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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2016.04
29
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14:09
Category : 未分類
 佐藤正久さんは、実際には起きてもいない「中国による領空侵犯は激増」を紹介している。

 これは佐藤さんのブログ「退役将官に聞く、日本の国防」* でのものだ。

佐藤正久さんは領空侵犯を理解していない
佐藤が事務局長を務める自民党国防議員連盟主催の勉強会が開催された。[中略]講師は、熊本を拠点とする西部方面総監を経験した宮下寿広氏。中国の拡張主義には長年、人一倍の注意を払ってきた。わずか3年前に退官したにも関わらず、現役時代と比べても現在の中国による領空侵犯は激増している[赤字部は文谷]という。
「退役将官に聞く、日本の国防」
http://ameblo.jp/satomasahisa/entry-12154772220.html



■ 領空侵犯とスクランブルの混同

 だが、「中国による領空侵犯は激増し」た例はない。

 そもそも、中国による領空侵犯そのものの実例がないといってよい。日本政府の立場としては12年の一件だけであるが、これは係争地帯の尖閣上空通過である。機体も政府機関には属するが、軍隊に属さない非武装の輸送機によるものである。

 あっても1件切りであった領空侵犯が、この3年間で激増したとする主張はどのようなものか?**

 強いて言えば、スクランブルは増えただろう。

 だが、これは日中中間線の向こうにまで広がる日本防空識別圏に入っただけの話だ。そこで南東に移動する機体を確認したものにすぎない。

 もちろんそれなりの数は琉球列島線を通過し太平洋に進出しただろう。

 しかし、その機体は全て公海部上空を通過しており、日本領空に侵入していない。これは領空侵犯事件が起きていないことからも明らかである。

 ある意味、平穏に日本近傍を通過した証拠でもあり非難するには及ばないものだ。


■ 無知あるいは承知の上か

 それであるのに、佐藤さんが「中国による領空侵犯は激増し」た内容記事をを上げたのは何故か?

 考えられるのは、無知あるいは承知の上といったものだ。

 まずは、佐藤さん本人(スタッフを含め)が無知であるため、領空侵犯とおそらくスクランブルの区別がついていないといった可能性だ。

 だが、それは考え難い。安全保障を表芸にしている以上、その辺りの混同には注意を払うはずであるためだ。流石に「熊本大震災にも領空侵犯でスクランブル多数」といい出すネトウヨほどに無知であるはずはない。

 おそらくは、承知尽くなのだろう。宮下寿広の発言だから、佐藤さんは自分は責任は負わないで済むといったものだ。

 「西部方面総監を経験した宮下寿広」さんは当然陸である。領空侵犯とスクランブルの差は聞いたことがあっても、注意は払っていない。そしてライト・イズ・ライトの発想から自分で考えず「中国の脅威を煽ればいい」と思い込みから「中国による領空侵犯は激増し」たと述べた。

 佐藤さんはそれを奇貨として利用したものに見える。「将官がそう言っている」と掲示した上で
 佐藤としては、我が国の領域が日常的に侵されている現実は非常に深刻であるとの問題意識を、世論のみならず国会議員の同僚たちにも共有してもらいたいと考えている。(赤字部は文谷)
同上

と述べ、権威に弱く頭も弱い支持者、「熊本大震災にも領空侵犯でスクランブル多数」といいだすネトウヨ層に媚びようとしている。そう見えるものだ。

 まあ、そこに集まって「中国による領空侵犯は激増し」たことを聞かされて苦笑いもしない自民党国防議員連盟もどんなものかとも思うし、そのような内容のために「インターネット 佐藤学校」に本入校して金払う連中もおめでたいと思うけどね。



*   佐藤正久「退役将官に聞く、日本の国防」『佐藤正久オフィシャルブログ』(2016.4.28)http://ameblo.jp/satomasahisa/entry-12154772220.html

**   同様に中国艦船の領海内への進入も、尖閣でのゲームを除けば2004年の潜水艦1件切りだけであり、しかも海自に防遏されている。
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2016.04
29
CM:2
TB:0
01:29
Category : 未分類
■ SM-6を空中発射すればAWACSが殺せるのではないか

 AWACSにSM-6を積むと面白いのではないか。「AWACSキラーとして運用」とでも書いて積んどけば、中国AWACSは対日線であまり前にでられないのではないかね。

