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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2016.02
13
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TB:0
18:43
Category : 未分類
 木島甚久さんの『日本漁業史論考』を復刻しようとしている方がいらっしゃるのだけれども。おそらく著作権上の保護期間については確認されていないのだろう
ワカゾー ‏@WakazoMarine
72年前に発行され、日本国法規で著作権保護期間が終了しつつも米国法規では著作権保護期間が終了していない『日本漁業史論考』の編集データを米国WebサービスGithubへ公開するのはフェアユースであるのか?
2016年2月13日 https://twitter.com/WakazoMarine/status/698426460294348800


 米国の著作権法規も調べたご様子である。
ワカゾー‏@WakazoMarine
どういうことかっていうと日本と米国の著作権保護期間は違うのでボクがホイホイとGithubへ日本で保護期間を直ぎている著作物をうpすると米国側の著作権法に触れでBANされてしまう可能性があるということにさっき気付きました。知らないフリしても良かったんですが良くないよなぁ
2016年2月12日 https://twitter.com/WakazoMarine/status/698184530411151360


 だが、残念だが日本の著作権保護について勘違いをしている。

 個人著作物の場合、保護期間は著者の死亡から50年を経過した年が終わるまでである。団体名義のように発表後ではない。

 そして、木島甚久さんは少なくとも昭和37年ころまでには間違いなくご存命されている。今、検索したものだが、小田富英さんの「小田の輪の和」では
若くして小倉郷土会に参加した松永美吉や木島甚久らは、柳田の死後も働きながら研究を続け、
(「生活者の学」そのもの)松永は地名研究、木島は家船研究の業績を残しているのです。
http://www.people.co.jp/oda/index.php/page/10

とある。柳田国男さんの御逝去は1962年であり、その時にご存命だったということだ。ちなみに今年1月1日に保護期間が切れた方は1965年に逝去された方である。66年以降にご逝去されたとすれば、今年いっぱいは保護期間となる。

 木島さんが柳田さんから3年以上長生きされていればまだ保護期間だということだ。記憶だが、昭和40年代ころの宮本常一さん(1981年没)関係の記事で木島さんの話があった。このあたりを確認しないと、権利の継承者からの許可なしに復刻はできないということだ。

  実際に、デジタルコレクションをみても「国立国会図書館/図書館送信限定」になっている。図書館では「まだ保護期間であるかもしれない」と見ているということだ。
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2016.02
13
CM:4
TB:0
02:55
Category : 未分類
 今後、零戦は維持も難しくなるのではないか?

 零戦里帰りプロジェクトの継続に暗雲が垂れ込めている。「『零戦里帰りプロジェクト』、一般公開飛行を目指しスポンサー企業を募集」からは、相当の資金難が窺えるためだ。有資格のパイロットや整備員のコストを負担できないため、スポンサー企業を募るというものだ。

 おそらく、今後は保管も容易ではなくなる。今のところは鹿屋の格納庫と飛行場が安価に一時使用できているが、今後は難しくなる。

 自衛隊飛行場や格納庫、電気等の利用料金は安い。これは緊急着陸した故障機や、胴体着陸した事故機への対応を念頭においた実損料程度の値段であるためだ。実際に八戸でMU-2が胴体着陸した時、格納庫と電気の使用量を取ったが、額は覚えていないがロハ当然であった。

 今の零戦の保管費用もおそらくはその程度のはずだ。旧海軍の縁があり、整備の間は特例で受け入れている状態にすぎない。飛行可能状態となり、しかも収益事業に使う段階では当然鹿屋から出ていかなければならない。

 今後は民間空港に移動し敷地を借りて格納庫を建てる、あるいは既存格納庫を借りる必要が生まれる。おそらく、その額は米国からパイロットや整備員を連れてくるコストよりも高い。

 そして、その金額を企業スポンサーが支えられるかは厳しい。この場合はプロジェクトの維持は難しくなるだろう。

 もちろん、金が無いから空港敷地外に収容する考えもある。

 だが、それもプロジェクトの維持を難しくする。零戦は飛行不能状態となり寄付は減りスポンサーもつきがたくなるためだ。飛行場外に運び出すためには分解しなければならない。そして一度分解すると、再度組み立ててもすぐには飛べない。検査が必要となるためだ。もちろん、組み立てにも検査にも金が掛かる。

 ある意味、プロジェクトは八方ふさがりなのだろう。

 最終的には、米国あたりに売却しかない。個人が大枚はたいて買った零戦なので、日本の博物館への無償寄付はし難く、その場合にも飛行可能状態は維持できないためだ。このため、それなりの価格で買ってくれ、しかも稼動状態を維持してくれる好事家に渡すしかない。資源国不景気の時世では、米国の大尽、例えばマイクロソフトの副社長クラスに売るしかないためだ。

 しかし、そうなるとこれまでの寄付受けとの関係が問題となる。仮に転売益が出れば面倒くさいことになる。

 飛行可能な零戦を維持するためには好事家に売るしかないが、それをすると批難されてしまう。言葉は悪いが、外見上は「他人の寄付金で零戦をレストアして転売した」ようなものだからだ。それは、零戦里帰りに汗を流した主催としても不本意だろう

 逆に日本の博物館に渡すと、今度は主催個人が損をする上に稼動状態が維持できない。飛行可能な零戦を日本に持って来た意味は無くなる。これも主催は本意ではない。

 とはいえ、資金面から現状維持はない。今無理をして一段階進めると資金難はさらに進む。零戦をスクラップにするのでなければ、いずれはどちらかを選ぶしかない。

 この辺りは前に書いた「尖閣募金のグダグダを再現してしまうのではないか」のとおり。風呂敷と同じで広げた事業はたたむのが難しいというわけだ。

 そもそも個人所有と寄付受けの関係そのものが難しい。これも「旧軍兵器の回収・展示は現実的ではない」で書いたが、他人の金で個人収蔵コレクションを作ろうとしているのではないか?といった印象を受ける計画もあるためだ。



 まあ、否定するわけじゃないけど、拾ってきた飛行機戦車軍艦を稼動状態して金とって見世物にして金をとるのも見ていて嫌なんだけどね。イルカショーのイルカとか、インカ帝国展の見世物ミイラみたいなもんで、ランカイ屋に使嗾される角兵衛獅子的な可哀想さがある。東博の銃砲のように大事に取っておいて、ときおりひっそりと保管展示するほうがいいと思う。稼動状態がエライというというのも「エゲレスでは」とか「メリケンでは」の出羽守で、正倉院的な保管をする日本の慣習とは相容れないような気もする


※ 神山翔「『零戦里帰りプロジェクト』、一般公開飛行を目指しスポンサー企業を募集」『マイナビニュース』(マイナビ,2016.2.12)http://news.mynavi.jp/news/2016/02/12/457/