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海上プラットホームにミサイルを配置したからといって、どうなるというのだろうか?
桜井よしこさんが「『東シナ海は危機。もう日本に猶予はない』と櫻井よしこ氏」 の中で主張していることだ。
だが、採掘リグの上にミサイルをおいたところで何も利益はない。
置いた所で採掘リグが日本の行動が掣肘されるわけでもないし、自然島にも岩礁にもなるわけでもない、。
監視飛行を毎日繰り返している海自哨戒機はそれまで通りである。海自は採掘リグの上のミサイルどころではない軍艦相手にも同じように監視している。大砲を指向されても別段に対応レベルを下げるわけでもない。
人工物に武装を施したところで、中国の領土主張が強固になるわけでもない。そもそも採掘リグは日本主張の日中中間線を守った位置にある。南シナ海で中台越比がしているようにEEZを切り取ろうとするものでもない。
また、軍事的にも大した利益があるでもない。桜井さんが「数か月以内に」「配備する」と言い出しているミサイルが対空ミサイルか対艦ミサイルかはしらない。だが、場所も分かっており移動もできず、隠蔽も分散も地中化もできない状態においてもさほどの意味はない。仮に戦争になっても最初に無力化されて終わる。
■ 不思議な海上輸送理解
この記事では、桜井さんは他にも不思議な主張をしている。
南シナ海についての主張もオカしい。
まず、南沙・西沙・中沙の分割競争とマラッカ海峡といった別物をリンクさせている。当たり前だが、マラッカは係争地域に含まれない。
また、マラッカ依存はむしろ中国にとってのアキレス腱である。日本は70年代から不通時にはロンボク経由すればいいと程度の考えであり、さほどに死活的とは考えていない。だが、中国はミャンマーからのパイプライン振替の準備を済ませている。どちらにとって深刻な問題であるかがわかるだろう。
さらに言えば、南シナ海の海上輸送が止まると中国経済は死ぬ。海外輸出の中核、最大の成長エンジンである華南経済圏が窒息するためだ。珠江デルタから北米・欧州への輸出ができなくなり、同様に中東や豪州からの輸入も止まる。どう考えても中国に損でしかない。
なによりEEZの分割競争と航行の自由を混同している。南沙問題以下はあくまでもEEZの分割競争である。それにより航行の自由は阻害されていない。もちろん中国領土主張にはヘンなところがあり、日米相手に「EEZ相当部にも中国管理権が及ぶ」と言い出すこともあるが、東シナ海ADIZでそうであったように日米に行使されたことはない。
■ 泥沼の南シナ海から足抜けできない
そして東シナ海での対立状況の把握も不思議である。
桜井さんは中国が東シナ海でも強く出てくる、日本との領土問題も南沙同様に振る舞うと主張している。
だが中国は実質、南シナ海で手一杯である。
その中国が東シナ海で冒険行為をするだろうか? しかも相手は海軍力で圧倒できない日本である。
「日本の防衛能力で尖閣諸島や東シナ海を守り切れるのか。」(桜井)とも述べているが、逆に中国の政治力・海軍力で尖閣諸島を実効支配下におけるのか、そのような判断をするのだろうか? といった疑問も浮かぶだろう。
もちろん、中国は上陸程度はできるだろう。だが、それをすると日本との衝突を覚悟しなければならない。島へのアクセスを妨害されるため、その利用はできない。また日本との対立の長期化を考えればあまり意味のある話ではない。
■ かつてはベトナムが南シナ海脅威であった
以上のとおり桜井さんの主張に現実味はない。結局は確信と宿命感による中国脅威論である。
内実は国難カルトと同じである。確かに主張には軍事や国際情勢といったトッピングを施しているがそれだけだ。現実的にミサイルを積むとか、海上輸送を止めるとか、東シナ海で冒険主義にでるといった見通しがあるわけでもない。これらは「アタイの考えた日本亡国」でしかない。
さらに言えば、日本の宿敵を中国とするのも時流に乗ったものでしかない。桜井さんや、その他の国難系主張の御仁は「中国人は不倶戴天の敵」「いつかは日本に攻めてくる」という。
だが、彼らの宿敵はコロコロ変わる。長期的に見えば、冷戦時代の敵はソ連であったし、戦前は米国であり、さらに明治初期は欧州帝国主義であった。桜井さんの主張をみても、中国脅威論が盛り上がる前は北朝鮮脅威論をメインであった。
まずは、その時の流行に迎合しているだけだということだ。
今回の南シナ海についても、30年前はベトナムが脅威であった。もし、カムラン湾のソ連太平洋艦隊が暴れたらといった想定である。仮にその頃に桜井さんがネトウヨ迎合活動をしていたとすれば
とでも述べただろう。
さらに「カーター大統領が消極的なことが世界を不安にしています」「日本もアジアの国々も、ベトナムと1対1で対峙するのはもはや不可能です。」だから「中華人民共和国との連携を深めていくことが必要です。」と言っただろうね。
まあ、彼らの宿敵感覚はその程度で、始終ひっくり返る。時期に中国の次の宿敵を探すだろう。おそらくインドあたりかね。
桜井よしこさんが「『東シナ海は危機。もう日本に猶予はない』と櫻井よしこ氏」 の中で主張していることだ。
今が千載一遇のチャンスと考えている中国が、南シナ海同様、今後数か月以内に東シナ海の海上プラットホームにもミサイル発射装置を配備するなど、“次の一手”に打って出る可能性は十分にあると思います。
http://www.news-postseven.com/archives/20160528_410771.html
だが、採掘リグの上にミサイルをおいたところで何も利益はない。
置いた所で採掘リグが日本の行動が掣肘されるわけでもないし、自然島にも岩礁にもなるわけでもない、。
監視飛行を毎日繰り返している海自哨戒機はそれまで通りである。海自は採掘リグの上のミサイルどころではない軍艦相手にも同じように監視している。大砲を指向されても別段に対応レベルを下げるわけでもない。
人工物に武装を施したところで、中国の領土主張が強固になるわけでもない。そもそも採掘リグは日本主張の日中中間線を守った位置にある。南シナ海で中台越比がしているようにEEZを切り取ろうとするものでもない。
また、軍事的にも大した利益があるでもない。桜井さんが「数か月以内に」「配備する」と言い出しているミサイルが対空ミサイルか対艦ミサイルかはしらない。だが、場所も分かっており移動もできず、隠蔽も分散も地中化もできない状態においてもさほどの意味はない。仮に戦争になっても最初に無力化されて終わる。
■ 不思議な海上輸送理解
この記事では、桜井さんは他にも不思議な主張をしている。
南シナ海についての主張もオカしい。
日本は今のうちから、南シナ海が[中国に]完全に奪われた後のシミュレーションを行っておく必要があります。マラッカ海峡が閉鎖されて中東の石油が入ってこなくなった時にどうすべきか。本当に大変な状況になりつつあるのです。
http://www.news-postseven.com/archives/20160528_410771.html<
まず、南沙・西沙・中沙の分割競争とマラッカ海峡といった別物をリンクさせている。当たり前だが、マラッカは係争地域に含まれない。
また、マラッカ依存はむしろ中国にとってのアキレス腱である。日本は70年代から不通時にはロンボク経由すればいいと程度の考えであり、さほどに死活的とは考えていない。だが、中国はミャンマーからのパイプライン振替の準備を済ませている。どちらにとって深刻な問題であるかがわかるだろう。
さらに言えば、南シナ海の海上輸送が止まると中国経済は死ぬ。海外輸出の中核、最大の成長エンジンである華南経済圏が窒息するためだ。珠江デルタから北米・欧州への輸出ができなくなり、同様に中東や豪州からの輸入も止まる。どう考えても中国に損でしかない。
なによりEEZの分割競争と航行の自由を混同している。南沙問題以下はあくまでもEEZの分割競争である。それにより航行の自由は阻害されていない。もちろん中国領土主張にはヘンなところがあり、日米相手に「EEZ相当部にも中国管理権が及ぶ」と言い出すこともあるが、東シナ海ADIZでそうであったように日米に行使されたことはない。
■ 泥沼の南シナ海から足抜けできない
そして東シナ海での対立状況の把握も不思議である。
桜井さんは中国が東シナ海でも強く出てくる、日本との領土問題も南沙同様に振る舞うと主張している。
南シナ海で起きることは、東シナ海でも起きると覚悟しておかなければなりませんから、日本は何としてでも米国と緊密に協力し合いながら、中国の南シナ海、東シナ海における支配を許さないよう、強い抑止力を構築していかなければなりません。中国がしていることに注目して、勝手な行動を許さない態勢を作らなければ、大変なことになります。
http://www.news-postseven.com/archives/20160528_410771.html<
だが中国は実質、南シナ海で手一杯である。
その中国が東シナ海で冒険行為をするだろうか? しかも相手は海軍力で圧倒できない日本である。
「日本の防衛能力で尖閣諸島や東シナ海を守り切れるのか。」(桜井)とも述べているが、逆に中国の政治力・海軍力で尖閣諸島を実効支配下におけるのか、そのような判断をするのだろうか? といった疑問も浮かぶだろう。
もちろん、中国は上陸程度はできるだろう。だが、それをすると日本との衝突を覚悟しなければならない。島へのアクセスを妨害されるため、その利用はできない。また日本との対立の長期化を考えればあまり意味のある話ではない。
■ かつてはベトナムが南シナ海脅威であった
以上のとおり桜井さんの主張に現実味はない。結局は確信と宿命感による中国脅威論である。
内実は国難カルトと同じである。確かに主張には軍事や国際情勢といったトッピングを施しているがそれだけだ。現実的にミサイルを積むとか、海上輸送を止めるとか、東シナ海で冒険主義にでるといった見通しがあるわけでもない。これらは「アタイの考えた日本亡国」でしかない。
さらに言えば、日本の宿敵を中国とするのも時流に乗ったものでしかない。桜井さんや、その他の国難系主張の御仁は「中国人は不倶戴天の敵」「いつかは日本に攻めてくる」という。
だが、彼らの宿敵はコロコロ変わる。長期的に見えば、冷戦時代の敵はソ連であったし、戦前は米国であり、さらに明治初期は欧州帝国主義であった。桜井さんの主張をみても、中国脅威論が盛り上がる前は北朝鮮脅威論をメインであった。
まずは、その時の流行に迎合しているだけだということだ。
今回の南シナ海についても、30年前はベトナムが脅威であった。もし、カムラン湾のソ連太平洋艦隊が暴れたらといった想定である。仮にその頃に桜井さんがネトウヨ迎合活動をしていたとすれば
日本は今のうちから、南シナ海が完全に奪われた後のシミュレーションを行っておく必要があります。マラッカ海峡が閉鎖されて中東の石油が入ってこなくなった時にどうすべきか。本当に大変な状況になりつつあるのです。
とでも述べただろう。
さらに「カーター大統領が消極的なことが世界を不安にしています」「日本もアジアの国々も、ベトナムと1対1で対峙するのはもはや不可能です。」だから「中華人民共和国との連携を深めていくことが必要です。」と言っただろうね。
まあ、彼らの宿敵感覚はその程度で、始終ひっくり返る。時期に中国の次の宿敵を探すだろう。おそらくインドあたりかね。
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原理的な制約が大きなOTHレーダ(超水平線レーダ)で、空母機動部隊を探知できるのだろうか?
