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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2016.03
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Category : 未分類
 高浜原発運転禁止の仮処分に読売産経が反発している。それだけ原発が大好きなのだろう。

 その主張はほぼ同じものだ。安全性は電力会社と原子力規制委員会を極めるもので裁判所は口を出すなといったものだ。さらに産経は運転禁止は電力料金の値下げに障ると述べている。


■ 信用できない電力会社

 だが電力会社以下の安全性保障はアテにならないことは明白になっている。大地震の経験は電力会社と原発屋はアテにはならないことを示している。この点で読売と産経が引っ張り出してきた1992年最高裁判決の頃とは判断の事情が変わっている。

 菅首相が一喝するまで電力会社は逃げ出そうとしていた。その当事者能力の低さは原発技術以前である。計画停電ひとつもマトモにできなかったことを思い出せばよいだろう。さらに原発屋は爆発が起きるまで水蒸気爆発は起き得ないといい、さらにメルトダウンは起きないともいった。規制委員会の親玉は電力会社から金をもらっている。まずはプロキシでしかない。

 しかも、トドメに寸前には起動に失敗している。肝腎の高浜4号機は再起動中に、しかも満を持して報道陣に公開した状況で緊急停止したのは1週間前のことだ。

 裁判所にも「こいつらダメだ」と見られて当然である。


■ 電力料金はリスク管理の失敗

 また電力料金の問題も、関西電力が自ら撒いた種である。火力水力とは異なり、原発は技術・政治的なリスクがある。関西電力のように過剰依存すれば原発停止時に二進も三進も行かなくなることはわかりきっている。ある意味で、液晶に入れ込んで沈んだシャープの経営と変わらない。

 産経の電力料金の主張は、リスク管理に失敗したのは関西電力であることを見ず、経営責任を司法になすりつけるものだ。

 そもそも、電力代の値下げができなくとも大過はない。原発政策やら過剰品質のせいもあって日本の電力はクソ高い。大口の需要家は自前で発電したほうが安いこと気づいておるので、関西電力の値下げに何も期待していない。家庭もKw1円2円の電力料金は大した影響もない。


■ 原発は淘汰される

 経済性が低い原発は動かせば動かすほど損をする。

 周辺技術も無駄に金を食っている。高速増殖炉やら核燃料サイクルに先はない。

 提灯持ちはとにかく安いという。毎年の核燃料リサイクルの費用と化石燃料の購入費を比較し、前者は1600億円、後者は3兆4千億円と言っている。静岡空港並みの電力会社・政府の甘々試算から原子力発電は安いのは本当とか、核燃料の再処理、最終処分、廃炉の費用まで込みで1600億と言い出している。

 だが、前者はカネかけた分の電力を作り出せていない。六ケ所の施設はいつできるかわからないし、運転同意のコンセンサスもできるかも分からない。イギリスでの再処理にしても、同量のウラン燃料と較べて価格差よりもまずは高いだろう。核不拡散の立場もあるのだろうが、米国は核燃料はワンウェイで使い捨てにしたほうが安いとしている。

 対して、化石燃料は買った分だけ電力になるし、放射性廃棄物の問題もない。そもそも、電力は無駄に高い燃料を買っている。冷戦後ロシアからガスなり、電力そのものを買えばよかったのだが蛇口論で邪魔をしたのも電力会社だった。

 今後、電力の自由化が進めば原発は淘汰される。

 まともな会社は原発に投資はしなくなる。太陽光等の自然エネルギーは今後大きく伸びる。これらは一度作れば耐用年数の限りは燃料代は要らない。それを見越せば、わざわざリスクもコストも高くなる原発の建設維持運転はしない。その間の端境期は天然ガスでも買ってきてGTぶん回せばいいと考えるためだ。


■ 自称理系もアテにならない

 だが、原発大好きな人々はそれを見えていない。もともと目が曇っている。

 福島での異変にしても、その異様は常人にもわかるものであった。確かに当時は具体的に何が起きているかは分からないだろう。だが、従来では考えられなかったことが起きているだろうことは推測できた。

 それを察せずに原発は安全と言っていた連中は、まずは何も見えていなかったということだ。それで「核物理学を知らずに騒いでる人の頭の方がお天気です。あ、福島原発は復旧の目処がつきましたよ。」とか「 馬鹿は黙ってろ。」というのもね。

 まあ、これは軍クラとやらだけではなく自称理系を誇る連中に共通していたけどね。あのあたりからSF作家とかも上辺の技術ばかり見ていて、扱っている電力会社の間抜けぶりを見抜けないのは不思議だと思ったよ。

 なんというか、60年代くらいまでによくいた計画経済の優位性を述べるけど、官僚機構の問題やらアニマルスピリットの不在を見抜けない御仁に似ているものだ。
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