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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2016.04
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Category : 未分類
 「ゲームで軍艦旗が使えない」「反日だ」と文句をいってどうなるものでもない。「嫌ならやるな」で終わる話だ。

 『水交』(旧日本海軍の士官の親睦会、水交会の会誌)に「ここまでやるのか嫌日運動 -旭日旗を巡るある騒動について」(この本文中では著者名は秘す)といったゲームについての記事があるが、まずは件の歴史戦の一人相撲をでるものではない。

■ 憤るだけで改善策なし

 記事の骨子は 「ロシアの軍艦ゲームで日本軍艦が軍艦旗を使えず、艦尾や戦闘旗が日章旗になる、これは韓国の反日運動だ」と憤るものだ。

 だが、たかがゲームでの旗の表記に難癖つけて憤れるのが不思議である。

 まず、商売的判断に反日と責める点、焦点がおかしい。ゲーム屋も商売である。歴史的に旭日旗に拒絶感を持つ地域で商売するに「そうするべき」と考えただけだ。フランスにメッシャーシュミットのプラモデルを輸出するとき、ハーケンクロイツを鉄十字に変えるといった配慮の域をでるものではない。それを殊更に反日といってどうするのだろうか?

 また、ゲームでの軍艦のモデリングだけに史実を求める姿勢もおかしい。『水交』記事の筆者は「ゲームの方針である『史実に忠実にそぐわない』」と言っている。だが、第二次世界大戦の時の軍艦が至近距離でタイマンを貼るゲームが史実だろうか? そこで軍艦の形、旗がかつての日本軍艦と違うといってもあまり意味はない話である。

 なによりも、憤るだけで終わっている。記事は「韓国が悪い、ゲーム屋が悪い」に終止している。韓国側の主張と、ゲーム屋による日章旗化について、記事は「反日キャンペーンの一つの実績として喧伝していることにもなるだろう」と述べているが、本筋に対する反論はどこにもない。

 憤りで終わり、問題の改善にも全く資していない。本来なら、「軍艦旗と日本軍国主義は別であると主張すべき」とか「アジア侵略と決別した日本の自衛隊によって長年使われ、世界中に受け入れられている事実を宣伝すべき」くらいは書くものだが、それは全く無い。


■ 嫌ならやらなければいいといわれるだけ

 そもそも、商売づくの判断に食って掛かって相手にされると思っているのだろうか? このあたりも一人相撲を窺わせるものだ。

 ゲーム屋は商売づくである。韓国やそれに似た立場の国、中国やシンガポール、フィリピン、マレーシア、タイでの反日感情を躱そうと工夫をした。同時に日本市場も失わないようにするために日章旗にした。それで問題は厄介払いできるし、それ以上の文句は知らぬ存ぜぬで済まそうと判断したものだ。

 それに不満をもって「日本人に不公平」と言い出しても「嫌ならゲームやらなければいいだろう」と言われるだけの話だ。傍目に見てもそのようにしか見えない。

 所詮はピコピコの話にすぎない。士大夫はそんなことには関わりにはならないものだ。そこに「反日」やら「中韓の策動」といいだし、一人相撲で奮闘したところで恥をさらすだけに終わる。

 この点も産経のやっている歴史戦と変わらない。まず兵役経験無しが感情的になって軍隊擁護をする点でも歴史戦に似ている。記事筆者はおそらく従軍経験はない。末尾に出身期別等がないことと、基本は若手がやるゲームの話なので一般会員の投稿だろう。

 そして現実的な利益も得られないところも、歴史戦そっくりである。結局は、映画やアニメやゲームやら模型での描写の範囲で、軍艦の尊厳とか持ち出したものにすぎない。それで何かの現実的利益が失われたわけでもないし、何かを達成しても現実的利益が得られるわけでもない。

 いずれオウンゴールをするのではないかといったところも、歴史戦を踏襲するだろう。兵隊行ったことのない人が日本軍隊の名誉とか言い出して、軍隊のやらかしたことアクロバット擁護し、傷口に塩を塗り込めることで日本軍隊の名声をさらに落としてしまっている。それと似たようなことになるのではないかと心配するものだ。



   岡野裕「ここまでやるのか嫌日運動 -旭日旗を巡るある騒動について」『水交』2016新春号(水交会,2016.1)pp.68-69.
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