北村淳さんが中国のOTHレーダに言及している。JBPRESS「今年の「中国軍事レポート」はどこが不十分なのか」において、中国OTHレーダの能力を高目に評価するものだ。
だが、OTHレーダでの水上艦船探知は難しく、しかも米空母機動部隊とそれ以外の識別はまず不可能である。
■ 目標探知は原理的に困難
まず、中国が使う電離層反射型のレーダは水上目標を上手く探知できない。
OTHレーダには短波による電離層利用型と長波による表面波利用型がある。後者はいいところ100~200km程度しか探知できないため、今回話題となる長距離用の探知手段は前者となる。
だが、探知できる目標は航空機、つまりある程度の高度差をもち、高速移動する目標に限定される。地表・海面反射との距離差分が大きく、しかも高速移動やエンジンのタービン反射波でドップラーシフトが発生する目標である。そこに艦船は含まれない。もちろん、空母も電波を反射はするが、海面との距離差は小さく分離し難い。
この改善は難しい。基本的に帯域幅拡大やFM変調を使っても解決しない。電離層反射が期待できる3-30MhZ程度と周波数帯が狭いため、帯域拡大には限界がある。FM変調にしても、マルチパスの集積により日常的にフェージング(残響のようなもの)が発生するため、やはり艦船反射波を拾い出すことは難しい。
強いて言えば、力任せの大出力化でどうこうすることは可能だろう。
だが、それでも米空母機動部隊は探知できない。空母とそれ以外を類識別できないためだ。
■ 探知目標が何かわからない
OTHレーダーでは、探知目標が何であるかわからない。わかるのはある程度の距離と大雑把な方位と、信号の強弱だけである。
簡単な話、似たような信号強度を持つ反応と空母機動部隊の区別ができない。沿岸から流れだしたレーダ・リフレクタ付きのブイや、独行する鉄鉱石バルクやタンカーと空母の区別はつかない。距離・方位が相当に大雑把なため、移動速度も測定できないためだ。
もちろん、自分の方向に向かって飛んで来る飛行機位はわかる。自然状態ではありえない速度で距離が変化するためだ。
だが、使えるのは警報装置程度でしかない。何かが飛んで来るから警戒せよといったものだ。実際に作られたOTHレーダもそのようなものだ。ソ連はレーダ網を整備できなかった北極・シベリア・極東方面にOTHレーダを運用した。米国もソ連本土方面を長距離探知し、航空機の活動水準だけでもつかめればとOTHを運用した。日本も自国AEW覆域の向こうから突っ込んでくるソ連機がいるかどうかを掴むためだけに硫黄島にOTHを作ろうともした。
だが、その敵が何かはわからない。そもそも敵かどうかも分からないのである。
これも対艦弾道弾の運用に耐えるものではない。わからないので牽制的にケチケチぶち込めば、米空母機動部隊にBMDされるだろうし、とりあえず一八勝負でブチ込むと大外れの可能性も大きい。
■ 目標の距離も方位も怪しい
さらに、目標の距離も方位もよくわからない。そのような目標に高価で数が限られる対艦弾道弾を釣瓶撃ちできるかと言った問題もある。
まず、OTHレーダの距離分解能やその安定性も低い。電波は電離層と地表反射を繰り返すため、最短距離で戻ってきたパルスの往復時間を光速で割っても目標までの距離は出ない。反射波の経路を推測することである程度の距離はでるが、推測でしかない。そもそも電離層の状況(高度等)はその日その時に変わるのである。
海の中に一個だけ島、まずは火山島があってその反射波と比較できればよいのだろう。だが、中国OTHレーダーの環境はそうではない。サイド・ローブがフィリピンや九州を拾うため、おそらくそれはできない。
さらに方位分解能もあまり期待できない。
反射波が強力であれば、到来時間差から電波の到来方位自体は分かる。HFDFのように複数局でそれをフィックスすれば推定位置は出る。
だが、OTHレーダの艦船反射波は不明瞭であり拾えるかどうか分からず、しかもパルス到達時刻も多少伸び縮みする。華中から発信されたOTHレーダの受信局が東北と華南にあったとしても、見つけたエコーが同じ目標であるかどうかはイマイチわからない。
■ 簡単に妨害される
そして、OTHのレーダは容易に妨害される。もともと使える周波数帯は狭い。極端な話、3-30MHz帯全部でジャミングを欠けることは容易である。もちろんそれでは他国に迷惑がかかるからと、相手の発振周波数・繰り返し周波数、パルス幅、FM変調に合わせたジャミングも容易である。なにしろ所詮は短波でしかない。
さらに、チャフを撒いたらそれっきりとなる。既述の通り艦船エコーは探知しがたく、類識別も距離も目標もあやふやである。仮に米軍が九州からグアムあたりにC-2を飛ばし、高度3000mくらいで貨物室から甕に積んだチャフを柄杓で巻いていればOTHレーダはまったくアテにならなくなるだろう。あるいは25m-2.5mのコイルでも積んだ風船ボートでも複数流せば終りとなる。
■ OTHはアテにならない
つまり、対艦弾道弾の捜索機能としてOTHはアテにならないということだ。本当なら哨戒機を使うべきであるし、それができないなら光学・レーダ(海面高度差を見るやつ)の衛星や、潜水艦やバレれば保護を失うが民間航空機、民間船、ヒューミント、ESをつかったほうがよい。
この点が北村淳さんの記事にある瑕疵だろう。JBPRESSの安全保障セクターは「防衛超大事」を強調する立場にあり、中国脅威論を煽る傾向がある。その媒体に合わせ「OTHヤバイ」を強調した結果、そうなってしまったというものだ。
もちろん「米国でそういう話があるよ」といった形であるため、判断の正誤は問えるものではない。そもそも、大元となった『中国軍事レポート』はかつてのソビエト・ミリタリー・パワー同様、国防総省の省益確保のために脅威を高めに振っている。さらに「米国のシンクタンクや米軍関係の対中戦略家」(北村)も中国脅威論で衣食しているのでそれ以上に誇張している。
だがOTHで水上艦隊探知は、ない。そういうことだ。
なお、北村さんの記事についていつも断っていることだが、北村さんの記事は読む価値がある記事である。その点、国難を振り回す桜井よしこさんや井上和彦さん、防衛産業のプロキシでしかない桜林美佐さんといった皆さんの頭の弱いネトウヨ向け記事とは異なっている。「安全保障大事」「中国ヤバイ」が強すぎる嫌いはあるが、新発見も読み応えもある記事である。
北村淳さんが中国のOTHレーダに言及している。JBPRESS「今年の「中国軍事レポート」はどこが不十分なのか」において、中国OTHレーダの能力を高目に評価するものだ。
[中国の対艦弾道弾には]水平線のはるか彼方の攻撃目標を探知し誘導するための衛星測位システムと超水平線(OTH)レーダーが必要となる。[中略]人民解放軍のOTHレーダーの技術的進展は、レーダーシステム自身だけでなく偵察衛星などの関連システムを含めて、目覚しいものがあると米軍情報関係者たちは分析している。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46933?page=2
そして米海軍情報局やシンクタンク関係者たちは、このような長射程での、しかも移動する小型目標を捕捉しDF-26の弾頭を誘導するための各種衛星群、ならびにOTHレーダーシステムの改良も飛躍的に進んでいると分析している。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46933?page=3
だが、OTHレーダでの水上艦船探知は難しく、しかも米空母機動部隊とそれ以外の識別はまず不可能である。
■ 目標探知は原理的に困難
まず、中国が使う電離層反射型のレーダは水上目標を上手く探知できない。
OTHレーダには短波による電離層利用型と長波による表面波利用型がある。後者はいいところ100~200km程度しか探知できないため、今回話題となる長距離用の探知手段は前者となる。
だが、探知できる目標は航空機、つまりある程度の高度差をもち、高速移動する目標に限定される。地表・海面反射との距離差分が大きく、しかも高速移動やエンジンのタービン反射波でドップラーシフトが発生する目標である。そこに艦船は含まれない。もちろん、空母も電波を反射はするが、海面との距離差は小さく分離し難い。
この改善は難しい。基本的に帯域幅拡大やFM変調を使っても解決しない。電離層反射が期待できる3-30MhZ程度と周波数帯が狭いため、帯域拡大には限界がある。FM変調にしても、マルチパスの集積により日常的にフェージング(残響のようなもの)が発生するため、やはり艦船反射波を拾い出すことは難しい。
強いて言えば、力任せの大出力化でどうこうすることは可能だろう。
だが、それでも米空母機動部隊は探知できない。空母とそれ以外を類識別できないためだ。
■ 探知目標が何かわからない
OTHレーダーでは、探知目標が何であるかわからない。わかるのはある程度の距離と大雑把な方位と、信号の強弱だけである。
簡単な話、似たような信号強度を持つ反応と空母機動部隊の区別ができない。沿岸から流れだしたレーダ・リフレクタ付きのブイや、独行する鉄鉱石バルクやタンカーと空母の区別はつかない。距離・方位が相当に大雑把なため、移動速度も測定できないためだ。
もちろん、自分の方向に向かって飛んで来る飛行機位はわかる。自然状態ではありえない速度で距離が変化するためだ。
だが、使えるのは警報装置程度でしかない。何かが飛んで来るから警戒せよといったものだ。実際に作られたOTHレーダもそのようなものだ。ソ連はレーダ網を整備できなかった北極・シベリア・極東方面にOTHレーダを運用した。米国もソ連本土方面を長距離探知し、航空機の活動水準だけでもつかめればとOTHを運用した。日本も自国AEW覆域の向こうから突っ込んでくるソ連機がいるかどうかを掴むためだけに硫黄島にOTHを作ろうともした。
だが、その敵が何かはわからない。そもそも敵かどうかも分からないのである。
これも対艦弾道弾の運用に耐えるものではない。わからないので牽制的にケチケチぶち込めば、米空母機動部隊にBMDされるだろうし、とりあえず一八勝負でブチ込むと大外れの可能性も大きい。
■ 目標の距離も方位も怪しい
さらに、目標の距離も方位もよくわからない。そのような目標に高価で数が限られる対艦弾道弾を釣瓶撃ちできるかと言った問題もある。
まず、OTHレーダの距離分解能やその安定性も低い。電波は電離層と地表反射を繰り返すため、最短距離で戻ってきたパルスの往復時間を光速で割っても目標までの距離は出ない。反射波の経路を推測することである程度の距離はでるが、推測でしかない。そもそも電離層の状況(高度等)はその日その時に変わるのである。
海の中に一個だけ島、まずは火山島があってその反射波と比較できればよいのだろう。だが、中国OTHレーダーの環境はそうではない。サイド・ローブがフィリピンや九州を拾うため、おそらくそれはできない。
さらに方位分解能もあまり期待できない。
反射波が強力であれば、到来時間差から電波の到来方位自体は分かる。HFDFのように複数局でそれをフィックスすれば推定位置は出る。
だが、OTHレーダの艦船反射波は不明瞭であり拾えるかどうか分からず、しかもパルス到達時刻も多少伸び縮みする。華中から発信されたOTHレーダの受信局が東北と華南にあったとしても、見つけたエコーが同じ目標であるかどうかはイマイチわからない。
■ 簡単に妨害される
そして、OTHのレーダは容易に妨害される。もともと使える周波数帯は狭い。極端な話、3-30MHz帯全部でジャミングを欠けることは容易である。もちろんそれでは他国に迷惑がかかるからと、相手の発振周波数・繰り返し周波数、パルス幅、FM変調に合わせたジャミングも容易である。なにしろ所詮は短波でしかない。
さらに、チャフを撒いたらそれっきりとなる。既述の通り艦船エコーは探知しがたく、類識別も距離も目標もあやふやである。仮に米軍が九州からグアムあたりにC-2を飛ばし、高度3000mくらいで貨物室から甕に積んだチャフを柄杓で巻いていればOTHレーダはまったくアテにならなくなるだろう。あるいは25m-2.5mのコイルでも積んだ風船ボートでも複数流せば終りとなる。
■ OTHはアテにならない
つまり、対艦弾道弾の捜索機能としてOTHはアテにならないということだ。本当なら哨戒機を使うべきであるし、それができないなら光学・レーダ(海面高度差を見るやつ)の衛星や、潜水艦やバレれば保護を失うが民間航空機、民間船、ヒューミント、ESをつかったほうがよい。
この点が北村淳さんの記事にある瑕疵だろう。JBPRESSの安全保障セクターは「防衛超大事」を強調する立場にあり、中国脅威論を煽る傾向がある。その媒体に合わせ「OTHヤバイ」を強調した結果、そうなってしまったというものだ。
もちろん「米国でそういう話があるよ」といった形であるため、判断の正誤は問えるものではない。そもそも、大元となった『中国軍事レポート』はかつてのソビエト・ミリタリー・パワー同様、国防総省の省益確保のために脅威を高めに振っている。さらに「米国のシンクタンクや米軍関係の対中戦略家」(北村)も中国脅威論で衣食しているのでそれ以上に誇張している。
だがOTHで水上艦隊探知は、ない。そういうことだ。
なお、北村さんの記事についていつも断っていることだが、北村さんの記事は読む価値がある記事である。その点、国難を振り回す桜井よしこさんや井上和彦さん、防衛産業のプロキシでしかない桜林美佐さんといった皆さんの頭の弱いネトウヨ向け記事とは異なっている。「安全保障大事」「中国ヤバイ」が強すぎる嫌いはあるが、新発見も読み応えもある記事である。
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アレ宰相の信者は救いがたい。

仮に、いま鳩山由紀夫さんが首相をやっていても、大統領は同じことをするし、同じ行動をとる。安倍晋三は日本の代表だからそのように取り扱っているだけだし、オバマ大統領も政治家だから相手が犬でも必要なら握手はする。それだけの話しだ。
まあ、「同じ大統領相手に「とらすとみー」とか言って信頼関係をズタボロにした」というのも眉唾なんだがね。もちろん鳩山首相は沖縄問題で迷走していた。だが、それで対米関係が致命的に悪化したわけでもない。
トラストミーと信頼関係云々は、結局は日本国内で対米関係を忖度した結果にすぎない。その辺り英語で鳩山首相とトラストミーで検索すれば明瞭にある。だいたい、米国からすれば日本の宰相が誰でも大差はない。日本からすれば米国は大事な旦那かもしれないが、米国からすれば中英仏に継ぐあたりの、まあサウジあたりと同ランクにすぎない。
まあ、リツイートや言及を見ても、そのあたりが全然ね。結局は信者同士の信仰告白、教団というインナーサークルでしか通用しない言論でしかないものだよ。

rino398@iron_akat
思えば、同じ大統領相手に「とらすとみー」とか言って信頼関係をズタボロにしたであろうに、その大統領にここまでしてもらうまでにした現政権はどれだけ凄いの
https://twitter.com/iron_akat/status/736158107294830592
仮に、いま鳩山由紀夫さんが首相をやっていても、大統領は同じことをするし、同じ行動をとる。安倍晋三は日本の代表だからそのように取り扱っているだけだし、オバマ大統領も政治家だから相手が犬でも必要なら握手はする。それだけの話しだ。
まあ、「同じ大統領相手に「とらすとみー」とか言って信頼関係をズタボロにした」というのも眉唾なんだがね。もちろん鳩山首相は沖縄問題で迷走していた。だが、それで対米関係が致命的に悪化したわけでもない。
トラストミーと信頼関係云々は、結局は日本国内で対米関係を忖度した結果にすぎない。その辺り英語で鳩山首相とトラストミーで検索すれば明瞭にある。だいたい、米国からすれば日本の宰相が誰でも大差はない。日本からすれば米国は大事な旦那かもしれないが、米国からすれば中英仏に継ぐあたりの、まあサウジあたりと同ランクにすぎない。
まあ、リツイートや言及を見ても、そのあたりが全然ね。結局は信者同士の信仰告白、教団というインナーサークルでしか通用しない言論でしかないものだよ。
