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櫻井よしこさんの「一見平和な日本、だが千葉沖に中国の脅威」ですが、粗雑な愛国商売としかいいようのないものだ。まずはいつもの面子による「危険が危ない」であり、その中身もいつものとおりのザルとなっている。海洋観測はお互い様、中国戦闘機はむしろ近代化が遅れている、そして尖閣での巡視船洋上給油も無意味といったものだ。
だが、そのアラに気づかずウットリする頭の悪いネトウヨがいる。彼らは桜井さんのいうとおり
と思っているのだろう。食い物にされているとは知らずに騙されているのだからお天気としか言いようもないものだ。
■ 海洋観測は日米もやっている
まず、山田吉彦さんが、奇妙な主張をしている。これは中国海洋観測艦の行動について次のように述べたものだ。
その結論は「中国潜水艦が千葉から東京を照準している」といったよくわからないことになっている。仮に巡航ミサイルを発射するとしても、そこまで回り込む必要も、そこまで接近する必要もない。
普通に太平洋西部での潜水艦活動のための海洋資料収集といえばいいのだが、そうすると危険が危ないの強度が落ちると思ったのだろう。
さらに、桜井さんのコメントは輪を掛けて珍妙なものとなっている。山田さんの主張を受けて次のように述べている。
だが、これは日中も同じことをやっている。
米海軍も中国の領海間際まで近づいている。海洋観測艦や哨戒機、電子偵察機は以前から南シナ海で活動している。航空機は中国領海ギリギリまで接近しており、音響観測艦インペカブルはLFAソーナーで中国沿岸部で活動している潜水艦をあぶりだしている。
また、海自の哨戒機や潜水艦も中国沖まで「迫っている」。哨戒機は毎日の監視飛行で日中中間線を超えている。潜水艦の活動は秘されているが、おそらくは東シナ海や南シナ海で中国領海のすぐ外まで活動しているだろう。
櫻井さんの理屈になぞれば「海南島沖まで米海軍が活動している事実を知れば、この平和の脆さが懸念される」や「中国沿岸まで海上自衛隊が」と言い返されてもしかたはないものだ。
日米中でお互い様なのだ。だが、桜井さんはそれを失念しているかおそらくは気づかないフリをしている。おそらくは後者なのだろう。まずは読者層に危険が危ないを煽ればよいというのが桜井さんのスタンスであるためだ。
■ 逆に日本は中国の半分も持っている
太田文雄さんもピントがズレたことをいっている。中国の第四世代戦闘機の数が日本の倍と言ったものだ。
太田さんは次のように述べている。
だが、中国は全力を日本に指向できない。中国は現状で四周皆敵に近い状況にある。日本とベトナムは安全保障面で中国と明確に対立ベースである。とりあえずはうまくやっている台湾やロシアやインドに対してもあまり気は抜けない。
この状況で、中国は全力を日本に指向できるだろうか? 逆に言えば、日本はなお中国の半分の戦力を持っており、第5世代機の導入に着手しており、その上国内には第5世代機を保有する米航空戦力も展開しているのである。
さらに、中国は第四世代機の整備も上手く行っていない。中国は1995年に戦闘機4400機を擁していたが、05年には2400機まで減少し、15年には1200機まで減少している。
こと空軍力に関しては、「凄まじい軍拡」(太田)は間違っている。新世代機の導入に伴い、数的優位性を喪っているのが現状である。
太田さんの主張に関する桜井さんのコメントも奇妙なものとなっている。「中国がその[第5世代機]技術をサイバー攻撃で盗み取った」(桜井)と述べている。だが、これは第5世代機配備についての中国の遅れを示すものでもある。第4世代機数で日中が293対731なら、実戦配備された第5世代機数で米中は187対0でもある。
■ 燃料補給をしても人間が持たない
そして、桜井さんの洋上給油話である。
3時間で港に戻れる段階で、洋上給油はない。まず長期間の一定針路一定速力を保つ必要があり、そもそも敵前でやるものではない。下がった後方での作業にしても乗員の緊張を強いるといったデメリットもある。それなら間近に港湾があれば入港して済ます。
そもそも、巡視船が燃料不足、おそらく2/3を消費した段階となった場合には、乗員も相当の疲労段階に達しており、生鮮食料品も不足を始める頃だ。入港・休養・補給を考慮する段階にある。
これも危険が危ないを強調しようとするあまり、現実と乖離してしまったものだ。逆に言えば海上保安庁法25条をいくら弄くっても、問題とできる事態がこの程度でしかないことも示しているものだ。
愛国商売はロクなものではない。危険が危ないを煽る方の頭の程度はともかくとしよう。何よりも情けないのは、この程度の話でもそのアラに気づかず、ウットリするネトウヨ層の頭の悪さである。
まあ、自称親日派の「台湾赤十字は信用できない」にも騙されるくらいだから子。
だが、そのアラに気づかずウットリする頭の悪いネトウヨがいる。彼らは桜井さんのいうとおり
[産経新聞やVOICEを読まない愚かな]日本人は皆、日本は平和な国だと信じて暮している。しかし、銚子沖まで中国船が迫っている[というマスコミに都合の悪い]事実を知れば、この平和の脆さが懸念[するようになる]
