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調査捕鯨には不利益しかない。
先の24日に調査捕鯨の船団が下関に帰投した。これは日本では「船団が帰ってきた」程度の小記事だが、海外のニュースサイトでは批判的に多く取り上げている。例えばBBCでも”Japanese whaling: why the hunts go on”としてとりあげられている。*
その中でも気になるのが、豪州ABCのニュースである。"Japanese whaling program details prompts calls for Australian Government to take stronger action"とある。題名からして調査捕鯨の不利益を示唆するものだ。**
豪州の不快感は総統なものである。政府の環境大臣の発言として
とある。「捕ってくれるなと言っているのに捕る。」「よりによって豪州がクジラの聖域として重視しているところで捕る」といったものだ。
調査捕鯨は、豪州の怒りを買う不利益を上回る利益はあるのだろうか?
まず、利益はない。
調査の意味もほとんどない。クジラが増えているということは、別に殺さなくとも分かる話だ。また、捕鯨で調べたところで捕鯨が再開できる見込みもない。
さらに、入手した鯨肉の価値も大したものでもない。333頭を捕獲したが、我先に欲しがっている様子もない。当節、牛豚羊の肉は有り余っている。一部の珍味的部位を除き、まずい鯨肉を食う必要もない。どうしても欲しければ金を払ってノルウェー人に捕鯨させればよい。そうすれば日本人はいまほどは恨まれない。
対して、豪州の悪感情を買う不利益は大きい。豪州は日本にとっては重要な友好国である。安価で高品質な鉄鉱石や石炭が入手でき、今後は天然ガスの輸入も増える。安全保障でもインドとは違いアテにできる相手である。さらに潜水艦を買ってくれそうな雰囲気もある。
極端な話、何の利益も生まず赤字垂れ流しの調査捕鯨よりも、潜水艦の輸出だけでも利益は大きい。
その点からすれば南氷洋での調査捕鯨はさっさとやめる。やりたければ日本の沿岸でやればいいということになる。
だが、捕鯨はナショナリズムと結びついている。調査捕鯨セクターとそれを利用する政治勢力にとっての利益となっている。
まずは、捕鯨セクターの利益のために、国家の利益が毀損されているということだ。
* Japanese whaling: why the hunts go on, BBC NEWS, (London,BBC,2016.3.25)
http://www.bbc.com/news/world-asia-35003272
** Japanese whaling program details prompts calls for Australian Government to take stronger action, ABC NEWS, (Sydney,ABC,2016.3.25)
http://www.abc.net.au/news/2016-03-25/calls-for-australia-to-take-action-against-japanese-whalers/7276788
先の24日に調査捕鯨の船団が下関に帰投した。これは日本では「船団が帰ってきた」程度の小記事だが、海外のニュースサイトでは批判的に多く取り上げている。例えばBBCでも”Japanese whaling: why the hunts go on”としてとりあげられている。*
その中でも気になるのが、豪州ABCのニュースである。"Japanese whaling program details prompts calls for Australian Government to take stronger action"とある。題名からして調査捕鯨の不利益を示唆するものだ。**
豪州の不快感は総統なものである。政府の環境大臣の発言として
"The Australian Government strongly opposed Japan's decision to resume whaling in the Southern Ocean this past summer," he said.[中略]Japan does not know where nor would it recognise Australia's so-called 'whale sanctuary'."
Japanese whaling program details prompts calls for Australian Government to take stronger action
とある。「捕ってくれるなと言っているのに捕る。」「よりによって豪州がクジラの聖域として重視しているところで捕る」といったものだ。
調査捕鯨は、豪州の怒りを買う不利益を上回る利益はあるのだろうか?
まず、利益はない。
調査の意味もほとんどない。クジラが増えているということは、別に殺さなくとも分かる話だ。また、捕鯨で調べたところで捕鯨が再開できる見込みもない。
さらに、入手した鯨肉の価値も大したものでもない。333頭を捕獲したが、我先に欲しがっている様子もない。当節、牛豚羊の肉は有り余っている。一部の珍味的部位を除き、まずい鯨肉を食う必要もない。どうしても欲しければ金を払ってノルウェー人に捕鯨させればよい。そうすれば日本人はいまほどは恨まれない。
対して、豪州の悪感情を買う不利益は大きい。豪州は日本にとっては重要な友好国である。安価で高品質な鉄鉱石や石炭が入手でき、今後は天然ガスの輸入も増える。安全保障でもインドとは違いアテにできる相手である。さらに潜水艦を買ってくれそうな雰囲気もある。
極端な話、何の利益も生まず赤字垂れ流しの調査捕鯨よりも、潜水艦の輸出だけでも利益は大きい。
その点からすれば南氷洋での調査捕鯨はさっさとやめる。やりたければ日本の沿岸でやればいいということになる。
だが、捕鯨はナショナリズムと結びついている。調査捕鯨セクターとそれを利用する政治勢力にとっての利益となっている。
まずは、捕鯨セクターの利益のために、国家の利益が毀損されているということだ。
* Japanese whaling: why the hunts go on, BBC NEWS, (London,BBC,2016.3.25)
http://www.bbc.com/news/world-asia-35003272
** Japanese whaling program details prompts calls for Australian Government to take stronger action, ABC NEWS, (Sydney,ABC,2016.3.25)
http://www.abc.net.au/news/2016-03-25/calls-for-australia-to-take-action-against-japanese-whalers/7276788
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