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阿比留瑠比さんはかのサミットが効果があったかのような記事を書いている。産経新聞「安倍外交の成果 対中包囲網で結束、東シナ海・南シナ海の懸念を首脳宣言に明記」がそれだ。だが、提灯持ちでしかないことは、果たして「対中包囲網」ができただろうか? を考えれば明らかだろう。
■ 中国包囲網は幻想
阿比留さんは次のように述べている。
安倍晋三首相は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議長として先進7カ国(G7)の討議を主導し、中国の一方的な海洋進出を念頭に「東シナ海・南シナ海の状況を懸念」と明記した「伊勢志摩首脳宣言」をまとめた。[中略]「南シナ海情勢や北朝鮮をめぐり、アジアの安全保障環境が厳しくなっていることは、出席した欧州の首脳にも十分に伝わった」http://www.sankei.com/politics/news/160527/plt1605270088-n1.html
だが、伊勢志摩首脳宣言に「中国」という国名は出せていない。この点で中国方位網などできていない。この点、項目立てされたシリア問題やロシア・ウクライナ問題、北朝鮮とは異なる。日本のアレな宰相が成果、成果といい、阿比留さんも日本の外交的勝利と言いながらも、対中包囲網という観点でみても失敗でしかない。
そもそも、日本だけが中国に強硬なことをいっても受け入れられるわけはない。英仏独伊加の5カ国からすれば、中国は脅威ではなく重要な経済相手である。米国からしても安全保障で多少対立しているものの、かつてのソ連のように宿命的な敵ではない。そこに安倍-阿比留の宗教的情熱から中国を敵視する意見を述べてもどうなるものでもない。
成果として挙げる『東シナ海・南シナ海の状況を懸念』も日本がそう言っているから、その顔を潰さないように、同時に中国とも敵対しないように無難に済ませたものに過ぎない。
そもそも「伊勢志摩首脳宣言」とやらの実効性も、ない。この点も阿比留さんは無視している。G7で南シナ海問題を取り上げたからといって、中国と周辺国はその対立を緩めないし、日米以外はそこに関与できる力もない。
■ 広島訪問は安倍外交の成果ではない
さらに、阿比留さんは「オバマ大統領の広島訪問は安倍外交の成果」といった、無理な提灯持ちもしている
外務省幹部も「やはり安倍政権が長く続いていることが外交に与える影響は大きい」と指摘し、こう語る。「そうじゃないと、オバマ氏が広島を訪問するわけがない。安倍政権が安定していて強いから訪問が実現した」http://www.sankei.com/politics/news/160527/plt1605270088-n2.html25年2月の安倍首相の初訪米時、オバマ氏は明らかに首相に距離を置いていた。それが25日夜の日米首脳会談では、元米兵による女性の死体遺棄事件への対応について、厳しく迫る首相に対しても「オバマ氏は相当、協力的だった」(政府高官)とされ、両氏の関係は一変している。http://www.sankei.com/politics/news/160527/plt1605270088-n3.html従来日本は米大統領の広島訪問を要求していない。対米外交は常に追従であり、米国の特に安全保障サイドが依拠する共和党・保守派を刺激する行為は徹頭徹尾避けている。安倍政権そのものも核廃絶や平和運動家を一方的に否定するスタンスにある。まずはオバマ大統領の決心を利用し、自分たちのサイドの成果であると誇るものでしかない。このあたりは、大統領のベトナム訪問をみてもわかるだろう。共産党政権の政策が優れているからベトナムを訪問したのだろうか?対日態度が軟化した理由も、原因と結果を入れ替えている。これも意図的なものだろう。残忍な殺人が疑われる死体遺棄事件があったから、米側代表としてオバマ大統領の安倍首相への態度は軟化せざるを得なかった。アレ宰相が信頼を勝ち取ったから軟化し、事件に協力的な態度を勝ち得たものではない。そもそも「死体遺棄事件への対応について、厳しく迫る」(阿比留)というのも願望でしかない。ただ言及しただけの話である。■ 信者向けの宣伝まずは、ネトウヨ信者向けの宣伝にすぎない。まともな人間はこれらを成果とも考えないし、そもそもサミットは村の寄り合いだと気づいているため、そこに成果はありえないことを承知している。そこで無理な提灯持ちをしたところで、信じるのは信心をもつ信者だけでしかない。そのような記事を掲載し、書いた記者をエース扱いするあたりが冷戦終結以降の産経の立場を示している。相手となる読者もまともな階層を期待できず、世界認知の曲がった連中相手の商売しかできない。この点は産経WESTのおおさか維新の会推しや、夕刊紙相当の夕刊フジで幸福実現党にPRではなくそのまま記事を書かせているあたりからも伺えるものだ。ある意味、産経は『ムー』以下なのだろう。『ムー』編集は記事の中身を信じているわけではない。商売とエンターテインメントであると割り切っている。対して産経は信じている奴が編集や記者をやっている。その差は大きい。
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仕入れみたいなもんで、週に二-三回は図書館の類に行く。大学図書館や東博、防研、都立日比谷もあるが、大抵は国会図書館。
で、毒蝮聞きながら車で駅まで行って、12字過ぎにNDLにパイルダーオンしたのだがね。なんか会議室テーブル出して手荷物検査とのこと。
だがねえ、国会図書館に爆薬持ち込んでどうするのかなと。あそこあんまし人いないし行かない人は行かないので恐怖の効果は低い。さらにテロルの対象としても政治的シンボルでもない。目標としてパワーが足りない。
チェックするのも図書館の職員だしね。「現物の爆薬見たことあるのかね」と言いかけたが、言っても詮無いのでやめた。「何か警備強化をしろ」ということでやってるだけ。まあ、紙筒に入ったダイナマイト(見たことないや)に目覚まし時計がついているようなイメージなんだろうなと。
ちなみに去年はロッカーは奥の方、「三四六」使っていたが、なぜかそこだけ埋まっていて競争になっていることが多い。だから最近は別の所にしている。
あと、今年度に入ってからかマヌケなロッカー番号の控えの紙がなくなっている。パオロ・マッツァリーノさんの指摘が聞いたかね。
ちなみに、図書館に六時位まで粘った結果、久しぶりにプリントとコピーとマイクロで5000円超えた。
それを焼いている間に新聞で見つけたのがこの広告。半斗モノの缶詰なのだが、丸缶で蛇口付。たぶん蛇口はポリマーなんでしょう。醤油が触れるのはそこだけなので、一応は錆びないんでしょうね。
面白いので焼いておいた。ちなみに50年経過しているので、何の論評もなしにそのまま載っけてみました。ま、もらったら朝昼晩ショーユ飲み放題だけど、バルブが緩むと一晩で醤油の海でしょうなあ。

* 「お中元にヤマサ」『朝日新聞』夕刊(朝日新聞,1963.7.3)p.8
で、毒蝮聞きながら車で駅まで行って、12字過ぎにNDLにパイルダーオンしたのだがね。なんか会議室テーブル出して手荷物検査とのこと。
だがねえ、国会図書館に爆薬持ち込んでどうするのかなと。あそこあんまし人いないし行かない人は行かないので恐怖の効果は低い。さらにテロルの対象としても政治的シンボルでもない。目標としてパワーが足りない。
チェックするのも図書館の職員だしね。「現物の爆薬見たことあるのかね」と言いかけたが、言っても詮無いのでやめた。「何か警備強化をしろ」ということでやってるだけ。まあ、紙筒に入ったダイナマイト(見たことないや)に目覚まし時計がついているようなイメージなんだろうなと。
ちなみに去年はロッカーは奥の方、「三四六」使っていたが、なぜかそこだけ埋まっていて競争になっていることが多い。だから最近は別の所にしている。
あと、今年度に入ってからかマヌケなロッカー番号の控えの紙がなくなっている。パオロ・マッツァリーノさんの指摘が聞いたかね。
ちなみに、図書館に六時位まで粘った結果、久しぶりにプリントとコピーとマイクロで5000円超えた。
それを焼いている間に新聞で見つけたのがこの広告。半斗モノの缶詰なのだが、丸缶で蛇口付。たぶん蛇口はポリマーなんでしょう。醤油が触れるのはそこだけなので、一応は錆びないんでしょうね。
面白いので焼いておいた。ちなみに50年経過しているので、何の論評もなしにそのまま載っけてみました。ま、もらったら朝昼晩ショーユ飲み放題だけど、バルブが緩むと一晩で醤油の海でしょうなあ。

* 「お中元にヤマサ」『朝日新聞』夕刊(朝日新聞,1963.7.3)p.8
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中国は沖縄を攻めない。それにより中国はそれ以前よりも不利な状態に追い込まれるためだ。
そういうと、判を押したように同じ理屈で反論される。「中国は沖縄に攻めてくる、なぜなら列島線の通過を確保したいから」といったもの。
だが、これは誤りである。実際にも桜井よしこさんや佐藤正久さんがコネクリ出した怪しげな中国脅威論をオウム返しするものでしかない。あまり頭のよろしい発言ではない。
■ 通過すべき艦隊戦力がすり潰される
現実的には、列島線通過確保のための沖縄占領はありえない。
それにより通過すべき中国艦隊戦力がすり潰されてしまうためだ。
そもそも、中国は日米同盟に勝てず沖縄は占領できない。中国海空戦力は日米同盟を超えることはできない。実際に米国が戦闘機の2割を日本にスイングするだけで日米同盟の戦闘機数は中国航空戦力を超える。質的優位を加えれば中国は勝てない。
仮に沖縄を占領できても、その時には通過させるべき中国艦隊戦力は存在しない状態となっているだろう。むしろ日米側に沖縄を無効化され、東シナ海に侵入されるのがオチだ。
果たして、そのような無駄な戦争を中国がするだろうか?
■ 米国が参戦しないなら、通過させればよい
「日米同盟が機能しなかったらどうするか?」とする更問も意味は無い。
これは昭和50年代、貿易戦争の時代に言われていたことだ。「米国は日本を助けない。その状況でソ連に通過確保のために海峡両岸を保障占領されたらどうするか?」 といったものだ。
それなら、中国と戦争せず、好きに艦隊を通してやればよい。もともと中国には太平洋に出る権利がある。公海部分を通る限り日本は文句をいう筋合いにはない。
準戦時状態なら「日本向け海上輸送を妨害しない限り、日本は海峡通過を妨害しない」とでも約束すればよい。中国が約束を違えるなら海峡を通さないだけの話だ。
■ 勝てなければ、対中融和か同盟組替
実際に、米国がアテにならない状態なら無理に中国と対立すべきではない。
今の日本の対中態度は日米同盟を前提としている。日米安保が機能すること、さらには日米同盟が軍事力で対中優位をもつことである。
その前提が崩れたならば、対中政策を変えればよい。対中融和策をとるなり、同盟関係を組み替えるというものだ。
世界がパックス・シニカに変わるというのなら中国と仲良くするしかない。領土問題等ではそれなりに柔軟な対応をするしかない。例えば、マレーシアによるルコニア礁での領土主張とその態度は参考となるだろう。
さらに米国がアテにならなくなれば、同盟に拘泥する必要はない。大陸に引っ込み、世界との交わりを絶ち、それでいて日本に負担を求めるのならば同盟は考えなおしてもよい。その際に中国と結ぶことが利になるなら、同盟を組み替えてもよい。
中国も南シナ海や中央アジアに力を注ぐなら、日中協商程度はありえるだろう。中国にとって太平洋方面には交易路が確保できれば問題はない。そこには資源も市場もない。それよりも南シナ海や中央アジア、ヨーロッパ方面に進むだろう。
■ 逆さ地図を信じる奴はタイガイ
以上が、列島線通過確保論のヘンテコな点だ。「中国は沖縄に攻めてくる、なぜなら列島線の通過を確保したいから」は、日米同盟が機能すればありえないし、日米同盟が機能しないなら通してやれば好いだけの話である。
この点、佐藤正久さんの一つ話の「逆さ地図」は誤りでしかない。それを信じる奴はまずは、ということだ。桜井よしこさん以下の有象無象も含め、中国脅威論でメシを食っているヤツの話はマユにツバつけて聞いておけということだ。
そういうと、判を押したように同じ理屈で反論される。「中国は沖縄に攻めてくる、なぜなら列島線の通過を確保したいから」といったもの。
だが、これは誤りである。実際にも桜井よしこさんや佐藤正久さんがコネクリ出した怪しげな中国脅威論をオウム返しするものでしかない。あまり頭のよろしい発言ではない。
■ 通過すべき艦隊戦力がすり潰される
現実的には、列島線通過確保のための沖縄占領はありえない。
それにより通過すべき中国艦隊戦力がすり潰されてしまうためだ。
そもそも、中国は日米同盟に勝てず沖縄は占領できない。中国海空戦力は日米同盟を超えることはできない。実際に米国が戦闘機の2割を日本にスイングするだけで日米同盟の戦闘機数は中国航空戦力を超える。質的優位を加えれば中国は勝てない。
仮に沖縄を占領できても、その時には通過させるべき中国艦隊戦力は存在しない状態となっているだろう。むしろ日米側に沖縄を無効化され、東シナ海に侵入されるのがオチだ。
果たして、そのような無駄な戦争を中国がするだろうか?
■ 米国が参戦しないなら、通過させればよい
「日米同盟が機能しなかったらどうするか?」とする更問も意味は無い。
これは昭和50年代、貿易戦争の時代に言われていたことだ。「米国は日本を助けない。その状況でソ連に通過確保のために海峡両岸を保障占領されたらどうするか?」 といったものだ。
それなら、中国と戦争せず、好きに艦隊を通してやればよい。もともと中国には太平洋に出る権利がある。公海部分を通る限り日本は文句をいう筋合いにはない。
準戦時状態なら「日本向け海上輸送を妨害しない限り、日本は海峡通過を妨害しない」とでも約束すればよい。中国が約束を違えるなら海峡を通さないだけの話だ。
■ 勝てなければ、対中融和か同盟組替
実際に、米国がアテにならない状態なら無理に中国と対立すべきではない。
今の日本の対中態度は日米同盟を前提としている。日米安保が機能すること、さらには日米同盟が軍事力で対中優位をもつことである。
その前提が崩れたならば、対中政策を変えればよい。対中融和策をとるなり、同盟関係を組み替えるというものだ。
世界がパックス・シニカに変わるというのなら中国と仲良くするしかない。領土問題等ではそれなりに柔軟な対応をするしかない。例えば、マレーシアによるルコニア礁での領土主張とその態度は参考となるだろう。
さらに米国がアテにならなくなれば、同盟に拘泥する必要はない。大陸に引っ込み、世界との交わりを絶ち、それでいて日本に負担を求めるのならば同盟は考えなおしてもよい。その際に中国と結ぶことが利になるなら、同盟を組み替えてもよい。
中国も南シナ海や中央アジアに力を注ぐなら、日中協商程度はありえるだろう。中国にとって太平洋方面には交易路が確保できれば問題はない。そこには資源も市場もない。それよりも南シナ海や中央アジア、ヨーロッパ方面に進むだろう。
■ 逆さ地図を信じる奴はタイガイ
以上が、列島線通過確保論のヘンテコな点だ。「中国は沖縄に攻めてくる、なぜなら列島線の通過を確保したいから」は、日米同盟が機能すればありえないし、日米同盟が機能しないなら通してやれば好いだけの話である。
この点、佐藤正久さんの一つ話の「逆さ地図」は誤りでしかない。それを信じる奴はまずは、ということだ。桜井よしこさん以下の有象無象も含め、中国脅威論でメシを食っているヤツの話はマユにツバつけて聞いておけということだ。
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今回の事件でアレな連中が「沖縄海兵隊がいなくなると中国に奪われる」といいだしている。
だが、そこに根拠となる見積もりや判断はない。なぜ中国が対日戦を決意し、しかも沖縄に侵攻してくるかといった説明はない。さらに「中国は日米安保や自衛隊といった障害を排除できる」といった見通しはない。
■ 何のために中国は対日戦をするのか?
