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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2015.12
08
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15:34
Category : 未分類
 銃砲弾の国産を守れと言い出すのは、日本の養蚕を守れというような時代遅れである。佐藤正久さんは「防衛産業を守れ」といって銃砲弾の生産ラインまでも防衛予算で保護しろと主張しているが、それは農林族がいまさら「日本農業を守れ」といって養蚕までも国家が保護しろといいだすようなものだ。

 佐藤正久さんが「国防議連: 防衛生産・技術基盤を守れ!」と訴えている。だが、その内実はまったくそれだ。国産弾薬を守れといっているが、情緒的なものにすぎない。いまさら養蚕、コンニャク芋、テンサイを完全国産しろといいだす時代錯誤に過ぎない。

 佐藤さんは、ダイキンと日本工機に落ちる弾薬購入費の削減を憂いている。
実際、陸上自衛隊の「弾薬購入費」は、平成26年度と平成28年度予算案を比べると、2年間で30%減少することが見込まれています。金額にして200億円です。
http://ameblo.jp/satomasahisa/entry-12102721321.html[レイアウト上から改行を除いた]
2年間で30%もの予算が減らされるということは、こうした企業[日本工機]の経営に危機的かつ直接的な打撃を与えます。[中略]ベンダー企業が一社でも撤退・倒産すると、“弾”そのものが製造できなくなるのです。“弾”を自国で造ることもできずに、どのようにして、この国を守るのでしょうか。
同上[改行は省略]


 だが、単純な砲弾や機銃弾を今までどおりに製造してどうするのだろう? 「2年間で30%減少する」(佐藤)、「金額にして200億円」(佐藤)と述べている。つまり陸自はこれまで毎年300億円を弾薬購入にあてていたことになる。そこから3割減、2年で200億の減であればそうなる。

 弾薬には冷戦時代からの莫大なストックがある。自衛隊も他国同様に物持ちはよい。弾薬庫には20榴や15榴から小銃弾・拳銃弾まで60年間積み上げてきた膨大な在庫がある。中には45口径や30-06も含まれている。戦争はやっていないし、平時の訓練でも大した量は撃っていないので在庫は積み上がるだけだ。

 実際に仕舞う場所もないことが問題となっている。一部は口約束で製造側に保管させており会計検査院の指摘を受けている。この状況でさらに弾薬を購入してどうするのだろう?

 この状況で、単純な砲弾・小火器弾薬の調達を減らしても何も起きない。ダイキンや日本工機(あと旭精機)に発注しているのはそのような弾薬だ。

 他社のミサイル、高性能弾薬化は残りの200億/年で相当量を調達できる。また砲弾関係の高性能化は改修でも対応できる。野戦砲であれば既存弾殻と炸薬はそのままにして、別保管であとづけする信管部だけを更新すればよい。榴弾の弾殻や炸薬に技術進歩はない。実際に機雷はそうしている。

 そもそも現状の弾薬製造ラインの維持は、最悪時を想定した戦時弾薬製造に合致しているのだろうか?

 佐藤さんは次のように述べている。
予算が減らされるということは、こうした企業の経営に危機的かつ直接的な打撃を与えます。[中略]熟練工の維持も厳しく、ましてや後進の育成などは手も回りません。先細る一方です。[中略]ベンダー企業が一社でも撤退・倒産すると、“弾”そのものが製造できなくなるのです。
同上[改行は省略]


 野戦用の銃砲弾について「熟練工の維持」(佐藤)ができないと「“弾”そのものが製造できなくなる」(佐藤)体制では、戦時の弾薬生産は覚束ない。少なくともダイキンや日本工機に発注される程度の銃砲弾薬は、規格化された仕様に基づき、自動化された生産ラインで素人が作業しても作れるものでなければならない。熟練工と徒弟的養成を必要とするラインを維持しても仕方はないものだ。

 そもそも単純な製品は輸入でもよい。必要なのは戦時生産用にラインである。その維持費だけを出して、通常使用分の損耗は海外製の購入でも構わない。

 佐藤さんのいう国産弾薬を守れというのは、不要となったものを「維持して無駄遣いしろ」というものだ。他の産業は国際競争に晒されているなかで、防衛産業だけを特別視し、単純な銃砲弾生産まで乳母日傘で守れという。これは防衛関連セクターの利益かもしれないが、国家の利益ではない。

 佐藤さんは兵隊上がりで防衛の専門家を自任しているが、その政策の方向は防衛関連分野を甘やかし、既存の体制を維持しようとするものにすぎない。防衛は防衛でも、組織防衛の専門家なのだろう。
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