してきましたよと厚顔無恥に述べていた。

 その分の税金は誰が払っているか? 家計が払っている。去年の消費税増税と同時に法人税の税率は下げられている。このままでは会社だけが富んで、人が貧しくなるだけだろう。

 本来なら、法人税を上げて、租税回避を難しくすべきだ。空前の利益を上げながらも、内部留保か自社株買いしかしない企業からキッチリかっぱぐべきだ。

 海外に移転したいなら移転させればよい。その手の企業はもともと日本に税金を払っていない。円が高くなれば勝手に海外生産で雇用を減らし、安くなれば日本に戻ってきて、労働法規を緩和しろとか「雇用保険料、健康保険料等の引き下げ」ろというような連中だ。甘えたことを言わせるべきではない。



* 中川泉「民間議員、法人税20%台へ先行減税提言=諮問会議議事要旨」『Reuters』(トムソン・ロイター,2015.11.9)http://jp.reuters.com/article/2015/11/09/corporate-tax-idJPKCN0SY0XD20151109?sp=true
2015.11
09
CM:4
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05:34
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 朝日新聞「米東部のリニア計画、補助金許可 JR東海に追い風」* なのだが、実現する見込みはないのではないか?

 計画では60kmという。
ボルティモアと首都ワシントン間の約60キロをリニアで約15分で結ぶ計画。2027年に東京~名古屋間でリニアの運行開始を目指すJR東海が、市場拡大のため同州の計画へのリニア技術の導入を目指している。

今でも電車で30分で到着するところを15分に縮める計画を、あのケチで費用対効果にうるさい米人がそんなものに大枚を投じるのだろうか? 

 日本で言えば、東京-成田程度の距離でしかない。日本の成田新幹線でもポシャったのに、リニアが必要かは不思議なものだ。中国みたいに国家の威信で金が湧く国ならともかく、米国が実現させるとは思えない。

 その後の発展も怪しい。フィラデルフィア-ニューヨーク-ボストンへの延長を考えても経費は10兆円を超える。既にインフラがある飛行機と比較される。連中が支払うとは思えない。さらに速度の有意も活かせるか怪しい。停車時間と加減速を考慮すれば、ボルチモアやフィラデルフィアは「名古屋飛ばし」をしなければ速度的に意味はない。

 そう見ると、この話題自体がJR東海の宣伝くさく見える。もともとがアレな名誉会長がアレ宰相を動かして出てきた政治案件である。リニア事業を進めているといった評判で経営がうまく行っている、将来性があると正当化し、内閣も日本の先端技術が輸出されるといった夢を見させようというものだ。米側も作る気もないが「調査費を出すだけ出すか」といったものに見える。

 でもま、東海はリニアで滅びるのではないかね。名古屋までの掘削、大阪までの延長といろいろあるが、旅客運賃でその巨大な建設コストを吸収できるとは思えない。作っているときは夢を見られるが、できたら赤字の垂れ流しとなる。もちろん「生きている間にバレなければいい」という判断なら、名誉会長の選択肢は間違ってはいない。

 記事のワシントン-ボルチモアは、おそらく新幹線も売れない。距離60kmを30分以下に短縮するにしても今の鉄道システムで済む。列車あるいは線型改良、それに加えて乗降車の効率化といった停車時間の短縮でも可能だ。大した新技術はいらない。基本は「あじあ号」でも充分な範囲である。

 朝日の記者さんも、実現性の無さはわかっている。
ただ、課題は1兆円以上かかるとされる建設費の確保だ。日本政府は米国側に、その半分を国際協力銀行を通じて融資する意向を伝えているが、米政府が応じる見通しは立っていない。

と、「あのケチで費用対効果にうるさい米人がそんなものに大枚を投じるもんか」と、まずは言外に述べている。「日本力」やら「歴史戦」といってる新聞社とは頭の中身が違うもんだ。


* 五十嵐大介、野口陽「米東部のリニア計画、補助金許可 JR東海に追い風」『朝日新聞』(朝日新聞,2015.11.8)http://www.asahi.com/articles/ASHC834LWHC8UHBI007.html
2015.11
08
CM:4
TB:0
17:20
Category : 未分類
 北村淳さんは、JBpressの読者に迎合しているのではないか? 

 中国の危険が危ないと言えば勝手に喜ぶネトウヨ系読者に阿っているのではないだろうか?