まず、中国はなんで攻めてくるのだろうか?
中国が権益を伸ばそうとしている方向とは違う。政治的・経済的な進出方向は南シナ海であり、中央アジアであり、東南アジア大陸部から南アジア方面にある。日本や太平洋方面での動きは、漁業と艦隊行動だけである。
帝国主義的に 「中国はスキを見せれば侵略してくる」ともいう。だが、それならラオスやミャンマーの独立はどのようにして保たれているのだろうか? いずれもロクな軍隊を持たず、攻めこまれた時に助けてくれる同盟国もない。カザフスタンも伊犂問題の名残もあるが、スキを見せたからといって侵略された話もない。もっと弱い国がいくらでもあるのに、なぜ沖縄だけが攻め込まれるのか?
南シナ海を挙げるのは何も見えていない証拠だ。あの海は70年台から領土分割競争のさなかにある。どこがどこに侵略するといったものではない。そもそも、南シナ海での海洋進出でも直接相手の島を攻撃し奪った例は戦時下のみである。南ベトナム、統一ベトナムとの交戦と奪取でも、前者とは国交なし、後者は事実上の戦争状態の時期の話だ。
そもそも、中国は沖縄に攻め込んで無事でいられるのだろうか?
島での勝ち負け以前にリスクが大きすぎる。在沖米軍がいようがいまいが日米安保は確実に動き出す。それ以前に日本との戦いを決意しなければならない。中国人からすれば、近世以降、常に中国をエライ目に合わせてきたアレ国家である。
中国からすれば勝ち負けも相当厳しい。自衛隊の抵抗も排除できるかわからない上、米軍が来援し、侵略者とされ世界経済から切り離され、さらに世界中の海でオフショア・コントロールを受ける。それに中国が弱る間に、南シナ海や南アジアの権益も奪われる。
一言で言えば、まったくいいことはないということだ。
■ 国難系宗教の影響
では、なぜ中国がそのように振る舞うと考えるのか?
その背景にあるのは、宗教的な「国難」感覚なのだろう。日本を滅ぼそうとする敵国がある。その敵は何があっても日本に攻めてくる。霊的に正しい日本人はその敵国との戦いに備えなければならないといったものだ。
実際に「日本本土に攻めてくる」云々の中国脅威論をブツ連中には、その手のご宗旨が多い。そもそもの国難思想で普及した鎌倉新仏教やその分派団体、他にも神仏基督問わず戦後新興宗教にその種が多い。
これは冷戦期のソ連侵攻論も同じようなものだ。日ソ経済交流で極東ソ連の実情を知っていた連中は一笑に付したが、その手の国難系のご宗旨はそういっていた。
当時は日本の安全保障サイドはそれを利用した。日米貿易戦争があったので、それを利用して北海道の陸上戦力増やして逆に対ソ圧力とした。そして「自衛隊がソ連軍を極東に牽制している」として米国の安全保障サイドを味方につけた。
■ 負担と摩擦しか生まない海兵隊駐留
だが、今の日米中関係では現実的に攻める・攻められるはない。この点、沖縄米軍がいなくなると云々は正しくないし、その意見を利用する価値もない。むしろ沖縄の県民感情を害する点、日米同盟のお荷物となっている。
その点からずれば、むしろ沖縄米軍は撤退させたほうがよい。
特に負担の大部を占め、役に立たない海兵隊をなくすだけで、県民感情は相当好転するだろう。
そもそも、現状で海兵隊駐留は日米とも利益はない。まず使いみちもない。東アジア・東南アジアにおいて攻め込める国も、フィリピンを除けばない。使えるのはHA/DR程度である。そして海兵隊の抑止力としての議論はするだけ無駄な話だ。既に充分に抑止されている。そこで不足もしていない抑止力が必要と言っても無意味である。
この点で、残しておく理由もある嘉手納米軍とは違う。日本は対中軍事力のバランシングが険しくなっているが、その本質が海空戦力での対峙である。それからすれば、中国の目鼻の先、嘉手納に海空戦力を置くことは悪くはない。また米国としても南シナ海航空作戦行動の拠点や、中国沿岸部での軍事活動を察知する上も役に立つ拠点である。
なんといっても海兵隊撤退は沖縄問題での効果が大きい。辺野古・普天間問題はその段階で終わる。さらに一番の嫌われものを抜く効果も大きい。そうすれば沖縄県民世論を一気に沈静化させることもでき、嘉手納を安定化させることもできる。
だが、そこに根拠となる見積もりや判断はない。なぜ中国が対日戦を決意し、しかも沖縄に侵攻してくるかといった説明はない。さらに「中国は日米安保や自衛隊といった障害を排除できる」といった見通しはない。
■ 何のために中国は対日戦をするのか?
まず、中国はなんで攻めてくるのだろうか?
中国が権益を伸ばそうとしている方向とは違う。政治的・経済的な進出方向は南シナ海であり、中央アジアであり、東南アジア大陸部から南アジア方面にある。日本や太平洋方面での動きは、漁業と艦隊行動だけである。
帝国主義的に 「中国はスキを見せれば侵略してくる」ともいう。だが、それならラオスやミャンマーの独立はどのようにして保たれているのだろうか? いずれもロクな軍隊を持たず、攻めこまれた時に助けてくれる同盟国もない。カザフスタンも伊犂問題の名残もあるが、スキを見せたからといって侵略された話もない。もっと弱い国がいくらでもあるのに、なぜ沖縄だけが攻め込まれるのか?
南シナ海を挙げるのは何も見えていない証拠だ。あの海は70年台から領土分割競争のさなかにある。どこがどこに侵略するといったものではない。そもそも、南シナ海での海洋進出でも直接相手の島を攻撃し奪った例は戦時下のみである。南ベトナム、統一ベトナムとの交戦と奪取でも、前者とは国交なし、後者は事実上の戦争状態の時期の話だ。
そもそも、中国は沖縄に攻め込んで無事でいられるのだろうか?
島での勝ち負け以前にリスクが大きすぎる。在沖米軍がいようがいまいが日米安保は確実に動き出す。それ以前に日本との戦いを決意しなければならない。中国人からすれば、近世以降、常に中国をエライ目に合わせてきたアレ国家である。
中国からすれば勝ち負けも相当厳しい。自衛隊の抵抗も排除できるかわからない上、米軍が来援し、侵略者とされ世界経済から切り離され、さらに世界中の海でオフショア・コントロールを受ける。それに中国が弱る間に、南シナ海や南アジアの権益も奪われる。
一言で言えば、まったくいいことはないということだ。
■ 国難系宗教の影響
では、なぜ中国がそのように振る舞うと考えるのか?
その背景にあるのは、宗教的な「国難」感覚なのだろう。日本を滅ぼそうとする敵国がある。その敵は何があっても日本に攻めてくる。霊的に正しい日本人はその敵国との戦いに備えなければならないといったものだ。
実際に「日本本土に攻めてくる」云々の中国脅威論をブツ連中には、その手のご宗旨が多い。そもそもの国難思想で普及した鎌倉新仏教やその分派団体、他にも神仏基督問わず戦後新興宗教にその種が多い。
これは冷戦期のソ連侵攻論も同じようなものだ。日ソ経済交流で極東ソ連の実情を知っていた連中は一笑に付したが、その手の国難系のご宗旨はそういっていた。
当時は日本の安全保障サイドはそれを利用した。日米貿易戦争があったので、それを利用して北海道の陸上戦力増やして逆に対ソ圧力とした。そして「自衛隊がソ連軍を極東に牽制している」として米国の安全保障サイドを味方につけた。
■ 負担と摩擦しか生まない海兵隊駐留
だが、今の日米中関係では現実的に攻める・攻められるはない。この点、沖縄米軍がいなくなると云々は正しくないし、その意見を利用する価値もない。むしろ沖縄の県民感情を害する点、日米同盟のお荷物となっている。
その点からずれば、むしろ沖縄米軍は撤退させたほうがよい。
特に負担の大部を占め、役に立たない海兵隊をなくすだけで、県民感情は相当好転するだろう。
そもそも、現状で海兵隊駐留は日米とも利益はない。まず使いみちもない。東アジア・東南アジアにおいて攻め込める国も、フィリピンを除けばない。使えるのはHA/DR程度である。そして海兵隊の抑止力としての議論はするだけ無駄な話だ。既に充分に抑止されている。そこで不足もしていない抑止力が必要と言っても無意味である。
この点で、残しておく理由もある嘉手納米軍とは違う。日本は対中軍事力のバランシングが険しくなっているが、その本質が海空戦力での対峙である。それからすれば、中国の目鼻の先、嘉手納に海空戦力を置くことは悪くはない。また米国としても南シナ海航空作戦行動の拠点や、中国沿岸部での軍事活動を察知する上も役に立つ拠点である。
なんといっても海兵隊撤退は沖縄問題での効果が大きい。辺野古・普天間問題はその段階で終わる。さらに一番の嫌われものを抜く効果も大きい。そうすれば沖縄県民世論を一気に沈静化させることもでき、嘉手納を安定化させることもできる。
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中国領土主張の九段線がアレなのは周知の上だが、フィリピンの主張も似たようなもの。
ここ1週間ほどその辺りを書いていて、先ほど図版を起こして納品したのだが、フィリピン海洋領土の主張もまた九段線並にアレ。
フィリピンは南沙で都合のいいようにロジックを作り変えている。戦後1956年に「俺ら探検して南沙発見した」と言いだしたのに、73年に「南沙は歴史的領土だから」と言い出している。なんというのかね、1930年に「俺、冥王星を発見した、オレのもの」といったあとで、42年に「昔から知ってた、村の言い伝えにある、だからオレのもの」と言い換えたようなものだ。
スカボロー礁は、いつの間にかそれに合わせて領域のリミットを西にズラしている。1898年パリ条約ではフィリピン領域の西端は118度まで。117度のスカボロー礁がどうしても入らない。だけど海洋新秩序以降、それにあわせて海洋領域の境界線を西に100マイル位ズラしている。たぶん、2009年の領土基線からのEEZの200マイルラインとと、南沙にあたるカラヤーン群島の境界線がぶつかる所から真北に海洋領域線を引き直してもの。結果、東沙がフィリピン主張領域に入っている。
そんなことをしているから、台湾とも衝突する。
13年の台湾漁船への発砲がそれ。拡大したフィリピン領域で漁労したのが理由なのだが、実際にフィリピン領域かは怪しい海面で船体を蜂の巣にするまで射撃をした結果、漁民1名死亡となった。
でもフィリピンは選挙中だから謝りもしない。それで馬総統以下、台湾世論も激怒。結果、ノックス級とラファイエット級と巡視船3隻の砲艦外交を食らった上、48時間以内に回答がなければフィリピンを経済制裁すると言われてフィリピン外交はボロ負けしている。
このあたり「被害者フィリピンを援助しろ」も善悪二元論ではないかね。日中関係から中国憎して九段線をアレだからといっている連中がフィリピンの主張を正しいような口ぶりをしているのを見ると、まあフィリピン主張を見てないものだ。
これはフリー・チベットとかウイグルを救えと言い出すアタリも同じ。悪の中国に押されているからといって、チベット、ウイグル。ベトナム、フィリピンを無垢公正善人の支配に持ち上げるのはどうかしているものだ。
ここ1週間ほどその辺りを書いていて、先ほど図版を起こして納品したのだが、フィリピン海洋領土の主張もまた九段線並にアレ。
フィリピンは南沙で都合のいいようにロジックを作り変えている。戦後1956年に「俺ら探検して南沙発見した」と言いだしたのに、73年に「南沙は歴史的領土だから」と言い出している。なんというのかね、1930年に「俺、冥王星を発見した、オレのもの」といったあとで、42年に「昔から知ってた、村の言い伝えにある、だからオレのもの」と言い換えたようなものだ。
スカボロー礁は、いつの間にかそれに合わせて領域のリミットを西にズラしている。1898年パリ条約ではフィリピン領域の西端は118度まで。117度のスカボロー礁がどうしても入らない。だけど海洋新秩序以降、それにあわせて海洋領域の境界線を西に100マイル位ズラしている。たぶん、2009年の領土基線からのEEZの200マイルラインとと、南沙にあたるカラヤーン群島の境界線がぶつかる所から真北に海洋領域線を引き直してもの。結果、東沙がフィリピン主張領域に入っている。
そんなことをしているから、台湾とも衝突する。
13年の台湾漁船への発砲がそれ。拡大したフィリピン領域で漁労したのが理由なのだが、実際にフィリピン領域かは怪しい海面で船体を蜂の巣にするまで射撃をした結果、漁民1名死亡となった。
でもフィリピンは選挙中だから謝りもしない。それで馬総統以下、台湾世論も激怒。結果、ノックス級とラファイエット級と巡視船3隻の砲艦外交を食らった上、48時間以内に回答がなければフィリピンを経済制裁すると言われてフィリピン外交はボロ負けしている。
このあたり「被害者フィリピンを援助しろ」も善悪二元論ではないかね。日中関係から中国憎して九段線をアレだからといっている連中がフィリピンの主張を正しいような口ぶりをしているのを見ると、まあフィリピン主張を見てないものだ。
これはフリー・チベットとかウイグルを救えと言い出すアタリも同じ。悪の中国に押されているからといって、チベット、ウイグル。ベトナム、フィリピンを無垢公正善人の支配に持ち上げるのはどうかしているものだ。
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さすがは平民の親爺といったものか。
オリンピックの胴元が参考人招致された。時事通信「五輪招致疑惑、仏捜査に協力と安倍首相=竹田氏『支出は正当』-衆院予算委」によれば、IOCの承認を受けたことを誇ったという。
だが、これは共犯者の承認を受けたと言うことに等しい。
IOCは収賄諸団体の集合体のようなものだ。今回の国際陸連、前のサッカー賄賂のFIFAといった連中が集まってできている団体である。
そもそも、IOCは工作対象でもある。本人がそう発言している。
つまり、エージェントに運動費を渡さなければオリンピックは買えないといっている。その運動先はどこかというものだ。本等に「コンサルタント」であるなら、成果品があるはずだがそれもないのだろう。
だいたい、世間に対して「このロジックで通じる」と判断するあたり甘い。余計なことを言ってドツボにハマるNHKの番頭と同じである。
もう少し練達していれば「正攻法では勝てない」と承知する。そしてよりわかりにくい表現で現実的には何もいわずに有耶無耶にしようとする。「いついつ幾ら送金した」、「契約書はどこどこで手交した」と区々たる金の話に終止し、そこでの判断にしても「現在、調べている最中」や「賄賂が本当なら重大な問題だ」、「法令に違背すればコンサルを訴える」「支払い先にも返金を求める」とでも言うものだ。
この調子で明言すると、理事長の責任も免れられなくなる。IOCそのものへの賄賂や、招致委員会やJOCでのピンはねや関係者への還流に発展した時、全く言い逃れができなくなるだろう。
まー、かの倅についての製造物責任に較べれば大したことのない責任だけどね。もちろん親は子の発言をコントロールする義務は追わないしその発言の責任もない。だが、その増上慢の原因となる血統を与えた責任はあるだろうよ。
オリンピックの胴元が参考人招致された。時事通信「五輪招致疑惑、仏捜査に協力と安倍首相=竹田氏『支出は正当』-衆院予算委」によれば、IOCの承認を受けたことを誇ったという。
[オリンピック賄賂について]招致委で理事長を務めたJOCの竹田恒和会長は予算委で[中略]「契約は正式に監査を受けたもので、国際オリンピック委員会(IOC)にも決算報告し承認を受けた」と述べ、支出の正当性を強調した。
だが、これは共犯者の承認を受けたと言うことに等しい。
IOCは収賄諸団体の集合体のようなものだ。今回の国際陸連、前のサッカー賄賂のFIFAといった連中が集まってできている団体である。
そもそも、IOCは工作対象でもある。本人がそう発言している。
竹田氏は送金について、招致実現に向けたコンサルタント料だったと重ねて説明。「国際的にみても極めて一般的で、海外コンサル契約なしでは招致は成功しないとまで言われている」と理解を求めた。
つまり、エージェントに運動費を渡さなければオリンピックは買えないといっている。その運動先はどこかというものだ。本等に「コンサルタント」であるなら、成果品があるはずだがそれもないのだろう。
だいたい、世間に対して「このロジックで通じる」と判断するあたり甘い。余計なことを言ってドツボにハマるNHKの番頭と同じである。
もう少し練達していれば「正攻法では勝てない」と承知する。そしてよりわかりにくい表現で現実的には何もいわずに有耶無耶にしようとする。「いついつ幾ら送金した」、「契約書はどこどこで手交した」と区々たる金の話に終止し、そこでの判断にしても「現在、調べている最中」や「賄賂が本当なら重大な問題だ」、「法令に違背すればコンサルを訴える」「支払い先にも返金を求める」とでも言うものだ。
この調子で明言すると、理事長の責任も免れられなくなる。IOCそのものへの賄賂や、招致委員会やJOCでのピンはねや関係者への還流に発展した時、全く言い逃れができなくなるだろう。
まー、かの倅についての製造物責任に較べれば大したことのない責任だけどね。もちろん親は子の発言をコントロールする義務は追わないしその発言の責任もない。だが、その増上慢の原因となる血統を与えた責任はあるだろうよ。
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いつものアレ記事なのだが。
産経が3日連続の連載記事仕立てで「北海道が中国に買収される」といっている。
・【北海道が危ない(上)】
中国生まれの「反天皇」農場主が帯広で170haを取得したのはなぜか?
