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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2016.05
13
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Category : 未分類
 いつものアレ記事なのだが。

 産経が3日連続の連載記事仕立てで「北海道が中国に買収される」といっている。

・【北海道が危ない(上)】
  中国生まれの「反天皇」農場主が帯広で170haを取得したのはなぜか?
  朝鮮総連議長らにもお披露目し…


・【北海道が危ない(中)】
  中国が観光施設“爆買い” 進むチャイナタウン化
  住民に危機感「中国人の街ができてしまう


・【北海道が危ない(下)】
  日本が20年足らずで消滅? 
  空自基地周辺にも中国の影 ゴーストタウン化した中国人向け別荘地も


 もちろん、中身はいつもの「危険が危ない」でしかない。

 要は、金があぶついて投資先が見つけられない中国人が原野商法に引っかかったようなものだ。バブル期にソニーが映画会社を。三菱がロックフェラーセンターを掴まされたようなものにすぎない。


■ アイヌは先住民族ではないという小野寺さん

 記事そのものについてはその程度である。 日本の立場からすれば、何も知らない金満中国人にむしろいまこそ不良債権をつかませるべきなのだが、それもみえていないだけの話だ。

 だが、主張はともかく、インタビューする人があまりにもアレなことは特筆すべきだろう。

 よりによって「アイヌは先住民族ではない」と言い出した御人を連れてきている。
 長年、中国資本の動向を注視している前道議の小野寺秀氏は「24年4月の水資源保全条例施行後、国営企業のような大きな会社が堂々と顔を出してきたので、雰囲気が変わってきたと感じる」と話す。

 そして危機感を強める。「中国が狙っているのは水源地や森林、不動産だけではない。観光施設も買収している。今後、観光地の中国化が進み、利用するのは中国人がほとんどという事態になり、その場がチャイナタウン化するのは時間の問題だ」
http://www.sankei.com/premium/news/160510/prm1605100006-n3.html


 だいたい、水源や森林を買った所で全く原野商法でしかない。今、山なんか持っていてもにもならない。ウチも昭和40年代に買った山があるが、どこにあるのか分からないし、利用したこともない。わざわざ北海道の森林で材木を伐採するのは経済性にあわない。それならカナダやロシアの極相林の木材を買った方が品質も、高く値段も安いためだ。

 観光地の中国化も似たようなものだ。もともと北海道の観光は基本的に寂れている。日本人も行かない観光地に、お上りさんが金を落とすのだから現地はウェルカムといった話だ。ちなみに、民主党政権が中国人観光客の緩和をした時には自民党や保守層は泥棒が増えると反対していたが、今は掌を返してインバウンド消費とか言っている。

 また、本統に米人と話したのかも怪しい部分もある。小野寺さんは
 前道議の小野寺秀氏は明かす。「アメリカ総領事館の職員から、『常設型住民投票条例が制定されると、外国人が自治体の首長のリコールなどができるようになる。それは選挙権を与えたぐらいのインパクトがあり、行政を牛耳ることができる。そのような地域に中国人がドッと入ってくると、中国の思いのままになる』と忠告された」
http://www.sankei.com/premium/news/160510/prm1605100006-n6.html

と述べているが、領事館の職員が日本国内でもアレ扱いの政治家にそんなヤバイことはいうものではないためだ。

 外国人の危険性を説く記事に、エスノセントリズム論者の発言を根拠にしている点、このあたり記事としては相当にアレだ。ある意味、在日外国人の危険性を説く記事で、在特会にインタビューした内容を根拠とするのと変わるものではない。


■ 争論に負けた御仁の繰り言を取り上げる

 他にも、口で負けた住民の声を取り上げるのも味わい深い。以下、ムラの寄合で嫁入りしてきた中国人に言い負けた住人の発言である。
 北海道中部の住民男性はこう打ち明けた。「私の集落では、日本人と結婚した中国人が発言力を強め、われわれの意見に耳を貸さないで強気で押してくる。もし、常設型住民投票条例が制定されたらと、想像しただけでも背筋が凍る」
http://www.sankei.com/premium/news/160510/prm1605100006-n7.html


 文句があるなら本人を納得させるロジックなりを出せばいいし、受容できないなら主張を実現させない体制なりを作ればよい。だが、それもできない。「われわれの意見に耳を貸さないで強気で押してくる。」というが、結局はムラの論理と雰囲気で勝てないだけの話なのだろう。負け犬の遠吠えとしか言いようはない。


■ 記者も、取材先も、購読者も同じ水準

 主張もアレだが、取材者のアレである。

 このあたり、産経が置かれている現状を示しているのだろう。記者も、取材先も、購読者とも、中国脅威論と多文化排外主義者とムラ社会論理のコングロマリットでしかない。まずはその連中の中だけで書いて、聞いて、読む新聞に堕したのだろう。

 90年代半ばまではここまでアレな記事はなかったのだけどねえ。まあ、記者もマトモな人から抜けていく、しかもその時に「産経の悪口書くな」と誓約書を書かせる状態なのだから、記事はこんなものとなるのだろう。
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