 JBpressでは、北村さんは次のように述べている。
「中国が今回のFONOPを逆手にとって、アメリカや同盟国に対する“中国版FONOP”を実施するかもしれない」という警戒の声も上がっている。
 すなわち、次のような可能性があるというのだ。
「数週間前に中国海軍小艦隊がアリューシャン沖12カイリ内水域を航行した(本コラム「アラスカ沖のアメリカ領海を中国艦隊がパレード」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44738)ように、中国艦艇がグアム沖やハワイ沖で『無害通航』を実施し、公海自由原則の尊重を逆アピールするに違いない」
「それだけではない。調子に乗って、人民解放軍軍艦が尖閣諸島(中国側によれば中国領域だが)や沖縄、それに東京湾口沖12カイリ内水域を『無害通航』しないとも限らない」
 アメリカのFONOPに支持を表明した日本としても、中国海軍艦艇による日本領海内での“中国版FONOP”に備えなければなるまい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45163?page=5


 だが、それで日米は何を警戒しなければならないのだろうか?

 平時に領海を無害通航されても何も困らない。中国軍艦が沖縄や東京外湾に入って何の不都合があるのか。「邪魔なら出て行ってくれ」といえばいいだけの話だ。

 さらに「人民解放軍軍艦が尖閣諸島(中国側によれば中国領域だが)」を「『無害通航』」することは、日本領域であることを示すだけのことだ。なぜそのような不利を行うのかが不思議なものだ。

 この北村さんの記事は、ネトウヨ系の読者に媚びる記事ではないか? JBpressの安全保障記事は、国難主張系の宗教のような危機感に合わせたものになっている。それに合わせ、頭の良くない読者の危機感を刺激するものでしかない。

 逆に、ある程度の知識階級ならばその珍妙さに気づく。無害通航の要件を知らずとも「平時に領海に入られて何か困ることがあるか?」や「尖閣を日本領海扱いすることはない」と、漠然とであっても考えられるためだ。

 その点で、この記事は誠実ではない。頭のわるいネトウヨ系読者のネトウヨ系発想に迎合して事実を曲げるものであるためだ。間違いは間違いであるとは言えないかもしれない。だが、少なくとも媚びるべきではない。

 記事には他にも不思議なものもある。
タイミングが遅かったFONOPのおかげで、人民解放軍に対して“正々堂々”と各種ミサイルシステムを人工島に配備させる“立派な口実”をアメリカ自身が与えてしまったのである。そして、人民解放軍が持ち込むであろう地対艦ミサイルと地対空ミサイルの中には、アメリカ海軍にとって防御困難な極めてやっかいな代物が少なくない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45163?page=4


 いまさら「米国の行動により、武器の持ち込み」をと云々して意味があるのだろうか? フィリピン、ベトナム、台湾、マレーシアは先行して飛行場を作り、少なくとも前三者は対空火器を含んだ武器の持ち込みをしている。中国は持ち込みに遠慮はしない。

 さらに、面積狭隘、地形平坦な人工島においた対艦・対空ミサイルのほうが脆弱な部分はある。それで米軍艦や航空機を一掃することは難しい。逆に米軍は人工島でほぼ曝露に近いこれら装備を容易に撃破できる。

 北村さんは専門家であるので、この辺りは気づかないこともない。

 だが、中国の危険は危ないを強調するためにそう書いている。そうにしか見えないものだ。

 まずは、安全保障系の記事には読者の恐怖心を煽る傾向がある。自分達の商売や持っている知識を「価値がある」と示したいのだろうが、単に技術論にすぎないものを亡国の音曲であるように針小棒大することが多い。そして、この記事での「無害通航」や「対艦ミサイル」もその伝にしか見えないものだ



※ 北村淳「遅すぎた米国『FON作戦』がもたらした副作用 - 中国軍艦が『航行自由原則』を振りかざして日本領海を通航する?」『JBpress』(日本ビジネスプレス,2015.11.5)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45163
2015.11
07
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22:31
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 佐藤正久さんが「外交はしたたか」「酒飲みして仲良くなるだけでは外交は成り立たない」と殊勝なことを言っている。

佐藤正久‏@SatoMasahisa【ベトナム外交のしたたかさ!中越首脳会談と並行して日越国防相会談を行いカムラン湾への海自寄港を合意】これが外交だ!経済協力と安保協力のバランス!中国はしてやられた感もあるのでは?外交は国益のぶつかり合い。SEALDsの一員が主張した酒飲みして仲良くなるだけでは外交は成り立たない
https://twitter.com/SatoMasahisa/status/662974003640860672


 ならば、同じことをアレ宰相にもいうべきだろう。「中国包囲網」やら「安全保障のダイヤモンド」と大言壮語していたが、TRIM外交は悉く失敗した。そして、オーストラリアへの潜水艦売却もインドネシアへの新幹線売りつけも失敗した。その男に「首相が会談したけど何の利益も得られていない」というべきだ。

 来月のインド訪問で首相が損すれば、佐藤さんは批難すべきである。前回アレ宰相がインドに行ったが、インドからもらったのはリップサービスだけ。そして日本は中国との対立を丸投げされている。それを「空虚な言葉をもらっても外交はなりたたない」「日本にとって損だ」と批判すべきだ。