朝鮮総連議長らにもお披露目し…
・【北海道が危ない(中)】
中国が観光施設“爆買い” 進むチャイナタウン化
住民に危機感「中国人の街ができてしまう
・【北海道が危ない(下)】
日本が20年足らずで消滅?
空自基地周辺にも中国の影 ゴーストタウン化した中国人向け別荘地も
もちろん、中身はいつもの「危険が危ない」でしかない。
要は、金があぶついて投資先が見つけられない中国人が原野商法に引っかかったようなものだ。バブル期にソニーが映画会社を。三菱がロックフェラーセンターを掴まされたようなものにすぎない。
■ アイヌは先住民族ではないという小野寺さん
記事そのものについてはその程度である。 日本の立場からすれば、何も知らない金満中国人にむしろいまこそ不良債権をつかませるべきなのだが、それもみえていないだけの話だ。
だが、主張はともかく、インタビューする人があまりにもアレなことは特筆すべきだろう。
よりによって「アイヌは先住民族ではない」と言い出した御人を連れてきている。
だいたい、水源や森林を買った所で全く原野商法でしかない。今、山なんか持っていてもにもならない。ウチも昭和40年代に買った山があるが、どこにあるのか分からないし、利用したこともない。わざわざ北海道の森林で材木を伐採するのは経済性にあわない。それならカナダやロシアの極相林の木材を買った方が品質も、高く値段も安いためだ。
観光地の中国化も似たようなものだ。もともと北海道の観光は基本的に寂れている。日本人も行かない観光地に、お上りさんが金を落とすのだから現地はウェルカムといった話だ。ちなみに、民主党政権が中国人観光客の緩和をした時には自民党や保守層は泥棒が増えると反対していたが、今は掌を返してインバウンド消費とか言っている。
また、本統に米人と話したのかも怪しい部分もある。小野寺さんは
と述べているが、領事館の職員が日本国内でもアレ扱いの政治家にそんなヤバイことはいうものではないためだ。
外国人の危険性を説く記事に、エスノセントリズム論者の発言を根拠にしている点、このあたり記事としては相当にアレだ。ある意味、在日外国人の危険性を説く記事で、在特会にインタビューした内容を根拠とするのと変わるものではない。
■ 争論に負けた御仁の繰り言を取り上げる
他にも、口で負けた住民の声を取り上げるのも味わい深い。以下、ムラの寄合で嫁入りしてきた中国人に言い負けた住人の発言である。
文句があるなら本人を納得させるロジックなりを出せばいいし、受容できないなら主張を実現させない体制なりを作ればよい。だが、それもできない。「われわれの意見に耳を貸さないで強気で押してくる。」というが、結局はムラの論理と雰囲気で勝てないだけの話なのだろう。負け犬の遠吠えとしか言いようはない。
■ 記者も、取材先も、購読者も同じ水準
主張もアレだが、取材者のアレである。
このあたり、産経が置かれている現状を示しているのだろう。記者も、取材先も、購読者とも、中国脅威論と多文化排外主義者とムラ社会論理のコングロマリットでしかない。まずはその連中の中だけで書いて、聞いて、読む新聞に堕したのだろう。
90年代半ばまではここまでアレな記事はなかったのだけどねえ。まあ、記者もマトモな人から抜けていく、しかもその時に「産経の悪口書くな」と誓約書を書かせる状態なのだから、記事はこんなものとなるのだろう。
産経が3日連続の連載記事仕立てで「北海道が中国に買収される」といっている。
・【北海道が危ない(上)】
中国生まれの「反天皇」農場主が帯広で170haを取得したのはなぜか?
朝鮮総連議長らにもお披露目し…
・【北海道が危ない(中)】
中国が観光施設“爆買い” 進むチャイナタウン化
住民に危機感「中国人の街ができてしまう
・【北海道が危ない(下)】
日本が20年足らずで消滅?
空自基地周辺にも中国の影 ゴーストタウン化した中国人向け別荘地も
もちろん、中身はいつもの「危険が危ない」でしかない。
要は、金があぶついて投資先が見つけられない中国人が原野商法に引っかかったようなものだ。バブル期にソニーが映画会社を。三菱がロックフェラーセンターを掴まされたようなものにすぎない。
■ アイヌは先住民族ではないという小野寺さん
記事そのものについてはその程度である。 日本の立場からすれば、何も知らない金満中国人にむしろいまこそ不良債権をつかませるべきなのだが、それもみえていないだけの話だ。
だが、主張はともかく、インタビューする人があまりにもアレなことは特筆すべきだろう。
よりによって「アイヌは先住民族ではない」と言い出した御人を連れてきている。
長年、中国資本の動向を注視している前道議の小野寺秀氏は「24年4月の水資源保全条例施行後、国営企業のような大きな会社が堂々と顔を出してきたので、雰囲気が変わってきたと感じる」と話す。
そして危機感を強める。「中国が狙っているのは水源地や森林、不動産だけではない。観光施設も買収している。今後、観光地の中国化が進み、利用するのは中国人がほとんどという事態になり、その場がチャイナタウン化するのは時間の問題だ」
http://www.sankei.com/premium/news/160510/prm1605100006-n3.html
だいたい、水源や森林を買った所で全く原野商法でしかない。今、山なんか持っていてもにもならない。ウチも昭和40年代に買った山があるが、どこにあるのか分からないし、利用したこともない。わざわざ北海道の森林で材木を伐採するのは経済性にあわない。それならカナダやロシアの極相林の木材を買った方が品質も、高く値段も安いためだ。
観光地の中国化も似たようなものだ。もともと北海道の観光は基本的に寂れている。日本人も行かない観光地に、お上りさんが金を落とすのだから現地はウェルカムといった話だ。ちなみに、民主党政権が中国人観光客の緩和をした時には自民党や保守層は泥棒が増えると反対していたが、今は掌を返してインバウンド消費とか言っている。
また、本統に米人と話したのかも怪しい部分もある。小野寺さんは
前道議の小野寺秀氏は明かす。「アメリカ総領事館の職員から、『常設型住民投票条例が制定されると、外国人が自治体の首長のリコールなどができるようになる。それは選挙権を与えたぐらいのインパクトがあり、行政を牛耳ることができる。そのような地域に中国人がドッと入ってくると、中国の思いのままになる』と忠告された」
http://www.sankei.com/premium/news/160510/prm1605100006-n6.html
と述べているが、領事館の職員が日本国内でもアレ扱いの政治家にそんなヤバイことはいうものではないためだ。
外国人の危険性を説く記事に、エスノセントリズム論者の発言を根拠にしている点、このあたり記事としては相当にアレだ。ある意味、在日外国人の危険性を説く記事で、在特会にインタビューした内容を根拠とするのと変わるものではない。
■ 争論に負けた御仁の繰り言を取り上げる
他にも、口で負けた住民の声を取り上げるのも味わい深い。以下、ムラの寄合で嫁入りしてきた中国人に言い負けた住人の発言である。
北海道中部の住民男性はこう打ち明けた。「私の集落では、日本人と結婚した中国人が発言力を強め、われわれの意見に耳を貸さないで強気で押してくる。もし、常設型住民投票条例が制定されたらと、想像しただけでも背筋が凍る」
http://www.sankei.com/premium/news/160510/prm1605100006-n7.html
文句があるなら本人を納得させるロジックなりを出せばいいし、受容できないなら主張を実現させない体制なりを作ればよい。だが、それもできない。「われわれの意見に耳を貸さないで強気で押してくる。」というが、結局はムラの論理と雰囲気で勝てないだけの話なのだろう。負け犬の遠吠えとしか言いようはない。
■ 記者も、取材先も、購読者も同じ水準
主張もアレだが、取材者のアレである。
このあたり、産経が置かれている現状を示しているのだろう。記者も、取材先も、購読者とも、中国脅威論と多文化排外主義者とムラ社会論理のコングロマリットでしかない。まずはその連中の中だけで書いて、聞いて、読む新聞に堕したのだろう。
90年代半ばまではここまでアレな記事はなかったのだけどねえ。まあ、記者もマトモな人から抜けていく、しかもその時に「産経の悪口書くな」と誓約書を書かせる状態なのだから、記事はこんなものとなるのだろう。
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高校野球も不祥事を起こした学校は謹慎する。それと同然に、賄賂で開催権を買った東京もオリンピックを返上したほうがよい。
ロイターによると、招致委員会と表裏一体の日本政府は知らんぷりをしているという。
だが、それを信じる奴がいるだろうか? 金を渡しそうな連中が、金を受け取りそうな連中を買収した。それが見えない奴はいない。
日本の招致委員会周りは喜んで買収する。オリンピックは都民の、国民の金を反対なく建設セクターやそれにぶら下がる人士に回すよい口実となる。1億2億の賄賂を10本20本出しても、そのリターンに比べれば微々たるものだ。投資として喜んで出すだろう。
また、スポーツ団体も賄賂大好きである。サッカーのFIFAも賄賂をとって取っ捕まっている。それなら国際陸連も喜んで金をもらうだろう。それとも球蹴り団体だけが賄賂をとるが、駆けっこ団体が金を受け取らないことはない。
その上部団体のIOCも、もちろん賄賂を嘉納する。オリンピックの興行権は後進国からの成り上がり国が競って奪い合う状況にある。欲しい方も与える方も金だけの話だ。
その程度のオリンピック興行に日本が再び手を出した。これも経済的没落の結果だ。一流国の自信があれば「オリンピックによる景気浮揚」といったマヌケに国民は引っかかりもしない。だが、衰退し貧鈍となった結果、国民を景気浮揚で騙せると判断して賄賂で興行権を買った。その程度のものだ。
舛添の大尽旅行よりも、石原・猪瀬がいくら賄賂に突っ込んだのか、業界から幾ら集めたかを調べるべきではないのかね。そして賄賂の金は表に出ない。そのうち何割かは日本のブローカーが抜いているだろう。その連中も探せば面白いのではないか?
