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高岡で『よつばと』買ったあとで、岩波ブックセンターで新刊『徳川制度 下巻』を買ったのだが、収録された「維新の革命」士族の商法の魚屋編がなかなかないもの。
大坂町奉行、大目付を歴任した松平大隅守が維新後に下谷茅町で魚屋をやっている。塩物問屋の、隠居の魚屋を居抜したものだ。そこで問屋の旦那に指導を受けながら営業。
まず塩ジャケの切りようも分からず、卵の良し悪しも分からない。問屋の指導で切ると大きく見えて売れるが、自分で切ると小さく見えて最後まで残る。
そして買い出しも難しい。最初のうちは昔の家僕を連れて河岸に行き、仕入れをする。だが、問屋の旦那に「商売人なら一人で仕入れろ」といわれ、素直に天秤を担ぐものの中途で息切れ、軽子を雇って運び、また叱責される。
ただし、半年もすれば慣れる。相場を読んで一家の生計を立てるが、そこに火事で悉皆喪う。
とはいえ「悲嘆に暮れても仕方がない」と、古什器を探し、旦那のお見舞金等、なけなしの手許金でウドンコを買ってすいとんやを始める。「割と回転率がよく小金を稼げるものだ」と気を良くし、その収入を元に翌日仕入れを増やして店を開くが、居眠りの隙を突かれ、野良犬にスイトン種を食われ、なけなしの食用油も舐め尽くされてしまう……
読んでいてもショック。大隅守さまも悲嘆にくれて喋れない、呆然としてただ彳む。まずオレなら泣く。そして、夜間の後退に来た老僕にそれを告げたあと、主従ともに呆然として何もしゃべらない……。
実話だがドラマツルギ―の高まりであることだよ。物語を作るには人を殺す殺さない、世界が滅びる滅びないは全然いらないということだ。自転車を盗まれて、盗んででもスリルだよねえと。
大坂町奉行、大目付を歴任した松平大隅守が維新後に下谷茅町で魚屋をやっている。塩物問屋の、隠居の魚屋を居抜したものだ。そこで問屋の旦那に指導を受けながら営業。
まず塩ジャケの切りようも分からず、卵の良し悪しも分からない。問屋の指導で切ると大きく見えて売れるが、自分で切ると小さく見えて最後まで残る。
そして買い出しも難しい。最初のうちは昔の家僕を連れて河岸に行き、仕入れをする。だが、問屋の旦那に「商売人なら一人で仕入れろ」といわれ、素直に天秤を担ぐものの中途で息切れ、軽子を雇って運び、また叱責される。
ただし、半年もすれば慣れる。相場を読んで一家の生計を立てるが、そこに火事で悉皆喪う。
とはいえ「悲嘆に暮れても仕方がない」と、古什器を探し、旦那のお見舞金等、なけなしの手許金でウドンコを買ってすいとんやを始める。「割と回転率がよく小金を稼げるものだ」と気を良くし、その収入を元に翌日仕入れを増やして店を開くが、居眠りの隙を突かれ、野良犬にスイトン種を食われ、なけなしの食用油も舐め尽くされてしまう……
読んでいてもショック。大隅守さまも悲嘆にくれて喋れない、呆然としてただ彳む。まずオレなら泣く。そして、夜間の後退に来た老僕にそれを告げたあと、主従ともに呆然として何もしゃべらない……。
実話だがドラマツルギ―の高まりであることだよ。物語を作るには人を殺す殺さない、世界が滅びる滅びないは全然いらないということだ。自転車を盗まれて、盗んででもスリルだよねえと。
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