 しかし、佐藤さんは間違いなく党派性から、日印首脳会談での当り障りのないコミニュケ「成果が上がった」と言い出す。それこそが「酒飲みして仲良くな」っただけのはなしだ。

 佐藤さんは、安全保障の専門家を自称しており、議員として歳費を取っている。その御仁が日印首脳会談での空虚な成果を持ち上げるのはどんなものか。年も若く経験もないSEALDsの幹部でもない一員が「酒飲みして仲良くなる」と理想的な言辞を振りまいても、それは微笑すればよい。だが、専門家の佐藤さんが、同様に「成果が上がった」と言うのであれば、それは給料泥棒と罵られても仕方はない。
2015.11
04
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23:58
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冬コミ当籤しました。
・3日目(31日:木曜日) 東 ポ 16a です
とりあえず、対オーストラリア機雷戦で考えています。(何かは出します)



まあ、今朝も締め切りでヒーヒー言っているくらいなので、
進捗次第では違うものになるかもしれません

納品したのは5000字なんですが抽象化の方向とか考えると10日位かかる
(これはあまり文字数で変わらない。別に1.2万でも1.5万でも1.8万字でも同じでたいてい10-14日)

今回の仕事の内訳は「一言で言えば何か」探しで1週間、
書き出したら1日で5500字、以降、推敲と数字確認で翌日に8000字
推敲2日目で7,400字、昨晩「6000字で納品」だと思ったら、発注5000字なのにに気づいて
30分でエピソード的な部分、具体的な部分を1000字削りましたね

ウェブのメディアに、今起きた事件で一本について具体的に書くなら
2000-3000字でも90分と推敲校正で30分なのですけどねえ
2015.11
01
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03:30
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 完全英語の修士課程は自滅の道ではないか?

 東京海洋大学は修士課程を英語化したとのことだ。「大学院博士前期課程の完全英語授業化を実現する」では
日本人の学生を国際的に通用する人材にするために、積極的に留学生を活用し、日本人学生と留学生に英語による活発な討論を行わせる必要があります。
http://www.kaiyodaiglobal.com/graduate_school/

と判断したと述べている。

 もちろん、大学の勝手なのでやりたいならやればよい。

 だが、教える方も、教わる方も質を下がるだけだ。商船関係でも水産関係でも本筋の研究よりも。英語ができる教員と、研究意欲も怪しい院生が集まるだけだからだ。

 まず、英語で教えられる研究者なんかそんなにいない。だから、業績はなくとも英語はできるよ程度の連中が来る。英語は上等だが研究も指導も品下る人材では成果は上がるものではない。

 また、集める院生の質も下がる。海洋大の学部卒でも研究よりも英語で苦労するのでは堪ったものではない。目的意識があって研究したいヤツほど、他所の院に行く。だいたい真面目な奴ほど「◯◯について研究したい」と考える。「英語で研究したい」というのは本末転倒である。

 さらに「英語でお勉強したい」といった発想があれば海外に行く。海外なら英語も一流、研究も一流がいる。「国内で英語で研究します」で集めた英語は一流半、研究は三流に指導されようといった発想はない。

 なによりも「英語はできても研究は凡庸」のところに、海外から優秀な留学生が来るはずもない。
大学院前期課程授業の完全英語化と討論型授業への切り替えは、国境を越えた優秀な頭脳を本学に呼び込む切り札にもなります。これからの日本 の経済発展にとって生命線をにぎるインド、中国、東南アジアなどの新興マーケットからいかに優秀な留学生を日本に呼び込むかが重要です。(同)

優秀なら、その研究分野での最先端の場所にいく。そこでの言葉が英語だろうが日本語だろうが中国語だろうが気にしない。逆に「英語でマスター取れるから日本に行く」学生はいない。また、日本に関連する研究分野であれば、日本語でやらなければ意味は無いので、そんな大学には行かない。

 海洋大だけではないが学部や院の英語化は意味は無い。これらは文科省が成果主義として世界の大学ランキングを上げようと画策した結果だ。だが、「英語圏でランキングを決める」から「英語で教育すればランキングが上がる」発想は誤っている。英語圏でのランキングが上がっても、日本にとって価値の無い研究環境を作っても意味はない。



 まー、明治教育はモットひどくお雇い外国人に完全英語でやらせた結果、手紙文一つ書けない学生ができたことを繰り返すのではないかね。どこの商売にもいる英語だけ達者な奴が製造される。仕事も英語を使うのだけだから、実務はダメになるアレだ。まずは植民地現地スタッフ養成用の学校になるだけじゃないのかね。