まあ、一番望ましいのは舛添が辞めて、「オリンピック中止」を決心する新都知事が立つことだ。理由なんか前回と同じ「日本経済が持たない」でよい。前は戦争でオリンピックはできなくなったが、今はアレな貧窮経済政策でやる余裕もない。問題は候補だ。都市博を中止させた青島幸男も亡くなって久しい。どこかに適当な放送作家はいないものかね。
* 石田仁志「東京五輪招致、クリーンに行われたと認識=英紙報道で菅官房長官」
(ロイター,2016年5月12日)
http://jp.reuters.com/article/tokyo-olympic-suga-idJPKCN0Y306O
ロイターによると、招致委員会と表裏一体の日本政府は知らんぷりをしているという。
菅義偉官房長官は12日午前の会見で、東京の五輪招致委員会が国際陸連(IAAF)元会長の息子に関連している銀行口座に130万ユーロ(約1億6000万円)送金したと英ガーディアン紙が伝えたことに関して、「2020年東京大会の招致については、クリーンなかたちで行われたと認識している」との見解を示した。
「東京五輪招致、クリーンに行われたと認識=英紙報道で菅官房長官」
だが、それを信じる奴がいるだろうか? 金を渡しそうな連中が、金を受け取りそうな連中を買収した。それが見えない奴はいない。
日本の招致委員会周りは喜んで買収する。オリンピックは都民の、国民の金を反対なく建設セクターやそれにぶら下がる人士に回すよい口実となる。1億2億の賄賂を10本20本出しても、そのリターンに比べれば微々たるものだ。投資として喜んで出すだろう。
また、スポーツ団体も賄賂大好きである。サッカーのFIFAも賄賂をとって取っ捕まっている。それなら国際陸連も喜んで金をもらうだろう。それとも球蹴り団体だけが賄賂をとるが、駆けっこ団体が金を受け取らないことはない。
その上部団体のIOCも、もちろん賄賂を嘉納する。オリンピックの興行権は後進国からの成り上がり国が競って奪い合う状況にある。欲しい方も与える方も金だけの話だ。
その程度のオリンピック興行に日本が再び手を出した。これも経済的没落の結果だ。一流国の自信があれば「オリンピックによる景気浮揚」といったマヌケに国民は引っかかりもしない。だが、衰退し貧鈍となった結果、国民を景気浮揚で騙せると判断して賄賂で興行権を買った。その程度のものだ。
舛添の大尽旅行よりも、石原・猪瀬がいくら賄賂に突っ込んだのか、業界から幾ら集めたかを調べるべきではないのかね。そして賄賂の金は表に出ない。そのうち何割かは日本のブローカーが抜いているだろう。その連中も探せば面白いのではないか?
まあ、一番望ましいのは舛添が辞めて、「オリンピック中止」を決心する新都知事が立つことだ。理由なんか前回と同じ「日本経済が持たない」でよい。前は戦争でオリンピックはできなくなったが、今はアレな貧窮経済政策でやる余裕もない。問題は候補だ。都市博を中止させた青島幸男も亡くなって久しい。どこかに適当な放送作家はいないものかね。
* 石田仁志「東京五輪招致、クリーンに行われたと認識=英紙報道で菅官房長官」
(ロイター,2016年5月12日)
http://jp.reuters.com/article/tokyo-olympic-suga-idJPKCN0Y306O
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ニュージーランドが沈没掃海艇の追悼行事をしている。現地地方紙5月11日付の"Memorial for sunk navy ship" * によると、ニュージランドの北島、オークランド地先のハウラキ湾北端で触雷沈没したもの。
これはドイツ仮装巡洋艦の戦果でもある。2回の世界大戦でドイツはインド、オーストラリア、ニュージーランドに対してゲール・ド・クルースを挑んだ。これは通商破壊というよりは、巡洋艦戦略ともいうべきもの。
戦果としては機雷に拠るものが大きい。もちろん、捕獲拿捕や撃沈の効果も挙げている。だが、ニュージランドとオーストラリアの戦争継続に打撃を与えたのは機雷であった。
この対ニュージーランド機雷戦は仮装巡オリオンによる。触発機雷をハウラキ湾に(出撃時228ヶ)敷設したものだ。3日後に、1.3万トンの商船を沈めたが、そこには200万ポンド相当の金塊とニュージーランドの戦時小火器弾薬半年分が搭載されていた。それによりニュージーランドの戦争経済は打撃を受けている。他にも8000トンの商船と、今回追悼された掃海艇2隻を沈めており、仮装巡洋艦や機雷の捜索に現地海軍力を吸い取り、商船の夜間航海制限といった効果も生んでいる。
そして、オリオンは無事にドイツに戻っている。商船のなりをして襲撃時以外、敵航空哨戒圏のそとを行動すればなかなかやられないということだ。
その点からすれば、日本も愛国丸や報国丸をもっと大胆につかうべきであったようにみえる。米豪連絡線の真ん中あたりといった中途半端なところでダラダラと通商破壊するよりも、米本土あるいはオーストラリアに肉薄させて使ったほうがよかっただろう。例えば、開戦諸頭でのパナマシティ前面への機雷敷設といったものだ。たぶん、パナマ近隣以外ではそれなりに危険はないだろう。
もちろん、臨検されて失敗する可能性も高い。ウチの祖父祖母は日本への引き揚げのため42年1月にパナマ運河を通過したが、その時には米海軍の臨検を受けている。太平洋側もそれなりに警戒されているだろう。
だが、失敗しても日本巡洋艦戦略への対応を強制できる。日本仮装巡洋艦が東海岸に行動し、機雷敷設を目論んでいることがわかれば米国は沿岸航路の護衛や、重要港湾前面では、ありもしない機雷の捜索のため毎日掃海を繰り返す状態となる。その状況に追い込むことが巡洋艦戦略の目的でもある。
だが、日本は仮装巡洋艦については保全を重視してしまった。沈められても構わないので、もっと大胆な行動に投入すべきだっただろう。
* Dinsdale,Mike "Memorial for sunk navy ship""The Northern Advocate"2016.5.11
(Whangarei,NZME Publishing,2016)
http://www.nzherald.co.nz/northern-advocate/news/article.cfm?c_id=1503450&objectid=11637205
これはドイツ仮装巡洋艦の戦果でもある。2回の世界大戦でドイツはインド、オーストラリア、ニュージーランドに対してゲール・ド・クルースを挑んだ。これは通商破壊というよりは、巡洋艦戦略ともいうべきもの。
戦果としては機雷に拠るものが大きい。もちろん、捕獲拿捕や撃沈の効果も挙げている。だが、ニュージランドとオーストラリアの戦争継続に打撃を与えたのは機雷であった。
この対ニュージーランド機雷戦は仮装巡オリオンによる。触発機雷をハウラキ湾に(出撃時228ヶ)敷設したものだ。3日後に、1.3万トンの商船を沈めたが、そこには200万ポンド相当の金塊とニュージーランドの戦時小火器弾薬半年分が搭載されていた。それによりニュージーランドの戦争経済は打撃を受けている。他にも8000トンの商船と、今回追悼された掃海艇2隻を沈めており、仮装巡洋艦や機雷の捜索に現地海軍力を吸い取り、商船の夜間航海制限といった効果も生んでいる。
そして、オリオンは無事にドイツに戻っている。商船のなりをして襲撃時以外、敵航空哨戒圏のそとを行動すればなかなかやられないということだ。
その点からすれば、日本も愛国丸や報国丸をもっと大胆につかうべきであったようにみえる。米豪連絡線の真ん中あたりといった中途半端なところでダラダラと通商破壊するよりも、米本土あるいはオーストラリアに肉薄させて使ったほうがよかっただろう。例えば、開戦諸頭でのパナマシティ前面への機雷敷設といったものだ。たぶん、パナマ近隣以外ではそれなりに危険はないだろう。
もちろん、臨検されて失敗する可能性も高い。ウチの祖父祖母は日本への引き揚げのため42年1月にパナマ運河を通過したが、その時には米海軍の臨検を受けている。太平洋側もそれなりに警戒されているだろう。
だが、失敗しても日本巡洋艦戦略への対応を強制できる。日本仮装巡洋艦が東海岸に行動し、機雷敷設を目論んでいることがわかれば米国は沿岸航路の護衛や、重要港湾前面では、ありもしない機雷の捜索のため毎日掃海を繰り返す状態となる。その状況に追い込むことが巡洋艦戦略の目的でもある。
だが、日本は仮装巡洋艦については保全を重視してしまった。沈められても構わないので、もっと大胆な行動に投入すべきだっただろう。
* Dinsdale,Mike "Memorial for sunk navy ship""The Northern Advocate"2016.5.11
(Whangarei,NZME Publishing,2016)
http://www.nzherald.co.nz/northern-advocate/news/article.cfm?c_id=1503450&objectid=11637205
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最初に滅びる新聞は産経なのだろう。野口裕之さんの記事を見るとそう判断できる。内容や判断や見通しの全てがヘンテコであるが、それが普通に自社記者による署名記事としてWEBに掲載され、しかも連載化されているためだ。
■ 衛星で海底ケーブルを傍受していると主張
野口さんは衛星傍受で海底敷設の光ファイバーを傍受できると考えている。産経新聞「日本による豪州への潜水艦売り込みを阻止したのは仏が誇る通信傍受網だった!? 貧乏くじを引いたのは…」では
と述べている。
だが、いまどき移動局でもなければ衛星通信は使わない。
日本の潜水艦売却は商業的なものである。さして国家としての秘匿性もない。そのような案件の連絡は普通の商用通信網で送られる。
具体的には海底敷設の光ファイバーによる。幹線の配置からすれば日豪なら直結されたケーブルが使われる。もしかすれば米国やシンガポール経由もあるかもしれない。いずれにせよ衛星傍受施設ではスパイできるものではない。
また、ニューカレドニアでの海底ケーブル中継部の傍受もありえない。なぜなら日豪海底ケーブルにニューカレドニア経由はない。そもそもニューカレドニア向けの海底ケーブルは盲腸線であり、豪本土から一本通ってきての行き止まりであるためだ。これでは傍受はできない。
ある意味、野口さんの主張は盗聴妄想に近い。仮に日本側の条件が漏れていたとしても、それは傍受であるよりも豪関係者に尋ねた結果と見るべきだろう。それもスパイ的に金なんか払わなくとも、普通に新聞読んで二〇人にでも世間話もすれば知りたい部分は総合的に判断できるものだ。
■ 「ミゼットサブで沿岸の制海権とられると脅威」と主張
もっとヘンテコな点は後半の主張である。フランスが中国に潜水艦技術を売ると日米の脅威のようなことを言っている。そして、その中身はミゼットサブで占められている。基本は沿岸専用のミゼットサブが海上作戦での一大変革となるように述べているのである。
野口さんはなぜかフランスのSMX-26に執着している。いつものフランスの思いつきのコンセプトモデルなのだが、それを中国が買うと脅威になると述べている。
だが、50m程度の海は黄海・東シナ海のうち辺縁部に限られる。そこはもともと中国沿岸戦力の影響下にある。そこでミゼットサブが加わったところで何の変化となるのだろうか。そもそも潜水艦で「制海権掌握」(野口)というのも、ヘンテコなものだ。
■ 読者と記者の水準は一致
この程度の記事が乗り、しかも「【野口裕之の軍事情勢】」と連載となるあたりが産経の水準である。もちろん、読者と記者の能力は高くないレベルで釣り合ってはいるだろう。だが、実態としてはカルトの信者と教団幹部の信仰発言が一致している程度のものに過ぎない。
90年代なかば位まではまだマシだったのだがね。ただ、冷戦が終わり日本国内での左右対立がなくなると、産経は存在価値を失い神がかり右派にシフトしていった。
その結果がこの手記事の連発である。現状の判断にせよ、将来の見通しにせよ、注目すべき焦点にせよ全部が誤っている。
まずは最初に滅びる新聞だろう。部数をみても駅売り主体で毎回財布から金を払わせる日刊ゲンダイよりも売れていない。新聞としての訴求力はその程度のものであるといったことだ。
産経は全国紙であるように振舞っているが、実態は落伍しかかっている。その実態は地方紙にも近い。売れているのは大阪だけ、そのため産経ウエストといった独自WEB紙面を作り、中央に対する劣等感が強い読者の嗜好に合わせ、おおさか維新を持ち上げている。このあたりはその没落の近さを窺わせるものだ。
■ 衛星で海底ケーブルを傍受していると主張
野口さんは衛星傍受で海底敷設の光ファイバーを傍受できると考えている。産経新聞「日本による豪州への潜水艦売り込みを阻止したのは仏が誇る通信傍受網だった!? 貧乏くじを引いたのは…」では
ニューカレドニアはフランスの海外領土で、インマルサット(国際移動通信衛星ネットワーク)やインテルサット(商業衛星通信システム)などを傍受する世界的通信監視網のアジア太平洋地域における拠点なのだ。安全保障上の傍受は言うに及ばず、国策である兵器取引の成約を狙う産業諜報も主要任務だといわれる。
小欄は今次日仏潜水艦受注合戦で、フランスが「この手」で[豪潜水艦受注といった]番狂わせを実現[したと確信している]
http://www.sankei.com/politics/news/160509/plt1605090001-n1.html
と述べている。
だが、いまどき移動局でもなければ衛星通信は使わない。
日本の潜水艦売却は商業的なものである。さして国家としての秘匿性もない。そのような案件の連絡は普通の商用通信網で送られる。
具体的には海底敷設の光ファイバーによる。幹線の配置からすれば日豪なら直結されたケーブルが使われる。もしかすれば米国やシンガポール経由もあるかもしれない。いずれにせよ衛星傍受施設ではスパイできるものではない。
また、ニューカレドニアでの海底ケーブル中継部の傍受もありえない。なぜなら日豪海底ケーブルにニューカレドニア経由はない。そもそもニューカレドニア向けの海底ケーブルは盲腸線であり、豪本土から一本通ってきての行き止まりであるためだ。これでは傍受はできない。
ある意味、野口さんの主張は盗聴妄想に近い。仮に日本側の条件が漏れていたとしても、それは傍受であるよりも豪関係者に尋ねた結果と見るべきだろう。それもスパイ的に金なんか払わなくとも、普通に新聞読んで二〇人にでも世間話もすれば知りたい部分は総合的に判断できるものだ。
■ 「ミゼットサブで沿岸の制海権とられると脅威」と主張
もっとヘンテコな点は後半の主張である。フランスが中国に潜水艦技術を売ると日米の脅威のようなことを言っている。そして、その中身はミゼットサブで占められている。基本は沿岸専用のミゼットサブが海上作戦での一大変革となるように述べているのである。
