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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2016.01
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Category : 未分類
 旧軍兵器博物館の話を最近は聞かない。戦闘機、戦車、水上艦の博物館を云々という話があったが、いずれも去年の半ばあたりから音信不通になっている。

 もちろん、それだけならどうでもいい。実現しようがしまいが、世間には別段のこともない。旧日本軍隊の戦闘機が空を飛ぼうが落ちようが、戦車が発掘されようがされまいが、駆逐艦が日本に戻ろうが戻るまいがそれで社会がどう変わるわけでもない。

 だが広げた大風呂敷はうまく収めないといけない。広く大衆から寄付金を求めた事業であるためだ。その点で、金目の処理がどうなるかは他人ながら心配である。よほど上手にやらないと尖閣募金詐欺の二の舞いとなってしまうためだ。

■ 戦闘機
 まず、戦闘機の話は相当に厳しそうである。一昨年12月の発表をみるとすでに3000万円を費消したとあり、さらに4000万円が必要としている。そしてそのあとには去年7月で発表が中断している。

 ただし、すでに事業に話題性はなく集金の見込みは厳しい。その後の盛り上がりのなさからすれば、4000万円集まらないでお蔵入りとなり、保管費用や維持費用から売却するしかなくなる可能性もある。その場合、それまでの寄付者にどう説明するのかでは困ることになる。

■ 戦車
 戦車も同様である。見つけられなければ事業は立ち行かない。だが、見つけられるか前に、そもそも存在していたのかが疑問だ。金へん景気で回収した可能性があるためだ。

 やはりそのあたりで停滞しているのだろう。HPをみても2013年1月の水中探査以降、戦車の捜索についての発表はない。「沿革」をみても2013年の3月でおわり、新着情報も15年の8月で止まっている。

 さらにハコモノ、博物館本体の見通しもない。仮に国内外から戦車を寄付受け、あるいは購入したとしても保管・展示は難しい。あの手の大型装備を収容するためには、体育館のような無柱、スーパーのような大スパンの建物が必要になり、大荷重が掛かる部分は飛行場のエプロン並みに分厚い土間コンを打たなければならない。

 そして「ハコモノを維持する収益あるいは寄付金、基金が作れるか」といった問題もある。戦車は建物の維持費だけではない。学芸員だけではなくモギリや清掃員も準備しなければならない。仮に戦車が入手できても、博物館を維持できるかは難しい。

 これも中途活動停止となったばあい、寄付者への説明には苦労する。小口なので清算行為をしても返金する方法はないためだ。武器学校にある旧軍戦車の維持管理として、その清算金で役務を寄付するくらいしかない。

■ 水上艦
 水上艦は最初から非現実的である。当時の駆逐艦はティン・カンであり、放置した戦隊も腐っている。サルベージしたらバラバラになるし、その鉄屑を日本に運ぶコストは膨大なものだ。感覚的に言えばそれだけでまずは100億は掛かる。さらに日本に持ってきたあとで事実上のフルスクラッチをすれば別に100億近くは掛かる。

 その後の繋留岸壁の確保、保管状態とする場合の漁業権の滅失交渉と保障、維持管理にも膨大な額を要する。笹川良一の力を注いだ船の科学館でも宗谷や羊蹄丸の維持はできなくなっている。

 それでいながら、いまなお法人化や寄付受けを進めている。他人事ながら、拠出者に対し、見通しが立たないのに事業を進めた点について、中止判断やその後の説明に窮するのではないかと心配でならない。

■ 当事者能力
 そして、なによりも心配しているのが当事者能力だ。

 これらのうちのあるプロジェクトについて、その広報担当者の問い合わせを受けたことがある。「あなたのブログを見ました、事業のためにその◯◯について教えてください」といったものだ。だが、その問い合わせの内容は全部ブログに書いてある内容だった。

 怪訝に思い、その団体の役員経歴の項目をみると当事者能力での不安を掻き立てられるものであった。いずれも書くべきでないことに溢れていたためだ。たとえば「医者いじめ村に遠隔医療を導入する医学者の会」(仮)の役員経歴に「実績:小学生の頃『ブラック・ジャック』を読破しました」といった内容だったら驚くというものだ。

 もちろん『ブラック・ジャック』が好きなら好きでもいい。だが、それは経歴に書くことではないし、書こうとしたらやめさせるべき内容である。それがそのままになっているあたり、人を得ていない。主催者や当初メンバーの理念が高邁でも、それの実現は難しい。

 特に募金を集めているあたりで、これらの計画は中止の判断と始末が難しい。あの尖閣詐欺のような結果にならないようにするには、相当に慎重な舵取りが要求される。

 だが、主催者やコアメンバーはともかく、実務サイドがそれをうまく汲めるのかなといった疑問が浮かぶ

 1円も寄付していないし問い合わせの回答も含めて全く協力もしていないが、他人事ながら心配なものだ。
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