 搭載発射は難しくない。昔、米国はSM-1ミサイルを対レーダ用として戦闘機や攻撃機に積んだ例もある。それを発展させた空対空型のシークバットの計画もあった。SM-6の搭載発射には特段の困難はない。

 SM-6そのものをAWACSで誘導することも難しくない。今でもE-2Dで誘導できる見込がある。それよりもAWACSは偉く大きいので、同じ誘導システムを積めば別段の問題はない。

 その射程は、おそらくAWACSの探知距離をカバーできる。SM-6は水上発射で250kmから400kmの有効射程があるとされる。飛行機で高いところから発射すれば多少は射程も伸びる。射程600kmとすれば、日本AWACS(高度8000m)から中華AWACS(高度8000m)がほぼ見通しとなる距離でなる。

 AWACSの探知も難しくもない。同じ所をぐるぐる回ったり、往復していればおそらくそれ。加えて、相手のレーダー波をES探知できればそれだ。

 SM-6を搭載しておいて、それに向かってぶっ放せばどうかね?

 もちろん、600kmの例では、中国側が早期探知すれば急降下で水平線の下に逃げられる可能性がある。

 だが、450kmくらいで日本側がヨリ高い高度を取ったら、まず逃げられないだろうけど。

 もちろん、搭載機は別にF-15でもF-2でもよい。だが、自分で目標を見分けられるわけでもないし、自機で誘導するのも大変だろう。それならAWACSに直積みしたほうがよい。


■ Mig-25がダッシュしてきても逃げきれる

 発射母体のAWACSについては、まずは安全だろう。450kmも離れていれば、中国AWACSの護衛機が突っ込んできても逃げきれるためだ。

 仮に、Su-27が護衛機についており、中華AWACSから100km日本側にいたとしよう。

 だが、日本のAWACSを射点に収められるかは怪しい。仮にSu-27でマッハ2、雑に秒速600mで突っ込んでくるとする。だが、日本側AWACSが静止していてもアムラームスキーの射程(仮に100km、ただし搭載状態でマッハ2でるかは知らない)に収めるまでには400秒はかかる。日本側が秒速200m(400ノット)で逃げれば、射程におさめるまで600秒かかる。アフターバーナーは燃料をどか食いするので、おそらく燃料は持たない。

 SM-6とAWACSが射程600kmを実現すれば、Mig-25がマッハ3でダッシュしてきても大丈夫だろう。冷戦期、開戦初頭にライン河上空のE-3に対し、東西ドイツ境界付近のMig-25がダッシュしてくるのではないかといった話があった。距離200kmなのでそれは可能だっただろう。だが、AWACS間で600km離れ、MIG-25が日本側に100kmにいて、マッハ3で飛んできても射点に収めるまでやはり400秒、日本が逃げれば570秒かかる。

 もちろん、SM-6で返り討ちにしてもいい。仮に中国がAWACS殺しといわれたAA-13を買っても、たぶんAM-6のほうが射程が長いのでアウトレンジできるだろう。


■ Y-8Qは「なぶり殺しにされる」と考えるだろう

 もちろん「中国AWACSを落とすぜ」以外の脅し方もある。より弱いものいじめ的に使うとすれば、中国哨戒機キラーとして見せつける使いみちもある。

 例えば、P-3やP-1に積んで「Y-8Qを落とす」というものだ。戦時にバシーを迂回して太平洋に入ろうとしても、日本哨戒機がそれを待ち構えているのではないかと不安にさせるやり方である。

 問題は、哨戒機が哨戒機を遠距離探知できるかと、遠距離探知した目標がY-8Qを識別でき、旅客機ではないと確信できる方法がないことだ。

 だが、それは些細な問題にすぎない。ES探知でそれができるとでも嘯いておけば、あまりバシー迂回での太平洋進入に積極的とはなれないだろう。

 実際は、見える距離まで行って確認して、サイドワインダーの-9Xなりアムラームで攻撃すればいいんだけどね。



 まあ、その時は中国も「あたるどうかは知らないけど、日米のAWACSやMPAがビビるだろう」と同じようにHQ-9あたりをKJ-2000やY-8Qに積むような気もするけどね