野口さんはなぜかフランスのSMX-26に執着している。いつものフランスの思いつきのコンセプトモデルなのだが、それを中国が買うと脅威になると述べている。
発表された潜水艦SMX-26カイマンは水深12メートルの浅海で作戦行動でき、可潜時間30日。対水上艦用長魚雷2本/対潜用短魚雷8本を搭載する。カイマンであれば、潜水艦による浅海での作戦行動という、中国海軍が超えるべきハードルをクリアする。
http://www.sankei.com/politics/news/160509/plt1605090001-n4.html
[中国海軍が]第2列島線に向かうには、第1列島線越え、つまり黄海~東シナ海の制海権掌握が前提だ。ところが、一帯には大陸棚が横たわる。黄海は大半が水深40メートルで深くて150メートル、東シナ海もほとんど100メートルを超えない。
これに対し、潜水艦の作戦行動は50メートル以下では困難。100メートルなら、艦の性能や搭乗員の技量で遂行できるが、東シナ海々底の激しい起伏は、要求性能・技量のハードルを上げる。
http://www.sankei.com/politics/news/160509/plt1605090001-n5.html
だが、50m程度の海は黄海・東シナ海のうち辺縁部に限られる。そこはもともと中国沿岸戦力の影響下にある。そこでミゼットサブが加わったところで何の変化となるのだろうか。そもそも潜水艦で「制海権掌握」(野口)というのも、ヘンテコなものだ。
■ 読者と記者の水準は一致
この程度の記事が乗り、しかも「【野口裕之の軍事情勢】」と連載となるあたりが産経の水準である。もちろん、読者と記者の能力は高くないレベルで釣り合ってはいるだろう。だが、実態としてはカルトの信者と教団幹部の信仰発言が一致している程度のものに過ぎない。
90年代なかば位まではまだマシだったのだがね。ただ、冷戦が終わり日本国内での左右対立がなくなると、産経は存在価値を失い神がかり右派にシフトしていった。
その結果がこの手記事の連発である。現状の判断にせよ、将来の見通しにせよ、注目すべき焦点にせよ全部が誤っている。
まずは最初に滅びる新聞だろう。部数をみても駅売り主体で毎回財布から金を払わせる日刊ゲンダイよりも売れていない。新聞としての訴求力はその程度のものであるといったことだ。
産経は全国紙であるように振舞っているが、実態は落伍しかかっている。その実態は地方紙にも近い。売れているのは大阪だけ、そのため産経ウエストといった独自WEB紙面を作り、中央に対する劣等感が強い読者の嗜好に合わせ、おおさか維新を持ち上げている。このあたりはその没落の近さを窺わせるものだ。
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不能犯を難詰してどうなるというのかね。
■ 理系カルト
水素水への批判を見ていると、まさに理系カルトの感がある。効果がない位の事で何をそこまで怒れるのか分からない。
思い当たってチェックすると、理系カルトっぽい御仁が勝手にいきり立っている。例えばへぼ担当さんは次のように述べている。

もちろん、大学生協に尋ねたところで土下座なんかするわけもない。へぼ担当さんは、科学的根拠の印籠を出せば勝ったと思っている、吊し上げできると考えているのだろう。だが、「商売だから売れるものを売っている」と言われるのがオチだ。
あんなものはバカにするだけで放置すればよい。それで健康被害も深刻な詐欺的被害も生じていない。ナントカ還元水と称して政治資金で買ったりするのでなければどうでもよいものだ。
■ でも、くじ引きや御守は否定しない
効果がないもので金儲けするのが許せないなら、くじ引きも、お守りも否定すればよい。くじ引きにも、お守りにも科学的な効果はない。相手の心に付け込んでそれを買わせるものだ。その点で水素水と変わらない。
さらに言えば、高級腕時計もスポーツカーも一眼デジカメも否定すればよい。いずれも額面通りの高性能なんか活かせるわけがない。1日24時間はどの時計をつけても変わらないし、300馬力の限界性能を街中で活かされてはかなわない、高いデジカメとっても下手っぴは下手な写真しか取れない。
効用がない点では、これらは全部同じである。
それなのに、水素水だけ「科学的に根拠がない」といった一点張りで怒る。これは不思議である。その点、まったく理系カルトとしかいいようはない。
■ 経済的根拠のない原発は擁護する不思議
逆に「科学的には、信頼性では」といった「科学的根拠」があればそれで全肯定するのも奇妙なものだ。
水素水批判をしている連中の多くが、原発やらオスプレイやらを擁護している。
だが、そこに科学面以外での問題意識はない。原発はコスト面で経済的な根拠を欠いているし、リスク面で政治的に受容され難い要素となっている。オスプレイも周辺対策としてあまりに高コストであり、落ちたら「基地問題が収集できなくなる」リスクがあるが、それは全く見えていない。まったくマヌケなことだ。
■ 理系カルト
水素水への批判を見ていると、まさに理系カルトの感がある。効果がない位の事で何をそこまで怒れるのか分からない。
思い当たってチェックすると、理系カルトっぽい御仁が勝手にいきり立っている。例えばへぼ担当さんは次のように述べている。

へぼ担当@育児中
@hebotanto へぼ担当@育児中さんが開米瑞浩をリツイートしました
もっとも「東京工業大学生協」は今頃土下座モードかも知れませんね。
「誰だ、こんな物を仕入れた人間は?」と吊し上げにあっても私は止めませんし、母校の大学生協ならば「どういうつもりだ?」と問い詰めるところですが。
https://twitter.com/hebotanto/status/728968413310160897?lang=ja
もちろん、大学生協に尋ねたところで土下座なんかするわけもない。へぼ担当さんは、科学的根拠の印籠を出せば勝ったと思っている、吊し上げできると考えているのだろう。だが、「商売だから売れるものを売っている」と言われるのがオチだ。
あんなものはバカにするだけで放置すればよい。それで健康被害も深刻な詐欺的被害も生じていない。ナントカ還元水と称して政治資金で買ったりするのでなければどうでもよいものだ。
■ でも、くじ引きや御守は否定しない
効果がないもので金儲けするのが許せないなら、くじ引きも、お守りも否定すればよい。くじ引きにも、お守りにも科学的な効果はない。相手の心に付け込んでそれを買わせるものだ。その点で水素水と変わらない。
さらに言えば、高級腕時計もスポーツカーも一眼デジカメも否定すればよい。いずれも額面通りの高性能なんか活かせるわけがない。1日24時間はどの時計をつけても変わらないし、300馬力の限界性能を街中で活かされてはかなわない、高いデジカメとっても下手っぴは下手な写真しか取れない。
効用がない点では、これらは全部同じである。
それなのに、水素水だけ「科学的に根拠がない」といった一点張りで怒る。これは不思議である。その点、まったく理系カルトとしかいいようはない。
■ 経済的根拠のない原発は擁護する不思議
逆に「科学的には、信頼性では」といった「科学的根拠」があればそれで全肯定するのも奇妙なものだ。
水素水批判をしている連中の多くが、原発やらオスプレイやらを擁護している。
だが、そこに科学面以外での問題意識はない。原発はコスト面で経済的な根拠を欠いているし、リスク面で政治的に受容され難い要素となっている。オスプレイも周辺対策としてあまりに高コストであり、落ちたら「基地問題が収集できなくなる」リスクがあるが、それは全く見えていない。まったくマヌケなことだ。
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見出しだけで頭の悪さがにじみ出る記事というのもあるものだ。産経新聞の「日本のGDPが一気に3%底上げも 国連の計算方法見直し、600兆円挑戦に“朗報”」は全くそれだ。
統計をいじった結果「GDPが上がる」喜ぶのは相当にオメデタイものだ。記事では
と述べている。「底上げ」とは実物の増勢追加を伴う現象である。計算方法の変更で数値を上げることはささない。それは「上げ底」という。
まあ、それでよいなら、インフレでも通貨単位を切り上げでもGDPは成長する。円の価値が1/2になれば円建てベースのGDPは2倍となる。あるいは1円を100新円に切り替えれば、GDPの価値は100倍にもなる。
それでも産経は喜ぶのだろう。所詮は政党機関紙である。GDPの「600兆円挑戦」に成功とでも書くだろうよ。
■ 産経だけが取り上げる不思議
ちなみに、共同電とされているが取り上げているのは産経だけしかない。記事の見出しから「GDP 計算方法」でニュース検索しても最近にヒットするものはない。広げても産経記事を引っ張った各種のネトウヨサイトが引っかかるだけだ。
ちなみに、あの偏差値の低そうな地方議員集団「草莽崛起」がそれを丸写ししている。
「日本のGDPが一気に3%底上げも 国連の計算方法見直し、600兆円挑戦に“朗報”」
丸々転載するあたりで、本統にアタマが悪いのだろう。*
ちなみに、これは遡れば去年の12月末に話題となったものだ。朝日新聞がヒットする。「来年のGDP、15兆円アップ?…計算方法見直しにつき」が引っかかる。その頃には、各社の報道でも統計上の問題だけと一蹴されたものだ。
おそらくだが、産経もさすがにその時は恥ずかしくて「日本経済スゲー」や「600兆円挑戦」ヨイショはできなかった。そしてみんなが忘れたころに、頭のよろしくない読者層に向けてリリースした。そんなところだろう。
* こいつらバカだから、そのネトウヨ主張を国会前ではなく、国立国会図書館の北側で、図書館に向けてマイクを付けて怒鳴る。新館1・2・4階のマイクロ閲覧室から道を挟んだ反対側だ。目がアレになりながら死ぬ気でマイクロを手繰る利用者の神経を逆撫でる行為であり、不断は考えられないことだが、「うっせー」といった声や、「連中の生命活動が速やかに終わることを祈る直接表現」が館内で飛んでいた。
統計をいじった結果「GDPが上がる」喜ぶのは相当にオメデタイものだ。記事では
国連による国内総生産(GDP)の計算方法見直しで、日本のGDPが底上げされる
「日本のGDPが一気に3%底上げも」
と述べている。「底上げ」とは実物の増勢追加を伴う現象である。計算方法の変更で数値を上げることはささない。それは「上げ底」という。
まあ、それでよいなら、インフレでも通貨単位を切り上げでもGDPは成長する。円の価値が1/2になれば円建てベースのGDPは2倍となる。あるいは1円を100新円に切り替えれば、GDPの価値は100倍にもなる。
それでも産経は喜ぶのだろう。所詮は政党機関紙である。GDPの「600兆円挑戦」に成功とでも書くだろうよ。
■ 産経だけが取り上げる不思議
ちなみに、共同電とされているが取り上げているのは産経だけしかない。記事の見出しから「GDP 計算方法」でニュース検索しても最近にヒットするものはない。広げても産経記事を引っ張った各種のネトウヨサイトが引っかかるだけだ。
ちなみに、あの偏差値の低そうな地方議員集団「草莽崛起」がそれを丸写ししている。
「日本のGDPが一気に3%底上げも 国連の計算方法見直し、600兆円挑戦に“朗報”」
丸々転載するあたりで、本統にアタマが悪いのだろう。*
ちなみに、これは遡れば去年の12月末に話題となったものだ。朝日新聞がヒットする。「来年のGDP、15兆円アップ?…計算方法見直しにつき」が引っかかる。その頃には、各社の報道でも統計上の問題だけと一蹴されたものだ。
おそらくだが、産経もさすがにその時は恥ずかしくて「日本経済スゲー」や「600兆円挑戦」ヨイショはできなかった。そしてみんなが忘れたころに、頭のよろしくない読者層に向けてリリースした。そんなところだろう。
* こいつらバカだから、そのネトウヨ主張を国会前ではなく、国立国会図書館の北側で、図書館に向けてマイクを付けて怒鳴る。新館1・2・4階のマイクロ閲覧室から道を挟んだ反対側だ。目がアレになりながら死ぬ気でマイクロを手繰る利用者の神経を逆撫でる行為であり、不断は考えられないことだが、「うっせー」といった声や、「連中の生命活動が速やかに終わることを祈る直接表現」が館内で飛んでいた。
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海底レアアースも胡散くさいものだ。産経が海底レアアースを持ち上げているが、そこにはナショナリズムがあるだけで経済性の検討はどこにもない。資源安全保障と中国脅威だけを強調する点で、メタンハイドレート詐欺に似ている。
産経が3月30日と3月31日に「【海底資源「夢の泥」はいま】」として特集記事を組んでいる。
・ 3月30日 斎藤浩「脱・資源貧国、日本の切り札『レアアース泥』に中国の触手 南鳥島南方で探査契約」(3月30日)
・ 3月31日 斎藤浩「トウ小平の戦略・中国レアアース開発で荒れ果てた山に無数の酸溶液の池 住民は歯が抜け…陸上破壊進み海洋進出か」
ただ、どちらも中国をdisり、海底レアアースをヨイショしているだけである。実際に採掘ができるか、それが経済性を維持できるかといった検討がまったくない。
■ 日中開発は競合しない
3月30日の記事「脱・資源貧国」で不思議な点は、日中開発が競合しない可能性を見逃していることである。
産経は海底レアアースの採掘について日中での争いとなるように書いている。沖ノ鳥島EEZの日本レアアースを、中国は南側の公海にはみ出した分を狙っているというように書いている。
だが、海底レアアース資源が普遍的なものであれば両者は取り合いとならない。日本は沖ノ鳥島EEZで採掘し、中国はさらに条件の悪い南側公海で採掘すればよいだけだ。
そもそも海底レアアースはインド洋にもあるとも書いている。調べればどこにでもあるのだろう。
・ 経済性検討がない
そして、経済性検討も全くなされていない。
そこに採掘コストの検討はない。本土から1500km南にあり、周囲に港湾皆無の沖ノ鳥島で海底5000mから安価に泥を採取する方法は、ない。
現実的には不可能である。「現在の日本のレアアースの消費量(約1・4万トン)の200年分以上が眠っている」(産経)とある。だが、年間消費1.4万トンのレアアースを完全に国産化するには、海底シルトは品位1%であっても140万トンとなる。(ちなみに陸上ではスイート・スポットでも品位は0.05%以下である) 「中国依存から脱するため」に需要の30%を国産で賄うとしても、採泥量は年50万トンである。なお、採取はスラッジ状で行うため、実際の取扱量は10倍以上となるだろう。それを海底面を移動しながら採取しなければならない。これは現実的ではない。
仮に採掘できても、価格暴落で割に合わない。もともとレアアースは希少だから高い。それが海底から採取され、大量に市場に流れればどうなるか? 暴落する。例えば最も高価なスカンジウムは2015年末にキロ1500ドルだが、それが1割でも増えれば他のレアアース同様の価格に落ちる。そもそも需要が小さいためだ。