「一見平和な日本、だが千葉沖に中国の脅威」http://yoshiko-sakurai.jp/2016/02/25/6289
と思っているのだろう。食い物にされているとは知らずに騙されているのだからお天気としか言いようもないものだ。
■ 海洋観測は日米もやっている
まず、山田吉彦さんが、奇妙な主張をしている。これは中国海洋観測艦の行動について次のように述べたものだ。
「中国海軍の情報収集艦は[中略]黒潮の最終点まで調べ上げています。千葉沖まで来ているのは、いつでも東京を取り囲んで、照準を合わせられることを意味します。」
その結論は「中国潜水艦が千葉から東京を照準している」といったよくわからないことになっている。仮に巡航ミサイルを発射するとしても、そこまで回り込む必要も、そこまで接近する必要もない。
普通に太平洋西部での潜水艦活動のための海洋資料収集といえばいいのだが、そうすると危険が危ないの強度が落ちると思ったのだろう。
さらに、桜井さんのコメントは輪を掛けて珍妙なものとなっている。山田さんの主張を受けて次のように述べている。
「日本人は皆、日本は平和な国だと信じて暮している。しかし、銚子沖まで中国船が迫っている事実を知れば、この平和の脆さが懸念される。」
だが、これは日中も同じことをやっている。
米海軍も中国の領海間際まで近づいている。海洋観測艦や哨戒機、電子偵察機は以前から南シナ海で活動している。航空機は中国領海ギリギリまで接近しており、音響観測艦インペカブルはLFAソーナーで中国沿岸部で活動している潜水艦をあぶりだしている。
また、海自の哨戒機や潜水艦も中国沖まで「迫っている」。哨戒機は毎日の監視飛行で日中中間線を超えている。潜水艦の活動は秘されているが、おそらくは東シナ海や南シナ海で中国領海のすぐ外まで活動しているだろう。
櫻井さんの理屈になぞれば「海南島沖まで米海軍が活動している事実を知れば、この平和の脆さが懸念される」や「中国沿岸まで海上自衛隊が」と言い返されてもしかたはないものだ。
日米中でお互い様なのだ。だが、桜井さんはそれを失念しているかおそらくは気づかないフリをしている。おそらくは後者なのだろう。まずは読者層に危険が危ないを煽ればよいというのが桜井さんのスタンスであるためだ。
■ 逆に日本は中国の半分も持っている
太田文雄さんもピントがズレたことをいっている。中国の第四世代戦闘機の数が日本の倍と言ったものだ。
太田さんは次のように述べている。
「凄まじい軍拡の結果、第4世代戦闘機の日中比は15年時点で293対731になりました」
だが、中国は全力を日本に指向できない。中国は現状で四周皆敵に近い状況にある。日本とベトナムは安全保障面で中国と明確に対立ベースである。とりあえずはうまくやっている台湾やロシアやインドに対してもあまり気は抜けない。
この状況で、中国は全力を日本に指向できるだろうか? 逆に言えば、日本はなお中国の半分の戦力を持っており、第5世代機の導入に着手しており、その上国内には第5世代機を保有する米航空戦力も展開しているのである。
さらに、中国は第四世代機の整備も上手く行っていない。中国は1995年に戦闘機4400機を擁していたが、05年には2400機まで減少し、15年には1200機まで減少している。
こと空軍力に関しては、「凄まじい軍拡」(太田)は間違っている。新世代機の導入に伴い、数的優位性を喪っているのが現状である。
太田さんの主張に関する桜井さんのコメントも奇妙なものとなっている。「中国がその[第5世代機]技術をサイバー攻撃で盗み取った」(桜井)と述べている。だが、これは第5世代機配備についての中国の遅れを示すものでもある。第4世代機数で日中が293対731なら、実戦配備された第5世代機数で米中は187対0でもある。
■ 燃料補給をしても人間が持たない
そして、桜井さんの洋上給油話である。
海自と海保の連携強化の妨げもなくすべきだ。[中略]石垣島から160キロ、急行しても3時間余りはかかる尖閣諸島海域で海保の燃料が少くなったとき、25条ゆえに海自の補給を受けられず、一旦、石垣島に戻って補給を受け、再び尖閣の海にとって返すというのが現状だ。なんという時間と労力の無駄、なんという非効率か。
3時間で港に戻れる段階で、洋上給油はない。まず長期間の一定針路一定速力を保つ必要があり、そもそも敵前でやるものではない。下がった後方での作業にしても乗員の緊張を強いるといったデメリットもある。それなら間近に港湾があれば入港して済ます。
そもそも、巡視船が燃料不足、おそらく2/3を消費した段階となった場合には、乗員も相当の疲労段階に達しており、生鮮食料品も不足を始める頃だ。入港・休養・補給を考慮する段階にある。
これも危険が危ないを強調しようとするあまり、現実と乖離してしまったものだ。逆に言えば海上保安庁法25条をいくら弄くっても、問題とできる事態がこの程度でしかないことも示しているものだ。
愛国商売はロクなものではない。危険が危ないを煽る方の頭の程度はともかくとしよう。何よりも情けないのは、この程度の話でもそのアラに気づかず、ウットリするネトウヨ層の頭の悪さである。
まあ、自称親日派の「台湾赤十字は信用できない」にも騙されるくらいだから子。
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