産経ではそのあたりを触れていない。
記事中では「30億程度でできる」と書いているが、これは実際に海底から泥を採取するだけの実験である。まずは30億円かけて、500円分の精製希土類がとれる程度の話だ。
経済性の検討はないのは、まずは「日本スゲー」だけを書けばいい新聞であるためだ。記者もそれを書くことを求められない。むしろ、日本スゲーの夢を壊すと出世しない。これは、実際の出世例をみればよい。左派を罵倒できれば訴訟で負けてもよいとされているのである。
■ 鉱害があっても安い方が選ばれる
そして31日の記事「トウ小平の戦略」には説得力がない。中国のレアアース鉱害を強調し、だから外洋採掘に向かうといった内容となっている。だが、経済性がない外洋採掘をする理屈がどこにもないためだ。
記事は延々鉱害を強調したあと、次のように締められている。
だが、結局は汚染処理が進めば終わる話だ。それで陸上採掘コストが海底採掘コストに勝てばどうなるだろうか? といったものだ。もちろん中国人は念のため試掘はするだろう。だが「そんな儲からない商売は日本人にやらせればよい」で終わるものだ。
■ メタンハイドレート詐欺に似ている
このあたり、産経記事は的外れなものにしか見えない。
結局はメタンハイドレート詐欺と似たようなものだ。資源ナショナリズムから政治案件として無理推しされたいたが、実際に経済性をもって採掘できる見込みはない。
学者による推進手法も、メタンハイドレートに似ている。本来、商業的に成功する見込があるなら企業が参入するはずだ。だが、それがないので政府に寄っているようにも見えるのである。
おそらく、海底レアアースもメタンハイドレート同様に終わる。
もちろん山師が跳梁跋扈し、国策まで進ませて得るものなしのメタンハイドレートのように詐欺と書くわけではない。だが、経済性から実現不能な点は、メタンハイドレートと変わらない。
なによりも示唆的な点はは、去年後半以降、記事化されないことだ。海底レアアースにせよ、それを主導する東大の加藤泰浩さんにせよ、記事で取り上げているのは産経だけだ。この辺りが計画としての非現実性を示すものだ。
産経が3月30日と3月31日に「【海底資源「夢の泥」はいま】」として特集記事を組んでいる。
・ 3月30日 斎藤浩「脱・資源貧国、日本の切り札『レアアース泥』に中国の触手 南鳥島南方で探査契約」(3月30日)
・ 3月31日 斎藤浩「トウ小平の戦略・中国レアアース開発で荒れ果てた山に無数の酸溶液の池 住民は歯が抜け…陸上破壊進み海洋進出か」
ただ、どちらも中国をdisり、海底レアアースをヨイショしているだけである。実際に採掘ができるか、それが経済性を維持できるかといった検討がまったくない。
■ 日中開発は競合しない
3月30日の記事「脱・資源貧国」で不思議な点は、日中開発が競合しない可能性を見逃していることである。
産経は海底レアアースの採掘について日中での争いとなるように書いている。沖ノ鳥島EEZの日本レアアースを、中国は南側の公海にはみ出した分を狙っているというように書いている。
だが、海底レアアース資源が普遍的なものであれば両者は取り合いとならない。日本は沖ノ鳥島EEZで採掘し、中国はさらに条件の悪い南側公海で採掘すればよいだけだ。
そもそも海底レアアースはインド洋にもあるとも書いている。調べればどこにでもあるのだろう。
・ 経済性検討がない
そして、経済性検討も全くなされていない。
そこに採掘コストの検討はない。本土から1500km南にあり、周囲に港湾皆無の沖ノ鳥島で海底5000mから安価に泥を採取する方法は、ない。
現実的には不可能である。「現在の日本のレアアースの消費量(約1・4万トン)の200年分以上が眠っている」(産経)とある。だが、年間消費1.4万トンのレアアースを完全に国産化するには、海底シルトは品位1%であっても140万トンとなる。(ちなみに陸上ではスイート・スポットでも品位は0.05%以下である) 「中国依存から脱するため」に需要の30%を国産で賄うとしても、採泥量は年50万トンである。なお、採取はスラッジ状で行うため、実際の取扱量は10倍以上となるだろう。それを海底面を移動しながら採取しなければならない。これは現実的ではない。
仮に採掘できても、価格暴落で割に合わない。もともとレアアースは希少だから高い。それが海底から採取され、大量に市場に流れればどうなるか? 暴落する。例えば最も高価なスカンジウムは2015年末にキロ1500ドルだが、それが1割でも増えれば他のレアアース同様の価格に落ちる。そもそも需要が小さいためだ。
産経ではそのあたりを触れていない。
記事中では「30億程度でできる」と書いているが、これは実際に海底から泥を採取するだけの実験である。まずは30億円かけて、500円分の精製希土類がとれる程度の話だ。
「東大コンソーシアム」は南鳥島沖から泥を引き揚げる実証試験を2年後には行いたいとしている。30・8億円と見込まれるコストが課題だが、いま日本にとって重要なのは中国に後れを取らないことだ。
http://www.sankei.com/premium/news/160503/prm1605030006-n5.html
経済性の検討はないのは、まずは「日本スゲー」だけを書けばいい新聞であるためだ。記者もそれを書くことを求められない。むしろ、日本スゲーの夢を壊すと出世しない。これは、実際の出世例をみればよい。左派を罵倒できれば訴訟で負けてもよいとされているのである。
■ 鉱害があっても安い方が選ばれる
そして31日の記事「トウ小平の戦略」には説得力がない。中国のレアアース鉱害を強調し、だから外洋採掘に向かうといった内容となっている。だが、経済性がない外洋採掘をする理屈がどこにもないためだ。
記事は延々鉱害を強調したあと、次のように締められている。
南鳥島沖を含めた太平洋の海底のレアアース泥には、陸上鉱床と違ってトリウムやウランがほとんど含まれず、採掘の際に出る放射性廃棄物の問題もないという。レアアースをめぐる環境問題に直面している中国にとって、海底のレアアース泥はかなり魅力的に映っているはずだ。
陸上から海洋へ-。中国のレアアース戦略は転換期に差し掛かっているのかもしれない。
http://www.sankei.com/premium/news/160504/prm1605040004-n3.html
だが、結局は汚染処理が進めば終わる話だ。それで陸上採掘コストが海底採掘コストに勝てばどうなるだろうか? といったものだ。もちろん中国人は念のため試掘はするだろう。だが「そんな儲からない商売は日本人にやらせればよい」で終わるものだ。
■ メタンハイドレート詐欺に似ている
このあたり、産経記事は的外れなものにしか見えない。
結局はメタンハイドレート詐欺と似たようなものだ。資源ナショナリズムから政治案件として無理推しされたいたが、実際に経済性をもって採掘できる見込みはない。
学者による推進手法も、メタンハイドレートに似ている。本来、商業的に成功する見込があるなら企業が参入するはずだ。だが、それがないので政府に寄っているようにも見えるのである。
おそらく、海底レアアースもメタンハイドレート同様に終わる。
もちろん山師が跳梁跋扈し、国策まで進ませて得るものなしのメタンハイドレートのように詐欺と書くわけではない。だが、経済性から実現不能な点は、メタンハイドレートと変わらない。
なによりも示唆的な点はは、去年後半以降、記事化されないことだ。海底レアアースにせよ、それを主導する東大の加藤泰浩さんにせよ、記事で取り上げているのは産経だけだ。この辺りが計画としての非現実性を示すものだ。
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誰も言ってない「不磨の大典」を振り回すヤツは、たいていはアレだ。
アレ右派が「護憲派は現憲法を『不磨の大典』として死守している」と揶揄している。「不磨の大典」で検索するだけでこれだけでてくる。過半は改正反対論をバカにしようというものだ。(例えばコレ)
だが、改正反対派のうち、改正そのものに反対する人はほとんどいない。今の憲法そのものに改正手続が明記されているのだから、それは当然である。
■ 手続きと内容への反対
実際には現政権の憲法改正のやり方と、その中身がアレすぎるために反対されているだけの話だ。
まずは手続きへの反対が大きい。これは昨年の戦争法案での解釈改憲やコンセンサス形成の無視といった手続きの反発である。本統に必要ならば、世論は海外派兵でも憲法改正にも同意する。だがその必要もなく、議論を尽くさないことに文句をつけている。
そして内容への反発である。立憲主義軽視と言われるものもそれであるし、人権を制約する内容への反発でもある。そもそも9条に自衛権を明記するだけなら、さしたる反対もない。
■ アレ右派こそが教条的
このあたりを理解できていない点で、アレ右派には現状を全く見えていない。そして「『不磨の大典』だから改正に反対している」といった見方をしているのは、彼らの頭の中にいる反対派は全て60-70年代のステロタイプな左派なのだろう。時代の変化を理解できていないということだ。
むしろアレ右派こそが教条的なんだけどね。保守=現実的といった80年代を引きずっているだけで自分で考えようとしない。ライト・イズ・ライトで頭が固着している。与えられたものが正解だと思うあたりで、宗教右派と通底しているのは尤もなものだ。その連中のいいだす現実主義となると、冷戦構造そのものだからねえ。
まあ「不磨の大典」を使って揶揄している御仁は、頭はそれほどよろしくないと見て差し支えないもんだ。
アレ右派が「護憲派は現憲法を『不磨の大典』として死守している」と揶揄している。「不磨の大典」で検索するだけでこれだけでてくる。過半は改正反対論をバカにしようというものだ。(例えばコレ)
だが、改正反対派のうち、改正そのものに反対する人はほとんどいない。今の憲法そのものに改正手続が明記されているのだから、それは当然である。
■ 手続きと内容への反対
実際には現政権の憲法改正のやり方と、その中身がアレすぎるために反対されているだけの話だ。
まずは手続きへの反対が大きい。これは昨年の戦争法案での解釈改憲やコンセンサス形成の無視といった手続きの反発である。本統に必要ならば、世論は海外派兵でも憲法改正にも同意する。だがその必要もなく、議論を尽くさないことに文句をつけている。
そして内容への反発である。立憲主義軽視と言われるものもそれであるし、人権を制約する内容への反発でもある。そもそも9条に自衛権を明記するだけなら、さしたる反対もない。
■ アレ右派こそが教条的
このあたりを理解できていない点で、アレ右派には現状を全く見えていない。そして「『不磨の大典』だから改正に反対している」といった見方をしているのは、彼らの頭の中にいる反対派は全て60-70年代のステロタイプな左派なのだろう。時代の変化を理解できていないということだ。
むしろアレ右派こそが教条的なんだけどね。保守=現実的といった80年代を引きずっているだけで自分で考えようとしない。ライト・イズ・ライトで頭が固着している。与えられたものが正解だと思うあたりで、宗教右派と通底しているのは尤もなものだ。その連中のいいだす現実主義となると、冷戦構造そのものだからねえ。
まあ「不磨の大典」を使って揶揄している御仁は、頭はそれほどよろしくないと見て差し支えないもんだ。
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なんで辺野古訴訟での和解で米軍北部訓練場の話が出てくるのかね。
琉球新報「翁長知事『制限域解除を』 辺野古の浮具撤去開始」によると、政府はオイルフェンス撤去と引き換えの形で県に北部訓練場での車両撤去を求めているという。
だが、和解はあくまでも辺野古訴訟についてのものだ。当然、北部訓練場は含まない。辺野古でフェンスを撤去したからといって、引き換えに別施設での反対運動弱体化は飲む必要はない。
つまり、翁長知事の別問題であるといった対応は正しい。
そもそも、沖縄は自分たちのNoを引き下げるべきではない。「一つの基地を拒否するため、別の基地を受け入れる」と選択肢は、普天間か辺野古かといった二者択一に通じるためだ。
沖縄は二者択一を拒否し続ければ勝てる。政府が押している「現実的な解決策」や「代案を示せ」は、結局は「普天間か?、あるいは辺野古か?」を迫るものだ。その双方を拒否することで日米に「海兵隊は不要」といった落とし所を追い込むことができる。
そのためには、基地問題での条件闘争や代案提示を全て拒否し続ける必要がある。「普天間か?、辺野古か?」といった二者択一では、二進も三進も行かない状態に追い込まれれば、日米、おそらく米側が「海兵隊を引く、普天間も辺野古も無くす」選択肢を示すだろう。
* 「翁長知事『制限域解除を』 辺野古の浮具撤去開始」『琉球新報』(琉球新報,2016.5.1)http://ryukyushimpo.jp/news/entry-270694.html
琉球新報「翁長知事『制限域解除を』 辺野古の浮具撤去開始」によると、政府はオイルフェンス撤去と引き換えの形で県に北部訓練場での車両撤去を求めているという。
米軍北部訓練場内でのヘリパッド移設計画に関連し、抗議の市民らが作業現場入り口に止めている車両を撤去するよう、政府が道路管理者の県に協力を求めている。
「『翁長知事『制限域解除を』 辺野古の浮具撤去開始」『琉球新報』
だが、和解はあくまでも辺野古訴訟についてのものだ。当然、北部訓練場は含まない。辺野古でフェンスを撤去したからといって、引き換えに別施設での反対運動弱体化は飲む必要はない。
つまり、翁長知事の別問題であるといった対応は正しい。
国側が浮具などの撤去を始めたことで、近く車両の所有者に対する文書指導などを行うかについて記者団に問われ、翁長知事は「リンクする話ではない。それ(北部訓練場)はそれ、これ(辺野古)はこれだ」と述べた。
同 上
そもそも、沖縄は自分たちのNoを引き下げるべきではない。「一つの基地を拒否するため、別の基地を受け入れる」と選択肢は、普天間か辺野古かといった二者択一に通じるためだ。
沖縄は二者択一を拒否し続ければ勝てる。政府が押している「現実的な解決策」や「代案を示せ」は、結局は「普天間か?、あるいは辺野古か?」を迫るものだ。その双方を拒否することで日米に「海兵隊は不要」といった落とし所を追い込むことができる。
そのためには、基地問題での条件闘争や代案提示を全て拒否し続ける必要がある。「普天間か?、辺野古か?」といった二者択一では、二進も三進も行かない状態に追い込まれれば、日米、おそらく米側が「海兵隊を引く、普天間も辺野古も無くす」選択肢を示すだろう。
* 「翁長知事『制限域解除を』 辺野古の浮具撤去開始」『琉球新報』(琉球新報,2016.5.1)http://ryukyushimpo.jp/news/entry-270694.html